2018年5月28日月曜日

専用加工のセッター、アルミナ高強度品

ここのところセッターが多くなってます。
セッターといっても犬でも宮下選手でもないですよ、という持ちギャグもここでもう何度かやってるので好きな方もいないと思いますし思い切って割愛しますね。

 セッター、匣鉢、サヤ、マッフル、etc・・・それぞれ微妙にニアリーイコールでして(多分)、人によって言い方も違えば思い浮かべてるモノが違ってたり打ち合わせ始めは寝てるところを叩き起こされたシカゴの私立探偵といった感じで探り探り感があったりします。
 特にセッターというのはおそらく何か試料なり焼成物なりをセットするためのもので、今回のように「見るからに焼成容器」というわけでないこともありますね。「なんだよ~、紛らわしいなあタダの板じゃないか~」みたいなこともありますがそんなこと言っても誰も楽しくないですし。
 
 まあ当たり前ですが、言い方名称はユーザーの方に合わせてます。

 というわけでセッター、側面に刳り貫きの穴が開いていて何かイイことができるようになっています。
 



サイズはこのぐらい

焼成容器ひとつとっても出来合いつるっぺたの大型容器ってンじゃなくて実験条件に合わせて、化学的にも形状的にもカスタムの余地はあるものだなあ、と思います。
 「セッターがこうなってたらいいのになあ~」なんてときにはぜひご相談ください。

2018年5月24日木曜日

MOT's at NIMS 技術展示会 ほぼリアル周期律表!

 今日はNIMS(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)でのMOT's技術展示会でした。
 なかなかのご来場者数で、個人的にもユーザーの研究者の方々が仲間付で次々来ていただいたんで話が弾んで勉強になったしすごくよかったです。

 ここはもともと金属材料、金属以外の無機材料に関する二つの研究機関が合体したもので材料基礎研究に関する公のトップ機関。タダの気のいいおじさんだとおもってたら、そのスジではイニエスタ級のワールドクラスってこともあるそうで・・・。

 やっぱり物事基礎が大事、数年内に結果=お金?になるようなことばっかりじゃなくて何かニュースになっても話遠すぎてピーンとこないあれやこれが子孫の代に結実して表社会に何かをもたらしたりするわけです。
 
 「近々に経済に結びつかない学部なんか廃止しろ~」とか、ぶっちゃけ心の中で「俺が生きてるうちにはもう関係ないだろ(たとえば原発すぐ動かせとか言ってる人はそれに近いよね)」みたいなみっともないことばっかり言ってないで、こういうエレメンタルな部分にきちんと力=予算を割り振っていただけると人類の、地球の未来を築く礎になり、ぐるっと回ってウチも大変助かりますですよ。

 俺がよぼよぼになった時に「超伝導ビンビン社会目前」ぐらいになってたとしたら、何とかいう合金のおかげで何かが大変すばらしいことになってたとしたら「俺も2センチ5ミリぐらいは貢献した」と話てんこ盛りで曾孫に自慢したいんで・・・

 こんなほぼリアル周期律表が!
 
理科の教科書でおなじみのあれですが、よく見ると…

リアル元素の隗or結晶だったりが入ってる!

常温や大気中でほっとけないのは写真で勘弁、気体はさすがに無しですが・・・

希土類ランタノイドとかアクチノイド(例の表からはみ出してる連中)
それでも石英管に封入したりしてできる限り頑張ってる!
 あなたの使ってた教科書に乗ってなかったりして?

アダマンチウムとかヴィブラニウムはまだ発見されてないそうです。

なんて写真撮り忘れましたよ!
もう片付けの時間になってました!



次回は七月前半予定のJAXA。あの宇宙のJAXAです。
「お帰りハヤブサ」的な便乗映画はいいの一個もなかったですけどね。
 




2018年5月22日火曜日

おすすめ本シリーズ 闇ヤキモノ教習(仮

 去年早いころ買ったんですが、部分的な工程に特化してる本なので以前は紹介しませんでしたが、ロクロの教則本のおすすめを!


 ロクロなんて最低限できてるかすら怪しい俺の紹介なんで話半分でOK!
 まーたロクスッポ読めないくせに、意識高いフリして海外の本(英語)なんですが、これはいい!いろいろいい!

