2018年9月28日金曜日

焼結についてはどう説明していますか?難しくね?問題 闇ヤキモノ教習(仮

「お、これは陶磁器断面の組織をわかりやすく単純化した図にしようと思ったはいいけど底抜けに残念なできになったものじゃね?」と思ったあなた!すでに後戻りできないほどヤキモノ人。

 ちなみにこれは走査電子顕微鏡(SEM)による観察写真

 うちで作った、微粉のみを使った焼結体の断面図です。
 黒いところが気孔だってこと以外はよくわかりずらいですけどこんな感じ。手元にこんな写真しかないんで今回のテーマに沿って話しにくいから上のショーもない図を描いたんですが。
 もっといろいろナノオーダーの鮮明な写真とか見てみたい方は「セラミック 断面 SEM 観察」なんて感じでググればいろいろ見られると思います(英語検索のがすごいかも?多分)。


 今回のテーマは、通常知らなくても特に困らないことの方が多いけど、場合や立場によっては語らざるを得ない場合があって、よく考えると案外厄介な話。自分なりに理解の度合いを増しておけば作陶するうえでも手が増えるかもしれないし、そうでもないかもしれない話。

 「焼結」をどう説明するか?

 簡単でもあり、度を越して難しい話でもありますよね?よね?
教室の先生方はどうやって理解、説明してますか?すごく知りたい!

 「焼成」ではないですよ「焼結」です。
 焼成は作業としての行為、工程=加熱処理であってセメントでも樹脂などでも、もっと言っちゃえばパンでもピザでもシシカバブーでも多分焼成。
 焼結は我々がいじくってるいわゆるヤキモノに限れば(粉末冶金とかもあるけど)そんときブツの中で起こってるらしいカチカチ固まる現象
 
 これ、何がどうなってんの?どっからなに?じゃああれは?というわけで、バカなりにがんばって記してみたいと思いますが、焼結とはこういうことじゃ!とか言って先生目線で「おしえてしんぜよう!」などという大それたことでは全くありませんよ!

 なにしろ、このHP(ホームページです!)の場合は、ご覧いただくかたの何割かが同業者とかマジもんのセラミックスの研究者だったりして、そこで上から目線で程度の低いウソ説明なんかしちゃった日にはHP(ヒットポイント)なんか一瞬でゼロですよ。
 ただのヤキモノ好きのオジサンかと思ったらガッツリ専門家!うっかり列車ジャックしたらたまたま食堂車のコックの一人が元特殊部隊だったってだけでも大惨事なのに、うちの場合そこのコックに100%セガールいますからね。元とか退役じゃなくて現役のCIAとかシールズですよ。しかも複数。幸運にも今まで怒られたり殺されたりしたことなんかないですけど、エラソーながらも逃げ道の多い肝心なところにモザイクかかったような文章が多いってのはソーユートコがあるんですよ。
 

 とにかく!教えるなんてよりむしろ逆!俺こそもっとよく知りたい!
 こういう理解の仕方でほぼほぼ(約30%の方が使用する用語だそうです。俺も多用してます)間違ってないつもりでいいんじゃないのか?みなさんもう少しいい表現ありますか?え、やっぱそっち?等々、人に話さないといけない、自分でもうちっと知っといたほうがいい場合に備えて、自分の頭を多少は整理しようとする脳内活動を臆面もなく露呈しようと思ってるだけです。それも専門家、作陶趣味の方々の助けも求めつつ。
 こういう説明でいいですよね?いいですか?って感じ

ウソつけ!!お前殺人マシンだろ!!テロリストが気の毒だよ!

 では、学校と監獄の区別がいまだにつかない俺の脳みそでは「焼結」をどういうイメージでとらえているかですが、先に辞書的なものにあたって確認してみましょう。

 この言葉、純粋な国語辞典には載っていません。当たり前ですがこれは技術用語ってことですな。ウチにあるなかで唯一記載があったのは百科項目で項目数増やしてるだけじゃね?と常々思っている上に手がくたびれる『広辞苑』のみ。さすが天下の『広辞苑』焼結の項目がある上に、手に取れば手に取るほど腕力も鍛えられる!一石二鳥だ!

