2018年9月28日金曜日

焼結についてはどう説明していますか?難しくね?問題 闇ヤキモノ教習(仮

「お、これは陶磁器断面の組織をわかりやすく単純化した図にしようと思ったはいいけど底抜けに残念なできになったものじゃね?」と思ったあなた!すでに後戻りできないほどヤキモノ人。

 ちなみにこれは走査電子顕微鏡(SEM)による観察写真

 うちで作った、微粉のみを使った焼結体の断面図です。
 黒いところが気孔だってこと以外はよくわかりずらいですけどこんな感じ。手元にこんな写真しかないんで今回のテーマに沿って話しにくいから上のショーもない図を描いたんですが。
 もっといろいろナノオーダーの鮮明な写真とか見てみたい方は「セラミック 断面 SEM 観察」なんて感じでググればいろいろ見られると思います(英語検索のがすごいかも?多分)。


 今回のテーマは、通常知らなくても特に困らないことの方が多いけど、場合や立場によっては語らざるを得ない場合があって、よく考えると案外厄介な話。自分なりに理解の度合いを増しておけば作陶するうえでも手が増えるかもしれないし、そうでもないかもしれない話。

 「焼結」をどう説明するか?

 簡単でもあり、度を越して難しい話でもありますよね?よね?
教室の先生方はどうやって理解、説明してますか?すごく知りたい!

 「焼成」ではないですよ「焼結」です。
 焼成は作業としての行為、工程=加熱処理であってセメントでも樹脂などでも、もっと言っちゃえばパンでもピザでもシシカバブーでも多分焼成。
 焼結は我々がいじくってるいわゆるヤキモノに限れば(粉末冶金とかもあるけど)そんときブツの中で起こってるらしいカチカチ固まる現象
 
 これ、何がどうなってんの?どっからなに?じゃああれは?というわけで、バカなりにがんばって記してみたいと思いますが、焼結とはこういうことじゃ!とか言って先生目線で「おしえてしんぜよう!」などという大それたことでは全くありませんよ!

 なにしろ、このHP(ホームページです!)の場合は、ご覧いただくかたの何割かが同業者とかマジもんのセラミックスの研究者だったりして、そこで上から目線で程度の低いウソ説明なんかしちゃった日にはHP(ヒットポイント)なんか一瞬でゼロですよ。
 ただのヤキモノ好きのオジサンかと思ったらガッツリ専門家!うっかり列車ジャックしたらたまたま食堂車のコックの一人が元特殊部隊だったってだけでも大惨事なのに、うちの場合そこのコックに100%セガールいますからね。元とか退役じゃなくて現役のCIAとかシールズですよ。しかも複数。幸運にも今まで怒られたり殺されたりしたことなんかないですけど、エラソーながらも逃げ道の多い肝心なところにモザイクかかったような文章が多いってのはソーユートコがあるんですよ。
 

 とにかく!教えるなんてよりむしろ逆!俺こそもっとよく知りたい!
 こういう理解の仕方でほぼほぼ(約30%の方が使用する用語だそうです。俺も多用してます)間違ってないつもりでいいんじゃないのか?みなさんもう少しいい表現ありますか?え、やっぱそっち?等々、人に話さないといけない、自分でもうちっと知っといたほうがいい場合に備えて、自分の頭を多少は整理しようとする脳内活動を臆面もなく露呈しようと思ってるだけです。それも専門家、作陶趣味の方々の助けも求めつつ。
 こういう説明でいいですよね?いいですか?って感じ

ウソつけ!!お前殺人マシンだろ!!テロリストが気の毒だよ!

 では、学校と監獄の区別がいまだにつかない俺の脳みそでは「焼結」をどういうイメージでとらえているかですが、先に辞書的なものにあたって確認してみましょう。

 この言葉、純粋な国語辞典には載っていません。当たり前ですがこれは技術用語ってことですな。ウチにあるなかで唯一記載があったのは百科項目で項目数増やしてるだけじゃね?と常々思っている上に手がくたびれる『広辞苑』のみ。さすが天下の『広辞苑』焼結の項目がある上に、手に取れば手に取るほど腕力も鍛えられる!一石二鳥だ!

