2018年10月17日水曜日

磁器陶器問題をオタクが斬る! 闇ヤキモノ教習(仮

 この闇ヤキモノ教習(仮)シリーズでは実際作陶するうえでそこまで問題にはならないような細かい用語の認識程度のことをいちいち揚げ足取ってるわけですが、もちろん理由があって、それは俺が純粋に、
「よりオタクっちい話題を垂れ流したい!」
 もっとすすめて
「オタクが増えればオタクっちい会話がもっとできるのに!」
ということです。一人で引きこもって仕事してるんで普段はラジオと話してるんですよ。

 ここでは、ハマり具合で、
 一般人=ヤキモノ趣味無し
 愛好家 
 オタク
 哲人=ガンダルフ級
 と仮に分けておきます。今回の場合技術レベルとは無関係です。

 だってどんな趣味でもそっちのが楽しいでしょ。上の子が中学から卓球部に入ったんですが早くも粘着ラバーがどうのカーボンラケットがどうの何とか回転サーブとかはじまってますよ。んな俺に言ってもしょうもないはずな話題を卓球だけに丁寧に。俺だって今月の映画秘宝に載ってた「舐めてた相手はじつは殺人マシンでした映画」について話したいよ!
 
 俺はヤキモノ人なのでヤキモノについてもそうです。5千円かと舐めてたお皿実は5万円でした!とか。違う!
 よく聞くその説明、ちゃんと考えたらそうとは言えなくね?とか、特に気にせずにさらっと流してたけど考えたらよくよく難しいな!みたいなことが増えるはずなんですよ。

 というわけで今回のタイトルをあらためてご覧ください。
 昨日の展示会中にちょっとこの話題になったんですよね。相手は研究者ではなくてまあありていに言えばヤキモノ弱者。「ヤキモノ弱者かと舐めてたそのオジサン、実はセラミックス協会の重鎮でした!」というのは10年前に身に起こった事実ですが(先生、すみませんでした)今回は違います。仲間内の一般人。

 石の粉から作る、土から作る、温度の高低、弾いてチンチンといった例のやつです。もちろんクールな俺は「まあそう言われることが多いかな。詳しく話し出すと長くなるぜ!」と流したんで話は終わったんですが、心の中では「いまだ世の中そんな認識なのだなあ(しかしここで説明が必要とも思えない)」というのと「スッキリこの場で非ヤキモノ人に説明できるとも思えない」というモヤモヤが…

 この「(もろもろひっくるめて)石土説明(と仮に名づけます)」どのぐらいの流布度なのか、と、今いじくってるこの機械で調べてみました。グーグル。
 結果「ス・ゴ・イ・量」
 わざわざHPなりブログなりに発表するレベルの方は、ほぼほぼこの認識みたいです。先にこの「石土説明」は陶器と磁器の本質的な差を説明してはいない!ということをよく考えた人には分かるんですが、そこまでじゃない人にはなんとなくわかるよくできた気がする説明だと万歩ゆずって認めてはおきます。

 そして恐ろしいことに本職=原料屋さんや作陶する側、製陶所=ここでいうオタクからの発信は限りなく少ない。食器屋さん系はほぼ例外なく「石土説明」。なぜか考えてみました。

 この陶器磁器問題、先のグループ分けに従えば
 一般人 言われなきゃ特に気にしてない、興味ない
 愛好家 作り方にも詳しいだけに「石土説明」に納得しちゃう。よく聞くし説明しやすいし。
 オタク(本職も) いろいろ考えすぎて整理出来ず発言できない
 哲人 さすがガンダルフ、一周回って興味ない(分類する意味も特にないし)
  という感じではないかと。
 こんなの説明するなんてやってらんねーよ!となるのはよくわかります。いいんじゃねえの?普通の人は「石土説明」でわかった気になってりゃ~。だよね~。

 否!こーんなどっから説明したもんかなメンドクサ物件の本質を説明しようと責任もって切り込むようなおっちょこちょい勇者がYOUTUBEに一人いました!!
 
