2020年12月23日水曜日

2020 つくせらヤキモノ本アワード

 年末ですので誰得企画が続きます。

 別にやるこたないけど毎年やっとけばそのうち何かになるやもしれないので、「つくせらヤキモノ本アワード2020」行きます。例によって古本、海外本多めですけど、今年俺が読んでみた本、というのが条件なのでそこはご了承いただきたい。


 今年は世相を反映した結果になっています。(というかしてみました)


 まずは、まったく世相に関係ない「技術賞」から 

 小出力さん著『読み物 熱力学』です

 古本屋で100円でゲット。


 まあ、必要ないっちゃ必要ないけど知ったらずいぶんためになる、って科学の知識はヤキモノにはずいぶんあるんですよね。その中でも自力でやろうと思うと相当ハードルの高いのがご存じ熱力学。法則三つ何となく覚えて終わりにしてる人いませんか?もちろん私がそうです。

 この本、ヤキモノやるうえで特におすすめはしませんが、今まで読んだ中では一番読みやすかったです。相当いい本だと思います、とはいえやっぱしデルタ付きの式がずらずら出てきて俺ごときには厳しいっす。つか、別に『読み物』って程でもねえよ(笑

 熱容量の計算とかできるようになる必要はないけど理屈のイントロぐらいは知っておきたいのでチャレンジしました。というわけで正直斜め読み(笑。

 それでも俺にも何とか多少はわかった気になった気がしないでもないって感じだったので、えらそーに表彰いたします!!

 あー、どっかに馬鹿でもわかる熱力学みたいな本無いっすか?誰か教えてください。


 では、次、『素焼き部門賞』の発表です

 Brady Knoxさん著

『HANDBOOK ON HOW TO BISQUE OR BISCUIT FIRING POTTERY』

 邦題を付けるとすると「素焼きハンドブック」といったところかな?

 なんで写真がないかというと、アマゾンの電子書籍で購入しました(タイトルでリンクしてます)。

 たった36ページばっちで写真も図もない「どっかのおっさんが出した自費出版の新しい形」のあれなんじゃないかと思います。というわけですっげえ気になったんだけどどうせ1000円も出して買う本じゃねえだろと、生まれて初めて400円の電子書籍買いました(笑

 まだざっとしか読んでないんですが、「素焼きだけで一冊の本」ですよ!素焼きだけで36ページですよ!!

 「ビスク」あるいは「ビスケット(ビスキット)」という言葉にはヨーロッパや日本の場合、釉をかけないいわゆる「締焼」あるいは「焼締」という意味であることも多く(特にファイン界では)、結構取り扱いが難しい言葉なのかもなあとも思っています。この本の場合の「BISQUE」はぶっちゃけ米語、釉焼成前の仮焼成、伝統陶器、陶芸、でいうところの狭義の「素焼き」。


 中身はといえば、言葉の使われ方使い方から、素焼きの意味、メリットデメリット、乾燥工程、物性的に何が起こってんのか、素地などに合わせた焼成の理屈とパターン、はてはエンゴーベ(化粧掛け)のテクニックと実際に至るまで、素焼き前後の派生案件が目白押しで記されているようです(これもざっと斜め読み、ゴメン)


 エロ同人誌ぐらいの薄い本とはいえ、しかも写真も図版もなんもないとはいえですよ、これで一冊ってすごくないですか?

 部門賞、授けます!!


 では次、「非主流焼成炉部門賞」なんじゃそりゃ?を発表します


 James C.Watkinsさん&Paul Andrew Wandlessさん共著
『Alternative kilns&Firing Techniques』

 これは表紙に出てる四つ、「アメリカ式RAKU焼」「穴掘って焼く」「匣鉢に詰めて焼く(この場合剥き出しのマッフルにバーナーつっこんだりも)」「ドラム缶で焼く」の主に四つを焼成テク込みで詳しく紹介した本です。
 バケツで焼くとかなんとかやってるときに勢いで買いました。名著!!
 これはこの後発表する大賞の本がいなかったら間違いなく大賞でしたよ!!

このページ、見る人が見れがぴんと来ておおっとうなると思います。
 今年はこれ作りたいなあ~。

目次です。

裏表紙
 
 知恵とKUFUを結晶させた自作の窯で「やっつけ、間に合わせじゃない作品だって作れる!!」(温度は低いですが)
 

 James&Paul、いい本出してくれてありがとう!