 広辞苑(第五版)の語釈
 「焼結」(Sintering)粉末を加圧成形し融点以下の温度で熱処理した場合、紛体粒子の間に結合が生じて成型した形で固まる現象。窯業製品・セラミックスなどの主な製法。

 まあ岩波系らしいすっきり最短語釈で、「まあ大雑把にそういうことだろうよ!」って感じですがイメージ喚起力に乏しいですな。まあ述語の解説なんてそんなもの。しょうがない。責められない。

 と簡単な前フリの後はセラミックス用語辞典。もう書き写すのがめんどいんで写真で勘弁!!
  
さすが専門用語辞典!こっちの方が現象を説明してるうえに危なっかしい無駄がない気がするよ!(加圧成形云々とかね)
 わかる人にはこれでいいんじゃないかって気がしてきましたが、人様に説明する時に突っ込まれたらどうしますかってところが今回のテーマでもあり、行間語間(俺の造語)ニュアンスやイメージをどこまで実感(したつもりでOK!)して理解(というのもおこがましいレベルですが)をできるかってことを言ってしまえば高めたいわけです。

 昔のテレビの洋画劇場で荻昌弘や淀川長治がそうしてくれたように、心に沁みる言葉でテーマやシーンの意味を教えあったり感じたりしたい!
 ひどい目にあったダニエルが悔しがって壁を叩く!その壁の向こうの暗い部屋にはミヤギさん。彼の堅く閉ざした心のドアをもノックしてるわけなんですよ!みたいな。ちがうか。
 
 無駄話はさておき、この解説からすると、もともとツブツブだった原料鉱物が熱処理されることによりくっつきあっていく現象を広く「焼結」と結局呼んでいる。ということがわかります(ものすごく意訳)
 液相あるなしは関係なく、固相だけでもいいわけで、そうなるとあるピンポイントで定義をもつある厳密な反応だけが焼結ってわけじゃなさそう。
 
 構成上一旦ぐっと話は飛びますが固相焼結と液相焼結があるってのはそういうことですね。
 それぞれの解説ページ。

上二つの項目も読んでください。


 だんだんすっきりして理解が深まってきたような気がしますよ。あくまでも気だけかもしれないけど。

 固相焼結は高純度の単一素材による焼成体の場合がほとんどで、高純度のファインセラミックスの場合に限るのかな?ってイメージになりますが、通常PPMオーダーだったりどんだけ少なくても不純物はあり、難焼結性原料だと液相促進のためにほんのわずか焼結助剤を使うことも多いので、相当化学結合力が強い素材でも全き固相焼結のみのものはかなり少ないかも知れないですね。ただし(厳密には分かりませんが)液相を生成してるとも思えない低温度でも結合強度はともかく間違いなく固くくっ付いてるわけで、たとえば釉薬層なんかもカリカリになりますから素焼きは固相焼結体といえるかもしれません。 


元に戻って、これが固相焼結の図だとします。緑の球が骨材。接触してる黒縁の部分が引っ付いて固相焼結。白い部分は空隙と理解できそう。もっとガンガン温度を上げることによってよりググッと密に接触し合って空隙は減って体積も減る(焼成収縮)


 素焼きどまりでない一般陶磁器の場合は、磁器だろうが陶器だろうがほぼほぼ(以下略)液相焼結の程度の問題と考えていいと思います。 


 この図では空隙部分を無視しちゃってますが、接触面で原料同士の反応により液相(赤い部分)が生じ、なおかつ液相と個相(骨材)との間の層=黒縁部分では、液相が固相に対してもある程度の溶解度をもって結合しているのが理想かと。で結合強度はガン上がり(の場合が多い。パキンと割れやすくなる場合もあり)
 おそらく液相は始めは粒と粒の接触点のほんの小さな一滴一滴バラバラで、それが表面張力で粒同士を互いに寄せつけ合い引っ付きあいつつ反応でさらに成長し、その程度、気孔空隙の減り加減で素地が陶器質~磁器質へと変わる。こんな認識でいかがでしょう?

