2019年7月31日水曜日

レアアースのテストピース

 某レアアースのテストピース
 テストピースって言っても私が製作するにあたってデータを取るための試験片ではなくてお客様が試験するための試験片。
 モノクロで
 




2019年7月28日日曜日

釉薬試験の参考までに…夏休みの宿題

 はーい、皆さんプリント配りますからね~
 ちゃんと9月1日に持ってきてくださいね~

 ホントはエクセルファイルとかPDFを張り付けられれば良かったんですけど、先生藁半紙しか摺れなくてそのスキルがないから画面キャプチャーしたJpeg写真でごめんなさいね~。変な線とか見えてますけど気にしないでね~


 ハイ三角座標でーす。21分割ぐらいが大雑把過ぎず苦行すぎずでいいんじゃないでしょうか?
 なんとなく体裁整えましたが、好きに使ってくださいね。
 鱗模様よりこっちの方が見やすいと思うんですがどうでしょう?(性能は劣ると思う)
割り付けは自由にどうぞ~


基本的にはこうでしょうかね?



例えば整数比で、0がないってのはどう?
結構実践的に使えると思います。

 別に三種類全部同じ割合の必要はなく、Aは5~10、Bは1~6、Cは0.5~1とかにして使うこともできます。

四成分もおまけします。
 

 経験者の方はご存じかとおもいますが、これは使いこなしが難しくてキッチリカバーしきれないんですよね。たとえばAとC、のように、対角線のトイメンとの組み合わせっての太くできない等、いろいろ微妙な問題が発生しますから、四隅にどう割り付けるかを考えた方がいい場合がありますよ。
 これで大雑把に確認後、どれか一種類の配合比を固定して残り三成分を三角座標で割り付けるとわかりやすくなると思います。

 まあ単なる表なんでお気軽に使いまわしてみてください。




 つでに二成分も

 ええ、自分のために作りました(笑

 何かもっとうまくて美しいノートのつけ方!みたいなものを持ってる方は教えてください!教室だとどうなってるんでしょうか?

2019年7月24日水曜日

多孔質マグネシアるつぼ

 多孔質のマグネシアるつぼです。
 


 るつぼ、耐火物で一般に(なのかどうかわかりませんが、とりあえずルツボ屋には)「多孔質」といった場合はサイズや肉厚に合わせて粗いものから細かいものでバランスよく原料粉の割合を取った調合で作ります。コンクリートが、砂利(粗い)、砂(中粒)、セメント(微粉)の配合でできているイメージで考えてもらえるといいかな?と思います。粗目の多い、ともすると吸水度合いの多くなる陶器などもこの捉え方でいいんじゃないかな。


 緻密質は細か~い細かい微粉末のみで作ります(=粒と粒の接触点がけた違いに多い=熱喰らった時に焼結する活性が高くなる)、一般磁器(食器とかね)も緻密質で、やはりきめが細かいことも大きな理由ですが、アルミナ単味、やジルコニア単味といった高純度緻密質と違うのは、成分の違いによる反応(カオリンと長石と硅石等のアルミナシリカとそれらに入ってるカリ分やソーダ分の酸化物)を大きく利用している点ですかね。別な成分同士の化学的な反応による熔化の影響度合いが高いです(その点、もちろん陶器炻器でも一緒ですが)。
 
 

2019年7月23日火曜日

世間では夏休みが始まってしまった。

 今まで隠していましたが、自分には予知能力があるんですよ。ミュータントなのです、じつは。
 いや、犯罪防止局に勤めるほどの圧倒的な力はないんでこうやって野放しなんですが、いわゆる「プレコグ」ってやつなんです(ピンとこない方は『マイノリティリポート』参照)
 ですから、山川がホームラン打ちまくるのも、ジョコビッチがウィンブルドン勝つのも、参院選の結果がこうなのも、どっかの芸能事務所が逆襲喰らって下手撃つのも大体わかってました。現段階でマイヨジョーヌひいひい守ってるアラフィリップがこの後どうなっちゃうかもモチロン知ってるんですが、そんな身もフタもないネタバレしては申し訳ないので黙っておきます。

 今目の前ではだらだら寝っころがってマンガばっかり読んでるうちのボンクラ一号二号ですが、お盆も過ぎてから宿題でガタガタするってのが我が網膜の奥の奥には見えちゃってしょうがない。プレコグだから。
 
