高純度のアルミナるつぼ、蓋つき。
特にそれ以上でも以下でもありません。
今回これに絡めて面白いこと思いつきませんでしたので、たまには写真だけで。
涼しくなって湿度が下がるとカルシアが作り易くて助かります。いや、作り易くはないけど相当に重要な心配の種が一つ減ります。
カルシア(=酸化カルシウム)が何で厄介なのか、といったあたりは過去にたくさん記事を挙げてるのでタグ「カルシア」で検索してご覧になってください。何回かごとにこまごま書こうと思います。今日はなし。
そりゃ窯の都合もありまして、自分史上最速記録更新、ではありませんでしたが、受注~納品までワイルドスピードで仕上げた多孔質るつぼです。
何日で納めたかの細かい情報は、自慢した結果、あてにされても困るので公表しません(笑。たまたま気候と窯の回転のタイミングのめぐりあわせですからね。
生石灰、カルシアの厄介さをぜひ体験してみたいモノ好きなヤキモノ趣味の皆様は、釉薬原料で炭酸カルシウム、鼠石灰といった、お手持ちの石灰石「単味」でモノを作って焼成してみてください。800℃近くあれば素焼きだけで楽しめますよ。
素焼きの窯が上がったら、サンプルは金属かヤキモノの器にとりおいてください。濡れた手では絶対に触らないでくださいね。
強い光に当てても、夜中にエサを与えても何も起こらないはずです(未確認)が、水を掛けると何かが起こります。増殖はしないので安心してください。
何言ってるのかわからない方は過去記事をよく読んで、フィービー・ケイツの出演作をいくつか思い出してください。
こういう時はいろいろステップアップチャンスです。
壊してもへっちゃらなんで強度や組織、肉厚の確認をしてみたり。
カルシアの場合は
表に放置して大気中での耐消化性(水和しやすさ)を調べてみます。
わずかな数しか生息していない心あるヤキモノ屋のうち、さらに少数のスキモノ以外興味ないであろうアホ企画ですが、番外編お届けします。
ヤキモノ屋である以上、うまく焼けなかったモノに対しては「もっと焼く、焼けるまで焼く、泣くまで焼く」しかない。
某るつぼの焼成時、隙間があったんで隅っこで焼いてみました。
絶対に負けられない戦い、焼成温度は1470度だ!!
この温度帯ですが、真磁器(硬磁器)の温度帯ですね。真磁器(硬磁器)って何よってのは、長くなるわけではないですが、焼成温度の高い磁器ですよ、とだけ言っておきます。
1300℃級までの磁器は軟磁器という区別になるんですが、もちろんどっちが偉いとかイイとか、格が上とか、そう言う問題じゃありません。単なる分類です。これは強調しておきます。
このHP読者のやる趣味(本職含みますが)のいわゆる「トウゲイ」には設備的にも関わりありませんし、真磁器買って使ってるような人は俺ごとき虫けらとは一切縁もゆかりもない貴族とか金持ちなんで(たぶん)。
一般人がちょっといい店行ったところでその辺じゃ買えないんじゃないですかね?よく知らないですけど。ドイツが本場なイメージですが、日本でも素晴らしいメーカーがありますよ。俺も日本の(大倉陶園)を一客、ドイツの(ローゼンタール)を一客、分際もわきまえず持ってます。引っ越し以降20年近く所在不明ですが・・・。
まあどうでもいい自慢半分やっかみ半分の糞薀蓄はこの辺にして…
焼いてみましたよキープは30m
試料はマグネシアの台板に乗せました。アルミナや道具土だと反応して突破されちゃう恐れがあったからね。
この高温焼成試験、組成的に耐えると踏んで強行しましたが、もし釉掛けしたものだったら無理ですよ、かりんとうせんべいみたいになっちゃいます(もしそんなものがあれば)。
では個別にみてみましょう!
使用前、使用後、みたいな
破断面も見てみました。どうせ捨てるし(笑
これ以上グダグダ話しても誰も興味なさそうなので、今回のおすすめポイントだけをサラッと…
1・鹿沼土は1450~1480℃で、赤玉土は1350℃らへんがおススメ!