 広辞苑(第五版)の語釈
 「焼結」(Sintering)粉末を加圧成形し融点以下の温度で熱処理した場合、紛体粒子の間に結合が生じて成型した形で固まる現象。窯業製品・セラミックスなどの主な製法。

 まあ岩波系らしいすっきり最短語釈で、「まあ大雑把にそういうことだろうよ!」って感じですがイメージ喚起力に乏しいですな。まあ述語の解説なんてそんなもの。しょうがない。責められない。

 と簡単な前フリの後はセラミックス用語辞典。もう書き写すのがめんどいんで写真で勘弁!!
  
さすが専門用語辞典!こっちの方が現象を説明してるうえに危なっかしい無駄がない気がするよ!(加圧成形云々とかね)
 わかる人にはこれでいいんじゃないかって気がしてきましたが、人様に説明する時に突っ込まれたらどうしますかってところが今回のテーマでもあり、行間語間(俺の造語)ニュアンスやイメージをどこまで実感(したつもりでOK!)して理解(というのもおこがましいレベルですが)をできるかってことを言ってしまえば高めたいわけです。

 昔のテレビの洋画劇場で荻昌弘や淀川長治がそうしてくれたように、心に沁みる言葉でテーマやシーンの意味を教えあったり感じたりしたい!
 ひどい目にあったダニエルが悔しがって壁を叩く!その壁の向こうの暗い部屋にはミヤギさん。彼の堅く閉ざした心のドアをもノックしてるわけなんですよ!みたいな。ちがうか。
 
 無駄話はさておき、この解説からすると、もともとツブツブだった原料鉱物が熱処理されることによりくっつきあっていく現象を広く「焼結」と結局呼んでいる。ということがわかります(ものすごく意訳)
 液相あるなしは関係なく、固相だけでもいいわけで、そうなるとあるピンポイントで定義をもつある厳密な反応だけが焼結ってわけじゃなさそう。
 
 構成上一旦ぐっと話は飛びますが固相焼結と液相焼結があるってのはそういうことですね。
 それぞれの解説ページ。

上二つの項目も読んでください。


 だんだんすっきりして理解が深まってきたような気がしますよ。あくまでも気だけかもしれないけど。

 固相焼結は高純度の単一素材による焼成体の場合がほとんどで、高純度のファインセラミックスの場合に限るのかな?ってイメージになりますが、通常PPMオーダーだったりどんだけ少なくても不純物はあり、難焼結性原料だと液相促進のためにほんのわずか焼結助剤を使うことも多いので、相当化学結合力が強い素材でも全き固相焼結のみのものはかなり少ないかも知れないですね。ただし(厳密には分かりませんが)液相を生成してるとも思えない低温度でも結合強度はともかく間違いなく固くくっ付いてるわけで、たとえば釉薬層なんかもカリカリになりますから素焼きは固相焼結体といえるかもしれません。 


元に戻って、これが固相焼結の図だとします。緑の球が骨材。接触してる黒縁の部分が引っ付いて固相焼結。白い部分は空隙と理解できそう。もっとガンガン温度を上げることによってよりググッと密に接触し合って空隙は減って体積も減る(焼成収縮)


 素焼きどまりでない一般陶磁器の場合は、磁器だろうが陶器だろうがほぼほぼ(以下略)液相焼結の程度の問題と考えていいと思います。 


 この図では空隙部分を無視しちゃってますが、接触面で原料同士の反応により液相(赤い部分)が生じ、なおかつ液相と個相(骨材)との間の層=黒縁部分では、液相が固相に対してもある程度の溶解度をもって結合しているのが理想かと。で結合強度はガン上がり(の場合が多い。パキンと割れやすくなる場合もあり)
 おそらく液相は始めは粒と粒の接触点のほんの小さな一滴一滴バラバラで、それが表面張力で粒同士を互いに寄せつけ合い引っ付きあいつつ反応でさらに成長し、その程度、気孔空隙の減り加減で素地が陶器質~磁器質へと変わる。こんな認識でいかがでしょう?