 まあそれはイニシエーションみたいなもんなんで回避できないわけですが、去年チョット覚え書きとして記事にしたのを今年は試してみたいと思います。
 去年の記事はこちら「来年の夏休みの自由研究。メモ書き」

 とりあえずやりたい実験がある方はそれをやっていただく(子供にやらせる)こととして。具体的な作戦のない方は以下参考にしてみてください。投げっぱなしになってしまっている例の重ね掛けに関しては、監督無しで子供にやらせるには管理部分が面倒複雑なので却下。比較的楽そうな奴を…

 1・ただ捨てるには忍びない量残ってる使ってない釉薬を複数用意してそれぞれ混ぜ合わせてみる。
 釉泥漿の重量比3:7~7:3までの刻みで、各釉泥漿をそれなりの濃度に調整しておくのは大人がやって置いた方がイイでしょうね。

 2・気に入って使っている釉薬の濃度を変えて各土で試験。オキニ釉薬の新たな側面を発掘だ!
 濃度濃度言いますけど、基本的にはどこまで素地に釉層を乗っけるかってこととほぼ同じなので(場合によりけりでもある)濃度を変えても厚みをばらつかせては元の木阿弥。
 試験片の素焼き温度、施釉時の手順(浸す秒数とか塗りかたとか)等全部統一させたうえで濃さだけを変えます。
 これは中学生以上じゃないと難しいかもな?

 3・透明釉を改めて確認。
 何種類でもいいので好きな材料を使って再検証だ!
 単に透明な釉薬、というだけではなくて重ね掛けの下釉としてや、粉引用、下絵付けようとしてのポテンシャルを書く煮つつ、という風に目的をいくつか決めておきましょう。
 呉須で引いた線が流れるか流れないか、化粧掛けの反応、光沢の度合い、お好きな硬めの白釉を上掛けした時の流れ方等等いっぺんに確認できるよう目的意識を持っておきましょう。
 時間さえ許せば酸化鉄、酸化銅等の金属酸化物、絵の具になってる顔料などなどお好みの呈色材料を加えてみても吉。
 
 この辺は本などに乗ってる調合例をメクラ撃ちで試す前に一回(いや定期的に)やっとくと絶対に楽しいし勘所がよくなります。
 
 いっそテストピースも作らせちまおうか!

 といったあたりで夏休み企画のイントロダクション終了!

 とはいうものの細かいのたくさん抱えてて今いち子供の相手してられない予感。

 




  

 

2019年7月18日木曜日

ソジとキジ あなたはどっち?といったどうでもいい話。

 ジャンル問わずに同業者でも地方やちょっとした流派?や会社ごとに同じモンに対する呼び名名称が違うことがありますよね。話してて「ん?」とか「ああ、ああ」とか「ほうほう」とか、擬音しか言ってねえじゃねえかって感じですがそんな感じ。
 ちょいちょい出くわしませんか?
 
 別に、灰使ってねえのは織部(天目)とは認めねえ!といった広義狭義の問題でもなく、ジルコン・ジルコニアとか釉薬掛けないのが素焼きってわけじゃないとか、そういった誤解や誤用をペダンティックに突っ込むってわけではありません。
 単に、いろんな言い方があるもんだなあ~と面白いねってだけのダバナシです。

  
 「素地」ってどう読んで(呼んで)ますか?
 ソジ?キジ? 
 自分はソジ、と言っちゃいますね。 
 個人的にはなんとな~く、
 ソジ=ファイン屋、新しめの人が使うことが多い
 キジ=伝統陶磁器、古株が使うことが多い
 ようなイメージがわずか~に、かすか~に、ぼ~んやりとあるような気もしますが、無いような気もします。 
 キジっていう方が難読っぽくてかっこいいなあと思ってるんですが…ソジって言っちゃうなあ~。
 ペン(楚辞)はケン(雉)より強し(なんのこっちゃ)


 次
 「粉引」
 コヒキ?コビキ?
 濁るか濁らないかだけなんでどっちがどうってこたあない話。濁った方が自然に発音しやすいような気もしますが、個人的にはコヒキって言ってますなあ。
 ちょっと気になってググったら「粉吹き、コフキ」って言い方もあるらしい。俺はいままで聞いたことねー、どこの地方なんだろう、面白い!
 コナヒキって言ってる人(非ヤキモノ専門人)も会ったことあるんですが、これは・・・。
 

