2018年11月29日木曜日

デュシャンの「泉」をヤキモノ屋目線でまじまじと眺める俺の家内の旦那、さえも

 上野でデュシャン、観てきました。
 デュシャン?、俺もデッレ・アルピでみたよ!ユベントスにいたときが一番カッコよかったよねえ~、ってそのネタはソクラテスか誰かでやりましたね。

今回写真撮れなかったんでこれで勘弁勘弁。
たしか18~9のころ近所のホームセンターの画材コーナーで買った洋書。
これを買って読んでる(見てるだけのくせに)俺カッケーな青臭さ。わかる?

イエーイ、レジにて半額!この時他のひとのもいろいろ買いました。俺カッケー

 名前も見た目もカッコいいし、作品も意味わかんない感じが当時まだまだ絶賛中二病の俺にどんぴしゃで、結果的に「腕の無さや何やら至らなさすら屁理屈で何とかしようとする」という悪い癖の付いた元凶(デュシャンがそういうやつだって意味ではないです)。あるいは、とか、しかも、といった接続詞のへんてこりんな使い方とかめちゃ「上っ面だけ」影響受けてます(笑)与えられたとせよ!とかね。いまだに中二病は完治していませんなあ。

 ちょうど20年ぐらい前に記憶不明瞭ながら多分ポンピドゥセンター(記憶不明瞭ながら多分おパリ)で見たことがあったはずなんですけど、そのときはまだ若気の至りで「ああ、こんな便器まじまじ見ちゃって、まさにデュシャンの思うツボ。ただの便器なのに・・・かわいそうなイエローモンキーねぇ」なんて透かしたパリジェンヌにこそこそ舐められるのではないか?という不毛な自意識が邪魔をしてロクスッポ見てなかったような気がします。あんまり記憶にありません。

 で、その便器、今回はまじまじ見てきました。もちろんヤキモノ屋目線で。
 どのぐらいまじまじと見たかってのは「ガラスケースにおでこをくっつけて係のお姉さんに注意される」レベル。ガラスにおでこの指紋?じゃねえやアブラを残してきてしまいました。お姉さんスマン。

 作品の年代が1917年と古いですし、この個体が実際いつのどこの製陶所製とか、どんなグレードの製品なのかも全然調べてないんでうっかりした事は言えません。(つまり、別に詳しくもなんともない、一切)
 でもデュシャンが使った(ションベンかけてはないでしょうが)以上、モノとしての形などなどなんかしらの理由から考えていくつかある便器から選んだんだと思います。

 配管との継ぎ目にあたる部分は無釉で素地がむき出しになっていて、磁器ではあろうが今の衛生陶器とは全然締りが違ってて、ちょっと粗さがあってまだサクそうな、というかポア(=気孔)が大分ある感じです。結構吸水率もあるんじゃないのかなあ?欠けてる上に古色がついてるせいでそう見えてるのかなあ?

 釉薬も今の便器の薄くて厚い感じ(わかりますか?)とにかくもうしっかり均一にカッチリした感じは一切なくて、垂れて厚いところ、薄くなったところはうんと薄いし、利いてないレベルの部分もありました。かなりあっさりしたもの。貫入も見えたり。
 「手作り便器です。釉yの掛りや給水性等個体差があり、それぞれ味として楽しんでください」っつったら買いますか?便器?
 ザラッと薄掛けになってるところや無施釉部分が黄色っぽくなってるように見えるのが、なんともヤナ感じなんですけど、これ便所で使ってたもの引っぺがしたわけじゃないだろうから、経年のものですよね。ヨカッタヨカッタ。

 まあ今回の記事、オチなんてものはないんですけどね。
今の便器スゲエ!最高!とだけは言えると思います(なんだこの流れ?)
 