 固相のまま残る分、つまり組織の素体を成す粒子が骨材(図の緑や青の丸)。それらを結びつける液相になった部分を基質(図の赤い塗り)といいますが、基質は言葉としてパッとわかりずらいので「マトリックス」とか「ボンド部」という表現が本職では多いと思います。どっちでもかっこいいと思う方を使ってみてください。
 自分はマトリックス、と呼んでいますが、「ボンド部」ってのもMのデスクの前にショーン・コネリーからダニエル・クレイグまで勢ぞろいしてそうでメチャンコ豪華ですな!!
ボンド部のSEM写真(ウソ

 突然アンケート。あなたにとってボンドといえは誰ですか?
 オレはロジャー・ムーア世代です。好きなのはダニエルクレイグかピアースブロスナンで迷う。。一番好きな作品は「スカイフォール」二番目が「女王陛下の007」です。もう今コネリーの007見ても妙なハリボテ感とかボンド隙だらけじゃねえかとかでかったるいんだよね~。

 全裸に腰タオル一枚で美女になまめかしくヒゲを剃ってもらったらもとに話を戻しますよ!

 焼き上がって冷却後のマトリックスはそのままガラス(アモルファス)層になるか、再結晶化するかのどっちかのあるいは混ざり合ったパターンになると思うんですが、これはシリカがどれだけ多いのかとか塩基性材料が多いか少ないかとかいろいろありそうですが、一般陶磁器の場合はまずガラス質がマトリックスを形成して粒子間を結合していると考えられるんじゃないでしょうか?

 度を越した「焼成」、つまり「焼結」のレベルをうんと超えて加熱した場合、炉の能力が届くのであれば「溶融」が起こります。融点に届いちゃった場合ですね。
 焼結の程度が段階的なものであるように、溶融も多くの場合段階的なもので、ここからは急に溶融!みたいなポイントはないんじゃないでしょうか。しいて言えば間違って温度上げ過ぎてへたり切って冷え固まったスライムみたいに、はたまたカルメ焼き状にしてしまった経験ある方もおられるかと思いますが、ああなればもう溶解といっても差し支えないのかもしれないですね。

 また釉薬に関してですが、あれは露出した液相なのか、溶融物なのか、実は液相も溶融物も実はおんなじなのかとかの考察は、もう疲れたので終わりにします。

 例によって余計な話に無駄に体力を削られちゃいました。
とりあえず、玄人や生徒さんなどにはともかく、大した興味もないくせに面白半分に茶化してくるオッサンオバハンには
「テレビの上に置きっぱなしのサクマドロップが中で飴同士全部くっついちゃったような感じですよ」
 と答えてお茶を濁しましょう!

 わかったようでわかってないのか?これで十分なのか?何かが決定的に足りなかったり間違ってたりするのか?さっぱりまとまらなかった気がしますが、何かの足しになれば幸いですよ。

 これにて沈黙します。セガールにかかってるし




 

 
 
 

2 件のコメント:

  1. いつもわかりやすくて、勉強になります!
    フェイスブックにリンクしておきますね。

    因みにわたしもダニエルクレイグは高評価です。
    一番好きなのはワールド・イズ・ノット・イナフのソフィーマルソー‼

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    1.  ありがとうございます!!自分はフェイスブックもツイッターもやってないんで申し訳ないぐらいです!!
       キッチリ整理してから書いてないので足りなかったり危なっかしいくだりもあるかと思うんですが、その辺も込みで参考にしていただければと思います。

       一番好きなボンドガールは、多分ミッシェル・ヨーです。お前ボンドより強いだろ!みたいな。

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