ベン・カーターさんの

Mastering the Potter's Wheel: Techniques, Tips, and Tricks for Potters

Tricksってのがいいねトリックですよ!「ワザ!」って感じですかね。コマやヨーヨー、ボールなどのジャグリング系おもちゃ大好きで、Xゲーム楽しみな俺にはおなじみでイカシタ単語ですな。)

 もともと「ロクロなんてヤキモノ屋の作業の中で最もアスレチック&感覚系なわけで、本読むより理屈を自分なりに考えながら実践でしょ。こういう本高いし」という派で、「世間知らずの俺だから、体を張っておぼえこむ」というユタカ式だったんですよね。(知り合いにわかんない方がいたんで野暮な説明しますと尾崎豊がそう歌ってたんですよ。別にオッサンが気取ったフレーズひねり出したわけじゃありません)もちろん例によって性格通り超理屈っぽくですけど。

 でなんで教本買ったかっていうとそろそろボンクラ1号にちょっとやらせてもいいかな~なんて思ったんですが、そんなわけできちんと教えられないので。
 一言一句読める日本人の本じゃなくてこれを選んだ理由は皿とか茶碗とか言った個別に「○○の作り方」的な感じではい出来た!だけじゃなくて、スキルを磨くエクササイズ例とか考え方的なもの、などが実践的な感じで説明されているように思えたから。もちろんパッと読んだところでほとんど英語わかんないので勝手読みでそう思っただけなんですけどね(あってました)
 まあ日本語の場合はザブザブ読めちゃう分なるほどそうか~なんつってその場で確認読み=ほぼ立ち読みで済ませちゃったっポイ心底賤しい事実も若干あるんですが…(個人的には買う気のない立ち読みは窃盗罪だと思ってます)

 2016年度になんだかそのスジで表彰されてるようで「いい本だぜイエーイ!」「これで決まり!」的なそのスジからの賛辞や推薦文が裏表紙に並んでるし、ダメだとしたら俺の語学力不足。趣味と実益を兼ねた英語の勉強にもなりそうだしいいか!と予算よりだいぶ高いけど買いました。

 以下、この本の内容を出版社とベン(いきなりなれなれしい態度)に訴えられない範囲でお勧めポイントを… 

 まず、著者の見た目がいい。

著者のベンさん。まだお若いんですな。

顔立ちはネブラスカのスーパーマンといった佇まい(アゴとか)

とにかくガタイがよくて見るからに絶対ラインバッカーでしょ。



 イマドキ解説写真がわかりやすいのはもちろんですが・・・ 
とにかく腕っぷしがすごい。
ベンって名前はアゴが割れるんでしょうか?アフレックとか。
一番右の写真とか完全にジャスティスリーグ入り。

 ヤキモノ屋はひじから先の毛が薄くなってる方が多い実感があるんですが、ベンは結構ごわごわです。

 なんと一番始めにヘルス=健康に関するページが割かれてます。
こんな感じに体操まで!腰に来ますからね。
フットボール部のストレッチにしか見えない

 作業姿勢に対してかなり詳しく、体操まで乗ってるのもびっくりでしたが、「この本はロクロの本なのであんまり量多く書けませんけども・・・」と前置きしつつ、危険な釉薬原料、珪肺等の珪酸由来の職業病等についてもかなり早い段階のページで記述されています。しかも医者からのアドバイスつき。

 書籍は内容が売り物なので詳細は書きませんが、「SKILL BUILDING」という、技術構築、腕前磨きとでもいうのかな?これこれこういうやり方の練習方法やっておくとイイですよ!っていうコーナーがちょいちょいあって今説明した技術やモノに対する《理解》がそりゃ絶対深まるよな!という素晴らしいページになってます。

 彼自身を含めた現代アメリカの作家の器の写真がタップリ載っていて、そのバリエーションも理性的で見てるだけで楽しいし、今読んだ部分からの関連性でもなるほどな感じ。
 
 で、なんでバカがそこまでわかるのかっていうと文章が読みやすいんですよ。あんまり平易な単語でくる文章だとDOとかHAVEとかGOTとか意味が幅広すぎてニュアンスがむしろバカにはわかりずらい。「To be or not to be」みたいなのはかえってわかんないですよ。

 ベンの文章は「簡単な構文+見たことない単語」(俺はですが…)で構成されてまして、辞書引くとほぼ限定された意味の単語なのでめんどくさいが非常にわかりやすい、ということになってます。まあ俺は記憶喪失だけじゃなくて記憶力喪失も併発してるのでおんなじ単語何回も辞書引く羽目になってますけどね。
 英語の文章論ずるレベルにはもちろんないんですが、なんとなくでたとえれば中島敦読んでるような感じ。その難しい漢語の意味さえ分かれば非常にすっきりセンテンスみたいな。間違いなくものすごく知的で思索型の体育会系だと思います。見た目だけじゃなくて練習に関する考え方が絶対スポーツやってた人だと思う。時折アメリカーンなとっぴな例えも小気味よく入ってるっス。「さすが外人はうまいこと言う」的な奴。
 
 俺が内容の細かいところどこまでわかってるのかとか、実は間違って読んでるとか、非常に不安ですがいい本ですよ!俺が言わなくても裏表紙にいっぱい書いてありますけど。

 ほかにも、上から下まで一冊ずっと同じ格好(黒T、短パン、アシックス)してるなあ、とか、一日で撮影したのかなあ、とか、靴アシックスじゃん、とか、前掛けと短パンの汚れっぷりから撮影した順序やこの写真だけあわててやりなおしたんじゃね?が想像できるなあとか、フェティッシュな楽しみもありますな。

