2018年11月7日水曜日

ジルコニアの耐摩耗性容器 とジルコニアのウンチク(純度の件とか、結構大事かも)

ジルコニア(酸化ジルコニウム=ZrO2)のお碗型容器です
 



 ジルコニアは耐摩耗性や機械的強度に優れてますから、化学的特性や耐熱性の関係ない利用をされることも多いです。これはボールミルのポット、ということで耐摩耗性容器。乳鉢と同じ存在意義を持つものです。
 うちはるつぼ屋耐火物屋なんで多分99%以上が熱間でなんらかの反応に耐えられるように作って、また使われるんですが・・・

 たまに純度について聞かれることがあるんですが、ジルコニアはこの話二つの観点から難しくてですね、

 じゃあ、先に知られて無いほうから、
 1・ジルコニアはハフニア(酸化ハフニウム=HfO2)と一緒に存在している。
  ジルコニア中に(割合はいろいろあるんでしょうが数%ぐらいみたい)ハフニアが混ざってます。あんまり詳しく解説する知識とスキルがないんでうっかりしたこと言いませんが、普通「製品」つまり試薬とかじゃないジルコニアセラミックスは「(含むハフニア)」です。そういうものです。それで地球はうまく回っています。

 では次、
 2・安定化剤を使わない純ジルコニア(含むハフニアですが…)単体では品物を作れない。作ったとしても使えない。これも詳しく説明しませんがジルコニアを求められる性能を有する製品にするためは安定化剤が必要です。
 安定化剤は多くの場合イットリアが使われてまして、ほかにもマグネシアやカルシア、スカンジア等幾種かありますが、それらが必要な場合は俺のこんな話読むまでもなく詳しい人がわざわざ指定してくるような場合ですので(特に緻密質)、「普通はイットリアが混ざっている」といってほぼほぼOKです。
 ジルコニアって言った場合「わざわざ分離させないハフニアが混ざっているうえに安定化剤としてイットリアが入っている状態がデフォ」
 と考えてください。というわけで純度がなるたけ高いジルコニアを!などと相談されることがたびたびあるんですが、その場合「ハフニア含むジルコニア+安定化剤」が純度となります。結果的にミルシートから計算される不純物=コンタミ側の量をこちらからは連絡することになるというわけです。うちの場合、原料も高いだけあって(失礼)優秀なジルコニア原料を使ってますのでほぼコンタミはPPMオーダーです。

 ご注文いただく際にYSZってわざわざ言ってくださる方も多くて大変助かりますが、だまってジルコニアっつってもYSZです(笑)

 YSZ=Yttria Stabilized Zirconia=イットリア安定化ジルコニア
 というわけ

 純粋なジルコニアの粉沫原料が欲しい場合、ちゃんと「未安定のジルコニアくださ~い」といわないと安定化剤の混ざったもんが届いちゃいます。

 安定化剤の量は知ってる限りでは3モル安定化とか8モル安定化、といった具合にモル比であらわされてまして、それぞれイットリアが3モル、8モル混ぜて安定化させておりますよ!という意味ですね、そしてその二種類のモル比が非常にといっていいほど一般的です。もちろん5モルでも6モルでも10モルでもあるっちゃありますし使ったこともありますけどね。

 理論的には何点何%分だったかで完全に手をつなぎ合って安定させられる(意訳)って比率があるんですが、そんな理想的に分子レベルで平均化なんてできるわけがないのでその比率以上に安定化剤を入れて=無駄分のイットリアが出るのを承知でジルコニア自体は完全に安定化状態にした(はずの)モノを「完全安定化ジルコニア」、そこまでやらんでも必要な分、場合によってはむしろ有利な(よりジルコニア単体に近い?)特性を得られる比率分だけ安定化剤を入れたものを「部分安定化ジルコニア」と一般的に呼んでいます。
 それぞれ特性に変化と特徴があり、この用途にはどっちが有利!ってのもあるんですが、どっちも大して変わんねえや、って場合も結構あるようです。

 ま、とりあえずこんなところかな?

 あと、一番わかりやすい特徴としては比重が6もありますから見た目で想像するより重い。多くの人が持った瞬間『おもっ!』って言いますね(笑

 どのぐらい「おもっ!」かは実物手に取ってもらう以外説明のしようがないんですが、 

 シャブシャブの泥漿にビー玉が浮きます!

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