 次、「化粧土」
 ケショウド?ケショウツチ?
 どっちでも問題ないんじゃないかと思います案件の第二弾
 個人的に重箱読みはダサく感じるタチなので、よっぽど定着(辞書に載ってるとかね)してない限り使ったり造語らないようにしてるんですが、なぜか俺自身は「ケショウツチ」って言っちゃってるんですよね。
 ケショウドよりケショウツチの方がピンときやすいと思ってるんですがまったくもって個人の感想です。

 ほかにも、トチとか、ツク(ツクボー)とか、サヤとか、いろんな産地や地方、製陶所ごとで変わりそう。
  
 そんなこんなで会社方言(造語です)的なのを興味深くてたまらないんですが、一番気になってるのは…

 「主に取っ手なんか作る時のこの作業」、これのことは何て呼んでますか? 
俺は「ヒッコキ」って呼んでますけどなんだそれ!感がぬぐえない。人前では使いません。
 ヒッぱってコクってこと?いろいろ思いついたんですが、このHPは「レーティング《G》(すべての年齢の方が安心して読めます)」ですので割愛!
 誰に教わったんだったっけな?思い出せねえ~。
 まじ技法名?わかんないです。英語では「Pullinng(ひっぱり?)」らしいけど

 ほかにも、内型(見込み側の型)にシッピいた(これもか?)板をかぶせて押し付ける方法(俺はカブセ)、棒状(ひも状)の土を手や板の上でコロコロさせる方法(すでに名称知らない)のこととか、俺のこの言い方のシェアどのぐらいだよ!誰かと話すときになんて言えばいいの?ってことは結構あります。

 地方によって違うのはまだしも、単にその人が個人的に間違って覚えてる(ベルイマンをベイルマン、デニーズをデズニー、月代をサヤカキ、いずれも実例)場合、もしくは、オジサン訛っちゃって大変(色鉛筆をエロインピツ、実例)なだけの場合もあってカオスることもかなりあったりして。

 まあ伝わってりゃあ仕事に支障ないのでね、いちいち訂正したり確認するのも失礼だし面倒だよなあ~なんて


 オシャクリ、ネジモミ、ハバリといった道具や技法の名称から、ウルむ、ヨレる、サチる、踊る、サクい、といった状態や現象に対してまで、別名、間違い含めると膨大な数になりそう。そりゃ打ち合わせしてても理屈っぽくなっちゃいますよね。意思疎通しくじるわけにいかないもんなあ。

 

 こっから先は予断極まりないですが、小さい子供の言い間違いの面白さは度を越えてまして、腹かかえちゃう。
 うちの場合でいうと
 森進一=森チンチン
 ブルース・スプリングスティーン=ブーステングテング
 ニルヴァーナ=ニーブラ
 スローモーション=相撲ローション
 達筆なしゃべり
 といったあたりしか覚えてないけど、なんでメモ取ってのこしておかなかったんだろう。
 小さいお子さんいる方は集めておくのオススメ!!


 これは? ハン・ソロ? リック・デッカード?
正解はデッカード「ブレラン2049」
 

 じゃあこれは? コマンドー?ターミネーター?どっち
正解はプレデター(のシュワ)


 


2019年7月17日水曜日

フランジ付のるつぼ 前回記事には謎があった!

 先日記事で製作工程の一部を紹介したるつぼです。
 材質はアルミナの多孔質。
 

 
 無事焼き上がって納品となりました。

 
 実は先日の記事中に謎が隠されてたんですよね。いや、実はこっちとしては軽く固形鋳込みの成形部分の流れを紹介しただけで、謎だのなんだのそんな見ていただいた方を試すようなフテェ了見は一切なかったんですが、「納得いかないというか、どうなってるのか不思議なところがあるんですが、どういうことでしょう」というご質問をいただきました。

 ファイン、伝統問わず本職のヤキモノ屋さんなら別に不思議じゃない、あるいは、アレ?と思っても「こうやってるんじゃないのー」と見当つくところ。質問くれた方は趣味でやってる方だそうで気になっちゃったみたいです。
  

 右から、成形直後、仕上げ後、焼成後です。
 
 どこがヘンテコかわかりますか?ー今回は気付きを試してます(笑
 一つは「焼成後に収縮していない」ということです。
 これは多孔質耐火物として単純にそう言う調合だから、ということで、簡単に言っちゃえば充填された粗いザラメの接触点を細かい超微粉でくっつけるような調合です。粗粒と粗粒が突っ張っちゃって焼いても収縮しません(厳密言えばほんのちょっとあります)
 気孔率を残して、耐熱衝撃性の良さや、割れの進行のしにくさを利点とした炉材、内貼り煉瓦の理屈の仲間ですね。

