2019年2月25日月曜日

しっぴき最強選手権 結局糸は何糸がいいのよ?

言いたいことは全てすでにタイトルになってます。

最強選手権なんつってもいろいろな糸を「切れるまで切る」(わかりますか?この謎の概念)なんて暇なことはやってらんねえわい。ってわけで、皆さん何使ってるかお勧めなのを教えて欲しいみたいな感じ。

 切り糸シッピキも一口では言えず、作業の都合や何やかやで何パターンかつかいわけてるんじゃないかと思うんですよね。
 
 まず、土練、管理の段階
 ・成形過程に向かう通常運行。
 ・固くなっちゃったのをなんとかするためにスライス?する。
 この辺は太かろうがなんだろうが丈夫ならOKって感じではないでしょうか?特にこだわる必要はないかな?

 成形段階、
 ろくろなら
 ・つくったものを山からピョッと切り離す片端解放の例のあれ(どうでもいいけどあの方法最初に編み出した奴は天才じゃね?野球で初めてスライディングでベースタッチしたやつと互角の凄さだと思う)
 ・天板なりカメ板なりに押し付けて切る場合。

 ・自分の場合、分厚く作って面取りってのをこの段階でやることも好きなのでそれ用  
これは「アクションロクロ倶楽部(会員No.007です)」ってことでよろしいでしょうか?


 ほかにも
 ・板しっぴいて作る場合の糸。
 ・切り跡即装飾になる場合もありますよね。
 


 と全部が全部じゃなかろうけどいくつかあるんじゃないですか?

 糸の種類としては、
おなじみっぽい(知らないけど)釣り糸系は太さの種類が豊富です。
 ・ナイロン、伸びるのがいや、なんだかんだ安くていい。とりあえずメイン。劣化が早くてムカつくタイミングで切れる。
 ・フロロ、使ったことないです。
 ・PE、強いけど噂では根ずれに弱いと聞きますね。最近使いはじめたんですが快調です。伸びがないので好きだけどちょっとしなやかすぎるかも?あとはどのぐらい持つかかな?

 タコ糸。木綿は痛むのが早い。太い。豚肉を縛り上げるのに使う方が好き。

 水糸。材質によるけどこれは最強候補かな?強いですよね。伸びないし、しなやかさも適度。価格対効果も高い気がします。切り糸でなくても使い道多そうだ。

 墨ツボ用の糸。水糸で太い場合はこれかな?絹糸は今時売ってるの?ほぼナイロンだと思う。引っ張り強度も高そう。

 ヨーヨーのストリング。使いましたが細かい作業には不向きです。毛羽立つし。

 けん玉の糸。網紐なんで太い。伸びないし強いけど短い。好む人がいる可能性高そう。高くつくな。

 楽器の弦。ギターの金属弦は細くて強い。固定はしにくいね。
     三味線の弦は、悪者の吊りあげるのに投げつけた方がカッコいいです。ビーン!カクッ!なんつって

 自転車のワイヤー。デュラXTRグレードのがさびなくてお勧めです(太いよ)。

 ステンの針金。俺が使いたい細さのはすぐ切れちゃうんだよなあ。

 ほかにもなんかつかったことある糸あったような気もするけど。

 自分の場合の現状の打線は・・・
 1、ロクロでピュッとやるあれ。 壷糸、太さ0.3ナイロンか、水糸、ナイロン0.5
 2、天板に押し付けてズバッとやるあれ。 釣り糸のナイロン3~4号の撚ったもの、もしくはPE1号
 3、表で荒練りする時の「外人ワイヤー(師匠から外人は荒練り切りながらやるんじゃ、と聞いたので)」 水糸の0.8か、海釣り用の15号ぐらいのナイロンライン
 4、板をしっぴくとき PE1号か壷糸、水糸
 
あたりを使い分けてる感じです。


 まだ使い始めて間もないんでおすすめといってはなんですが、PEラインはよさそうです。全然伸びがないんでピンと張れるし、ナイロンや針金では加飾のために結び目やキンクを作ると其処からすぐ切れちゃうだけどそれがない。根ずれに弱いって聞くのでざらざらの粗い土だとまずいかも知れないけど。
 持ってる方は使ってみる価値ありますよ。持ってない方は、買うと高いんで知り合いの釣り吉に小分けでもらうか、散歩がてら近所のバス釣り場をウロウロしてればマナーも技術もなってない釣り人がバックラッシュした糸放置してると思うんで回収するとサイフ、環境、健康にやさしくて一石三鳥、たぶん生臭いからマイナス一鳥してもまだ一石二鳥だよ!そのときは、その他のゴミも回収してみると来週釣りできるぐらいたまるかもね。


 
 皆さんお使いのお勧めの糸はなんですか?スゲエ知りたい!
 あと昔ながらの何か秘技、藁をピシャッと割いて葛湯に三日付けた後松葉で燻す(適当言ってますよ!)みたいなやつもあればしりたいっす!
  

