2020年11月30日月曜日

アルミナ、蓋付きるつぼ

 高純度のアルミナるつぼ、蓋つき。

  特にそれ以上でも以下でもありません。

 今回これに絡めて面白いこと思いつきませんでしたので、たまには写真だけで。


 底側ヘリに大きくRとらないタイプ。肉厚はうすめ。


2020年11月27日金曜日

カルシアるつぼ 歪みやすいなあ。

 いやぁ、前回カルシア作るにはいい季節だぜ~なんて言いました。暢気に構えてたせいでは一切ないんですが、緻密質の場合はやっぱり、特に細長いのをピッシリと作れないなあ~。修行が足りんか…





楕円だ…

  まあ今回のユーザーの研究者の方とは、規格というか、セッターとのクリアランスを見て、どうなってればOK!でどうなってるとダメ!というのを決めてるので安心といえば安心なんですが、大イバリできないですね~。

 



2020年11月24日火曜日

カルシアにはいい時期、とは言える

  涼しくなって湿度が下がるとカルシアが作り易くて助かります。いや、作り易くはないけど相当に重要な心配の種が一つ減ります。

 カルシア(=酸化カルシウム)が何で厄介なのか、といったあたりは過去にたくさん記事を挙げてるのでタグ「カルシア」で検索してご覧になってください。何回かごとにこまごま書こうと思います。今日はなし。


 そりゃ窯の都合もありまして、自分史上最速記録更新、ではありませんでしたが、受注~納品までワイルドスピードで仕上げた多孔質るつぼです。

 何日で納めたかの細かい情報は、自慢した結果、あてにされても困るので公表しません(笑。たまたま気候と窯の回転のタイミングのめぐりあわせですからね。






 生石灰、カルシアの厄介さをぜひ体験してみたいモノ好きなヤキモノ趣味の皆様は、釉薬原料で炭酸カルシウム、鼠石灰といった、お手持ちの石灰石「単味」でモノを作って焼成してみてください。800℃近くあれば素焼きだけで楽しめますよ。

 素焼きの窯が上がったら、サンプルは金属かヤキモノの器にとりおいてください。濡れた手では絶対に触らないでくださいね。

 強い光に当てても、夜中にエサを与えても何も起こらないはずです(未確認)が、水を掛けると何かが起こります。増殖はしないので安心してください。

 何言ってるのかわからない方は過去記事をよく読んで、フィービー・ケイツの出演作をいくつか思い出してください。




 偉そうなこと言って一個割れてましたよ。とほほ…

 こういう時はいろいろステップアップチャンスです。

 壊してもへっちゃらなんで強度や組織、肉厚の確認をしてみたり。


 カルシアの場合は

 表に放置して大気中での耐消化性(水和しやすさ)を調べてみます。

 

2020年11月18日水曜日

園芸用土VSヤキモノ屋 番外編 泣くまで焼く

 わずかな数しか生息していない心あるヤキモノ屋のうち、さらに少数のスキモノ以外興味ないであろうアホ企画ですが、番外編お届けします。

 ヤキモノ屋である以上、うまく焼けなかったモノに対しては「もっと焼く、焼けるまで焼く、泣くまで焼く」しかない。

 某るつぼの焼成時、隙間があったんで隅っこで焼いてみました。

 絶対に負けられない戦い、焼成温度は1470度だ!!

 この温度帯ですが、真磁器(硬磁器)の温度帯ですね。真磁器(硬磁器)って何よってのは、長くなるわけではないですが、焼成温度の高い磁器ですよ、とだけ言っておきます。

 1300℃級までの磁器は軟磁器という区別になるんですが、もちろんどっちが偉いとかイイとか、格が上とか、そう言う問題じゃありません。単なる分類です。これは強調しておきます。


 このHP読者のやる趣味(本職含みますが)のいわゆる「トウゲイ」には設備的にも関わりありませんし、真磁器買って使ってるような人は俺ごとき虫けらとは一切縁もゆかりもない貴族とか金持ちなんで(たぶん)。


 一般人がちょっといい店行ったところでその辺じゃ買えないんじゃないですかね?よく知らないですけど。ドイツが本場なイメージですが、日本でも素晴らしいメーカーがありますよ。俺も日本の(大倉陶園)を一客、ドイツの(ローゼンタール)を一客、分際もわきまえず持ってます。引っ越し以降20年近く所在不明ですが・・・。

 まあどうでもいい自慢半分やっかみ半分の糞薀蓄はこの辺にして…

 焼いてみましたよキープは30m 

左から、赤玉土+蛙目、鹿沼土、赤玉土

 試料はマグネシアの台板に乗せました。アルミナや道具土だと反応して突破されちゃう恐れがあったからね。

 この高温焼成試験、組成的に耐えると踏んで強行しましたが、もし釉掛けしたものだったら無理ですよ、かりんとうせんべいみたいになっちゃいます(もしそんなものがあれば)。


 では個別にみてみましょう!

