「設形」なんて言葉はないですね。俺が作りました。
どういう形にしようかなあ~って考えて決めていく作業のことです。
設計なんてほど複雑な構造物作るわけではないですしね。
まず形を決めてそれから機能に関する部分を作りこんでいきます。
設形から設計。
現在、平盃(ひらさかずき?)を考える作業に取り掛かっています
酒を飲まないので新鮮です。
新しい物作る時にどう形決めてくかってことなんですけど、いくつかパターンあると思います。
今回は「径11~120㎜ぐらいの平盃、碗形の丸みをつけずにストレート気味に広げる」と、大まかなシェイプは決まっています。どういう釉装飾にするかも決まってますので、わりかし楽ですね。
小鳥の飲み水ほどの才能とインスピレーションに頼るなんて私には無理無理。
自分の場合、バカはバカなり、数学的に縦横の比率で決めていきます。こうすると理論的に考えてる気にはなれますから
型を工作機で作るんでなければ、どうせ手癖が強くてそっちよっちゃいますけどね。
では平盃、まずは口径と高さの比を見ていきます。
実際作ると大分印象は変わるんですが、作図してあたりをつけます。
図録やなんかでカッコいい発掘品や作品を調べたらだいたいこの二つの比の間。
実際は3:1が多い。こんな感じ。口径と高台系の比はとりあえず3:1(これが好き)
高さと高台の高さの比も考えどころ。
高台が高くなると逆テーパーをつけたほうが決まる感じですね(左上の赤い線)
実は装飾が決まっているので高台の際、腰回りはかんなで削いで角度をステップさせるので右が出来上がりには近いはず。123の数字は高台のテーパーの向き。
高台の作りや高さはちょっとのことで印象がずいぶん変わります。上手い人は尊敬します!
下は参考程度ですが・・・
(左上)口径と高台系の比を変えてみたりもします。これは断面の輪郭の角度を変えないまま高台を広げました(=全体の高さは下がる)
(左下)高さ自体を下げて比を見ることもしてみましょう。
(右下)中世以前のもので見た形。本物は丸くRがついてますがやたら神々しい感じ。
(右上)やきものの場合、肉厚差が部分によって極端に変わるのは、製作上の問題が出たり、使い勝手に非常に大きくかかわります。
これが漆器の場合は、見込みが青い線のように浅くなり、底の肉厚がガッツリ厚いのも多いんですがそもそも木製で比重が非常に小さいので問題ないみたい。やきもの屋感覚で漆器を持つと一瞬ぎょっとすることがあります。
陶磁器は一般的にある程度以上の均一性と薄さ(=軽さ)が求められますが、焼いても使っても割れないのなら使い道によってはゼーンゼン問題ないと考えています。
今回は盃なんで基本手に持って使うもの。酒飲む人のリストの強さってのはさまざまでしょうけどあんまり重いのはダメでしょうね。
なーんてことをいろいろ繰り返していくつか形を決めてみた後、実際作ってみる。ってことをやってます。比率を整数比に決めちゃったりすると自動的に試してみるパターンってのは限定されますので、後は自分の手になじむように作ります、というのが私のパターンです。
それと、今回それほど関係ないですが、自分の場合何も決まってないところから形を決める時に、作家としてのオリジナリティ!世界で一つの俺の形!なんてことはひとまずまるっきり1㎜も考えません。いままで世にないもので俺が初めて考えたいい形、なんて無理無理。大体何作っても似たようなものはグレートな先達や今現在活躍している方々がもっともっと素晴らしい作品製品のこしてますよ。お店や美術館なんかで見つけちゃって、そんでもってそのたびに非常なショックを受けます。
名人上手なら「少しでもそのレベルに寄せたい!」とか、現役バリバリのしかもまだまだ若い人だったりすると「チグジョー!!全然俺より上手いじゃん(泣)」、レジェンド級なら「俺も〇〇級かもな」とかね。
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