 
 
 


カルシアの多孔質るつぼ

 冬は比較的安心して作れる(気がする)カルシア。湿度に気を使わなくて済む分日程が立てやすくはなりますね。まあ今回一回失敗しましたが。





 毎回のように記しますが、カルシアは保管、使用に注意が必要です。
 湿気を遮断して保管すること、炉材、棚板等に対してカルシアと熱間で反応しない材質(マグネシアをお勧めします)をかませること。を必ず行ってください。
 特に多孔質は湿気に対して過剰防衛してください。製品の耐消化性UPさせるために工夫研究してますが、カルシアはカルシアです。

 ちなみに、カルシアがアルミナと触れるとどうなるかですが、出来の悪かった緻密質のカルシアにコランダムのクリンカー(#20番)を一粒載せて1480℃で焼成しましたところこんな感じ。
完全に大穴あいています。こわ!


 

『俺コーン』リベンジ作戦

 前回ゼーゲル式から割り付けた調合原料で丸棒を作成し、コーンの代わりになるのかな?つってやってみたらうまくいかなかった。というところまでお話ししました。

 とりあえずSK7番のはずの成形体も焼成しました。同じく時間100℃で温調機の指示1280℃まで、その後キープを1時間です。
 
下が浮いてるのはフォースを信じてるからです。うそ。
アルミナ粉末を敷いた分ですね

あらためて3種類並べるとこんな感じ。
観にくいですけど順番通りの溶け具合にはなってます。




 見事に粉砕。


 ファイン屋でーす、皆さんの研究や生産に最適な耐火物を製作しますよ!なんて看板を掲げて飯食ってる以上、これに落ち込んで首を吊るのに枝ぶりのいい松を探してうすうすうろつく前に果たさなきゃいけねえことがある!!

 とりあえず前回の結果を踏まえて整理して作戦会議編としておきます。
 怪獣映画とかモンスターパニック映画に出てくる軍隊の隊長が最初は「軍におまかせを!民間人はすっこんでてください」なんつってなめた感じでロック様でもだれでもいいけど頼れる主人公を無視しておいて、爆撃機とか戦車を跳ね返されて第一陣が全滅してから大いに焦る。みたいなおなじみの緊迫感を感じ取っていただければ幸いです。まあ俺が一人でマッチポンプしてるだけなんですけどね。


ポイントは二点、調合と形状

 調合は基本的にあってる(はずだ)し、まだ何本か作れるほど残ってる。まあ最悪いじくって溶解方向に振ればいいだけなんで、形状から。
 まだまだ「おとなしくゼーゲルコーンそのものから型取れよ」ってのは無しだよ。

 とにかく尖った部分、頂点や出隅の部分から溶け始めるだろうってことは大事、普段溶けちゃいけねえ、溶けるわけにはいけねえって仕事してるんでそれまでさほど意識してなかったけど(当然皆さんも長っぽそいもの、肉厚の薄いモノの方がよく締まって焼けてる!とか肉厚のぼってりしてるやつだからキープ時間長めにとらないとちょっとさくいっぽい、なんて実感ある方も多いはず)

 コーンは言ってみれば溶融型熱量計(でいいのかな?)、溶けなきゃいけない。調合だけでなくコーンて名前が示すように錐型、しかも三角錐ってのは鋭角の出隅ばっかりで大変意味があったのだなあとしみじみ感じました。調合と形状というヤキモノ屋の当然の当然の基本部分に、まだオジサンの気づきにくい闇があったわけです(ずいぶんと自分の未熟さをごまかしてる文章。何が闇だよ)
 そういう意味では無垢の丸棒ってのは形状的に大分具合が悪いですね。
 それでも、
 1、無垢じゃなくて肉厚を1㎜ぐらいに薄くする
 2、無垢棒でも10φから5~6φにしてみる(デカい窯だと見えにくいかなあ?)
 というのは試してみたいところ。捨ててもいい石膏型あるし。