「俺たちに焼けねえものはねえ」

「俺たちって誰だよ?」

「ポールとジェームズと俺だ」みたいな。

 こんな本置いてあるってつくばの古本屋どうなってんだ(笑

 最近ダーティーハリー好きのうちの娘は、ドルチェ&ガッバーナってスミス&ウェッソンより強いの?って謎の質問をしてきました。


 では、『大賞』を発表します!

大・芳村俊一さん著

『ダレでもできる自主陶芸』

に決定いたしました。

「誰」じゃなくてカタカナの「ダレ」ってところに強い主張を感じますな!最高!

 近所の古本屋で200円でゲットしたんですがこれまたスゲエよ!!

 内容は言わずに目次だけ。



 てめえで責任取るつもりのない偉い人が下向いてアンチョコみながら「自助が第一」とか抜かして、具体的な話は一切せずに全部こっちのせいにするつもりみたいな世の中ですからね。こういう本読んでヤル気に満ちたいもんですよ。

 え?どういうことかって?

 個別の答弁は差し控えさせていただきます。


 とにかくこの本が今年の大賞です!!


 ついでに「低温焼成特別賞」も発表します。

 Susan Hallsさん著

『Ceramics for biginners animals&figures』


こんな焼き方もありますよ~的な

 まあね、なかなか前二冊読んで頑張ったところで1000℃前後がせいぜいかもしれないっすよ。でも低温焼成は普段の1200~1300焼成の劣化版じゃありません!!これは強く言っておきます。

 そこでこの本ですよ!!動物の人形とかとにかく飾り物を作ります。


 低温ならではの技術的利点(たくさんあります)からくる表現の天井の高さがそこにはあります。焼造物の機能的側面を無視して楽しもうと思えばこういった人形や何かスカルプチュアを作るのが一番「誰でも純粋に楽しい」んじゃないでしょうか?

 この本の中でも機能的なわけじゃないものを作るからにはべつだん規制はないんだからガンガン行こうぜ!と書いてあります(超大幅に意訳しました)

 もちろん焼成、乾燥、釉薬含めたいろいろな製作テクニック満載で技法所としても見ごたえがたっぷりあるし、紹介されてる作品も楽しい。一つ問題があるとするとどこがビギナーやねんとは思いましたが(笑


 実は夏休みの工作用に娘に教えるためにアマゾン調べて買ってみたんですが、この世情、別のところで意味を持ってきた本です(俺の中で勝手にですが)

 

 ほぼ、以上です。

 今年は、自前、そしてその自前を最大限生かすモノづくり、をテーマにしてみました。

 

 あ、番外編が一つ


 夏頃ひっさびさ(多分20年以上ぶり5回目ぐらい)に読み返したんですよね。

 千葉出身なので千葉(チバ)が舞台なのはもちろん覚えてたんですが、主人公ケイスがうろついてるヤバイ街(ストリート)の名前が「仁清(ニンセイ)」いきつけのヤバイ酒場の名前が「茶壷(チャツボ)」なんですよ。それだけ(笑


 千葉県のド田舎(北のはずれ)出身の俺は、中学生当時これ読んで千葉が舞台なのにコーフンしつつも「あの辺(湾岸)はホントの千葉じゃねえ!あれは東京になれなかったパンの耳だ!」とも思ってました。無駄に横文字のカナ振ったりしてたっけなー(笑

 いやあ、久々に読んだらまた新しく面白かった!!没入(ジャックイン)しちゃいましたよ。

 物語としては続編の『カウント・ゼロ』のが面白かった記憶があるので、正月はそっち読み返す予定。

 

 無理やりこの本ネタにしたこじつけをすると、物事に正道、表通り、メインストリームがあれば必然的に裏道(=パンク)があって、それはそれですこぶる魅力的なハズ!

 今回選んだ本もその辺多少意識しましたが、これらはパンクではないかもなあ。

 ヤキモノの場合はどんなのがそれにあたるのかなあ~、と思ってしまいもする年の瀬です。

 少なくとも器にトゲトゲを付けたり、ケバイ装飾的だからって全然違うし、自分でストリートとかオリジナルとか言っちゃうのも違うよなあ。

 この辺大量生産技術との境目に何かあると思ってるんだけど。






















 





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