 固相のまま残る分、つまり組織の素体を成す粒子が骨材(図の緑や青の丸)。それらを結びつける液相になった部分を基質(図の赤い塗り)といいますが、基質は言葉としてパッとわかりずらいので「マトリックス」とか「ボンド部」という表現が本職では多いと思います。どっちでもかっこいいと思う方を使ってみてください。
 自分はマトリックス、と呼んでいますが、「ボンド部」ってのもMのデスクの前にショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで勢ぞろいしてそうでメチャンコ豪華ですな!!
ボンド部のSEM写真(ウソ

 突然アンケート。あなたにとってボンドといえは誰ですか?
 オレはロジャー・ムーア世代です。好きなのはダニエルクレイグかピアースブロスナンで迷う。。一番好きな作品は「スカイフォール」二番目が「女王陛下の007」です。もう今コネリーの007見ても妙なハリボテ感とかボンド隙だらけじゃねえかとかでかったるいんだよね~。

 全裸に腰タオル一枚で美女になまめかしくヒゲを剃ってもらったらもとに話を戻しますよ!

 焼き上がって冷却後のマトリックスはそのままガラス(アモルファス)層になるか、再結晶化するかのどっちかのあるいは混ざり合ったパターンになると思うんですが、これはシリカがどれだけ多いのかとか塩基性材料が多いか少ないかとかいろいろありそうですが、一般陶磁器の場合はまずガラス質がマトリックスを形成して粒子間を結合していると考えられるんじゃないでしょうか?

 度を越した「焼成」、つまり「焼結」のレベルをうんと超えて加熱した場合、炉の能力が届くのであれば「溶融」が起こります。融点に届いちゃった場合ですね。
 焼結の程度が段階的なものであるように、溶融も多くの場合段階的なもので、ここからは急に溶融!みたいなポイントはないんじゃないでしょうか。しいて言えば間違って温度上げ過ぎてへたり切って冷え固まったスライムみたいに、はたまたカルメ焼き状にしてしまった経験ある方もおられるかと思いますが、ああなればもう溶解といっても差し支えないのかもしれないですね。

 また釉薬に関してですが、あれは露出した液相なのか、溶融物なのか、実は液相も溶融物も実はおんなじなのかとかの考察は、もう疲れたので終わりにします。

 例によって余計な話に無駄に体力を削られちゃいました。
とりあえず、玄人や生徒さんなどにはともかく、大した興味もないくせに面白半分に茶化してくるオッサンオバハンには
「テレビの上に置きっぱなしのサクマドロップが中で飴同士全部くっついちゃったような感じですよ」
 と答えてお茶を濁しましょう!

 わかったようでわかってないのか?これで十分なのか?何かが決定的に足りなかったり間違ってたりするのか?さっぱりまとまらなかった気がしますが、何かの足しになれば幸いですよ。

 これにて沈黙します。セガールにかかってるし




 

 
 
 

2018年9月21日金曜日

何だろうこれは

何かはナイショなんですがアルミナの多孔質です
特に精密でもない作業用です。




 彼岸花ってホントにお彼岸にちゃんと咲くのが偉いよね。
 まあ日照時間なんだろうけどさあ。
 法律でお彼岸は一月と六月ですって決めたらその通りに咲くんじゃないの?
 