 あとはやはり三角錐、四角錐的な形になっちゃいますかね。何か負けた感あるんですけどね。ただこれは原型作るのめんどくさいんだよなあ。使い古しの四角断面の箸でも面出ししようかな。
 思い切って悪の軍団の怪力キャラが振り回すトゲ付鉄球みたいなのも考えましたけど、笑い取るためならともかくコーンごときでそんなん作ってられっかって感じ。だったら猫とか猿のしっぽがコーン、とかのが面白そう。

 ちゃんと見えやすい程度には太くて細い丸棒をヤンキー、もしくはロハスっぽい人が好きそうなアジアンお香みたいな立て方しようかな?これは簡単でまずいい線いけそう。

で、次に調合
 こないだの調合の残りで細い棒を作るのは確定として(細い棒なら粘土の土台にブッ刺して決まった長さ表に出てればいいとする)

調合がめちゃ簡単、自分の使っている土と釉薬、化粧土で組み合わせる。
 土(or化粧土)に釉を混ぜる、釉薬だけで作るの2パターンですね。

 釉薬だけなら、まだ予想の範囲ですが、普段の、せいぜい1㎜2㎜の膜が素地の表に張り付いてるだけなのと違って塊化させるわけですから芯までメルトするまで多少時間を食うんじゃないか?でもまあ確実に溶け落ちるだろう。むしろ溶けてダバダーと広がっちゃう方が棚板まで流れたり事故の予感。自分が使ってる釉のうちで一番土に近いモノ、粘性があって流れにくいモノがお勧めかも。って感じ。
 デカい滴が垂れようがピンホールしようが焼いちまえば消えてつるっと仕上がるような釉薬はお勧めしかねます。

 よって、そんな釉薬がない場合は絶対ですが、土や化粧土を混ぜて耐火度の調整をしたバージョンもやりましょう。
 作るのに使ってる坏土そのもの、あるいは、熔化させるための塩基や塩基土類系の材料が混ざってない化粧土、粘土鉱物だけのものとかね。そんな袋なり容器のふたを開ければすぐ使える状態のものをササっと混ぜ合わせて作れれば、製作上都合いいですよね。
 化粧も坏土も釉薬もホントにいつも使ってるいつもの状態のものにすると利便性が高まると思います。

 釉薬10:0坏土 から9:1,8:2ってやっていって1:9までやればOKでしょう。釉薬100に外割りで加えていくでもOKかと思います。毎回バラバラじゃなければ。

二回も試験してこんなもんで使えるんじゃね?となれば一気に100セットも作っておけばしばらく持ちそうでしょ。

 粘土自体に耐火度を下げるための何か粉末を混ぜる線もありますが、それは今回はやめておこうかな。でも、これは釉薬と素地は別物で、釉薬は絵の具やペンキを塗るみたいなイメージでとらえてる方にとっては特に意義ある実体験になりますし、「釉薬と素地の境目みたいなもの」、「磁器と陶器(or緻密質と多孔質)の間のグラデーション」を実感する楽しみもありそうですね。
 

お昼に二本ずつ作ってみました。

 釉薬と坏土(今回は1350℃焼成用のムライト系スラリー)の水分量とか比重をいつも作ってるのと同じなのを確認してから調合しました。理屈の上では粘土の場合は乾燥したものが重量の狂いが少なくていいかも。

 とにかく作った10種類をずらっと並べて焼成して、ちょうどよさそうな範囲(たとえば8:2~6:4だったり)があればそこをその範囲をあらためて細かく割り付け直して追加実験するとより正確な指標を作れると思いますし、頭の中で「「溶け具合グラフ」のようなものVer1」が何となく出来上がります。

 実は、例えば2成分での調合で融点を表しても、こんなグラフになったりすることも多いです
 

 釉薬と粘土を混ぜ合わせる場合、だいぶ成分の種類が多いのでもっとわかりやすい傾向(何入れるかにもよりますが、測り間違いがなければ安定する方に向かうはず)を示すとは思いますが、5分5分が一番反応が激しいわけじゃないとか結構やってみると面白い結果になるんですよね。

 調合の割合は、嵩比、重量比、モル比とありますが、ゼーゲル式はモル比ですね。
 
 通常わかりやすい重量比で行うと思いますが、釉薬や坏土を調合する場合にとっても、ゼーゲル式とはまた別の指標で(重量と、分子量とかモルの関係)調合をぱらぱらと繰り返すうちに脳内感覚的に結果を微分して予測(あるいは理解)できるようになんじゃないでしょうか?釉の上手い人は絶対これがあるんだと思う。

 なんだか何言ってるかわかんなくなってきましたが直しません(笑  とにかく、興味のある方はお手持ちの材料で試してみてください。

 

