2018年3月30日金曜日

排泥鋳込み超入門 Vol.1 闇ヤキモノ教習(仮

 いつだか作った石膏型もとっくに乾いてるんじゃないでしょうか?そろそろ出番としましょうか。知らないよりは知ってた方が絶対いい「鋳込み成形」そのうち「排泥鋳込み」を軽く体験してみましょう。ということでシリーズ化します。

 まあ排泥鋳込みにかかわらず、とかく鋳込み成形というものは舐められがちなんですよね。工業的生産効率は低いほうにもかかわらず、一般陶磁器、とりわけろくろ成形主体だったりする作家的な小工房の方々や教室的立場の方々からはやたらと産業的で非工芸的と見られてる気がします。なんなら馬鹿にされてる気が・・・ロクロだって産業的効率の結果だと思うんだけどな~(被害妄想的文章ですが)

 で、話してても鋳込み成形なんてちゃんとやったことないであろう人に「え~、鋳込み~?」なんて言われるとさすがに温厚な私もロクスッポちゃんと観たことないくせにスタローンやジャッキー・チェン、マーベルの映画を馬鹿にされた時と同じ怒りが込み上げてくるんですよね。「え~。トム・クルーズ~?」みたいな。で、そんなやつにかぎって好きな映画がいまだに「〇〇〇」とかなんですよね。お前それロッテ~大洋の助っ人外人だろ。みたいな。せめてゴダールとか言ってくるのかと思ったよ。まあいいや。ナタリーの出世作だし。 

 また、うちのような昔ながらのるつぼ屋スタイル以外ではファインセラミックス、耐火物の世界でも採用率はかなり低いです。やっぱり効率悪いんですよね。言われたことありますよ。プレス主体のファイン屋さん(部品材メイン)に「ああ、鋳込みなの」って

 とはいえ話を一般陶磁器に限っても高級洋食器や、個人作家でも排泥鋳込みで素晴らしい機能的な器、あるいは見事な美術作品を製作されている方はたくさんいるし、皆さん話を聞けばびっくりするぐらいのKUFUで作ってるに違いないですよ。話聞いたことないですけど。

 とにかく何事も経験です。ロクロもいいけど鋳込みもいい!ベルイマンもいいけどゾンビもいい!アレサ・フランクリンもいいけど欅坂もいい!
 成形法の引き出しを増やしておくことは損じゃないはず。部分的活用や組合せだってありますよ!

 実践編に入る前にざっと排泥鋳込み法とはどういう成形法か?ということを・・・


こんな感じにドロッとした原料を

型に流し込んで(これが鋳込み

ガバッとあける(これが排泥)

型から外すと

肉厚は、こんなに均一ですよ

仕上げたら焼いて

出来た!(わかんないだろうけど

釉掛ければ例えばこんなのとか(写真つまんないけど
と、いった手順です
 何を作るか、力学の制限からはかなり自由なんですよ
  
 次回以降、
 原料のスラリー(泥漿)化とその調整
 成形から仕上げ
 あんまり変わんないけど焼成してモノができるまで。
 と手順を踏んで軽く解説していきます。

 こんなプリンカップじゃ何にもなんねえよ、なんて「まっとうなご意見」はひとまず言わずにやってみてくださいよ。
 
 他のシリーズと同様、相変わらずいつアップするか気持ちと肩凝りの余裕次第(仕事じゃねえのか!)ですけど、まだまだ鋳込みは一般愛好者の方には謎のベールに包まれてる点が多いと思いますので、記事と工程の前後にかかわらず質問、ご要望等ありましたらお寄せください。


2018年3月27日火曜日

シリーズ「石膏でなんかする」 四角く流すぜ板枠編

 コップ状の円筒形、あるいは小さいものなら抜きテーパーさえ一方通行なら以前紹介したやり方で問題ありません。
 しかし世の中には四角いもの、長方形の平べったいものもあるんですよね。円板の上で作るんでは石膏の無駄が多すぎますよね。
 仕方ねえ、四角く作るか…なんてことになるはずです。