赤玉土+蛙目ですが、鉄分が多すぎる分かな?
ちょっとマグネシアを侵してます。

 


意外にも一番耐えたのが鹿沼土。ガッチリ焼けてます。
 見た目かわいいダルメシアンみたいになっちゃったんで次は脱鉄してからだね。もうやらないけど。

 次は赤玉土で、これはもうへたった。というか煮えた
若干発泡しちゃってます。
マグネシアのほうに食われちゃってますね。

 マグネシアの侵され方を見てください。ちょっとおいしい黒米せんべいみたいになってます。見にくいですが若干へこんでます。赤玉土と接触した部分が反応して溶けちゃったりしてるんですよね。

 耐火物、特にるつぼなんかは中で金属などを溶かしたりしてるわけですが、毎回こういう風にやるかやられるかの勝負なんですよ。もちろん全然反応しないのがベストですが、中身によってはこうなっちゃったりもするわけで、その場合、お客さんが使いたい回数をクリアできるかできないか、みたいな仕事をるつぼ屋はしています。

 使用前、使用後、みたいな


 破断面も見てみました。どうせ捨てるし(笑 

鹿沼土はラミネーションクラック入ってます。
赤玉土は磁器化というか熔化してます。

金型は全部同じです。これだけ縮みます。

白いマグネシアは成型時と同じ寸法のまま。
1350℃と1,470℃。

1350℃と1470℃


 これ以上グダグダ話しても誰も興味なさそうなので、今回のおすすめポイントだけをサラッと…


 1・鹿沼土は1450~1480℃で、赤玉土は1350℃らへんがおススメ!

 2・ガイロ目粘土、もしくは木節粘土といった耐火粘土を50%以上加えるともっと使いやすくなりますし、焼成温度も幅が出そうでおススメ。

 3・ついでに長石を若干混ぜれば焼成温度を下げられるはず(未検証。

 4・やはりテストには事故はつきものなのでマグネシア系の台板を使うことをお勧め。

 5・マグネシアの台板を持ってない方はつくばセラミックワークスに注文するのをお勧め!


 


 




2020年11月16日月曜日

色覚とヤキモノ

  とりあえずこんなん作ってますよ!とアルミナるつぼ


 

 この秋のラジオの番組の入れ替えで、夜勤時の定番TBS「セッション22」が夕方に移動してただの「セッション」に。ここ二~三年、昼間の面白い硬派な番組がなかったんでこれはうれしい!仕事しながらおちゃらけじゃない番組が聞ける!!ちょっと即時性が強くなっちゃったかなあ~というきらいはあるけど、TOKYOFMの夜8時「トーキョースローニュース」と併せてジャーナリストや専門家がじっくりと調べた調査報道(というらしい)のお好み番組2トップです。

 先週、個人的に超興味深い話があったんでご紹介。
 
 リンク先で音声配信を聞けます。


 色盲とか色弱と「かつて」言われた色覚異常についての話で、詳しくは是非配信を聞いていただきたいんですが、今回気になった部分だけかいつまんで言うと、

 1・結構多い。特に男性は100人中5人もいる。
 2・見分けにくい色がある代わり「通常」より厳密に見分けられる色もある。つまり個性といえる。
 3・色覚異常と正常の間に明確に断絶した壁はじつは無くて、色の見え方や弁別にはスペクトラム、グラデーションがあり、個人個人で結構様々
 といったあたり

 もちろん社会に存する問題の一つとして取り上げてるので
 4・昔ほど「優勢・劣勢」みたいな差別的な観点は薄れてるけどまだあるし、あるいは新しい問題もある。
 という部分は一番大事。

 自分でそうと気が付かない人も相当数いるみたい。その程度に日常ほとんど不都合はなくて、たとえ職業上難点があったとしても技術やテクノロジーで克服できることも多いし、こんなんで人生左右されちゃあたまらねえよな。
 