2019年2月21日木曜日

多孔質るつぼ、ラボサイズ


 毎度おなじみの研究室向けの少量溶解、分析用の小型るつぼですが(サイズに若干の違いはあります)、実は写真はもういつのがどれだかわかんなくなっちゃってます。
 とにかくアルミナの多孔質です。これは外径で35φぐらいです。
 同サイズのものは緻密多孔問わず各種材質で製作しています。

 
 この時期手が荒れるんですよね。最近は指ペロッとしないと新聞もめくれないようなすっかり枯れた中年男。うちの炉は自作で発熱体の両端がむき出しなんでダボダボの化繊の冬服、うっかりどこか触れちゃって、なんてことがあったりしたら俺の本体まで燃え出しかねない。「北の零年」というウンコ大作映画で作物を食い荒らすイナゴの群れを追い払うため平田満が全身火だるまになって突っ込んで死ぬ。という映画史上まれにみる珍シーンがありましたがああはなりたくないですね。気を付けましょう。ちなみにこの映画、主人公の御新造さんが縁側で昼寝をしてるシーンから始まるんですが、若作りした吉永小百合が演じてるんでどうみても脳溢血かなんかでひっくり返ったようにしか見えないという長州力も真っ青なハイスパートなオープニング。他にもドイヒーなシーン、脚本の連続で
俺が劇場で見たうちでの最悪映画ランキング入りしてます。100円でももったいないので興味をもってもツタヤ行ったりしないように。3時間近いんですが本当に無駄です。

 横にそれすぎました。仕事中はゴム手袋することも多いとはいえそれでもものすごい回数手を洗いますから手が荒れます。赤切れします。平成も終わろうっちゅう今時アカギレしてるなんて若い女子ならグッとくる人も多いかも知れませんがただの枯れた中年男。いろいろぐっと沁みるだけです。
 そんな時にはハンドクリーム。仕事終わるまで使えないんですが使います。
 大体カミサンのをかってにつかってたんですが、それがいやだったんでしょうね。バレンタインにもらったのはニベアメン!これいいです。
 なにがいいって匂いですよ匂い。床屋に行って帰ってきた匂いがするんですよね。この匂い好き!毎日床屋に行ってるみたいで、まるで高倉健になったような気になれますよ。いい!
まあ、正直なんでもいいんですけどね。


2019年2月18日月曜日

『俺コーン』予備予選的に焼成してみたが・・・


以前作った複製ゼーゲルコーン用素地ですが、予備的に焼成してみました。
結果は失敗。エラソーなこと言ってる割には大したことねーな。ハッハハ~!なんて声が聞こえてきそうですが、ヒーローは人を笑う方じゃない!笑われる方だって僕は思うんだよって、去年の今頃さんざん聞きましたよね。そだねー。

 ってことでネタとして面白くなりそうなので失敗を失敗として検討していきますよ。ヤキモノ屋20年以上やってるとこの程度の失敗なんてタンカーで運ぶほどやってますからね。失敗は検討と脳内整理のいいネタだよ~ん。

調合はゼーゲルコーンのゼーゲル式から割り付けた7番8番9番のうち8番と9番
を、るつぼ焼成時に炉内一番下の隅っこに設置。
設置は炉材に使ってるしくじりルツボの中に立てました。ダバダーと溶け流れたらやだなーと思ったんですよね。
焼成はうちの窯で1280℃を1時間キープ(これはるつぼに合わせてます)

この状態で設置。引っ付かないように60#のアルミナ粉末を見込みの底に敷いてます

なんで丸棒をまっすぐ立てる方法なのかってことですが、丸棒と円板しか作ってない、溶け具合を観たかっただけ、というとりあえずの理由だけでなく、正直コーンって邪魔なので、最終的にそのまま真下に腰砕けに崩れ落ちて球になって終了ってのが理想だなあと思ったから。
最終形態は頭の重い逆円錐台にできればいいかなあと。つぶれたら終了みたいな。
まあ先端が接地という明確な基準点はこれだとないんですけどね。