「決壊事故」つまり枠の隙間からだだ漏れしたり、最悪枠がパカンと外れて石膏大洪水!というのは、ほとんどの場合板枠を組んで流したときにおこります。

 私が修行してたところでは決壊事故を起こすとヒトデナシ扱いで例えグループのリーダー的な格の人でもお掃除当番させられた上に番付が幕下付け足しに下げられます(ウソです、実際は茶々、罵声にさらされた上にしばらくネタにされます)まあ、そのぐらいダサいこととされています。親方は「こぼした分だってタダじゃねえんだぞ!」なんつってメチャ怒ってましたが、本人はその昔馬鹿でかい複雑なの流し中にクランプすっ飛ばして大洪水起こした事故の犯人だそうですよ。

 ちなみに私の実家は公共インフラメインの型枠大工なんですが(道路高架とか橋とか地下共同溝とか)、この場合は事故死、もしくは切腹ですね(だからウソですよ。結果的に改易ぐらいです)

 とにかく、気を入れてやれよってことです。この石膏シリーズをやる気になったのはネット上でシミジミした情報ないなあ~ってことが理由ではあるんですが(俺だってもっといろいろ知りたいからね)、結構上手そうな人や中には本職のヤキモノ作家さんでも「マジか、そんな枠の留め方で?」って方もチラホラ見えるんですよね。まあできてりゃいいんだけどさ~、結構怖いよね~。

 とりあえず割型の切り方やコツなんかは次回以降に回して、とにかくまずは枠ですね。
 
 最大にして唯一のコツは実は一つです。

 枠は、きちんと作ってしっかりとめること。

 これだけです。

 テキトーな板を立てかけあって紐で結わえて周りに重いものでつっかえ棒のつもり、なんてことはしない方がいいですよ。現場でこんなことしてたら100%先輩の投げた煉瓦の半ペラが飛んできます。

 まず枠板ですが、板のつきあわせの矩が出ていないと必ず隙間が空きますし、ガッチリ止りません。可能な限り上手に切ってください。ある程度厚みがあったほうが何かといいです。(ベニヤ板なら9~12、パネコート推奨です。そもそも型枠用だから)
 







 技も道具もない人は、ホームセンターのカットを利用すればパネルソーで切ってくれるので建具屋グレードの精度が出るはず。カット代も高くないよ。

 えー、今すぐ必要なのに切り口グジャっちゃったの~、のび太君はしょうがないなあ~
 そんなときは適する厚みのEVAスポンジシートを木口に合わせて挟み込めばあらかた大丈夫ですよ!鋸目のガタガタ位殺してくれます。
 
この技は、石膏の膨張に悩まされる割型編でも役に立つぞ!

  EVAスポンジシートはダイソーで売ってました。1㎜、3㎜、5㎜だったかな?使い捨てだし安物でいいよね?名前知らない方でも物を見ればわかりますよ。


 枠の組み方は通常二種類です。
この二通りです。
 左側が基本。この場合正方形ですので、突合せの勝ち負けはどっちでもいいんですが、長短の差がある場合は、できるだけ長いほうが勝つように組みます。
 右側ならフレキシブルに底面の大きさを変えられます。これを長さ、巾(高さになる)サイズ別に数セット用意しとくと非常に便利です。(とかいって半端で使いづらい場合も多いんだけど・・・)

 また

 左は、同じものを何個も何個も作るときには考えてみてください。
 右は、平板状のを縦に流し込むパターンですね。

 どの場合も、底面用の板もあったほうが、枠板の浮き上がりを防げて、枠自体もしっかり止るので一石二鳥。板つくらなきゃ無い場合もったいないのでマイナス一鳥だけど。
 
枠は底板を挟むようにすること。

 