 例えば便器のように、目立つ必要がないモノ(ほかにも理化学容器等)、また、むしろ目立たないようにする必要があるもの(たとえばレストラン等の食器は店の考え方次第でそうなりますよね)という陶磁器も世の中にはいっぱいあって、そこにも職人の努力や気持ちがどんな形であれ入っています。オリジナリティレスは無価値ではないし、あるいはアンビエントセラミックスとかいった名前すら今ははないですけど環境音楽のようなジャンルのヤキモノだってあるんですよね。タイルとか

 ああ、工業製品でしょ?なんて馬鹿にされがちな大量生産品でも狂いなく大量生産するための技術や設備、工程を確立する研究と努力と言ったら、「そこらの工房作家のやってる比ではない」と断言します。
 機能一点張りだったり、つまんない均一な顔の「レディメイド」な陶磁器にも手作り品に対すると同じ愛を持って手に取っていただけたらなあと、狭間に生きてるコウモリヤキモノ屋は思ったのでありました。
 
 テキトーに書いたけどアンビエントセラミックスってなんかいいね、ならば・・・

2018年11月28日水曜日

単結晶育成るつぼ 先端角は60° ジルコニア

 先端角60°の単結晶育成るつぼ
 



 タンマン管や単結晶育成用の細長系るつぼが今は、というか年中製作多め。
 こうやってずらりと並べるとなかなか絵面的にも気持ちよくて、個人的には好きです
 一番好きなのは窯開けた瞬間なんですけどね。
 ジャングルにある落っこちたら死ぬトラップみたいで。


なんとなく比較。
左からタンマン管、60°、細いタンマン管、90°、全部ジルコニアです
だからなんだって感じですが…

 今年もそろそろ12月、毎年毎年あっという間で、この感覚ヤバいっす。

2018年11月27日火曜日

スマホを落としただけなのに・・・

 手から滑り落として朝から成形体一個壊しちゃったよ

 ちなみに映画の方はまだ観てません。

2018年11月23日金曜日

第3回?Q&Aコーナー

 上から目線でおなじみの闇教習(仮シリーズですが、パチーノに言われて気づいたところ一か月もあいちゃったみたい・・・
 実は石膏の割り型の記事作ってたんですがうっかり消しちゃったんですよ。間違って!
「僕のレベル50の冒険の書が消えてる!!」の次ぐらいの大変なショックを受けてマジへこんでたんですよね。

 頑張ってリハビリ代わりにプチ質問を片付けます

 では、多分第三回のQ&Aコーナー!!

Q、鋳込みにチャレンジしてるんですが、泥漿が安定しません。コツはありますか?調合した釉薬もいまいち安定しません。
A、結構な大ネタでこれだけで本が書けそうな話です。いつか記事シリーズにしてもよさそうな内容になりそうですが、今回は大まかにしますね。
 まあぶっちゃけどこまで行ってもアルアルなんですよね。そもそも天然由来の成分が増えれば増えるほど避けきれないだろうし、こんなこと言うと原料屋さんに怒られそうだけどファインのキロ何万するような原料だってロットごとに違うってのも結構あるし多分しょうがない。例えば粒径の1ミクロンと2ミクロンなんて粉見ても触っても全然感じられないけど大きさ倍ですからね。そりゃ変わるわ、みたいな。

 安定ってのがどのぐらいの話(精度っていっていいのかね?)かは分かりませんが、とりあえずストレスなく鋳込み成形できるって程度でいいのならそんなにシビアではないはずです。
 
 原料の質云々は置いておくとして、自分の工程範囲でいうならば
1、秤量をきちんとすること、
2、作業工程の道具、手順は毎回揃えること
 を確定できればあとはそれ以外の自分ではいかんともしがたい要素であろう、と言えるんじゃない?

 いわゆる陶芸であれば、経験上そんなにするほどシビアじゃないはずとは思うんですが、
 原料、水量、薬品(解膠材ね)はカサで測らずに重量で測る方が誤差は圧倒的に少ないです。濡れてる原料は乾燥重量で(じつは俺は気にしてませんけど)

 また攪拌に使う道具、ミルの場合は時間も揃えなくてはいけませんね。
 
 また調合総量の違いは結構な理由になりえます
 チビチビ50g量った時のズレと5キロ10キロと量った時のズレの総量は大きく違いますよね。
 同じポットミルで1キロ入れたときと2キロ入れたときでもまるっきり変わります。
 乳鉢で磨った時とミキサー使った時では違って当たり前かも、という感覚は持っておいてください。

