2019年2月5日火曜日

溶融式温度(焼度)計「俺コーン」の自作シリーズ・・・とりあえずおさらい 

とりあえずゼーゲルコーンゼーゲルコーンといってますが、コーン式の溶融熱量計は全部意味一緒なんで代表してゼーゲルで話します。

ゼーゲルコーン代替品の自作、というテーマで記事にしたいと思います。
で、いきなりオルトンコーンて…このおおざっぱな成形が好き!

去年から陶芸教室に通っているパチーノも一年弱経って「俺もだいぶのし上がってる」という狂気の発言を繰り返して手におえないバカさ加減なんですが、実製作のテクニック(まあ簡単にいって「腕前」)に関しては正直場数。でも知識の部分は知っとくだけで大違い、というわけでいろいろ説明しにくい(aka俺だってどこまでわかってんのか責任とれねーよ)ことを聞いてくるんですよね。でまあこれ幸いと自分の頭の中を整理できるという利点もありここで「とっととのし上がりたい初心者入門者」の方を対象にボチボチ記事を書き連ねてるわけです。
 どうしても先生口調になってしまって上から目線の嫌な奴、みたいな記述になりがちで自分でも不安があったんですが、パチーノからの「ただで教えてやってるんだから上から目線で当たり前!本職なんだから上だろ!ムカつくやつもいるだろうけどな!俺とか!」という心強いお言葉をいただいたので今まで通りで行きますよ(笑

で話題に出たのがゼーゲルコーンは作れるか?答えは限定つきですがイエス
つまり「何か簡単で便利なゼーゲルコーンの代わりになるようなもの」を作れ!という指令を受け取ったらあなたはジェームズ・ボンドのように即「よろこんで。『M』」と答えなければいけない。ということです。
限定つきってのはどこまで原料の安定性とかを担保できるかとかはおいておいて、俺が俺用に作って使う分には問題なし!って意味ですよ。

先にゼーゲルコーンについてのおさらい
なんてのはいくらでもご勝手に調べてください。それで理解は必要十分のはずです。
のし上がりたい!あの先輩クソ親父を組み敷きたい!屁理屈でいいんで言い負かしたい!という向きには、
「ゼーゲルコーンは温度計じゃない!耐火度試験用の指標だ!」とか、
「4㎜沈めて!背中は80°で!曲がってますよ!」とか、
こうやってセットしろ!みたいな

「ゼーゲルコーンとオルトンコーンだけじゃないよ!ISOコーンとかもあるし、チャイニーズコーンとか国によってはローカルコーンがあるみたいですよ!」とか、
「番号の後ろにaの付いてないのは還元対応じゃないのだ!」とか
「1000℃超えたら10℃/m、一個下が曲がったら分速3~6度が標準の試験モード!」とか
挙句の果てに「どうせ釉薬の色とか溶け具合しか気にしてねーくせに。色味いれときゃたくさんじゃねーか!」とかほざきだすとたんにテメーが嫌な奴。になりますよ!注意。
(私も今JISと教科書確認しながら書いてます(笑
一応持ってますよ!古いけど。

本来?の使い方は、同じ形に作った(試験コーンの形状も決まってます)素地原料の軟化して折れ曲がったときに、同じ状態になったコーンの番手から耐火度を知る。といった焼度測定用使い捨て熱量計です。


原理として
「成分の割合が一定であるならば温度が上がれば軟化変形の度合いが増す」裏返って「温度が一定ならば成分の割合によって軟化変形する度合いが異なる」したがって変形の度合いの基準を決めておけば炉内の温度(というか熱量?)を知りえる!という論法です。単なる炉内の温度ではなく、焼造物にどれだけ熱量が与えられた状態なのか、ということが「まさに焼成中の今、目視して確認できる!!」というのが最大の特徴です。

つまり現実問題われわれ窯屋でどう利用されてるかを書けば(俺はゼーゲル使ってないんですが)
1、焼造物がこの状態の時にコーンの何番がどんな状態か。ということがわかれば、コーンの何番がこの状態になった時に焼造物はこの状態、ということを推測可能!というわけで、キチンと焼き上がったのかどうかをのぞき穴から決めた番手のコーンの曲がりっぷりを通じて確認します。

2、炉内各所に設置して炉内の温度分布を知る。あっちとこっちで違うんですよ。窯詰の状態にも非常に大きく左右されますが。目視コーンがこの状態の時にあっちの奥はどうかも窯開けてみるまではわかってる気になれます。
 曲がり方によって焼成後SK番号に+と-も付けて(SK20+みたいな感じ)確認しますよ(きちんとした人は)

3、親方、あるいは客先にしっかり温度上げましたよ!という証拠。

4、コーンの状態が同じなのに焼造物がいつもと違うのは俺がどっかで何か間違ったはず(これ大事)
といった感じです。

おさらいしないとか言っておいて嫌味な薀蓄垂れ流しましたが、ここからは知っとくと大違い!ゾーンに入りますよ!。

で、コーンを自作する!
というわけなんですが、できます。精度と手間を考えなければ。
なぜならゼーゲルコーンは公的なものですので、どっかの会社の企業秘密とか、ハッピーターンの粉とかそこらのケツ孔の小さい陶芸家の「オリジナル釉薬」とは違って組成がゼーゲル式の形ではっきりしてるからです。
左から、番手、指標温度、K2O、Na2O、CaO、MgO、Al2O3、SiO2、B2O3です
実質7番以降ならK2O、CaO、Al2O3、SiO2の四つを近似させればOKだよ!