 固定はしっかりとめないと意味ないです。つまり、ハタガネなりクランプを必要十分に使う、大物の一回こっきりならネジ、釘でとめちゃう。とか。固定に関してはやりすぎかもぐらいでもいいんじゃないかと思います。


よく写ってないけど左のはニギニギするだけの楽々クランプおすすめ。
見えずらいけどハタガネも


Fクランプ


Cクランプ、安いけど懐が狭い


 道具が足りないとかで、どうしてもヒモで縛る必要のある時もあるかもしれませんが、その時はよく考えて。イヤミな言い方になっちゃいますけど、ギューッと絞って固結び、しかできない人はやめたほうがいいです。
 そういう場合は、ラチェットの荷締め帯か、強いゴムを使いましょう。自転車のブチルチューブとかトラックのシートを止めるゴムとかがいいですよ。縛り系固定の時は位置決めの桟木があったほうがいいです。
 長いクランプ高いもんね~。

 底枠を作らずに平面にベタ置きする場合は、重しが必要ですが、大きいと、特に高さがある場合はなかなか難しいんですよね。自分は、そういう場合は思い切って釘でぶっつけちゃってます。
 
 というわけで、土練り用の石膏板を作りました。
ちょうどだいたい400㎜角の古いコンパネが転がってたので(仕事板です)
ちょうど合うサイズに枠を切り出し。

釘で固定、離型剤は物置でこないだ見つけたカーワックス
ワックス良いよワックス!

 時間に追われるので撹拌~流し込み中の写真はありませんが・・・ 
 ちょっと盛り上がり気味ぐらいで流し込んだら4~5分後に一回目の面出し(スターマン歌いながら粘性が出るまで十分撹拌した方はそこまでじゃないと思いますが、もし気泡がシャバシャバたくさん出るようならプラハンマーで型枠の周りをとんとんとんとん叩いて気泡を浮かせます。型を直接ではなくて台板をたたくんですよ
 「長い直線を持つ硬い何か」で摺り切りにします。ヨーグルト状のダバダバがデローンっとこぼれるのでその対策もしておきましょう。新聞紙敷いとくとか。こうやって直にウッドデッキでやるとむちゃくちゃ怒られます。一応、直じゃないんだけどな~どうせウッドデッキだって誰もいないときに泣きながら俺が作るんでしょ。
 ここである程度やっておくのが大物の時のコツで、離型してからやろうと思うと案外大変で泣きを見ます。時間もったいない。


固まった~
右の600の鋼尺で面だし、枠を外して

 固まってからやるのは面をきれいに整えることと、バリ取り、出隅の面取り(台鉋でもペーパーでも)だけにしといたほうが楽ですよ。


面取りして完成
全部中古の板だったんで汚れてるけど土練り台だしまあいいや。



大体、40㎝×40㎝×5㎝で容積8000㏄=石膏8キロでした。

このぐらいになるとただ棒でかき混ぜてもダマ無くならないんですよね。

と、いうわけで、男の撹拌は手だから!





奥に攪拌機見えてるじゃねーか

 

 

 
 











2018年3月26日月曜日

子供たちは春休み

 と、いうわけで
 ボケーっとしてるぐらいなら土でも練っとけ!
むしろボンクラ2号(左)の方がやる気でした

最大限優しく(撮影 ボンクラ二号

最大限丁寧に(撮影ボンクラ二号=もう飽きてる

懇切丁寧に(撮影 ボンクラ二号 もうアイス食ってる

よし、構えろ!

あきらめたら、そこで試合終了だよ

ぼさっとしてると乾くぞコラ~!(撮影 ボンクラ二号 なぜか着替えてる


涙でしょっぱそうです
撮影 ボンクラ二号 この後指を突っ込む犯罪を犯す


 とか言いつつ一号は午後から友達のうちに遊びに行って、最終的に午後も最後まで一緒にやりきったのは二号のほうだったって…どうなってんの?