2・ガイロ目粘土、もしくは木節粘土といった耐火粘土を50%以上加えるともっと使いやすくなりますし、焼成温度も幅が出そうでおススメ。
3・ついでに長石を若干混ぜれば焼成温度を下げられるはず(未検証。
4・やはりテストには事故はつきものなのでマグネシア系の台板を使うことをお勧め。
5・マグネシアの台板を持ってない方はつくばセラミックワークスに注文するのをお勧め!
これまた小さいるつぼです。
「クリーム色のニクいやつ」ことマグネシア。だから何だって感じですが、そんなぱっと見突飛なことばっかりしてませんってば。
アルミナ高純度のタンマン管です。細目も太目もこっちの都合、というか単なる当社比ですが、外径10Φを下回りますので世間一般的に太くはないでしょ。
もちろん、「園芸用土VSヤキモノ屋」シリーズも(個人的には)大変面白いので、どこかの大統領に負けないようにプリキュア魂(=「絶対にあきらめない!」)で続けますよ~。
踏み切ったはイイものの着地点がよく見えてないのでテレマークの入れようもないんすけどね。
前回釉薬作って塗るところまででしたが続き。早く書いとかないと忘れっちゃうしね。
前回の叙述トリック?はお気づきになられたでしょうか?
これが作戦。
で、実際の調合がこれ
しかーし、これらのプレス成型品。
手で簡単に割れる弱さ。特に鹿沼土。
破断面組織はこんな感じ
もっと篩って粗目をのけるか、微粉(粘土)を足すか、といった、適切に細密充填できるように配合すれば強度は問題ないところまで増せます。経験上実感的に。
というのも粒度配合品のプレス成型はただ押しゃあ固まるっちゅうわけじゃないんですよ。粘土鉱物粒子の滑り性と引っ付き力を頼れないんで。今回小さいし、土もコンタミだらけだから(いろいろ低温で焼結する要素が増えるんで)大丈夫だろと思ったけどそれも成形まで。焼成すると出ちゃいますな。「ちゃんと考えて作らないとダメ!!」ってことでしたね~。基本を改めて思い知らされた感じ。
皆さんが作り方なんぞ気にしたことがなさそうな棚板なんかもプレス成型ですが、あれも材料と水だけじゃあ全然キチンと作れないんですよ。細かいこと言ってもしょうがないんで割愛しますが、
「耐火物屋、ちょっとはスゲエ!」と、年に一回ぐらいは口に出してみてくださいね。
ああやっぱり、園芸用土じゃあうまくいかねえのかなあ~。
ご安心ください。可塑性成型用に蛙目を50%足したもの、鋳込み用に泥漿にしたものは、あんなテキトーに配合こさえただけでも普通レベルの強度にできました。単に蛙目粘土のヤキモノ力が高いだけじゃねえのかってのは黙っててください。
素地は使えないことなさそう。ただし、粘土鉱物を別途持ってくる必要がありますねえ。このままでは。
というわけで以下そのうち(いつかは不明)
オッと忘れてた。
苦土石灰はドロマイトとして使えるのか?の件。
どうやら使えそうですぜ!!
製陶用原料のドロマイトと比べると、
触った時点でわかってたけど粒度が粗い(というか粒度分布のピークが広いのでザラメも入ってくる感じ)、多少この温度だと溶け残りが白く濁った斑紋になってるのはそのせいかと。
あとなんとなーくですが、やっぱ雑味が多いような気がします。
ワイルドなドロマイトとして使えると思います。
今度(っていつかわかんないけど)ウチのドロマイト使った釉薬の調合で、比較観察してみたいと思います。
あ、あと一応水簸もしてっから!!