 一人暮らしを始めてから映画にはまったという某研究室の大学生(見どころのある男)からルツボの相談ついでに、お勧め「○○マン映画」を発表してくださいと頼まれごと
 
 
 スーパーマンシリーズ(クリストファーリーブ主演のやつ)
 アイアンマンシリーズ
 スパイダーマンシリーズ(全部それぞれいい!)
 アントマン1&2
 ワンダーウーマン
 X-メンシリーズ(もう何が何やらですが)

 イップマンシリーズ(ドニーイェンの)
 マッチスティックメン
 バクマン
 デモリッションマン
 バードマン
 セールスマン 
 レインマン
 夕陽のガンマン(続も)
 ありがとうトニエルドマン 
 セントオブウーマン

 
 パッと思いついたのはこの辺です







2018年9月19日水曜日

MOT's 技術展示会 NIMS並木地区

NIMS(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)にてモッツの展示会を行いました。
ご来場頂いたNIMS職員の皆様、ありがとうございました。 

天気よかった~



みなさん準備中

NIMSのいろいろなパンフレット、難解すぎる!

三王さんのブース、ケーキもいいけど計器もタマランっすな

SJN荒井さん鯉釣り名人が持ってきたいろいろな熱電対とかセンサー

東京測器さんの良くわかんないけどめちゃカッコいい器械

会場は最近建てた建物なのでしゃれてました。






2018年9月15日土曜日

今週の焼き上がり





 変な記事がトップにあると何かと齟齬の元なので製品写真をもってきました(笑

投げっぱなし?の企画ネタシリーズ、どうなってるの?


 久しぶりにパチーノから連絡があったんですが、「お前のHPのやきものシリーズって続きどうなってんの?早くやれよ。あと他にもなんか考えろよ」という叱咤激励だったんですよね。
 なんだんかんだヤキモノ創るのにはまっちゃったみたいでね。話しぶりも妙に玄人ぶった感じになってんですよね。こっちとしちゃあいろんな意味で「ヤレヤレ、困ったもんだ」なんですけど~。
 鋳込みなんかにも多少興味出てきたみたいで鋳込みシリーズの記事を繰り返し読んでもらってるみたいです。

 停滞してる理由は、その時手がけてる仕事の内容や都合に合わせて書いてる、忙しかったり気分がノッテないとわざわざ記事にしないってだけです。やること多いとできないですしね。
 もう2ヶ月ぐらい一般陶磁器つくってないんで記事が増えないって感じです。暑かったしね。何しろ窯も時間もまとまってあかないんで手が回ってません。

こいつらもう二か月以上置きっぱなしですよ。


 また基本的にこのHP(ブログじゃないと言い張ります)は、うちの製品や仕事、つまりルツボとか耐火物の宣伝用ですから、大した人数に読まれてる訳でも無いとはいえ、駄文を書けば書くほど俺の頭の程度が知れてくるわけで、バカがばれるのは大変にリスキーなんですよ。
 

・リーチ式の蹴轆轤製作シリーズ
  これは優先順位は最下位です。庭の隅にシートかぶってます。手を付けるとしたらお正月かな?

・鋳込みシリーズ
・石膏型シリーズ
これら二つは、とりあえず一通りやったつもりではあるので、最後の記事の予告がどうなってたかは別として今後の記事は突発的になります。「面白割り型編」とか「カリ石鹸の逆襲」とかやりたいことはいっぱいあるんですけど



・安全性シリーズ
 これは始まったばっかりですが大事なのでちょいちょい気になればネタ切れ解消的に差し込みたいと思っています。
 

 あと言い訳すると、わたしは風呂敷を広げてはまとめられないってのを繰り返す「JJエイブラムス症候群」という難病に罹患しているので、皆さんの最大限の優しさをもって接していただけたらと思います。
 
 面白そう!と思ってることは結構あるんですけどね。

 以下は、ネタやタイトルを単にダジャレ的に思いついたものの自分でやる気には到底慣れない企画ものなどなど。
 どなたかやる気のある方はがんばって始めてください。微力ながら協力します。

