2019年11月18日月曜日

高台のガタつきを取るよ

 というネタです。
 個人的に使う分にはよっぽどはっきりカタカタしてない限り気にしないんですが、一応作り手としては気に留めてまして、動かないようにしています。
 
 なんでカタカタするかって言うと、
 1、そもそも平らに作ってなかった。
 2、平らにはしてたんだけど抑え込んだ分が焼成で戻っちゃった。
 3、純粋に焼成収縮のひずみ
 4、(おそらく)長石の粒子が膨れて出っ張った。

 というあたりが原因かと。複数可

 まあとにかくカタつく器ができちゃったのでそのかたつきを治しましょう!という話です。窯出しして底(高台のことが多いかな?)を、うつわの底同士、あるいは粗砥を使ってズッて均すと思うんですが、そこで直らない場合の話、なおかつ専用の設備(平面研削盤など)を必要としない方法です。

 私の場合、使う研削アイテムは主に二種類、
 1、耐水ペーパー(#180あるいは#240)
 2、ダイヤモンドディスクウィール
 このどちらかを轆轤に張り付けて使用します。

 手つきのダイヤ砥石もアリですが、大作業には向かない(面倒)ですよね。
 ただし、ベタ底の大皿等の大面積で、なおかつ熔化のすすんだ素地、とかになると、機械使わないんじゃそれしかねえのかなあ~という気もします。

 と、言うわけで今回のセット 
がたついた器と、研削アイテムその1とその2

 左がその1、こと耐水ペーパー。これの番手は240#。50円か60円ぐらいのものなので必ずメーカー品を買うこと。いくつかの番手を揃えちゃいましょう。

 右のその2、ことダイヤモンドディスクですが、これは工具屋で売ってます。海外ブランドのレンチ並べてるような車用の店じゃなくて、地元の金属加工屋が使うような店なら一発です。番手はやはり#240前後かな?これは6インチですが、なるたけ大きめの方がいいです。最近は安手のものも売ってますので、2千円前後であるみたいです。経験上一般の陶磁器ならダイヤ砥石でさえあればメーカー名もないようなホムセンの安物でもOKです!
 岩山陽平さんのYOUTUBEを見ると、安物のダイヤモンドバーでもずいぶん楽ちんだー!とか言ってたしね。
 うちのダイヤディスクなら、今回の程度の仕事なら「生姜をおろすように削れます!」(さすがにうそ!)

 また、設計上の話をすると・・・、
 当たり前ですが、実際問題は、「平面である」、という必要はなくて、「ガタつかない」ということなので、以下のような方式もありなわけです。ということは先に言っておきます。

 1、金属加工屋でいうところの「キサゲ」の理屈の「平面」 
まピラピラのまっ平らよりヤキモノの場合のちのち楽です。

 2、実は凹面型

この縁の部分が若干高いです。
これならベタ底とはいえガタ取りは超楽です。


 長い前置きは終わりにして、道具がそろったら実際やってみましょう!

 ロクロの天板に耐水ペーパーを張り付けます。そしてカタつく器を用意。
 ロクロの天板はこのさい定盤代わりにもなります。 


 水研ぎします。
 手でスリスリして直ればそれでよし、時間かかりそうならアクセルオンだ!
器が変わってる!とかは気にスンナ!
 コツは、こまめに90度ずつ回して持ち替えること!そうしないと片減りします。

 定盤(ここではガラス板)に載せてチェック! 
ものの数秒のはずです!

 ガラス板、あるいは鏡が簡易定盤として大変便利なんですが、最近の鏡、特に姿見などはもしかすると、使う方の気分が朝から悪くならないように「若干痩せて見える(オプティカル痩身)加工」の可能性があります。気をつけろ!(心底いらないウソ)
 下手に100斤のとか使わずにそこそこは普通のもの、ベストはガラス屋に切ってもらうのが吉です!その際は面取りもしてもらってね!

 
 と、まあここまではごくごく普通の話。
 ちょこっと本職仕様の話も足しますね 
 平面をびしっと出したいぞ!といった研磨研削工程では・・・
こうやってグラファイトで研磨面を全面色付けします。
ココではわかりやすいように糸目の高台を研磨してみますね。

 当然高いところが黒くなってます。 
 これをちょっと磨ると…
削れたところが白く抜けます。

さらにちょっと研磨しました。

残りわずか。

  写真撮り忘れちゃいましたけどここでさらに全面黒く塗ります。
そしてとどめの研磨。
と、全面仕上がりました。
濡れたガラス板の上で滑り出しますよ!!
(説明大雑把ですが)こうやって研磨(研削)して面出しします。

 今回植木鉢仕様の焼きのアマイ吸水率残しの素地ですので、耐水ペーパーでも楽勝でした。ダイヤを使えばあっという間ですよ。普段はダイヤモンドディスクを使って昼休みのちょこっとした時間にいくらでも仕上げられます。

 あと今回のお遊びも追加で。
 畳付部分を普通に施釉したものを研磨してみます。
 これは耐水ペーパーだとちょっと面倒かも。ダイヤディスクを使いました。
現れた「釉薬の内部」には細かい気泡が見えますね。(右クリックで開く)

  で、何をしたかったかというと…
練り込みじゃなくて釉薬でも『研ぎ出し』があり得るんじゃないかと思いましてね~
 糸目に天目釉が残って模様になりました(やはり気泡がアリますね!)。切子のガラス器みたいなのもいけるでしょ。

 底をびっしり施釉したものを、もっと細かい番手まで研いでピッカピカのトゥルットゥルにしてみるのもアリなんじゃないかな?
 じゃあどう棚板に載せて焼成するんだよ!というのは考えてませんけど。

 ファインでは常識でも焼成後の研磨、研削加工、というのは一般陶磁器ではなかなかないと思うので製作のネタにでもなるかもね、と思ってアップしてみました。寸法出すだけじゃもったいねえや。

 他にもラッピング加工で蓋などの嵌めあわせの精度向上、化学研磨(織部の渋抜きはそれに近いかも?)、サンドブラスト、薄膜形成等もありでしょ?(特殊な、スキモノ作家の作品では見たことがあります)

 チャイナペイントや上絵だって言ってみれば出来上がったのに絵や色を足してるだけっちゃだけ(暴論!!)と思えば、本焼成後の機械加工だって邪道とか言われる筋じゃねえや!と思わなくもないのですよ。
 

 今思ったんだけど、このネタは動画向きだったかもしれないっすね~

 ひとつ前の記事とこの記事は風邪中にしたためてました(笑

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