 アマゾンで調べたらまだ売ってるみたいです。まあ無理して買うことないですけど3000円拾ったら買って損しないと思います。

 出版社は十年一日のごとく似たようなのばっかり作ってないで、こういう本翻訳してくれないかなあ~。本屋で比べられて英語できない男に選んでもらえないってどういうことよ。

 
 それとヤキモノ教室の先生方!「教えアンチョコ」的なおすすめロクロ本あったら紹介してほしいなあ~。商売あがったりかもしれませんけど。


 
 

2018年5月21日月曜日

多孔質のアルミナるつぼ ラボサイズ

定番のアルミナるつぼです。基本的に作ってるものは見た目どれも変わり映えしないコップ型のるつぼがメインなので「あんまりこればっかり・・・」ってのもあって最近作ってもアップしてなかったんですが、読み返してみてもアップする記事のボリュームバランスが若干おかしくなってきてますな(多少は面白いと思うけど)。「お前のHP、何屋だかわかんなくなってきてんじゃねえの?」という心配の声も上がり(一人ですが)・・・

 というわけで、つまんねえかもしれないですけどアルミナのるつぼです。
多孔質で寸法も35×25×高さ50程度と大学のラボでも次々実験するのにちょうどいいのか、あまり切れ目?もなくよく作ってます。

 

口元がちょっとガジガジになっちゃうんですよね。
型の継ぎ目が痛んですり減っちゃうことと、
強度のためにサイズの割に粗い粒子が入ってるので・・・


2018年5月17日木曜日

排泥鋳込み超入門 穴を埋める 闇ヤキモノ教習(仮

 鋳込み成形の仕上げに特有な作業として気泡の穴埋めがあります。ありますっつっても完璧に鋳込んだ結果気泡なんかないよ!ってことも当然ありますし、そこを目指すんですが何かとどっかしら穴ぼこの一つや二つあるものです。見えないんでわかんないし直しようもないんですが閉気孔もありますよ。(やたらありますが多い文章)

 原料スラリーがシャバシャバな場合、たまたま泡立ちやすい原料(ってのもあるんですよ)が入ってる、型の形状からして空気のたまりやすい、巻き込みやすい部分がある等々の理由ですが、原因がわかったら対処しつつ少しでも減らしていくようにするのは当然としても…。

 穴あいちゃったもんはしょうがねえ直すか!というわけで穴の埋め方。

では前回までのおさらい
離型して・・

バリ、口元なんかを仕上げます

この場合はダンチの所で切り飛ばしました。

順番はそんときの都合にもよりますが、口、バリ、穴埋め、面均しの順番でやってることが多いかな?ダメージのでかそうな順に整えていくのが結局「ダメだなこれ」になるまでが早いので無駄仕事しないで済みますね。

 じゃ穴埋めますよ!
用意するのはこれ
穴あきボディ、水とスラリー、スポンジ、写ってないけどハバリ
で肝心なのが筆、面相筆をお勧めしますが、
写真のように使いすぎて過労死寸前の今は面相筆!でもOKです。

 勘の悪い方でも当然お分かりのようにスラリーを吸った筆を穴に突っ込んで埋めるわけですが…

 素地の表から見えてるピンホール、気泡ってのは奥の方が広くなってることが多いんですよね。そのままスラリー埋めようとしても口塞ぐだけだったりしてうまくいきません。
で下図のようにハバリでグリグリして穴を広げます。
こうすることできちんと穴が埋まるようになります。

穴ぼこを

刃物やドリルで広げます(わかりづらくてゴメン

 埋めるときに気を付けるのはボディの乾燥具合とスラリーの濃さの関係。
 基本的にいっぺんに盛るよりも、チョンとつける、水が引いたらチョンとつけてを繰り返して5回ぐらいで埋まりきってちょこっと盛り上がるぐらいがベストです。
 まだ水気の多い時には、濃いスラリー使えますが吸いが悪いので時間がかかります。乾きすぎてると盛ろうとしても上手く付かずにポロっと取れますので水で薄める感じでスラリーを少しづつ少しづつ盛っていくことになります。何も具体的に言ってないのを自分でも知っていつつ、ちょうどいいのはこの中間と言っておきます。何回かやれば要領わかってくると思いますよ。
 乾きすぎないようにだけすればかかる時間はともかく成功率は上がります。


高級な将棋の駒のように埋めてなお盛り上げ気味に

のちスポンジや筆で均します。直ったー!