・ヤキモノセラミックなんでも用語辞典 『陶器語林』
・ちょっとお役立ち系PDFのフリーペーパー?『月刊?-DO:ZINE(土人)』
・おすすめ釉薬データベース『釉釉白書』
 変なの試したらこうなった系でもいいかもね。
・先生方は何度も目にしたはずの、ロクロ初めてやった時に出来上がる奇跡の造形物の展示会『ファンタ~スティック・フォォォォ!!』
・ヤキモノ人がおぼえとくと世界が広がる工作教室(道具や治具作ったり系)
・作陶活動中の怪我や事故を報告して啓蒙する活動。流血写真とか骨折のレントゲンとかあると迫力あってイイね。
・買ってくれた、使ってくれた方からクレーム頂いたり、出来たと思ったらパッと見わからない何か重大な欠陥があった!なんて事態を報告してやはり啓蒙する「陶タル・リコール」
・まだまだ「スピニング・陶・ホールド」とかウンコダジャレを思いついただけで内容不明なものはたくさんあります


2018年9月14日金曜日

アルミナ蓋付き

 ちょっと細長気味。石英管に入れるのかな?といった感じ。
 多孔質に溺れてる!といった端から高純度の緻密質のモノです




 写真は同じもんを三枚並べるという水増し仕様
 

2018年9月11日火曜日

おもにアルミナ多孔質製作中!!


この辺は調合ほぼ一緒ですが、違うのも作ってんだよね~


 お盆からこっち、おかげさまで組み立て式の石膏型を相当数作る必要のある製作が立て続けになっています。
 自分は気持ちの切り替えが瞬時にできない上に、アタマのキャパシティまで著しく低い(容量1メガ弱)ため、基本的に、なるたけ別原料や別工程の完全同時進行をしない段取りでやってるんですが、もう二週間以上、石膏型製作+複数材料での製品の製作をやらざるを得ない、プラス畑も庭も草ボーボーなんでたまに夕方草刈りとかまでいっしょくたになっていて、「性能低いマン」としては立派な会社に勤めてるような気になってます。もちろん年に何回かはあるんですが、こんなに長く続くのはなかなかないんですよね。
 
 昨日、上の子が体育祭の振り替え休日だったってこともあり、観よう観ようと思って観れてなかった『アントマン&ワスプ』に逃げるように駆け込んでしまいました。アメコミヒーローものにしては珍しく身の丈のこじんまりとした問題解決のために戦うヒーローの姿を見て、すっかり気持ちもリフレッシュしてノリノリですよ!対サノス戦にどう絡むのか本当に楽しみ。
 なんか世の中災害続きでいやな気分になってましたが、少しの我慢とたゆまぬ工夫と未来を見る心で乗り切りましょうって感じ。
 でも「建物も車も手で運べるってことは、デッカクなったりチッサクなったら目方も変わるわけ?じゃあなんで小さい時のパンチで敵吹っ飛んでんの?」という中学生の素朴な疑問を「こまけえこというな!」と華麗にスルーした俺は、若いころあんなに嫌ってた「なあなあでアバウトな大人」になっちまったのかもしれねーな~。



 モチ、製作は今日も順調に進んでいます。

NIMS展示会の横断幕

設置してきました



2018年9月5日水曜日

ジルコニアるつぼと、ワイルド温調機

 仕事は今アルミナの多孔質を作りに作ってます。控えに控えてます。
 組み立てモノやセットもの多数で似た形状も多く頭がごっちゃになりそう。

 焼き上がりからはジルコニアのるつぼ 

特にネタはありません。


 
 
 死ぬほど古い面白機械を一つ。
室温が240℃、さすが猛暑!!

むかーし壊れてるのもらってきたんでこの有様ですけど(捨てるのはしてないけど)、これに熱電対とヒーターをつなぐだけで、もう昇温できちゃう代物です。100Vの家庭用電源でOK。見た通り1200まで、ちいこい窯しか無理ですけどね。

 使い方はめちゃ簡単で、青い針をラジオみたいに動かしてセット、赤い針=測定温度が青い針に追いつくまで電気が通ってヒートアップ、あとは実温が青い針の指示温度から下がればON追い越せばOFFするだけ。ソフトスタートもへったくれもありません、ゼロか100かしかない。こういうのはアナログなのデジタルなの?