2018年3月24日土曜日

芯までポカポカ、蒸気乾燥 さらに、禁断のノー乾燥焼成 闇ヤキモノ教室(仮

 今日は珍しいことしちゃったのでネタにしてみます。

まずは一段上?の乾燥テクについて。

 ヤキモノの「窯開けたら破損(割れ、存在の耐えられない歪み)してた!」の98%は窯詰前までに原因があると思ってます(残りの1%が窯詰時のミス、1%が焼成ミス、ほかなんかあるかな?)。
 98%中の40%強を占める(当社調べ)「乾燥でのしくじり」はぜひ減らしたいところ。絶対に知っておくべき乾燥法がありますよ~。

 これから暖かくなってくると偏乾燥が問題になります。口元や取っ手、尖った部分、表側、縁、なんてところがさっさと乾き、奥まったところ、底、芯、分厚い部分、はなかなか乾きません。こうなると歪みや割れの危険信号。


 これは大雑把に、土のきめが細かいほど、密なほど、保水量のでかい材料(粘土鉱物の微粉とか)が多いほど顕著です。可塑性の大きい粘っこい土なんかヤバイですよ。やたら乾燥収縮が大きかったりする土や、底がホガース線みたいな切れ方しやすい土だとテキメン。

 皿とか板っぽいもの、厚っこい塊状の部分があるもの、薄っぺら、高台とか底の部分が広い、あとは何にしろデカいものですね。こういったものが偏乾燥からの破損コンボを喰いやすいです。そのまま置いといて乾かして上手くいくならいいんですが、コンボ喰らっちゃった経験があるのなら危険なもの作るときに知っておくといいのが「蒸気乾燥」です。

 ほっとくだけ、たまにひっくり返すだけならみんな知ってるし思いつきます。テクニック、技術としての「乾燥法」は、この蒸気乾燥が基本だと思っていますし、これ知ってればたくさんです。

 とりあえず一番簡単なやり方。
タッパーをかぶせるだけ
で、あったかくしておく、日光OK!

 ある程度密閉されたなかで温度をかけて湿度をメチャ上げて乾燥させることを蒸気乾燥と言います。身から出た水分が行き場無くてどんどん湿度が上がります、でなんでだかよく知らないですけど表面だけ乾いたりせずに芯から表の皮までめちゃくちゃ均一に乾きます。ようは蒸してるわけですね。
 乾くというか製品中の水分量があっちもこっちも均一化していく感じ。だから表面はずっとちょっと湿気てるような感じになりますよ。

 水分が乾燥するには温度的なものと風に当たる二つがあるんですが、この場合は温度は上げるが風に当てないということですね。風に当たったとこだけ(つまり表ッ面だけ)乾いちゃうことを防いでいるわけです。
 いい加減色が変わってくればもうカバーを取っ払ってOKです。
 
 多分教室ではまた来週になっちゃうときに製作品をビニール袋かぶせたりコンテナの中に入れたりすると思いますが、乾かないようにしているだけじゃなくて、結果的に水分のいきわたり方が均一化する作用もあるはずです。

 

 かぶせたタッパーの底(つまり天井)に適度に細穴でもあけておけばそこから息が漏れるので、投げっぱなしでもきちんと蒸気圧が掛かりながら窯詰できるまで乾燥します。自分の場合、製品のサイズによってバケツかぶせたり一斗缶かぶせたり、塩ビ管やボイド管の片一方をラップでふさいだものをかぶせたりといろいろです。

 乾燥専用枠にするならバケツや缶は底を抜いてラップかビニール袋にしておくのが便利。びっちょびちょになったら取り替えたり穴をあけたりすると中のコントロールが容易ですので。バケツの底を抜く場合はきちんと奥さんの許可を取らないとうちみたいなことになりますよ!(どんなだ!)

