2019年4月24日水曜日

GW 陶器市の楽しみ方、裏編

「裏編」って表編なんか無いですよ、というか、そっちはお好きにどうぞ、という意味です。

 GW間近ですね。ゴールデンウィークですよ。いくら俺がへそ曲がりでもここでガンダムウイングとかジョージワシントンとかギガワットとか言い出しません。どこ行ってもくそ込んでてサービスエリアでションベンするのにさえ列に並ばなきゃいけない、畑に植え付けでもしてた方がましなあの連休のことです。
 
 いちいち調べてないのですが、産地では陶器市が開催されることが多いと思います。笠間と益子はやってます。山挟んですぐ隣と言ってほぼほぼ差支えない近さなのでハシゴも可能(ロードバイクの練習なんか最高だよ!)、私も家族にどっかつれてけ言われて断る理由の持ち合わせがなかった場合は行くことにしてます。きっと皆さんのお近くの産地でも開催されると思います。きっと。多分。ぜひ開催してください。
  
 ホントは平日に行くのがおすすめなんですが今年は無い。コミコミの陶器市にいくと家族連れも多くて午後にもなると夫婦のどっちか興味ない方とか子供たちが死んだような眼をしてゾンビみたいに歩いているのを見るのも楽しいですね。ショッピングモールとかアウトレットパークのベンチでホセ・メンドーサ戦後のジョーになってるお父さんゾンビには負けますが。

 ここで、「ヤキモノ作りを趣味としてる皆さん」向けに陶器市の裏の楽しみ方を紹介します。

 表的、正統派な楽しみは、向こうからモノ持って集まってくれてるからいちいち自分で回らなくてもいいし、知らなかった作家や製陶所が勝手にそこにいてくれる、とか、ちょっとお安くなってる場合も多いとか、マニアになれば「新作が出てる」とかよく知らないけどいろいろあると思うんですよね。

 ただ作る嗜みのある我々にとってはそこじゃないんですよ。いやそこでもいいんですけど。

 個人作家じゃなかなかないかも知れませんが、ちょっと残念な、いわゆるB級品(ピンしたり寸法飛ばしたり、ちょっと間違っちゃったやつね)をかなり安くガサガサおいてくれてる場合も多いんですよね。
 ここにお宝(金銭的価値のことじゃないですよ、下品な!)があります。

 性格悪く思われるか変態的と思われるか、どっちでもいいんですが、普段から俺が買うときはカッコいい、しかしちょっとミスってるかもな、とか、微妙に難じゃね?かもしれない部分があるなって奴を買うことにしてます。ミスの種類もいろいろあるんだけど、単にフォルムとかカッコ悪くなっちゃった、とかじゃなくて、手順、段取り、その時作り手の手がどう動いていたか、などなど「作業中の歴史的事象としての過去」がわかる、感じられるもの、あるいは、その素地や釉の組成や特徴が何かにじみ出てしまった部分のあるものなどです。もしくは、こんな立派な方々のはずなのに俺と同じような失敗してるよ!なんか親近感~(はあと)みたいなのもお勧めです。

 表に出るはずじゃなかった指痕とか、そんなつもりでもなかったような釉薬の垂れ、なんかはどういう態勢でどう持ってどう待ってたか、とかが想像できてインセプションできますし、一か所描き忘れちゃった、とかもかわいいですよね。

 というわけで「例えばこんなの」というのをズラズラ出してきたんですが、写真を出してホラホラッてのはさすがに同業者としてできません。
 とはいえ一切紹介しないのもなんか伝わりずらい記事になりそうですので
「その産地を代表する、ボス的な、場合によっては人間国宝の、俺ごとき社会の底辺ビンボー人が手にするなんておこがましいレベルの窯屋さんなのにほっこり系しちゃってテヘ!」みたいなのだけ名前を出さずにわかりにくい写真で紹介します。ばれたところでマジ大物なんで屁でもないはずです!

 では一番目
同じもの五枚ありますが、見せられない表側にもどれも微妙にずれたミスがあります。
しかし!裏側仕上げるの忘れて焼いちゃったこれはマジ絶品。

 次は、多分窯屋としての格は今回中最強のこれ。陶器市で買ったんじゃないんですが・・・
三点の付け高台なんですけど、メッチャ傾げてます

 この窯元は、まさか買えると思ってないけど勉強のために寄ったんですよね。売店?ショールームか、では素晴らしい風格の美しい、力強いのが並んでまして眼福ですよ。そんな折にそこの人が、「あちらに『普段使い用の器』がありますよ」と教えてくれたんですよね。あー悪かったな!どーせ俺なんて見るからに場違いだよ! あんたの目は正しーよ! メガデスのTシャツ着て入っちゃいけない場所だったみたいです。

 普段使いといってもそれなりにするんですけど、なんか面白くていろいろ見てたら、別の若いお兄さんがこっそり「普段使いってあいつ言いましたけどちょっと向こうに行けなかった難あり品(半額以下)も結構あるんですよ。よく選ぶといいですよ!」と笑いながら教えてくれたので、一番ひん曲がってるこれを選びました!

 とにかく、この窯元の態度は正しくて、普段使い用と、セレモニアルユース(そんな言葉ある?)のものがハッキリ分かれているということをうやむやにしてないのはさすがと思いました。


次はわが祖国、ユナイテッドステーツオブフクシマの大物窯。小さいお碗ですが… 
何か所もブクブクしてます。
 こんなこともあるさ!
 これ見てオバサンがあら!つって、タダでくれました(笑
 もちろんいろいろ揃いで散財したからですよ!いや、うちのバアさんが知り合いだからかも? 
 俺ココの器大好きです!風格にしびれる!


 最後は見ただけじゃわからない系のうっかり君
同じ他のに比べて度を越して重いです。その差200gなんだこれ?
手首が折れそうだ!

 どっか途中の工程で気付いたはずですけど、まあ、陶器市で売るか。笑えるし。だったりして。


 暮れに亡くなったウォーレン・マッケンジー大先輩が「作り手と使い手が本当につながったって言えるのは、その作り手の存在が製品を通して感じられた時だよ。手作りの品物の意味はそこにある」とおっしゃってました。どこに書いてあったか忘れたけど大筋多分こんな感じです。大先輩の作品に無造作な指の跡がついてることが多いのはアメリカンな性格と「安く庶民に届けるため」に無駄をできる限り排除したことだけでなく、その意味も大きいでしょう。いやらしい装飾的な感じは意外としないんだよなあ。何より美術館で現物見ると手のデカさに驚いてそれどころじゃなかったけど。

 作り手の存在は完璧に仕上がったものよりもうっかりミスにより強く感じられるわけです、ってのは意地悪極まりないですけど、でもそうだよね。

 今回は本当にバカにしてるわけじゃないんですよ。こうやってミスにまみれながら手作りしてるんですよ。全部が全部なんて俺だって無理ですけどこういうのを大事に使うっていう部分を生活の中に半分ぐらいは持ちたいよね。ってことも声を大にして言いたいよな~みたいな話。

 思いのほか心温まる着地しちゃった。

 
 陶器市行こうぜ!
 俺は石膏型作りしてますけど。アベンジャーズも見なくちゃね
 
 

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