 ちょっとずつちょっとずつ手動で指示温度を刻んでいかないと、あっという間にモーレツにヒーター赤くなっちゃうから、焼成作業には向かないんだけどね。
 適当なルツボにニクロム線巻いて熱衝撃試験とか、決まった温度で投げっぱなしでキープさせる、乾燥させるとかにはちょっと便利。
  
 こういうの一個あってもいいかなーって感じの温調機でした~


 





2018年9月4日火曜日

パイプ

 材質はナイショ!つっても全然珍しいモノではないですけど。






2018年9月2日日曜日

安全性問題シリーズ まとめてみる 闇ヤキモノ教習(仮

 作陶するにあたっての安全性問題。初回は概論的に、と手を付けました前回、とっ散らかっちゃった気がするんでまとめてみますね。

 改めていろいろなヤキモノ本ゴソゴソして安全性に関する記述をザザッと読み直しもしたんで、それらも参考にしつつ記します。前回に言ったこと言ってないことゴチャマゼだとは思いますけど・・・
 
 まず、常識こそが最大の判断基準である。そこに従って適切な判断を常にしていれば、大方危険は避けられるはずです。もちろん万全に万全を期すべき場合や材料、危険性もありえますから、必ず理性的な態度でもって、判断の程度によってはたとえ周りからは過剰とも思われるディフェンス策(もちろんそれをしない、使わない、という選択肢も含まれますよ)を取っても当然よい、いや取れ。別に万単位の観衆の前で残り15分自陣でボール回しするわけでなし誰からもブーイングは出ません。作るのはあなたです。正しい知識さえ持っていればほとんどの材料は安全に使えるはずですが、「正しさ」の担保は不明瞭で仕方ない。石鹸屋とか芳香剤屋によってあみだされた新しい臭さや汚れが毎年CMに登場するように、化学分析、時代の進歩によって危険性も常に書き換えられてるはずです。これが一番難しいんだけど我々も情報、知識、考え方を時代に合わせる必要があります。頭の中の話であって床屋とか歯医者の設備や外観じゃないんだから、そこまで大変ではないはず。
 
 一番大事なことは、「○○は有毒」などといった個別の大雑把な知識そのものだけではなく、プロアマを問わずに作陶中の安全に対する態度であると思います。

 具体的な材料名、化合物名等を上げて、これは危険これは安全などという線引きをすることは、とりあえずここではしません(個人的にはそれなり以上にしています、もちろん)
 
 作陶におけるの原料素材由来の危険は、
 粉塵の吸入による塵肺罹患、
 有毒性材料を扱うことからくる毒害、
 で、もう一つ、前回忘れちゃってたんですが、
 焼成中に有毒ガスが発生する危険性
 の三つが主かと思います。
 本当は焼成された釉薬や素地の分解、溶解、からの有毒性物質の溶出というのももちろんあるんですが、それはとりあえず今回も触れません。


1、有毒無毒にかかわらず、粉塵の吸入は有害と考えましょう。作業場の埃も一緒です。

2、実際、体内に入ってしまうと毒性を発揮するものも少なくないです。(「少ない」と間違って書いたまま1日経ってました、すみません「有害なものが少なくない=多い」です)

3、当然、自分の使う素材に関してできる限り自分で必ず複数あたって調べて判断をつけておきましょう。ネットや本や人のせいにしない。

4、素地、釉薬にかかわらず陶磁器の素材は一切口に入れたりしないこと。赤ちゃんじゃないんだから

5、原料調合中はもちろん、作業中の服装、装備は常に気を払いましょう。終わったらすぐ着替える!明日も同じの着たりしない!

