アルミナの小さなるつぼ
前回のとどこが違うでしょうか?
前回掛けた呪いが功を奏して日本シリーズ泥沼化を喜んでるオジサンです。
最近趣味ヤキモノ好きの知り合いに立て続けに聞かれたのがタイトルになってます
「焼くと割れてる、焼き方がまずいんでしょうか?」
みたいな感じですね。
以下、あくまでも個人的知見に基づく私見である、且つ、市販されてるいわゆる陶芸用の坏土を使ってる場合、ということをひとまず強調しておきますが…、
どういう視点から見るかによりますが、時間軸からは2種類しかありません。
1:昇温時に割れる
2:降温時に割れる
世の中や物事を単純化するのも、単純化して分かった気になるのもなってる奴も大嫌いなのですが、ここでは細かい話はしません。一個一個想定できねーし、言ってらんねーわ
1は、なんかが揮発、あるいは分解するのに伴う応力で割れる
水分、有機物、コンタミ(ゴミ)といったところ
水分には自由水と結晶構造にある分、等あります。
自由水の蒸発起因がほとんどだと思います?
シッカリ乾燥させましょう。
温度的には昇温時200℃までで多分割れてます。計測温度で100℃過ぎても揮発しきれない分が身の中に残ってるってのは相当やばいです。多分これ。
本焼きで割れた!って場合、3:割れてたのに気がついてなかった。というのがものすご~~~く多いと思います。実はこれが一番多いんじゃないかな。どっかでぶつけたり捻ったりしてたんだろうけど、これはマジで相当多いですよ。
なにしろ気が付いてねえんだから気が付かねえよな!!で、そのことにも気が付きにくいんですよw
2の場合、ほとんどが冷め割れです。というか降温中の割れは全部冷め割れ?
十分マトリックスの熔化が進んで気孔のうんと減った焼造物(要は焼き締まった)は温度の不均衡にとても弱いです。
温度が下がって素地の硬化が十分進むと、もうセラミックスは脆性材料、部分部分での温度差=不均衡が起こると熱膨張の具合が同じ品のあそことこことで変わる、その差に構造上耐えられないと割れちゃいます。
急熱急冷はこれを引き起こします。
こういう普通の冷め割れ、はやはり発生する温度帯は低いです。これもほとんどは500度以下からって感じじゃないかな?というのが経験的な実感。
急熱急冷といっても、時間何度は早い遅いってのは、あるっちゃあるけど関係ないです。あくまでも温度勾配は焼造物に対しての相対的な問題です。仮にこんなんどう焼いたって割れやしねえよ!!なんてち~~っこいモノしか炉内に無ければ、猛スピード上げ下げしても壊れないです。炉が壊れるかもしれんからそこは気を付けてねw
でもって、ここで問題なのは、普通急昇温急冷却なんかしねえよ!!ってことですよね~。
だから普通に焼成してんのに冷め割れするってのは、多くの場合、焼造物の設計及び窯詰めの仕方の兼ね合いです
デカい、厚い、平たい、肉厚差が大きい、なんて場合は、ゆっくり上げ下げしましょう。
ここまで問題ないはずなのに、って場合、
1~3まですべてに当てはまり、かつ機械的な理由としては、ラミネーションしてたからってのもあると思います。
粘土鉱物を主材料にして可塑性成型をする場合、ラミネーションは避けがたい問題なんですが、
たまたま焼成に耐えられないレベルのラミネーションが起こってる部分があった、ってことですね。
ラミネーションというのは、割れるまで気が付ないことがほとんどなので知らなくても結構です。
別に知らなくても金取って作り方を教えてる人もたくさんいそうですし、すぐれた作品をドッサドサ作ってる人もいっぱいいると思います。
ヤキモノの専門学校や大学の陶芸科のようなところを出てる人は知ってるはず。少なくともウチの北の方(美大陶芸科院卒)は習ったそうですし、アメリカのどっかの州立大学の教科書にはみっちり説明されてました(確かアイオワw)。
非常にめんどくさい且つバリエーション豊富なムズイ問題なので、モットーを無視して死ぬほど簡単に言いますと
「層状の不均一」
のことです。
くり返しますが、どうせ破損するまで気が付きようもないことがほとんどです。先生が好きで好きででどうしてもお近づきになりたいとかでもない限り言葉自体は覚えてもあんまり意味ないんじゃないかな?
彼と私とラミネーション、みたいな
ロクロ成形の場合、80%以上のラミネーションは土練りの段階で起こってる
と私は想定しています。
よく練ろう!!さすれば1割ぐらいの焼成割れは防げよう!!
最後に言っておきますと、ヤキモノ屋にとって『窯の蓋を開けたらいくつか割れてた!!』なんてのは、ピッチャーやってりゃホームランも打たれる、程度の話です。