 また作ってから使うまでの期間、というのも特に注意を要する場合があります。これも揃えるといいと思います。長く置いておくとゲル化しやすくなったりします。これが水分が飛んでる(揮発して結果濃度が上がりすぎる)のか、解膠材がメッチャ回っちゃってる結果なのか、原料の一部が水和してるとかなんだか難しいことが起こってるせいなのかはよくわかりませんが、鋳込みアルアルなので要注意。かき混ぜてすぐってのもよくないことがありますよ。これは解膠材の周りの問題じゃないかな?なんだかめんどくさいねえ

 また気温は結構「状態の変化」に寄与している要因に感じます。使う(鋳込む)場合は湿度や風!にも関係してきます。風ってのは鋳込んでる水面(泥漿面?)に当たる風ね。

 なんてことを気にしながら何度も何度も繰り返すうちに、いつの間にか少々雑にやっても「滅多に事件は起こらない」し「早めに判断、対処できる」ようになってきます。なんでだかわかんないけど。
 これが経験か!

 要望があれば手順を踏まえて改めて「話の細かい鋳込みシリーズ」的な記事にしたいと思います。

 釉薬はね、「そんなもん作るたんびに毎回違っとるもんじゃ!」と豪快に笑うのも一つの手です。作務衣とヒゲモジャ推奨。



Q、危険な原料などを個別に教えていただけますか?
A、ベリリウム、トリウム、ウラニウムの酸化物なんかは頼まれても扱わないようにしています。
 
 と、言うのは冗談ですが、前にも「安全性シリーズ」中に書きましたので、何度か繰り返し読んでいただきたい。
 まあ確かにバカが書いた文章なんであれで言いたいことが伝わらなかったっていうのは私の文章力不足です。残念です。すみません。

 何の許可もなしに普通にその辺の材料屋で買える原料は、言い方次第ではありますが「適切に扱えば十分安全」なものしかないはずです(少なくとも今現在は、今後の知見で変わったりはあるでしょう)。酸化鉛なんか並べてないですよね?仮に買えても本職でない人に何の説明もなしに売ってくれないと思います。

 こういう言い方はしたくないんですが、例えば中毒云々言われるような鉛白にしろ、じゃあ樂釉の原料として売ってる鉛白をアンタはおしろいに使って一日座敷で踊るのか、それも毎日毎日何年も。ってことですよ。
 バケツに突っ込んだ手は作業後速やかに洗わないのか、素手がいやなら手袋する、それでもいやなら使わない、とか。
 鼻でも口でも吸っていい粉塵なんて毒性云々関係なしに少なくともヤキモノの原料にはそもそもないですよ。コカインとかなら気持ちいいのかもしれないけど原料じゃないし。
 
 珪肺が怖いのでシリカ=硅石は使いません。という態度の方がいたとして(多分いる)も俺にとっては全然アリですし100%納得できます。

 それと本当に心配だったら大事なのは俺なんかに聞くんじゃなくて原料屋さんとか薬局(知らんけど、多分)とかに聞くべきです。俺が専門家だと思って聞いてくれたのかもしれないし、それはありがたいんですが「超悩んでるのに相談相手がみのもんた」になりかねないですよ。
 しかも安全安全うるさそうに優等生的な話を書き連ねた俺個人は「フィルターの付いたタバコはちぎってから吸う」レベルの健康意識なので

 あとこういうのはやっぱりまず自分で調べて考えてみる、というのが絶対です。具合悪くするのは自分です。

 なんかおんなじことしか言ってないなあ



Q、サイズ比較にいつもヨーヨーとか独楽を使ってるのはなぜですか?
A、その辺に転がってるからです。ジャグリングとか曲芸の類が子供のころからめちゃ好きなんですよね。特に回転してるモノを操るおもちゃが大好きなんですよ。轆轤もその一環かも?
 辞めないだけで、だらだら息抜きに長年なんとなく続けてるだけだから、特技にしてる方や真面目に取り組んでる方からみれば「下手もいいとこ」なんでひとっつも自慢にはなんないんですが、一般人から見れば「なんでそんなことできんの!?頭おかしいんじゃない?」ぐらいのレベルにはあるかも?流行のトリックスタイルも少しづつは取り込んでますんでオールドスクールではないはず。なんでできるかはモチロンそれなりには練習したからです。
 長い間かかっても練習積めば「俺、いつの間にかこんなこともできるようになってたよ!」っていう感覚が快感なんですよね~。
 体の左右を均等に操る神経感覚も磨けるかもな~と思って遊んでます。


Q、ロクロでなかなか思ったようなものが作れません。早く上手くなる方法は?
A、そんなもんあったらおれが教えてほしいわ!そもそもお前まだ一年もやってねえだろ!できるようになるまでまだやってねえだけだよ!