6、作業中はこまめに手や顔など洗う。石鹸もちゃんと使う。

7、作業中簡単にモノ食ったり飲んだりしない。

8、作業中でもマメに掃除する。

9、換気によく注意する。

 なんかだんだん小学生に配られる「夏休みの誓い」みたいな感じになってきちゃいましたけどどうですか?お前これ全部できてんの?って意見も聞こえてきそう。
 政治家も作家も棋士も色紙とか扇子に《公正明大》とか《泰然自若》とか《明鏡止水》とか揮毫するでしょ?あれなんか、テメェじゃ出来もしねえことをせっせと毎回書いてるわけ。自分を戒めてんですよ、きっと。それと一緒だと言っておきましょう。

 もちろん、知ってる限りヤキモノ屋さんは、材料個別に対する知識や問題意識の高さは個々に差はあれど、こんなこと全部わかってます。学校行ってれば教わってると思うし、俺みたいに会社で教育される場合もあるし、そもそもこれって度を越したバカでもなければ常識の範囲内ですよね。こう上から目線でいわれてみりゃ「ナニ正論言ってんだ」ってムカつく感じでしょ。俺も自分で書いててムカついたもん。 

 まあ正直実際のところは、メンドくせえだけとか、有害性の評価の違いによるとか、芸術の為なら毒など恐れぬとか、単にマスクなんて息苦しいとか、いつまでたっても苦しい家計を思えば早めに死んで保険金もらった方が家族の為なんじゃないか?という動機による緩慢な自殺とか、理由はともかく、場合場合の自分流線引きで全部完璧には守ってないことが多いですけどね。そこはもちろんそれぞれの「適切な判断」の上で勝手にやってることだと考えて、自分の判断の参考にはしないでください。

 あと、これは俺が言うことじゃないんですけど、人を使ってるような場合、つまり、弟子(と言う名の奴隷)、正規非正規を問わず従業員、個人事業でもアシスタント(と言う名の奴隷)を働かせる場合は、わかってんだろうな!彼ら彼女らの未来と人生もあんたの対応にかかってくるよ!

 交通事故と違って、いきなりガツンなんてことはまずなくて、ちょっとずつちょっとずつ蝕まれる系の被害なのでなかなか切実にはなれないんですけど、毒埃吸ってちょっとずつでも体悪くしてたんじゃせっかくの楽しい作陶生活なんて続けられなくなっちゃうからね。

 少なくともこういったことをきちんと対応できれば安全なはずです(自分で気を付けリスト、装備、対応策はどんどん増やしてください)

 とりあえずここからは具体的に作業中多少盲点になりそうな部分を…

 とりあえず無毒なはずでも粉塵にはとにかく注意。特にシリカ(SiO2、硅石)は毒性そのものはないけど珪肺っつって塵肺の横綱です。釉だけじゃなく素地でも主要成分。調合時に限らず舞いまくってるだろし、床や机にかなり付着してるはずですが、意外と穴は削りの時、特に磁器ものをだいぶ乾いてからシャリシャリ粉切子出して削る人は要注意。
 ヘビースモーカーはヤニの膜がコーティングになって粉末が直接肺に触れない、という屁理屈がありますが笑うだけにして真に受けないように。

 ちなみに俺は純シリカでルツボや耐火物製作すると腕周りがかゆくカサカサになります。湿気とられるみたい。指先には使えないけど手首から腕はニベアとかアトリックスみたいなの塗ってます。長袖着ててもゴムじゃないと入ってくるよ。

 とにかく服装とマスクは適切に!女性の方はマスクをするだけで知らないボンクラ男子からは美人に見える(妄想しちゃう、看護婦さんみんな美人説の原因)なので、結局は付き合う気もない他人に対してのみですが利点アリ。

 掃除は濡れ拭き、湿し掃きが基本。
 私は床を箒で掃く時も霧吹きで床も空中もシュッシュしながら粉塵をできる限り抑えて掃きます。他にも濡れ雑巾や濡れモップがベストですよ。細かいおがくず湿したものばらまいてする清掃法も何かの本で読みました。きっとバアさまが畳に茶殻まくのと一緒だね。もちろん油で拭くのもあります。
 