もともとスタッキングできるようこういった形状のものを作ってますが、今回は別の理由。
小細工(要は底の段付き)がどう使われるかは、ナイショにしておきますが、「あーそんな方法もあったのか~」と気になる使い方です。オモシロ。
ってナイショにしててオモシロもないか。すんません
誰も期待していないシリーズ「園芸用土VSヤキモノ屋」
第一回目本焼成が終わりました。一応含みを持たせておきます。今回叙述トリックが仕込まれております。
結果から紹介してもいいのですが、モノには順序ってものが多分ありますので、釉調合編として先にお届けします。
単に素地だけ先に焼けばいいんじゃねーか?ってのもそのとおりなんですが、こんなもんいっぺんに終わらせたいじゃん(もはやヤル気が疑われる発言)
先に紹介した組成からなんとなーくボーっと判断した結果、釉薬材料としてみた場合、赤玉土も鹿沼土も、「土として扱う」ということに決めました。何言ってんの?と思われた方のために大雑把に解説します。
釉薬のオーソドックスな基本要素として、
1・長石類
2・アルカリ土類多め含有物(石灰石等)
3・言い方知らんけど土分(カオリンや〇〇粘土)
(4・+都合で目的にかなう量のシリカ)
と考える定番定石があり、その3番として扱う、という意味です。
そして、みんな大好き「苦土石灰」は2番ですね。
今回は釉薬編ということで、釉薬テストのとっかかり方を紹介します。あくまで俺流の超ズボラ定石なので、まじめでやる気のある方はきちんと二成分、三成分系等に起こしてやってくださいね。
上記、長石、灰分、粘土の4種類で試験する場合で、なおかつ、時間もやる気もいまいちの際はとりあえず・・・
A:長石、灰分、粘土 同重量ずつ
余裕があればB:4種類を同重量ずつ
だけでやってみることをお勧めします。本当はそこまでしませんがします。
今回灰分は苦土石灰(くどいようですが粉末!)、粘土分は赤玉土と鹿沼土。
上記三種類(あるいは4種類)で一番とっかえひっかえしても何とかなりやすいのが土分ですし(経験上、当社比)
仮に苦土石灰が「ほぼほぼドロマイトといって差し支えない」というのが事実なら、長石とドロマイト1:1でそれなりになるので、これでなんもならんということは経験上なさそうです。(注・ここまでもこれからも経験上の単なる勘です)
これで箸にも棒にもかからないような焼成結果ではその先試すの結構大変そうです。
今回は苦土石灰が残念だった場合に備えて、ウチのストーブ灰も試します。
A:長石1:苦土石灰1:赤玉土(鹿沼土)1
A':長石1:灰1:赤玉土(鹿沼土)1
と作戦立案しました。
では準備します。
左から、赤玉土、鹿沼土の粉砕物、そして粉末状苦土石灰です。写ってないけど灰も。
どんどんゴリゴリ作っていくよー
景気よく素焼きしたテストピースに塗っていきまーす
こんな感じで終えました。
左下テストピースでいうと上部白っぽいところから時計回りに…
1(黄色)・鹿沼土1:苦土石灰1:蛙目粘土1
2(グレー)・鹿沼土1:灰1:蛙目粘土1
3(濃い茶色)・赤玉土1:苦土石灰1:蛙目粘土1
4(薄茶)・赤玉土1:灰1:蛙目粘土1
のテストピースが出来上がりました。
また、苦土石灰をドロマイト代わりに一般的な釉薬に組み込むことができるのか、という、当然こっちのほうが見込みがあるに違いない計画を二正面作戦で進行中。
左のネコさん 上部・福島長石1:苦土石灰1:蛙目粘土1
下部・福島長石1:苦土石灰1:蛙目粘土1:シリカ1
右のブタさん 上部・ネフェリンサイアナイト1:苦土石灰1:蛙目粘土1
下部・ネフェリンサイアナイト1:苦土石灰1:蛙目粘土1:シリカ1
もう焼きあがってるんですが、間を持たすために続きは次回!
なーんてやったところで、興味のない方も多いのかな?
友人のパチーノ(40台後半ヤキモノ二年目・教室でノシ上がり中・狂人)も「これ何の役に立つの?」なんて聞いてきやがってね。
「役になんかまず立たねえよ。でも面白そうじゃん」
「面白いか?やる意味マジわかんねえし」と来たもんだ。
俺は持続可能性原理主義社会の成れの果てに起こりえる陶磁器製生活用品廃止条約のせいで材料が手に入れられない世界になっても「闇陶器」を作り続けるつもりですから、こういう鍛錬もたまにはやっておきたいんですよ。
頭もおかしいしね。