 そういや、「俺、見分けにくいからその色のチョーク使わねーでくれ」って学校の先生いましたね。何の問題もなかったよな。

 
 よくあるパターン、みたいなものはあるようで、どうやら茶色と緑色の見分けがつきにくかったりするケースはかなり多いらしいです。
 
 となると・・・
 俺の作る中で圧倒的に多い飴釉の中に緑色を入れ込んだこの手のやつはどう見えちゃうんだろう。

 みんな考えたことがあると思うんですが、俺の見てるこの赤は相手にはどう見えてるんだろう?もし俺の言う青に見えててもわからないですよね。証拠も出せねーし。
 北欧とか雪国の人は白い色でもかなり細かく見分ける(青い目の人だったかなあ?)、とか昔何かの本で読んだことあったし、日差しの強い赤道付近に住んでる人はどうとか、俺も聞いたことがあったような気がする。

 みんなそれぞれお気に入りは違うし、そんなん好みの問題だと思ってたけど、実は「見え方自体が違ってる」可能性もかなりありそう。


 だからってヤキモノ屋がそれ気にしたからって…とは俺も思います。でも看板屋さんとか、ピクトグラム制作する方は絶対考えてるはずですよね。こういうのも知っといて悪いこともないでしょ。

 俺の選んだ仕事の仕方として、ファインも伝統陶器も「素敵なものを作って、多くの方に気に入って買ってもらう」ということ自体よりか「お客さんが自分が作ってほしいものを聞いて作る」というオーダーメードシステムをハッキリ中心としてやってるので、大変気になります。
 俺は個人でやってるから「個人作家」じゃなくて個人のためにやってる作り手だから「個人作家」と自分を定義したいんですよね、できれば。これが言いたいだけですけど。 




 紹介しませんが、手の不自由な方に、「こんな形の取っ手で」とオーダーいただいて気に入ってもらったこととかあって、そりゃもうこんなうれしいことはなかったんですが、「その方固有の色覚のタイプ」が選んだ釉の組み合わせ、みたいな話があったら興味深いですし、詳しく知りたい。

 色覚異常というのは医学的にも使われてる用語だそうですし、差別意識なくあえて言いますが、「面白い!」

 例えば織部のスタイルは緑と素地、黒や鉄茶のコントラストが独特の世界で、人気の一大ジャンルで俺も好きなんですが、素地や色味、配色のパターンによっては結構な割合の人にとって「そもそも色覚弁別的に」ピンと来ない場合も多いのかもしれない。

 教室や学校で講師としてやってる方にはぜひ生徒や受講生の皆さんのこと調査みてほしいぐらいです。男子のうち5%が「異常」、女子の場合ではほとんどが「無自覚」とのことですから、実は結構大事で興味深い観点が隠れてるのかも。
 興味ない?


 今回紹介したラジオの解説者はSF作家・科学ライターの川端裕人で、好きな作家です。
 ノンフィクションと小説を両方やってて、どっちもかなり面白いものが多いです。好みの問題ですが俺には合う。
 何々の専門家、というよりは「いわれてみれば超興味ある!!」という話題や問題を総合的な科学知識で冷静にかみ砕いて解説する本が多く、読みやすいです。ナショジオでやってる研究室に突撃取材するシリーズも面白いよ。親書も出てます。

 小説では文章にアクがないので読みやすいかわり、どろどろしたブンガク的カイカンには欠けますが、すっきりさわやか系のSF/ファンタジーで、そっち系苦手な方にもお勧めできますよ。

 今年、疫病騒動に乗っかって再版された「エピデミック」(息子が学校持って行ってて今手元に無い)もスゲエいいんですが、俺のおすすめは
 この二冊!「雲の王」のほうは「天気の子」に影響与えてんじゃねえかな?
 個人的に「天気の子」は、奴らの世界との対峙の仕方が俺には到底受け入れられないんですが、喜んでた娘は数年後見直した時にどう感じるのかな~。


 と、いうわけで、
 を読んでみたくなりました。なんか感染状況的にフラフラ出歩きにくいんだけどね~。



 

 

 
 



 









 








 
 
 





2020年11月13日金曜日

マグネシアるつぼ

  これまた小さいるつぼです。

「クリーム色のニクいやつ」ことマグネシア。だから何だって感じですが、そんなぱっと見突飛なことばっかりしてませんってば。  

さすがにこれは黄色過ぎ。写真テク的な都合です。

このぐらいです。って俺のこのPCで見る限りは、ですが



2020年11月9日月曜日

アルミナタンマン管 細目

  アルミナ高純度のタンマン管です。細目も太目もこっちの都合、というか単なる当社比ですが、外径10Φを下回りますので世間一般的に太くはないでしょ。

 




 変なことばっかりしてるわけじゃないんですよ。普通にせっせと実験用のるつぼを作ってますよ(笑)
 


 もちろん、「園芸用土VSヤキモノ屋」シリーズも(個人的には)大変面白いので、どこかの大統領に負けないようにプリキュア魂(=「絶対にあきらめない!」)で続けますよ~。

 踏み切ったはイイものの着地点がよく見えてないのでテレマークの入れようもないんすけどね。



2020年11月6日金曜日

赤玉土&鹿沼土 本焼き編

  前回釉薬作って塗るところまででしたが続き。早く書いとかないと忘れっちゃうしね。

 

 前回の叙述トリック?はお気づきになられたでしょうか?