必ず二回以上繰り返して見てください。
 さすが「オレたちの先生」。(セイジだけに)心底セイジツに解説しようと試みて、話は逐一本質的だったり興味深い話だったりの素晴らしい内容ながら、オタク=本職ゆえに苦心惨憺で、グリーンディスティニーのチャン・ツィーみたいになかなか着地点の見えないワイヤーアクションになってます。褒めてますよ!褒めついでに付け加えるとこの動画内では「釉も土も本質的には同じもの」ということまで説明してくれています。
 「陶器と磁器の違い」なんて感じで検索しても実質なんと三つしか出てこない解説動画の内、唯一「石土説明」を大幅に飛び越えてます!これ凄くない?たったひとつなんですよ。これだけヤキモノ動画とやらがあふれてるのに。

 そりゃそうですよ、陶器も磁器も炻器もそのほか器も、実は学術的定義なんてないようなもんで、各業界慣用的にいくつかになんとなく分けられてるのが多分実情。そりゃ粘土屋さんの親方=ガンダルフも一周回って「テキトーだよ」って言いますよ。
 境目や場合場合を考えれば考えるほど微妙になってきます。その証拠に用語辞典に項目がほぼありません。あっても「一般的に、主に、~なことが多い」なんて感じなんです。もちろん石土理論的なボンヤリした記述はまあないですけどね。よくよく考えれば「この製品の名前とか種類」を便宜的につけられる、以外では分類する意味すらないということに気付くと思います
 「石土説明」が間違ってるか、というと部分的にはもちろん正しい。その骨董オヤジの持ってる茶碗だの皿高だのに限ればそれでいいだろうし、例えば、ある製陶所内での分け方を便宜的に説明すればそういえるはず(その製陶所の人は上でいうオタク状態なはず)。ユークリッド幾何学の範囲内でなら正しいが…とか、一般相対性理論と特殊相対性理論(以下略)…みたいな?すいませんわかってないのに言ってみました。
 本当は俺個人は天動説と地動説だと思ってるけどこないだの今日なんでそういうディスはやめておきます

 分類する意味も特にないといいましたが、実際、磁器が好き陶器が好きとか言ったところで厳密に気にしてないでしょ?光が透けててステキ、とか、持った感じがやわらかあったかーいとか、冷たい感じの白が、とかそんな感じじゃん。俺だってそんな程度だよ。7割以上見た目だし。
 ファインの場合だって、常用可能温度帯、透過性(吸水性とかいろいろ)があっては困る(あった方がいい)とか、気孔率はこのぐらいが望ましいとか、熱間での内容物との反応性とかがそれぞれ大事なのであって、そんな陶器か磁器かみたいな言い分け方されたこと一回もないです。結果的に緻密(いってみれば磁器)か多孔(だからこの場合陶器)かみたいにはなるんですけどね。
 たとえば組織自体は緻密で吸水性ゼロだがブツとしてみればスポンジ状みたいなのあるしね。どっちなんだよ陶器?磁器?俺の判断では磁器!

 イノウエさんの動画にも答えは出てますが、俺もおっちょこちょい勇者の仲間入りをしたい。というわけで、オタクを自認したもののみに許される一方的な暴論で締めくくります。陶器と磁器の二つに分けるとしてならば…

 1、判断する必要はない
 2、どうしても決めたければ素地組織の焼結度合いの粗密で決める
 完全な多結晶焼結体、あるいは部分的に非晶質の結合部をもつ多結晶焼結体で、素地組織の吸水率がほぼゼロなら磁器。全部非晶質ならそれはもうガラス。
 3、そうでないなら陶器!(と適当になんとなく決めてよい)
 4、いろいろ考えてるうちに見ただけでとりあえず判断できるようになるし、あまり意味を感じなくなる。

で、どうでしょうか?異論は当然認めます!というか何か違う気もする(笑


 吸水率の簡単な判断方法

1、以下のものを用意します。
 A、ガラスのコップもしくは滑らかな透明光沢釉のかかったなにか
 B、石膏型、素焼き素地、棚板、つく棒のうちいくつか
 C、陶器だと思ってる食器をよく乾燥させたもの

2、Aを舐める。舌先を付ければよい。
  その滑らかな感触を味わう

3、Bを舐める。吸い付くのでびっくりする

4、Cの素地剥き出し部分に舌先を付ける
  AとBどっちにどのぐらい近かったですか?

5、いろんなモンに舌先を押し付けたくなる。

俺の修行してたところはみんなこれやってました。
「ヤベ!これ吸水率あるぞ!締め足りねえ!」みたいな~
大体何%か当てる奴いるし

 ちょっとだけ感じる!とかだんだんわかるようになりますよ!ただザラザラしてるだけのと吸い付くのの違いが分かればもうあなたはオタクです!!売り物にベロチョンしたくなる衝動を抑える努力をするようになれば俺の同類!気をつけろ!

 どっかの窯元や作家の個展やブースに行ってこんなことしだしたら「なめてたあの客、実はとんでもねえマニアもしくは作陶マシン!」と恐れられること請け合いですが…  







 
 PS/ユーチューブもグーグル検索ももっともっと先の方まで見れば窯業試験場とかの公的研究機関等の説明ページもあるのかもしれないけど、そこまで調べてはいません。普通そこまで調べないよね。だってみんな「石土説明」ばっかりだからそうなんだと思っちゃうじゃん。

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