 原料は袋に入って売られてますが、できる限り濡れブキ出来るような容器に入れましょう。20Kg~30Kgの紙袋ではかなり大変と思いますが、1キロ2キロのゆずコブクロならなるべくやって!できればタッパーよりネジ蓋やキャニスタータイプの方がいいです。並べたときの見た目もシャレオツかもね。コツは広口のものを使うこと、で、できる限り杓子の類ですくい取って秤量すること。
 比重が軽かったりかなり細かい微粉末だったりでやたら舞い上がる材料も多いです。材料ごとのそういう違いも頭に入れておき、そういったのはなるべく容器に入れましょう。ラベルを切り取って貼り付けておくと中身がよくわかります。
 俺みたいにただ、青なんてだけ書いとくとそれがどこのなんつう青だったか、練りこみ絵具だったか下絵用だったかもわかんなくなりますよ。どうしよう、あれ。

 原料を篩にかけるときはみんな気を付けますけど、水の中に投入する時にうっかりブワってやっちまいがちなんで要注意。ミキサー掛けるときも要注意。

 施有する時、こぼした釉薬なんかもできる限り濡れてるうちに処理する。ハツルのも掃くのも乾いてからの方が、やりやすいんだけどね。濡らした新聞紙使うことが多いかな。
 手に付いた釉薬をシャツの裾とかズボンでパンパンはたくのも避けてちゃんとタオルで拭きましょう。トイレの後じゃないんだから。え?おれだけ?

 俺はやらないんですけどコンプレッサーや霧吹きを使った施釉は、そういった意味でマジに気を付けましょう。ダースベーダーみたいのをちゃんと装着して、きちんと排気設備アリのブースを作って隔離して、ブースの壁を濡らしたり、もっと言えば壁面に水を流しながらがベストだそうです。表でやるのも手ですが、釉の組成によっては環境に対する負荷も考えなくてはいけない場合がありそう。
 どんなに迷惑してるからって隣のドラ猫屋敷の庭に向かってスプレーしたりしてもいけません。
 
 
 俺個人的に大好きですし、誰とは言いませんけどあっちの方のご立派衛門さん(複数人いる、どなたもニンゲンコクホーとかだったりする)などなどビッグネームじいさんが、馬鹿でかい大皿抱えて、至近距離からノーガードベア顔面で霧吹き咥えてブーブーやってる姿って、死ぬほどかっこよくてあこがれちゃうんだよね~。
 でも、これ多分案外盲点で、あの霧吹き使って釉薬吹くって相当気を付けた方がいいですよ!!やったことある人ならわかると思うけど鼻ン中白くなってくる。そりゃ鼻毛ってのはそのために生えてんだろうけど。
 先代の○○えもん(ドラではない)、年がら年中あんなことしててもジジイになっても元気だったよな!平気なんじゃん?などと考えずに、あんたんちの仕事は先祖代々国の誇りなんだから体は大事にしてくれよな!と心配しましょう。
 とにかく釉薬噴霧はそこらに粉末が舞わないように気を付けましょう

 などと書いていたらもう夜中の二時前でびっくり。クッソーしくじった!

 最後にフッ化物、塩化物、硫化物を使用した場合だけでなく焼成時には一酸化炭素や亜硫酸ガス等の有害たりえる排気が出ます。また燃焼式炉の場合は室内酸素をかなり大量にもってかれたりすることも含めて十分換気に気を付けましょう!と付け加えます。大事。

 グダグダ連ねましたが、安全安全と騒いだり、危険危険と騒ぐのが目的ではありません。
 陶磁器の原料素材は適切に対応すれば、ほとんど安全に使用でき、危険を避けることができます。そのために安全意識を高め、必要な知識を常に更新していきましょう。
 
 やっぱまとまんなかったなあ~
 参考になれば幸いです