 

 これが作戦。


 で、実際の調合がこれ

間違っとるがな!!


 と、言うわけで、焼成(1200℃)した結果がこれ

鹿沼土。溶け足りねーっての!!

これが素地、右が蛙目20%+したもの
焼き上げても思いのほか白い!!
上の画像と比べても同じで、黒いプツプツがあります(たぶん鉄)


 次は赤玉土
やはり溶け足りない

こちらが素地。右が蛙目20%+
そのままの色は俺好きです。焼くともっと赤い!!
悪くない感じはしますよね。


 しかーし、これらのプレス成型品。

 

 手で簡単に割れる弱さ。特に鹿沼土。

 破断面組織はこんな感じ

ビスケットか!!特に鹿沼土。

 これらは俺が調合適当だったのが問題。焼成温度も1200℃と低かったしね。温度低いのはたまたまそういうバッチだったのと、何やら嫌な事件が起きないように安全を見て腰が引けたせいです。昔「健康に良い土」とやらをしがらみで焼成したことがあって、棚から外れない黒いカルメ焼き上の発砲ガラス?をつくっちゃったことがあったんですよ。

 もっと篩って粗目をのけるか、微粉(粘土)を足すか、といった、適切に細密充填できるように配合すれば強度は問題ないところまで増せます。経験上実感的に。

 

 というのも粒度配合品のプレス成型はただ押しゃあ固まるっちゅうわけじゃないんですよ。粘土鉱物粒子の滑り性と引っ付き力を頼れないんで。今回小さいし、土もコンタミだらけだから(いろいろ低温で焼結する要素が増えるんで)大丈夫だろと思ったけどそれも成形まで。焼成すると出ちゃいますな。「ちゃんと考えて作らないとダメ!!」ってことでしたね~。基本を改めて思い知らされた感じ。


 皆さんが作り方なんぞ気にしたことがなさそうな棚板なんかもプレス成型ですが、あれも材料と水だけじゃあ全然キチンと作れないんですよ。細かいこと言ってもしょうがないんで割愛しますが、

「耐火物屋、ちょっとはスゲエ!」と、年に一回ぐらいは口に出してみてくださいね。


 ああやっぱり、園芸用土じゃあうまくいかねえのかなあ~。


 ご安心ください。可塑性成型用に蛙目を50%足したもの、鋳込み用に泥漿にしたものは、あんなテキトーに配合こさえただけでも普通レベルの強度にできました。単に蛙目粘土のヤキモノ力が高いだけじゃねえのかってのは黙っててください。


 鋳込み品
気孔があるように見えますが、そこまでじゃないです。
 これは固形鋳込みにするか、もっと砂利目を除けば排泥鋳込みでできそうです。
 これはきちんと懸濁できたことによって密に詰まることができたということかと。


 可塑性成形品、
やる気のない練り合わせでもこの通り。

釉(これは自前のマット釉薄掛け)もきちんと乗ってます。

 
 釉薬に関してはとにかく調合が失敗。すみません。気を取り直したら改めてやります。

 素地は使えないことなさそう。ただし、粘土鉱物を別途持ってくる必要がありますねえ。このままでは。

 というわけで以下そのうち(いつかは不明)


 オッと忘れてた。

 苦土石灰はドロマイトとして使えるのか?の件。

 




 どうやら使えそうですぜ!!



 製陶用原料のドロマイトと比べると、

 触った時点でわかってたけど粒度が粗い(というか粒度分布のピークが広いのでザラメも入ってくる感じ)、多少この温度だと溶け残りが白く濁った斑紋になってるのはそのせいかと。

 あとなんとなーくですが、やっぱ雑味が多いような気がします。

 ワイルドなドロマイトとして使えると思います。

 今度(っていつかわかんないけど)ウチのドロマイト使った釉薬の調合で、比較観察してみたいと思います。







 あ、あと一応水簸もしてっから!!