 気孔残りは別に焼き上がってないわけではなくて、焼き上げても気孔がたっぷり残るようにしてあります。ですから炉の内壁と同じように高温で使い続けてどんどこどんどこ焼結が進めば少しづつ少しづつ収縮していきます(もしくは先に割れる)
 微粉だけで作った緻密質(気孔が残らない、あるいはめちゃミクロ)は普通に収縮します。その代り耐熱衝撃、割れの進行の速さがマイナスに。この辺はザックリいえば陶器と磁器と一緒です。
 使ったことないんで無責任に勘で話しますがドウセンボウでしたっけ?あれにちょっとだけガイロメとか長石混ぜてモノ作って焼けば変形や収縮しないで焼成治具とか作れると思うんで試してみてもいいかもよ。

 
 もう一つ、わざわざメールくださった方はおひとりでしたが、気になった方どのぐらいいらっしゃるのか、とにかくそっちが面白案件。
 鋳込みなのに肉厚差がある!
 
 フランジ部分と胴回りのことです。
 底から鋳込んだ以上肉厚なフランジ部分が詰まる前に胴回りがふさがってしまう=フランジ部分に巣が入るのでは?
 という疑問でした。
 

 こういうことね。「○す」の部分が空洞になっちゃう。
 排泥ですと右側になるわけでこれなら見込み側にも段差が入りますが、このるつぼはそうではありません。
 
 ご指摘その通り!ただ作ることは無理です。
 今回の場合の答えを言うとフランジ部分だけ先にある程度流しておいただけ。そのために外型をフランジ部分で割っています。
 
                ほら。

 ほかにも解決方法はありますよ。
 何とか小細工して胴回りの着肉を遅らせる(フランジ部分と胴回りの石膏型の乾燥状態を変えたり)とか、型の設計を工夫してフランジ側から鋳込むようにするとか。鋳込みで作らないで成形方法自体を変えるとか(ほんとはこっちのが良い場合も多い)。
 今回のこれはベストではないかもしれないけど、使用条件からはこれで十分足りる、というわけでのチョイスでした。
 
 一般陶磁器ならカンナ掛けで形状を決めたり、別々に作って接着したりとかできそうですが、材質的にも使用条件的にもユニフォームで作る必要がありますね~、だったらこうかな。いったところ。

 鋳込みの面白さはココですよ。
 轆轤に代表される「手づかみ系可塑性成形(造語です)」のような、手先指先に感じる坏土の反発力の物理的触感の気持ちよさや、液体ターミネーターのようにうねうねと目の前で形状を変えてゆく視覚的な幸福感はないですけど、設計や作戦立案のハマり具合と離型するまでどうなってるかよくわかんないけどパカッと姿を現すときのヒーロー登場シーン的スカッと感(これをシュレーディンガーの皿といいます。ウソ)がたまんないんですよね~。

 我々既成スタイルの鋳込み人はそう外れたことを思いつかない脳みそになってますが、これから鋳込みをやってみようかなーという方には是非、あんまり凝り固まらずにその手があったか!な技をどんどん思いつくだけやってみるといいと思いますよ。ちゃんと離型する型とちゃんと固まって離型するスラリーさえあれば結構まだまだ未開発なはずですぜ!

 


 





 


 
 


2019年7月14日日曜日

細長ものを連続製作

 まあそんな感じで続きました

 先端角60°の単結晶育成夜ルツボ

 観てもわかんないけど材質違い

 タンマン管

 タンマン管るつぼ、単結晶育成るつぼは実験条件やご希望に合わせて材質、形状寸法カスタムメイドで製作いたします。お気軽にお問い合わせください。





一輪挿し。これは排泥鋳込みで作ってます。
 見た目は一個づつ変えてます。

 たとえば焼いたらこんな感じ

 本焼き前のも溜まってます

 この辺は、るつぼの型を流用してます。
 もちろんカスタムメイドもしますよ。

2019年7月11日木曜日

知っておくと、たぶんちょっとだけ便利な測り方

 