 また、載せてる台がただの板だったりコンテナの中だったりすると作品の底がたまった汗でびちょぬれになっちゃうので、すのこの上に置くのが胆、ケイカル板や石膏板などなら直でも大丈夫かな。

 明日窯詰するけど乾燥が微妙なのがある?なんて時には、やばそうな奴を蒸気乾燥状態にして窯に入れて7~80℃にしっ放しにして一晩おけば自分の経験では焼いても大丈夫です。(度を越した真似をしなければ今日作って明日焼けます)それで割れた場合は乾燥原因じゃないですね。(と、ここまで書いてなんですが、この「乾燥一夜漬け作戦」、燃焼炉ではいろいろ無理だなあ)

 とにかくこの蒸気乾燥に関しては、例によって「福岡の鬼脚」ことイノウエセイジさんの動画で詳しく解説してくださってるので大変参考になりますよ!
出た、やきもの界のスティバール

 ここまでが、きちんとした正しい(よね?)乾燥テクニックの話。
 ここからは禁断の乾燥法。つまり焼成中についでに乾燥しちゃおうという方法。しかもそこまで長いあぶりの時間引っ張らずに。

 必要なものはサヤ、シャモット粉末、全然乾いてないブツ。の三つです。

 
朝作ったテストピース
上に乗ってるのは昨日の晩造ったやつ
偏乾燥してますな。

サヤの中にびっしり詰めたら
シャモットの粉末でうずめます。
ちなみに今回の場合、サヤも粉末もアルミナです。
追記・これはちっこいものなのでこうしてますが、あんまりビッシリ詰めるよりもある程度明けた隙間にきちんと粉末が回るようにすべきです。

埋めました。
出来る限り粉末層が厚いほうがいいです。

 まあ実を言えばこんなちっこいテストピースめった壊れやしないし、そもそも曲がろうが割れようが関係ないんですけどね(どうせならネタにしようと・・・)

 とにかく「粉末埋め焼」
 これはファインの世界では常識ですが、一般陶磁器ではたとえばボーンチャイナとか先に本焼きしてから低温の釉薬掛けるようなフニャチン素地(われら業界でいう【踊る素地】そりゃ焼きあがればカチンコチンですよ)の類ではそうしてるのもあるらしい、ってことしか聞いたことないんですよね。ムック本ではこれやってるの一冊しか見たことないです(「ろくろのいらない陶芸」おもしろい本ですが、正攻法の技術として取り扱われてるわけではない)

 この焼成法はいくつか利点があって、
 1、機械的圧力がパスカルチック(何とはなくね、造語ですよ)に掛かるので反ったりゆがんだりしずらい。
 2、蒸気圧が掛かるので水分や有機溶剤、解膠材やバインダーの蒸発、脱脂に関する面で有利(ただし昇温時間ペースは材料しだいの面はある)
 3、(輻射熱を直接喰らわないから)部分的な偏熱はしにくいのでそれが原因での反ったりゆがんだりがしにくい。
 4、窯出しするときに化石掘ってるみたいで楽しい
 5、カオリンとか酸化亜鉛の煆焼にも使えるかも(いま思いついて補筆)

 今回の場合は2、ボーンチャイナなどに関しては1と3が働いてるという感じ。ただし、今回みたいにまだヌレヌレヤワヤワな品焼くってのはまあ特殊ですよ。たまにはそっちのがいい場合があってわざとやりますけどね。

 本質的にはサヤ詰で焼成するのをもっと極端にしたパターン何じゃないかと思います。

 ムク棒ものや板ものなどには効果ありです。

 ただしデメリットも、
 1、メンドッチイ
 2、釉焼成つまり一般陶磁器の多くの場合の本焼きには使えない
 3、いろいろ道具がいる
 4、形状にもよるよなあ~
 5、素焼きでない場合、やたらキープ時間が掛かるもしくは温度帯を上げねばならぬ。

 
 なんていう特殊な事情は置いておくとしても乾燥工程は超重要な上に多くの方がわかっていながら技術的にやりあぐねている、しかも陶芸本読んでもかなりなおざりっていうのが実情のように感じます。本書く人(というか書いてることになってる人ね)は本職のやきもの屋なんだから絶対気をつけてやってるはずなんですよ、オリテク(オリジナルテクニックね)もいろいろあるだろうし。つまんなくないんだからきちんと紹介しろよ!