2020年11月4日水曜日

アルミナるつぼ、小細工付き


 もともとスタッキングできるようこういった形状のものを作ってますが、今回は別の理由。

 小細工(要は底の段付き)がどう使われるかは、ナイショにしておきますが、「あーそんな方法もあったのか~」と気になる使い方です。オモシロ。

 ってナイショにしててオモシロもないか。すんません




 

2020年11月2日月曜日

園芸用土VSヤキモノ屋 釉調合編

  誰も期待していないシリーズ「園芸用土VSヤキモノ屋」

 第一回目本焼成が終わりました。一応含みを持たせておきます。今回叙述トリックが仕込まれております。

 

 結果から紹介してもいいのですが、モノには順序ってものが多分ありますので、釉調合編として先にお届けします。

 単に素地だけ先に焼けばいいんじゃねーか?ってのもそのとおりなんですが、こんなもんいっぺんに終わらせたいじゃん(もはやヤル気が疑われる発言)

 

 先に紹介した組成からなんとなーくボーっと判断した結果、釉薬材料としてみた場合、赤玉土も鹿沼土も、「土として扱う」ということに決めました。何言ってんの?と思われた方のために大雑把に解説します。


 釉薬のオーソドックスな基本要素として、

 1・長石類

 2・アルカリ土類多め含有物(石灰石等)

 3・言い方知らんけど土分(カオリンや〇〇粘土)

(4・+都合で目的にかなう量のシリカ)


 と考える定番定石があり、その3番として扱う、という意味です。

 そして、みんな大好き「苦土石灰」は2番ですね。


 今回は釉薬編ということで、釉薬テストのとっかかり方を紹介します。あくまで俺流の超ズボラ定石なので、まじめでやる気のある方はきちんと二成分、三成分系等に起こしてやってくださいね。


 上記、長石、灰分、粘土の4種類で試験する場合で、なおかつ、時間もやる気もいまいちの際はとりあえず・・・

 A:長石、灰分、粘土 同重量ずつ 

 余裕があればB:4種類を同重量ずつ

 だけでやってみることをお勧めします。本当はそこまでしませんがします。

 今回灰分は苦土石灰(くどいようですが粉末!)、粘土分は赤玉土と鹿沼土。

 上記三種類(あるいは4種類)で一番とっかえひっかえしても何とかなりやすいのが土分ですし(経験上、当社比)

 仮に苦土石灰が「ほぼほぼドロマイトといって差し支えない」というのが事実なら、長石とドロマイト1:1でそれなりになるので、これでなんもならんということは経験上なさそうです。(注・ここまでもこれからも経験上の単なる勘です)

 これで箸にも棒にもかからないような焼成結果ではその先試すの結構大変そうです。

 

 今回は苦土石灰が残念だった場合に備えて、ウチのストーブ灰も試します。

 A:長石1:苦土石灰1:赤玉土(鹿沼土)1

 A':長石1:灰1:赤玉土(鹿沼土)1

 と作戦立案しました。


 では準備します。

 左から、赤玉土、鹿沼土の粉砕物、そして粉末状苦土石灰です。写ってないけど灰も。


  どんどんゴリゴリ作っていくよー

 景気よく素焼きしたテストピースに塗っていきまーす

 こんな感じで終えました。

 左下テストピースでいうと上部白っぽいところから時計回りに…

 1(黄色)・鹿沼土1:苦土石灰1:蛙目粘土1

 2(グレー)・鹿沼土1:灰1:蛙目粘土1

 3(濃い茶色)・赤玉土1:苦土石灰1:蛙目粘土1

 4(薄茶)・赤玉土1:灰1:蛙目粘土1

 のテストピースが出来上がりました。


 また、苦土石灰をドロマイト代わりに一般的な釉薬に組み込むことができるのか、という、当然こっちのほうが見込みがあるに違いない計画を二正面作戦で進行中。

 

 左のネコさん 上部・福島長石1:苦土石灰1:蛙目粘土1

        下部・福島長石1:苦土石灰1:蛙目粘土1:シリカ1

 右のブタさん 上部・ネフェリンサイアナイト1:苦土石灰1:蛙目粘土1

        下部・ネフェリンサイアナイト1:苦土石灰1:蛙目粘土1:シリカ1


 もう焼きあがってるんですが、間を持たすために続きは次回!



 なーんてやったところで、興味のない方も多いのかな?

友人のパチーノ(40台後半ヤキモノ二年目・教室でノシ上がり中・狂人)も「これ何の役に立つの?」なんて聞いてきやがってね。

「役になんかまず立たねえよ。でも面白そうじゃん」

「面白いか?やる意味マジわかんねえし」と来たもんだ。

 俺は持続可能性原理主義社会の成れの果てに起こりえる陶磁器製生活用品廃止条約のせいで材料が手に入れられない世界になっても「闇陶器」を作り続けるつもりですから、こういう鍛錬もたまにはやっておきたいんですよ。

 頭もおかしいしね。