 ゼーゲル式の計算法はこのHPでは面倒なんで今後もやりません。やる気アリ男な皆さんはすでに良心的な本やよその良心的HPでチラッとでもかじったことと思います!限定的ですがわかりやすくて知っといて無駄なことはひとっつもありません。(知識って荷物にならなくていいですよね)
 もう俺もゼーゲルの手計算なんて10年以上やってないのでやる気起きないですが、そのためにエクセル作るのとどっちが時間かかるか30分ぐらい考えた後、結局ちょっと計算機片手に頑張ってみたところ大雑把に次の感じじゃないでしょうか?

SK7 長石28 シリカ43 石灰石12 カオリン17
SK8 長石25 シリカ45 石灰石10 カオリン20
SK9 長石22 シリカ47 石灰石9 カオリン22

まじか?なんか結構きれいに溶けちゃいそうだなあ。計算が不安だ!

各材料は福島長石、純シリカ、ネズミ石灰、NZカオリンのなんかの本で見た分析値からはじき出してますが、こんなもん俺(あなた)用に自作する以上モノホンのゼーゲルコーンと少々違ったところで加熱に対してリニアに反応してくれればいいわけでお手持ちの材料でOKですよ。
 カリウム分だけ長石で取ったら残りは炭カル、純アルミナとシリカで混ぜると組成的にも計算的にも収まり良いんですが非可塑性材料の経験がないと成形性が著しく悪くなっちゃいますしね。あと原料の細かさとか使った材料により耐火度や軟化開始の増減いちいちあると思いますがいつも同じので作ればそこまで変わらないで十分指標化できるはずです。
 まじめな方は各々の材料のカタログ値からあらためて計算してみてください。今受験で頑張ってる娘さん息子さんの気持ちを少しは分かってやれるかもよ!

コーンの肝は、決まった成分で決まった形状で決まった設置法このうち一つでも崩れると窯業計測としては、たとえ俺用としてもイマイチ!です。

問題はどう形造るかというところですが、コーンの本物を石膏で型取りして柔らかく練った素地を押し付けて成型、が一番簡単かと。ほんのちょっとバインダーとなるCMC,PVA,あたりを混ぜ込んでやれば成形後の乾燥強度も確保できると思います。素焼きして保管しておけば「ゼーゲルコーン代用品」の確保完了です。あ、テストは忘れんなよ!

ここまではゼーゲルコーンの私的製造法ですが、いかがでしょうか?なんで作った写真がないのかって?作ってねえからだよ!

何しろゼーゲルコーンの複製じゃあキッチリ度合だけが問題になってつまんないんでこのシリーズでは「俺専用俺コーン」を作ってみるかと思ってんですよ。
何しろ『M』からは「ゼーゲルコーンみたいなの」というだけでなく、変な形だったり、より利便性があったりの「俺専用コーン」なんてつくれたらいいんじゃないでしょうか?的な任務を受けたんですよね(ジョーダンですよ、イノウエ先生!)
つまり、「面白簡単」的なコンセプトコーンを創造します。

「面白」をひとまずおいておいて「簡単!」は大事な大事な基本線としたいと思います。
俺専用度も上げたいところですがそれみんなが始めて名前もコードネームになっちゃうとほぼほぼ共通項がなくなって俺の「フクダコーンBZエレガント」と「パチーノコーンドラゴン改#7サイクロン」ではどっちの温度がどのぐらいどうとかサッパリ訳わかめになりそうでまずいっすよね。まあ俺はそっちのが好きですけど。
 というわけである程度以上専用度を高めるのは各々の趣味と必要と中二病度合いに任せるとして、ここでは基本作戦みたいなものを立案します。

まず俺コーンの条件としては、
 1、自分の胚土を使う
 2、自分の釉薬を使う
で、
 3、焼成中に変化を確認できる
 4、できれば設置も簡単な方がいいなあ~80°ってなんだよ
あたり。

あんまり長いのも読んでられないんで今日はここまで。
マジ横書きの日本語の長文画面で読むって苦痛ですからね。ネタ小分けにできるし(笑

とりあえずうちの釉薬で一番粘っこくて耐火度高いの固めて(鋳込んだ)こんなの作りましたので試験待ちです。焼成はしばらく先かも?しくじっても記事にはしますが…(すみません。












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