 また、自分では乾燥テクニックとしては多分二度としないとつもりなんで軽く紹介だけですが、
 「減圧乾燥」まあ乾燥容器の中の空気を掃除機で吸って減圧する方法。簡易デシケーターです。理屈は気圧が下がれば沸点が下がるの類(多分)。
 蓋付きの容器に吸い口をつける加工をするか、大きいポリ袋でくるんで掃除機で吸いまくります。容器はベッコベコにならないような丈夫なものを使ってね。
 これは石膏や原料スラリー、釉泥漿中の空気を抜いたりするのにも使えます。透明な容器でやってみるとわかりますが、結構空気の泡ボコボコ出ますよ。




 とりあえず
 1、可能な限り均一に
 2、可能な限り長い時間でゆっくりと
が、本手ではあります。よくテレビで見かける立派な窯元さんでも、なんか奥の方の薄っ暗いゲジゲジのいそうな感じのところに棚造ってサシ板並べてるじゃないですか?ようは湿気た日の当たらないところで、もっさり乾かすのがいいんです。削りや加飾のタイミングもゾーン広いし。

 そこらへんを、頭に入れて基本を押さえておけば新しい治具(乾燥用の治具も結構使います)やK.U.F.U.(工夫)もひらめくと思いますよ。工業的には一般的なテクニックでもあんまり陶芸本に出てたの見たことないなあ、ってのがあれば思いつき次第紹介したいと思います。

 あと乾燥をめんどくさくしたくなければ、放っとけばOKなものしか作んないし使わない。これに限るな。



 今回のテストピースやタイルみたいなホントの「平板」を乾燥させるときは平らなケイカル板や石膏板に挟んで三~四段重ねたミルフィーユにしています。
 
ILMも真っ青のCGで説明するとこんな感じ

 こうしておいてビニール袋でもかぶせておけば相当行けます。あんまり目方が掛かったりすると乾燥収縮できないで割れるパターンもあるのでその辺は適宜。多少大きくても同サイズの平面精度のいいものならシャモットなどの粉末を軽くふるってかけて重ねておけばトモザブ(トモツチの座布団)と同じ理屈なんで便利にできます。


 まあ今回は蒸気乾燥の話だったんで板って反るよね~のパターンはまたの機会にしたいと思います。大分長くなっちゃったし。


 恥ずかしがらずにバケツかぶせとけって話でした。これは全然「裏ワザ」ではありません!






2018年3月22日木曜日

多孔質カルシアるつぼ

 径35φのラボサイズ





 カルシアるつぼは、高温でアルミナ、シリカと激しく反応しますのでマグネシアの台板、最悪でもマグネシアのクリンカー(砂糖ぐらいの細粒がおすすめ)を敷き詰めた上に載せて使用してください。これは多孔質でも緻密質でも同じです。
 
「激しく反応って一体どうなっちゃうの?」て写真はないんですが、恐ろしくて撮影のために反応溶解させる実験なんかできませんので、現場写真は万が一事故った時までお待ちください(多分ないと思います)多少誇張はしてますが、カルシアのタグで過去記事をご覧頂けば私がどのぐらいカルシアPTSDになってるかわかるかもしれません(これまた誇張)


 
 

2018年3月19日月曜日

マイツール 注意点、自作品、代用品 闇ヤキモノ教習(仮

 やっぱり「男=いい年こいても子供っぽい=ボンクラ=ほのかにでもチュウニ」というのが当てはまる方が多いみたいですね。何はともあれマイマシンとかマイツールにぐっとくるようで、まして自作や改造となると出来はどうあれこりゃうれしいと。