 先日打ち合わせ先でやってみたらチョイウケした測り方を紹介しまーす。
 どんなジャンルにせよ物を作ってる本職さんは知ってる(やってる、できる)ことが多いんですが、正直いろいろ恥ずかしいのでおおっぴらにしません。そんなことしないでいいようなところはやらないでいいので知りません。
 
 まあ自慢するような方法じゃないけど知ってるとちょっとした時に便利、しかもそこはかとなく微笑ましくてクスリとできますので、ご存じない方は覚えておいてください。
 その名も引き戸ノギス。

 先に説明しておくとノギスってのはこれです 
これはデジタル式です。

 単に挟み込んだクチバシの内法(ブツの外~外)を測るだけじゃなくて、内径、段差、穴深さ等々測れる優れものな上に、いろんなサイズや形状でそれぞれ特技があったりもするんですが、ここではノギスなんか持ってねえよ!あるいは、うちのノギスじゃ届かねえよ!なんてシチュエーションの為の方法ですのでノギス自体については端折ります。(JISもへったくれもないのでよければ十分仕事になるのが安く売ってるよ!個人の主観ですが女子がデジタルじゃないシルバーのノギス持ってると妙にかっこよく見えます)

 前置きが長くなっちゃいましたが、引き戸ノギス。
 グジグジ説明するより写真で紹介します。
これで襖の枠の内法を測ればOK!

 まさに百聞は一見にしかず!
 もちろんこんな皿なんかは上から定規当てればいいようなもんですが、

 
膨らんだ胴回り

取っ手込みの外寸

ウエストの横幅(俺です)


 といった直定規では測りにくいものも測れます!ふざけてるようにも見えますが、こんなボロ家のボロ襖じゃなくて、ガタピシ言わない立派な建具やサッシュなら0.5刻みレベルでキッチリ図れますから、自作の食器やなんかなら十分管理に使えますよ!
 サッシュの場合は当て木と置き台を作っておけばかなりの高性能ですよ!

 実はこの方法、「火火」という映画のラストへんで主演の田中裕子(信楽の陶芸家なんですよ)が窯出しした作品の採寸するために縁側の障子使って行っていました。人の少ない映画館で、劇中いろいろあったもんだから泣いてるお客も多かった中こらえきれずチョット笑いました。あーやっぱそれやるんだ。みたいな。隣でカミサンもクスクス笑ってましたよ。
 
 とりあえず、オススメ!
 え?みんな知ってるって?
敷居の上まで持ってこれないようなものならサシガネ二つでこう測ります


 

 



 

2019年7月9日火曜日

2019年7月5日金曜日

久しぶりの紫式部、と間違った教訓

 ここの所、闇ヤキモノ教習(仮の記事がアップできていませんが、まとめる時間がちょっととれてないせいで、ネタ湧いて出てきこそすれ枯れるなんてことありませんのでむしろ渋滞気味。重ね掛けもまとめて時間が取れないと試験自体出来ないのでちょいとお待ちいただきたい、といったところです。

 そんなわけで、一般陶磁器の注文を片付けた後の残りがあっちこっちに出しっぱなし、な状態でるつぼや耐火物をせっせと作ってるわけなんですが、午前中、なじみの営業マンが来られまして。
 彼に限らずたまにあるんですが、こんな感じ(写真はイメージです)になってるうちから数点買っていただく、という幸運なことになりました。
 ありがとう!E君! 御用聞きに顔出して自分が金払ってるって(笑

 でまあ支払いにこれがあったんですよ!!
藤原為時さんちの娘さん
 
 全然覚えてないけど10年以上ぶりなんじゃないかな?ちょっとびっくり。
 思わずこうやって写真撮っちゃいました!

 で午後、打ち合わせに来られた方が帰りしなに、今度は応接(兼汚れない系作業室)の隅のテーブルに置きっぱなしの小鉢を家族分(全揃いでなくてすみませんでした)ご購入。
 一日に二回、このパターンの売れ方したのは初めてです。マジ感謝!
 ちょっとした割れや欠けは無償で可能な限り補修しますので、お気軽に相談くださいね~なんて話もしたわけですが(うちの一般陶磁器は常にそうです)、家人もだれもおらずお釣りに困って午前中ゲットしたばかりの二千円札で。ほんの束の間の解膠邂逅でございました。



 めぐりあいて、みしやそれともわかぬまに

 くもがくれにし、よわのつきかな



 これって紫式部集とか新古今だと「夜半の月影」になってるんですよね。これ豆知識な!
 個人的には、先に百人一首で覚えたせいか「月影」より「月かな」のほうがなじみとしみじみがあって(韻ふんでみました)、歌としても良いと思うんですが、識者の方どうでしょう?


