まずは品物、マグネシのハースライナーです。ハースライナーって何かは過去記事のどっかで何か言ってるかも。要はルツボです、あるパターンの際にハースライナーと言います(言わなくてもいいかもしれない)
読者の方から質問があって、煆焼についてだったわけです。タイトルにも書きましたが、煆焼の「煆」の字がここでしか滅多に見ない字なせいかPCだと環境依存文字ですね。実際書籍等でもカ(片仮名のカ)焼になってますね。「ねつ造」「範ちゅう」「経営破たん」的なかえって読みにくいダッサイ表現をちょいちょい見ますがそのパターン。
まあ「カ焼」の場合は「ちからやき」的な見え方をするのでダサくは無いけどね。
関係ないけど「一力(棋聖・名人・本因坊)」と「カー(ゴールデンステートのヘッドコーチ)」が一切紛らわしくないけどちょっと紛らわしいと思ってます。
質問いただいた方にはケースに沿って知ってる範囲でお答えしたので、ここではざっとシンプルに。
「煆焼」という用語そのものはおそらく「燃焼」に対するような言葉みたいですね。
「燃焼」が、その物質自体の化学変化で熱量を発生しますが、「煆焼」は外部から熱を供給することによって化学変化を起こさしめる。ということですね。
窯の中の話で言うと、燃焼してるのはガスとか油であって、皿とかお碗は煆焼されてる。という関係性ですね。これが用語自体の意味です。意外と新鮮。
しかし、われわれヤキモノ屋にとっての煆焼はもうちょっと狭い感じの意味で使いますね。狭いというか、必要ならやる加工的な作業工程、場合によっては秘伝?的なこともあるかも。
原料粉末に対して行う「下ごしらえ的な熱処理」のことを言う場合が多いと思います。
ファインの現場だと、いろんな原料を比較的しょっちゅう煆焼するんですが、ここでは作陶趣味の皆さんの内「そこまでやるぜ!」的ハッスル勢に多少のアイデアになりそうなある程度具体的なプチ知識
粘土鉱物編
・鋳込み泥漿が粘っこすぎる。すぐボトボトになりがち。乾燥収縮が不安定、デカすぎる。着肉時間が長すぎる。なんて場合、調合中の粘土鉱物の一部、あるいは全部を煆焼するとかなーり解消されます。
・轆轤、手びねり、しっぴき型打ち等の可塑性成型でも、乾燥中に底切れしたり、これまた粘っこすぎる、なんて場合も原料中の原因っぽい粘土鉱物を煆焼して解消します。
要はコロイド部分が多かったりするんだと思いますが、煆焼することでフレッシュな状態(超こっち目線)に無理やりリセットするわけですな。
これは煆焼粘土、煆焼カオリンと言って定番の技です。
温度帯的には200℃~400℃ってぐらいじゃないでしょうか?(俺はそうです) 粉末を匣鉢詰めして焼成します。
次、
・いつ買ったかわからないような古い原料は、材質によっては結構変質しちゃってる場合があります。多くは水分吸って水和かな?これも比較的低温で煆焼してリセットします。ゴミも燃やせます。
・炭酸〇〇を酸化物にします。ようは炭素分をCO2にして焼き飛ばしちゃうわけです。これはその材料を調べて分解する温度帯を確認しましょう
と書いては見たけど一般陶磁器ではあんまり使わない技かも?
・細かすぎる原料を多少使いやすくする。多分二次粒子以降の団粒構造的な粒子が増えるんじゃないかな?これは結構使える技です。
簡単なのはこの辺ですね。参考になるとうれしいです。
比較的高等なテク(要はめんどくさい)として、焼成収縮率を調整できる場合がある、んですが、説明するのもめんどくさいのと、テニス(全仏準決勝アルカラズVSムゼッティ)がだいぶ盛り上がってきたので、この辺で終わり。
要は、ヤキモノ屋にとって煆焼とは、原料のある種の不安定さを取り払ってフレッシュで必要分均一な状態にする「粋な技術」です。
いらない粘土粉末があったら、一部を煆焼してみてください(とりあえず400℃!)。なんかヒントが見つかるかもよ!!
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