 とはいえ、先日のマイツール案件については言っておかなくてはいけない注意点があるということに気が付きましてまずはそこから。

数人から大好評、中にはヤキモノ全然関係ない知り合いまで作りだしてますが、針入りシャープペンシル、
通称「ベルリンファイル」の注意点、

 縫い針は焼きが入ってるので必要以上に力が加わると折れます。(かといって焼き鈍ますとすぐひん曲がっちゃって仕事になんない)針先が土の中に残ったりすると大変に危険です。しっぴいた厚手の堅い板土を切るときに特に折りやすいです。

 特に教室など多くの方がいる場合にはマジで危ないですので、針が折れてしまったら韓国公安に見つかった北の工作員級の本気で探してください。
 
こんな

こんな
 

こんな

こんな連中に命令されたと思って捜せ!


 もしナタリーに刺さっちゃったらどうすんの?  ということです(冗談みたいになっちゃいましたけど本気です)
 

 1、あんまり細いのは使わない方がいいかも、作業に応じて針先の出し加減、力加減なども気をつけてください。
 シャープペンは各サイズいろいろ持ってますが、「ベルリンファイル」は0.5以上の太さでしか作ってないです。オレンズとかデルガードだと折れねえのかな?

 2、針は、100均のセットものじゃなくて、クローバーとかのメーカー品使いましょう。安全マージンというか、やっぱり強いし、値段だって安いもんです。まともな裁縫箱からガメてくればタダでしょ。

 3、本体は見栄はらないこと。やっぱり結構壊れるよ~ん。ゼロ芯みたいな先端チャックはよく壊れます。製図用タイプの口金パイプが出てるやつの安物がおすすめ。(ロットリングの2000円のやつは壊れないけど錆びました。見栄はって買ったのにこれ錆びるのかよ!みたいな怒りが)

 
 これを作った理由は、 
 1、市販のニードルツールは太いのばっか、細いのが欲しい(細いのがない理由は多分折れると危険!問題だよね)
 2、簡単に作れる。丸棒に穴開けて刺すよりも楽
 3、しかも超カッコイイ(ペンにもよるけど)
 最初はピンバイスのチャックに銜えさせてたんですけどね。

 真似して怪我しても責任取りません。なんてしゃらくさいこと言わないけど本当に気をつけて使ってくださいね。

 他にも代用アイテムとしては、
100均ピーラーとボールペン
ピーラーは削り、面取りや、硬くなった土をスライス
ボールペンは字や線を描くのに向いています
ってどっちもそもそもそういうものだけど

バリ取りと皿取
どっちも孔の端面取りに使える、皿取は口元孔精度を見栄えよく
ってそもそもそういうものだけど

板土をまっすぐ切るのに都合がいいです。
ってそもそもそういうものですが・・・

ラジオのアンテナばらせば細孔用ポンス。

お風呂のゴミ(毛だろ毛)掬いは、釉薬の上澄みのごみ取り、濃し網に
ミシュランのタイヤレバーはロクロ掃除にコテ代わりに、
昔っからこんなもんでタイヤ外せる奴の気が知れないロングセラー

あとは通称「ミョン社長」とか通称「マイティ・ソー」とかしゃもじとか、フォーク、スプーン、いろんなナイフとか、食器、文房具、工作工具、などなどなどなど、捨てる前に何か使えないか考えるだけでも楽しいので俺の工場はゴミ屋敷化するという・・・


 自作品はカキベラっていうのかな、前回紹介したものを、
1,4,5は竹刀切ったやつね
2と3はロクロツール

お好みサイズのゼムクリップを

ニッパーで切って

竹刀に穴空けて刺す!鎬にもちょうどいいですよ。

45度の45度にまっすぐ切るとデキル男に見えるぞ!(某工作女子談、重要情報)




 あ、そうそう。例のテストピース素焼き(850℃)終えたらこんな感じ
鉛筆書きが素焼き終了後の乾燥重量です。
長さは変化なしでした。