 今日は、応接に製品がおいてあると、かわいそうに思ってかもしれませんが興味を持って自腹で買ってくれる心の広い訪問客の方がいる!
 ちゅう教訓を得ました!(だらしないのがたまたま功を奏しただけじゃ!)
ぶちまけっぱなしでオッケー!!

2019年7月2日火曜日

多孔質のるつぼ 固形鋳込み成形



  現在作ってるのはこれです。
 固形鋳込みで作ってるんですが、その流れをザザッと…
 
 まず型と原料を整えます。
 きちんと身が締まってきちんと離型する泥漿と、見た目も実際も古くてそろそろ今回で終わりですがしっかりした石膏型をセット。
 身もフタもない上に、職人ぶって気取りやがってコノヤローなことを言いますと
 この段階までに仕事の80%は終わってる感じ。あとはほぼほぼ単なる手順です。

 鋳込みます。
形がちがますけど鋳込み中の動画

 思い通りに成形できる最少目の水分量で、が基本。
 石膏型の状態、作業に慣れたり重視するポイントがずれることによって多少の増減はありえます。

 型に水分が吸われて身が詰まっていくにしたがって目減りした分を継ぎ足します。
 この辺は排泥鋳込みと同じです。押し湯の嵩上げをするかどうかは製作物との都合によります。
 個人的には若干盛り上がり目に終えるのが通常。
 
 注ぎ終えたら次の手順「鋳込み口を整えて離型」までは型に入ったままの乾燥時間、といえる時間帯があります。
おい!ほかにすることあるだろう!

なにロック様のインスタに「いいね!」してんだよ!

 そんなこんなで適度に硬化したら
 削り整えて(右から左へ)

 離型します。
見込のヘリにバリが見えますね~

 外したらこんな感じ。
 型が古くなるとアバターが出て、割り線もバリ多めだったりします。
 使ってるうちに欠けたりもしますしね。これ以上痛むと仕上げやってらんないな~となる前に型を更新するパターン。
左っ側には縁の欠けたのもありますね~

  で第二回の乾燥工程。作業にちょうどいいタイミングで修正、仕上げ。
 ちょうどいいタイミングを作るための乾燥の仕方は、ちょいちょい紹介してる半密閉式が多いかな?アッセンブルするわけじゃないんであんまりシビアじゃないですが。

 右から、離形直後、仕上げ後、焼成後。

 とまあこんな感じで「固形鋳込みのるつぼ」の場合は製作しています(基本パターンです)
 固形鋳込みは排泥鋳込みと違って『成形体になる型内の空間をすべて坏土で埋め固める』成形方法です。
 ただ流し込んで固まるのを待つ場合もありますし、その時間短縮&よりよく充填するためにいろんなテク&KUFU(工夫)がありまして、今回の場合は振動を掛ける方式を採用しています。水分量が少なくてそのままでは流動性のない型の隅まで流れていかないような泥漿でも、振動を掛けることでチクソトロピーによるビロビロデロデロ化効果(なんと頭の悪そうな命名よ!)で流し込むという寸法です。成形体を強く固くできます
 ほかにも圧力鋳込み、自硬化性鋳込み等々ありまして当然それらの複合技もあります。

 ここでは耐火物を作ったわけですが、この鋳込み方法、ちょっと工夫すれば個人作家や教室、趣味レベルでも応用できる場合も多いんですよ、こっそり?やってる製陶所出身の作家の方とかも結構いるんじゃないかな?

 ポイントは、
 1:上手くいく型と材料を設計する 7割
 2:成形以降の手順とコツを確立する 3割
 の二点です。まあそんなんどんなもんどう作る時でも一緒なので何も言ってないに等しいですが

 ほんとうはこっそり忍び込ませたかった、型で作ってるからってやたらと産業的でポンスコポンスコ作れるわけでもないんだよ!ってことは内容と行間で伝えられませんでしたので、ダッサイ日本映画によくある「心情吐露の叫び」のシーンのようにここで文字にして言っておきます。あー、全部セリフで言っちゃったよ、みたいな(笑
 
 別に最近「型で作って焼いてるだけでしょ?」とか言われて気分が悪かった、ってこととかはないです。