 はっきり言ってロクロはスポーツです。運動に対して運動で対応してるわけ、とにかくその運動の構造と理屈を自分なりに咀嚼してコツと思われることを頭に入れつつ数やるしかないんですよ。
 
 自分の考える「運動」の上達のメカニズムですが、イコール、その時間をどれだけ細かく感じられるかってことです。慌てなくなってくる、予測が効くようになってくる、余裕持って対処できるようになってくる。対処の部分にまあ言ってしまえばコツをどれだけ知ってるかが効いてくるわけですね。で気が付けば体がどんどん(自分の能力の範囲で)正確に必要な動きができる(勝手にそうなる)ようになってくるわけです。同じ時間に対してできることが増えてくる。

 気にしたり考えたりしてやってるうちはまだまだで、そのうち考えなくてもできるようになってきます。

 自転車初めて乗った時のことを思い出してよ!
 右左とペダルを踏み込むタイミング、グラグラ揺れる車体に対して自分の体とハンドルにかける体重の傾き、多分ブレーキかけることすら必死に考えないとできなかったよね。オヤジはオヤジで「まだ持ってるよ~」とか言いつつとっくに手離してたりしやがってな。自転車の乗りかたなんてコツいくら教えてもらっても言葉面だけで乗れるようになるわけないじゃない!ってのは誰でも実感できるはず。掛かる時間が違うだけでそれと一緒だと思えば気楽なもんでしょ?


 もっとバカなたとえでいえばスゲエ難しいアクションゲームでも何度も繰り返して敵の動きをおぼえこむ、いろんなボタン操作を会得するにつれ余裕をもって勝てるようになりますよね。一緒です。

 理屈を教えてもらえれば出来るわけじゃない。絶対に慣れるまでの時間が必要で、そこにコツや理屈が加わることで「あ!今できた」が細かく体験できて次の余裕を生み、会得するまでの時間が大幅に短縮できるんじゃないかと。
 いい先生はコツをたくさん教えてくれるけど、目や手が慣れるまでの時間や教えてもらったコツを常に反映させるようになるまでの時間は個人差があって(それはセンスとか才能かも?)、しかもただ積み重ねるしかないと思います。

 しかも何か一つならできるようになってもまた違う形になったりすると、結構下の方のレベルからの積み上げ直しになったりするんだよね。これもしょうがない、その動きや相手の反応に対して余裕が発生するまでは回数と時間をこなすしかないです。

 でもこの仕事、そんな選ばれた人しかできないようなもんじゃないですよ。できるようになるまで誰でもやれるもんです。そりゃ何をどこまでできるようになりたいかにはよるだろけど。

 これはぜんぜん精神論じゃないですよ。



 ちなみにうちの親は大工なんですが、子供の頃、俺がのこぎりで何か切ってもそりゃ曲がったり傾いたりしちゃいますよね。なんで?って聞いたんですが、オヤジは、「まっすぐ切らねえからだよ」って教えてくれました。




Q, 切立てがなかなかまっすぐ立ちあがりません。
 A、もうお分かりですね。
  まっすぐ上げてねえからだよ

MOT's 今年度最後の展示会 NIES(国立環境研究所) 

 今「コンネンド」って変換したら「混ん粘土」とか「今年℃」なんてなりやがって否応なく自分の職業を実感しましたが…

 木曜日にコンネンド最後のMOT's技術展示会を国立環境研究所で無事開催してきました。
 今回私が主幹事だったんでいろいろ不手際等あったかと思いますが、直接文句言われなかったのでいい感じだったと思います。多分。

 この研究所はロゴがカッコいいんだよねえ
凝ってる!エレメント感ある!



