2018年1月24日水曜日

CMCの利口な溶き方を改めて確かめてみた.その1

 今回の記事は多分同業者の方にも、やきものを趣味としている方にもいくらかは為になるかもしれません。

 長くなってしまったので解説編と実際編に分けますね
 とりあえず時間のない人、小学生レベルの人のために結論から先に書いておくと
 CMCは熱いお湯で溶いて料理ミキサー掛けが最速!


発端となったある動画でのやり取り(あらすじは下の方)
 「CMCはお湯で溶くのがおすすめです」
 「お、初耳!じゃあミキサー使わなくていいんですか?」

CMCとはカルボキシメチルセルロース、あんまり長文になっても面倒なのでメチャ端折りますが、やきもの業界(ファイン、伝統ともに)では、ほぼ有機バインダー(接着剤)、そして増粘剤、解膠材(界面活性剤)としての機能も使われています。粉末状態で入手して、必要分水に溶かして必要な用途に使うものです。

 一般陶磁の場合、釉薬、絵の具に混ぜて使います。よくある用途順(多分)に、
 1、顔料、釉薬の付きがよくなって乾燥時焼成時の早い段階でポロっと剥げ落ちてしまうことが少なくなる。(バインダーとしての機能)
 2、素焼きに筆書きするときに滑り、伸びがよくなって吸いついて筆の水っ気全部吸われてすぐ終わり!にならなくなる(増粘剤、解膠材としての機能) 
 3、おそらく、種類によっては釉薬の懸濁状態がよくなる(解膠材としての機能。でも比流動性が落ちてるだけかも)

ただ自分の場合、釉薬に使うことは今はほとんどありません。
自分の場合の用途。
 1、非可塑性原料の加圧成形時のバインダー。
 2、成形後の補修、修正、加工、部品接着時のバインダー。

どちらも同じ原料をCMC水溶液で湿して成形加工するわけです

 ほとんどの場合、原料調合時に乾燥重量に対してCMC粉末何%、って感じで混練してからただの水で坏土を練り込むので問題はないんですが、どうしても先に水溶液を作らなくてはならない場合があります。実際常に多少の保管はあります。

 また、釉薬は基本的にすでにある程度出来上がってるもの(水溶き状態にあるもの)に水溶液を足して使用することになります。

 なぜならCMCをきっちり含んだ釉薬は腐ってオイニーツイキーになるうえに時間立つと効果も薄れるらしい(未検証)からでしょう。
 
 自分が釉薬に使ってない理由は、ほとんどの場合粘土物が多く入ってるのでぱっさぱさに乾く着きの悪い釉薬が少ないことと、入れてほったらかしの柿釉を使ったときにその晩ゾンビに襲われる夢を見たぐらい絶望的なにおいをかいでしまったからです(CMCのせいかどうかは確証なし)。本当はめんどくさがってるかも?

 とにかく使ったことのある人の99%以上(証拠はないけど確信あり)がおもっていることは、
 CMCめちゃ溶けにくい
 
ということだと思います。

 耐火物作るときのバインダーも他のもの(リグニン、その他高分子系材料)は水に溶いたものを原料にかけて練り込むんですが、CMCは原料と一緒に調合するってのはそのせいです。
 
 実際自分がどうやってCMCを溶いているかというと
 熱湯にぶち込んでコンクリートミキサーでかき回す、という方法です。少量の場合が多いのでペンルーター使用(ペラは自作)が多い。
 


ポイントはミキサーではなくて熱湯だと思ってました。だってかき回すんだからミキサーじゃん。乙なポイントは水じゃなくてお湯ってことじゃん!実際すぐに溶けてるじゃん!

でさきのやり取り。
 「ミキサー使わなくていいんですか?」
 この場合のミキサーは料理ミキサーだったんです。
 私は、彼が水で溶いてるからお湯だと速いぜ!ぐらいの気持ちだったんですが、それを聞いて「あれ?自分実際どうだっけな?」となりました。

 水に入れて料理ミキサーをかけると大体3分ぐらいでほぼほぼ溶き終えてるみたいで、よく考えたら自分のやり方と全然違うのではないか?自分のが速いような気がしてるだけなんじゃないのか?

 そこで今回改めて試してみることにしました。
 続く



~以下、前回までのあらすじ~

 先週あるヤキモノ関係の動画を発見しまして、これが一やきもの屋として甚くうなずける話の内容だったんですよね。技術的な部分も知識的な部分も取り巻く状況的なもの?もそうそうこれだよこれ!って感じ。その方は窯の専門家であって純粋なやきもの屋なだけでないせいか「ザ・陶芸!でござい!(俺のまず使わない言葉、芸じゃねえわい)」ではなく、もっとまっとうな幅広いしかも第三者的で冷静なしかし熱い視線で見ておられる方で、考え方もアプローチも理性的科学的検証的です。訓練校で学んでるので当然正当な技術・理論もあるし、俺のような現場オンリーとはわけが違いますな。語り口も俺好みで、年もほとんど同じぐらいじゃないかな?見た目は同級生のコンドー(給食のパンを机でカビさせてた・のち柔道部)が大人になったみたいな感じなんですけどね(誰だよそれ)

 で、仕事しながらその方の上げている動画を連チャンして聞いてたら同じ自転車趣味ということもあり、だんだんコーフンしてきたんですよね。だって話面白いんだもん。そこら辺の粘土細工見せてるだけの動画とは本質的な意味でデュラエースとソラぐらい違います(ソラに失礼なたとえ)、で、俺は生まれて初めてコメント付けるなんてことまでしちゃって。
 
 その方があげたある動画で「CMCを実際溶かしている回」がありまして、調子に乗った俺は超気楽な気持ちでコメントしてしまったのです・・・



 

2 件のコメント:

  1. こんな方法はいかがでしょう?
    https://youtu.be/JVnHHLkq-zI

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    1.  ありがとうございます。
       昔から実験室用のホモジナイザーにはメッシュの羽を振り回すタイプってのはあるんですが、まあそれの応用版逆檻の原理?という感じですかね。裏ごししつつ見たいな感じで頭いいっすね。

       とはいえ個人や小規模のヤキモノ屋がCMC溶かし付ける量ってのはたかが知れてるし、毎日毎日それが仕事ってことは無い(と思う)ので、段取り八分でみんなやってると思います。
       急にCMC溶かすなんてすでに釉掛け失敗ですよ。多分(笑

       今度やってみよう

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