 自分でいいと思うまで仕上がれば工程終了!乾燥棚に回しましょう。
 あとはお好きなように素焼きして釉掛けして焼成すれば完成です。
 


 急に「入門用のムック本的無責任クソ展開」ですが、まあいいでしょう。

 この生体整形(なんかジャンルSFっぽいな)以降はおなじみの流れです。鋳込み特有で発生する何らかの作業工程はないと思います(実際私は思いついていない)。

 排泥鋳込み入門として素焼き以前の工程、作業に関する説明はこんなもんかな?この先は、何か生じる問題の対処法や、根本のスラリー調整、型の設計の仕方的なものになると思います。

 何か質問やご意見、間違いの指摘などありましたら恥ずかしがらずにメールやコメントお寄せくださ~い。


 この穴埋め工程ですが、気泡がなければそれでいいし、そんなの気にしないでもいいような土、デザインもあると思います。こんな作業なきゃないほうがいいんですが、やり方知らないと直しようもないのでめんどくさいですが試してみてください。理屈自体はどの成形法で作ったものにも応用可能ですし、組み立てモノなどでスラリー接着する時もコツなんかは一緒ですよ。

 みんなが知ってるお世話になってるあの企業の便器や洗面台作ってる現場でも世界最高峰の職人の皆さんが同じことしてますよ!

   



排泥鋳込み超入門 グリーンの整形 闇ヤキモノ教習(仮

 グリーンっていうのは生体(ナマタイ)のことです。あんまり使わないかもしれないですけど。

 と、言うわけで離型して普通に触れる程度に乾いたら整形しましょう。

 作業としては主に…
1、鋳込み口を整える
2、バリ取り、段差消し(割り型の場合)
3、気泡の穴埋め
4、シワとか石膏型由来の傷を消す
鋳込み特有でいうとこのあたりだと思うんですが、もちろんこのほかにも

5、組み立て、パーツ接着、蓋もんなら摺合せ
 等のアッセンブル作業
6、切り落としたり削ったり刳り貫いたり
 といった切削加飾作業
7、化粧掛けの類とか
 等々の通常運行もあり得ますが、今回は上4つの鋳込み特有の仕上げをします。

 道具は自分の場合、
 カッター、ハバリ、ベルリンファイル(過去記事参照)など好きな得物
 筆
 スポンジ
 平らな板
 ウエス(お父さんのいらないメリヤスの肌着が最高、ただし私はおむつライナー)
 水
 スラリー
 ゴムべら
 が必須アイテムかな?
 これにお茶とお好きなBGMがあれば完璧でしょう

まず、カッターで口元周り等に起こりやすい型の欠けや気泡穴からくるいらない凸を切り落とします。
 あとでスポンジで拭き均したりできるので超キッチリでなくてもいいですよ。
 
 次は鋳込み口、今回の場合は思いっきりカップの口元ですね、を整えます。
 しぼったスポンジやウエスで撫でてやればOK程度が理想なんですが、平らを一回出したいときは・・・
こうやって平板の上に水を絞ったウエスを広げて口元をスリスリして面出しします。

 素地に粗粒の多い配合の場合は濡らした板だけで結構です。磁器みたいな粒度の細かいのは布をお勧めします。
 濡らす水気の量ですが、本体の残留含水量等々勘案して上手く見つけてくれい。目安としては乾き気味のときは水気多め、逆は逆です。当たり前ですが、あんまり乾きすぎてるときはビショビショにすると一気に割れるので気を付けましょう。
これが・・・


こうなる

 どんだけ摺るかにもよりますが、一気に無機質な肉厚いっぱいに角ばった平らな口元になりますので、刃物なりスポンジなりを駆使してお好みの形状に仕上げましょう。
 
 もちろんカンナもかかりますので、それでもOK。
ガワ整えるのもできます。
 
 形が決まれば改めてよく絞った筆、スポンジ、ウェスで傷や段差を消しつつ面全体をよく均して完了です。土ものだと砂粒が顔を出したりしがちですのでそういう時はゴムべらでなでつけたりする手もあります。磁器ものだとスポンジや布の目がヤスリ目になり過ぎても面倒ですから素焼き後のペーパーかけに残しとく分があってもいいと思います。

終わったらこうなりまーす
モノが違うのは勘弁

 問題は気泡が入って穴ぼこが空いてる場合ですが、それはまた次回記事にします。二三日の内に。

 スラリーが薄すぎたり、形状、配合によっては穴だらけになる場合があります。あんまりひどい時はもちろんやり直しですが、どうしてもこれを仕上げたい!もしくは練習だ!って方は覚悟をもって気合い入れておきましょう。

 私など五年に三回ぐらいは、「三月のライオン」の零君みたいに「俺にはこれしかないんだよ~ぅ!!やるしかねえんだよ~ぅ!!」つって泣きながら叫びたいことがあります。場合によってはそのぐらいクソ面倒ですよ。