真田丸のごとく幟で陣取りを主張

くつろぐもっつ君と働くもっつ君


なんか一番撮っちゃいけない時間帯に撮っちゃいけない角度で撮っちゃった気が…


 あとは忘年会やって来年度の日程を組めば今年は終了かな。
4月までの間にもよその自治体や団体のイベントに出張もしてるんですよ

2018年11月20日火曜日

アルミナのミニ単結晶るつぼ と武器

 ジルコニアばっかり続いてるんですがもちろん定番のアルミナも多孔も緻密もとちょこちょこ作ってます。


比較対象がないんですけど結構小さくて径で9㎜φです
純度は99.99%

これが二杯半分と結構ドッチャリあったりして


で、やっちまったヤツを利用して「武器」の予備を製?作


金属の刃物でこじったり削ったりすると汚れちゃったり負けちゃったり不純物付いたりしちゃう場合に使います。ちょっとしたポンスとかリーマー、面取りなんかにも便利。
必殺仕事人とか隠し剣鬼の爪的に使うつもりはあんまりないです。
先端に孔をあけて首筋にブッ刺したりできそうですけどね

2018年11月12日月曜日

引き続きジルコニア~、とちょっとしたお知らせ?

 なんかものすごい勢いでジルコニアってます。とか言いつつもアルミナもかなり…しかもムライトさんも同時進行で、午前、午後、夜、と材料ごとに分けて成型しないと間違えそう(笑 

 記事の水増しのために小出しにアップしますけど、今回はこれ




 見込み側の写った写真を撮り忘れるという不手際がありましたがるつぼです。
 ただの寸胴型よりきゃわいいかも。

 お知らせとしまして、わが鹿島アントラーズのACL初制覇を記念しまして、今週から22日までの間に出荷する製品に関してはいつもよりオマケ多めでお届けいたします。いつも予備分の内からオマケつけてるんですが、それが多めということですね。余剰分無しでギリギリしか取れなかった場合は、箸置きとかミニミニ一輪挿しの類がたとえいらなくてもおまけに付きます。
 注文や見積もりの価格が下がるセールではありません(笑
 これもまた、ジーコスピリット(意味不明



 
 

  




2018年11月7日水曜日

ジルコニアの耐摩耗性容器 とジルコニアのウンチク(純度の件とか、結構大事かも)

ジルコニア(酸化ジルコニウム=ZrO2)のお碗型容器です
 



 ジルコニアは耐摩耗性や機械的強度に優れてますから、化学的特性や耐熱性の関係ない利用をされることも多いです。これはボールミルのポット、ということで耐摩耗性容器。乳鉢と同じ存在意義を持つものです。
 うちはるつぼ屋耐火物屋なんで多分99%以上が熱間でなんらかの反応に耐えられるように作って、また使われるんですが・・・

 たまに純度について聞かれることがあるんですが、ジルコニアはこの話二つの観点から難しくてですね、

 じゃあ、先に知られて無いほうから、
 1・ジルコニアはハフニア(酸化ハフニウム=HfO2)と一緒に存在している。
  ジルコニア中に(割合はいろいろあるんでしょうが数%ぐらいみたい)ハフニアが混ざってます。あんまり詳しく解説する知識とスキルがないんでうっかりしたこと言いませんが、普通「製品」つまり試薬とかじゃないジルコニアセラミックスは「(含むハフニア)」です。そういうものです。それで地球はうまく回っています。

 では次、
 2・安定化剤を使わない純ジルコニア(含むハフニアですが…)単体では品物を作れない。作ったとしても使えない。これも詳しく説明しませんがジルコニアを求められる性能を有する製品にするためは安定化剤が必要です。
 安定化剤は多くの場合イットリアが使われてまして、ほかにもマグネシアやカルシア、スカンジア等幾種かありますが、それらが必要な場合は俺のこんな話読むまでもなく詳しい人がわざわざ指定してくるような場合ですので(特に緻密質)、「普通はイットリアが混ざっている」といってほぼほぼOKです。
 ジルコニアって言った場合「わざわざ分離させないハフニアが混ざっているうえに安定化剤としてイットリアが入っている状態がデフォ」
 と考えてください。というわけで純度がなるたけ高いジルコニアを!などと相談されることがたびたびあるんですが、その場合「ハフニア含むジルコニア+安定化剤」が純度となります。結果的にミルシートから計算される不純物=コンタミ側の量をこちらからは連絡することになるというわけです。うちの場合、原料も高いだけあって(失礼)優秀なジルコニア原料を使ってますのでほぼコンタミはPPMオーダーです。

