2019年1月11日金曜日

釉薬をしゃぶりつくすには残りの人生あまりにも短い

 一応いろいろ記事にしてるとは言え、あなたの研究のためにファインセラミックスカスタムメードします!というのが私の仕事で、それを宣伝してるのがこのホームページなんですが、なんだかんだ言って人気トップテンの記事の半分は「釉薬の調合なんかをしている記事」なんですよね。みんないろいろ釉薬知りたがってんだなあ。面白いからしょうがねえよなあ。簡単で一番夢のある「何か新しいことやってみるか!」だもんね。

 ビデオ録画を取りだめる暇はあっても観まくる暇は無し(去年200本以上映画見たけどだ)、本を買いまくる暇はあっても読みつくす暇はなし(最近もうローガンですよ)、釉薬を試し続ける暇はあっても製品に落とし込むだけの暇は無し。みたいな話。

 人生という時間の尺度の選択が間違っていて、おそらくそれを知りたいだけ知るには地質年代で測られるべきかもしれないレベル。ジュラ紀とか。この例え上手くないか。



 例えばここに一つ釉薬があるとします。買ったもんでも作ったもんでもいいですよ。
思いつく限りで試してみるべきテストのパターン。
 1、もってる土全部に使ってみる。
 2、その際の濃度、もしくは厚さでもいいけど、濃い薄いとその中間で三種類。五種類でも
 3、焼成温度、10℃刻みでも20℃刻みでもいいけど数種類やってみるか。
 4、その際に窯のどこに置くか?上から下まで格段に置いてみる?
 5、釉薬の内容物によってはかけて濡れてるうちに焼き始めるのとしばらく置いておいて色変わってから焼くので変わる場合もありますよね?(あれ何?ソーダ分か何か水溶性のもんが表に寄っちゃうのかな?それともわかんないだけでホコリか何かかな?)
 これ全部掛け算したら何種類だろう?

 やばい!もう一つ釉薬があるよ!
 掛け分けたときの境目はどうなる?
 二重掛けしたときは?どっちが上?下?その際の厚みは上下それぞれどうする?
 この二つの釉薬を泥漿同士混ぜてみるか…9:1から1:9までやってみるかな
 それをそれぞれ上の1~5までやらなくちゃね
 あ、そうそう切り立った面と平たい面でもある程度の面積で両方試す必要があるな。
 見込側と外側で感じ変わるのも結構あるよな。
 溝の部分は膨れっちゃったりめくちゃったりするのかよ~
 下に呉須や鉄で線引いた場合と、掛けた上から塗った場合も両方確認しなくちゃな 

 ウソ!もう一つ釉薬あったんだっけ!化粧土だーなんつって作っといたのもあるぞ!

 一つ二つの出来上がった調合でもこれなのに、この前に調合を決めるためのテストまであるんですよ。何種類かの原料でそれぞれ四成分系の順列組合せ。
 
 もうね、人類の進歩のために、みんなで具合よかった釉薬や結果どんどん発表してシェアしましょう。一回誰かがやったことゼロから全部やるのはもったいねえよ。俺の使ってる釉薬だってもっと使いこなせる人に改良してもらったり使ってもらえるんならそっちのが幸せだしな。同じ釉でも百人いたら百通り以上でしょ?どんな達人でもこれはこれでいいや、の妥協といえば妥協。間違いなく。
 
 あいつ釉薬の名人だよな!って人から思われてるその名人はちっともそんなこと思ってないだろうね。俺は釉薬を知っている!なんて奴がいたらウソか寝言のどっちかじゃね?品物作ってる暇ないよ。

 と、いうわけで、こんなくそヤキモノ屋の釉薬でも気になったらどんどん試してみてください。

 





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