 ご注文いただく際にYSZってわざわざ言ってくださる方も多くて大変助かりますが、だまってジルコニアっつってもYSZです(笑)

 YSZ=Yttria Stabilized Zirconia=イットリア安定化ジルコニア
 というわけ

 純粋なジルコニアの粉沫原料が欲しい場合、ちゃんと「未安定のジルコニアくださ~い」といわないと安定化剤の混ざったもんが届いちゃいます。

 安定化剤の量は知ってる限りでは3モル安定化とか8モル安定化、といった具合にモル比であらわされてまして、それぞれイットリアが3モル、8モル混ぜて安定化させておりますよ!という意味ですね、そしてその二種類のモル比が非常にといっていいほど一般的です。もちろん5モルでも6モルでも10モルでもあるっちゃありますし使ったこともありますけどね。

 理論的には何点何%分だったかで完全に手をつなぎ合って安定させられる(意訳)って比率があるんですが、そんな理想的に分子レベルで平均化なんてできるわけがないのでその比率以上に安定化剤を入れて=無駄分のイットリアが出るのを承知でジルコニア自体は完全に安定化状態にした(はずの)モノを「完全安定化ジルコニア」、そこまでやらんでも必要な分、場合によってはむしろ有利な(よりジルコニア単体に近い?)特性を得られる比率分だけ安定化剤を入れたものを「部分安定化ジルコニア」と一般的に呼んでいます。
 それぞれ特性に変化と特徴があり、この用途にはどっちが有利!ってのもあるんですが、どっちも大して変わんねえや、って場合も結構あるようです。

 ま、とりあえずこんなところかな?

 あと、一番わかりやすい特徴としては比重が6もありますから見た目で想像するより重い。多くの人が持った瞬間『おもっ!』って言いますね(笑

 どのぐらい「おもっ!」かは実物手に取ってもらう以外説明のしようがないんですが、 

 シャブシャブの泥漿にビー玉が浮きます!

2018年11月5日月曜日

タンマン管 ジルコニア



 ジルコニアの細ちっこいタンマン管
 なんだかんだ言ってタンマン管も結晶育成用途が多いみたいですね。


 って言ったらタンマン管はそもそも単結晶用じゃなかったっけかなあとのこと!!
 よく知らないんですけどタンマン式炉?ってのもあって、もともとそれ用なんじゃないかって聞いてて長い間そうとばかりに思ってたんですけど。
 タンマン管って言われた場合、教わってきた設計的にただの丸底と区別する場合もあって細かい話だよなあ~、しかし研究現場ではそこまであんまし区別してなかったり「丸くなってりゃオッケーっす」的な展開も多いし、場合に寄るのかもなあ~と長年タンマン管タンマン管言ってたくせに全然わかってなかった自分が恥ずかしいですよ。「お前タンマンカン言いたいだけちゃうんか!」みたいな。ゴロは最高ですからね!
 修行始めてすぐのころ(20年以上前ですよ)に、司馬遼太郎みたいな白髪の先輩先生に「俺もよくわかんねえけどこの形は昔っからそういってんだよねえ」と聞いてたのでまあそんなもんでいいかと。

 ここまで来たらタンマン管と丸底の設計の違いを説明するのは、直接お客様とやりとりする場合だけにしたほうがBUNAN(無難)。

 生き字引みたいなベテラン研究者の方の突っ込みと説明お待ちしています。






2018年11月2日金曜日

イットリア 酸化イットリウム Y2O3 るつぼ

 紹介するのは久々の登場かな?
 イットリア(酸化イットリウム)のるつぼです。純度は99.9%

 だからなんだという感じに普通のるつぼです。




 イットリアは伝統陶磁器では自分の知ってる限りでは全く使われてる形跡の無いセラミック素材の一つです。顔料のネタにも入ってるの見たことねえモンな・・・
 珍しい酸化物で発色や反応試してる方もたくさん居るので誰かしらやってみたはずですけど、とくに何か面白かったりする感じにはならないんでしょうね。どんなンなるのか気にはなるんですが、試すことないと思います(笑
 大した希少でもない希土類として有名ですが(誰にだよ)、それでも素材自体が相当高価ですからね。しかもかなり扱いづらい素材だし。