焼成後がこれ。溶けきってないのが一目瞭然ですが。

ひっぱたいて割った断面はこちら
これはコーン9のはずのもの

こっちはコーン8のはずのもの

思った通りに潰れなかったのはいいんですが、思ったほど溶けてないんですよね。
多分どっちも12~3番まで上げれば普通に溶け落ちると思うんですが。
気泡が入ってるのは素地がメルトするほど過焼成すると大体こうなります。本家公式コーンも一緒ですけど「素地としては溶けすぎてるけど釉としては溶けてなさすぎ」の位置ですね。
 素地を過焼成するとどうなるかってのはこのシリーズの対象読者であるヤキモノ初心者の皆さんには設備的にも経験的にも縁がないと思いますので
 こちらの記事を参照してください。「焼成温度200℃オーバー! 陶器が沸騰!! カルメ焼きか!」
 素地と釉薬はそもそも同じ種類の理屈のもので溶ける温度が違うだけ!というのは基本的にあってるんですが、組成的に溶けたときの表面張力が違ってたり、メルトする速度、一気にさーっと液状化しやすいタイプかドロドロと粘るタイプかって違いの幅もありそうですよね。
 


 とにかく上手くいかなかった理由を考えてみたいと思います。
1、ゼーゲル式の計算間違い
 何回やっても手持ちの分析表では似たような数字なんですけどね。何回も間違ってたりして。でもどっちかっていうと溶けちゃうんじゃないかなあって気がしてました。わかんないもんだね。

2、円柱を立てたので踏ん張っちゃった。
 もちろんこれはありますけどそれにしても溶けてないですよね。倒したゼーゲルコーンはもっと密にいわゆるガラス化してます。ただ撚れてはいるので斜めに立てれば随分違うでしょう。

3、先端が太すぎる。
 これは大アリ。デカいか小さいかってのは何よりも加熱、焼結の度合に対して影響が大きいモノです。これは本職のヤキモノ屋が「机上の学問じゃあわからねえんだよ!」的に物言いしちゃいがちなところで、○○って金属は1250℃で溶けるはずだが窯に入れたけど溶けずに残ってる!みたいなことを言ったり書いたりすんですが、これはこれで突っ込みどころ満載で、いちいち言わないですけど一番わかりやすいたとえを言うと「デカい氷は小さい氷より長い間溶けないで粘る」とか、「そもそも氷も冬場表に出しといてもなかなか消えない」みたいな例で感じていただけると思います。
「何だ!氷の融点は0℃じゃねえのかよ!10℃でもなかなか溶けねえじゃねえか!」
塊が溶けきるかどうかは融点だけじゃ簡単に決まらないっす。
 コーンの先端がとがってるのは先端から溶ける。溶けだしたらすぐ隣にすぐ隣にと影響しますからトンガリがある方からずんずん反応溶解が進むわけで確かに形からしてよくできてんなって感じですよね。
 さっき図時した逆三角じゃまずいんじゃないのってところですが、そんなん軟化点下げればいいだけでしょ。多分

4、そもそも記事のネタ切れ防止に昼間ちょこっとダラケて作ったから、根性もいやらしければやっつけ仕事ってことで罰が当たった。
 これもあるなあ。でも気合いのあるなしで溶け方左右するような超パワーは人間にはありませんよ。キャリーじゃないんだから。

5、組成を再現するための原料の選択を間違った。
 あり得ますねえ。純度、粒度、もしかするとカオリン使わない方がイイとか。
 うちなら純原料で調合できないこともないんですけど、それじゃあネタとしては何かと高くつくし服装から変えなきゃいけないしそもそも一般アマチュアの方が真似できねえじゃん。
 しかし、本物はどうやって作ってるんでしょうね。成形法じゃなくて調合。もしかして同成分調合で加熱して固溶体を作った後それを微粉砕したものを原料にしてる可能性もありますね。フリット作るみたいに。

まあとにかく俺の計算した調合では10φ×40Hの丸棒作っても思ったように使えないということが確認できました。円板はまだですし、より溶けやすいはずではありますが…1280で1時間ひっぱってもうまくないんじゃちっとも8番じゃねえってことははっきりしました。

あらためてゼーゲルコーンの組成を載せますが

各番手のゼーゲル式の内訳をみる限り、結果から導き出したというよりは理屈で割りつけていって結果OKでした!みたいな組成ですよね(そう見える)。かなり理論値の純度に近い材料で作るべきだったな、こりゃ。

では、反省を踏まえて次回以降の試作の作戦を確認。

もうめんどくさいし
①、同じ調合でどれか一つ決めて、たとえば石灰石の増減で温度帯を調整してみる
②、使ってる土と釉薬を練り混ぜてみる
のどっちかでよさそう

細かい数字はともかくやってることは一緒ですからね。「理屈の上ではコーン何番に対応」という旗は振れなくなりますけど。

このうちおすすめかどうか知らないけど次の予定は②。①はやりたい方にお任せします。
やりかたは
 まず9:1、8:2、7:3と一区切りづつ1:9まで同形状に成形して全部並べて一気に焼成(とりあえず1230でも1250でもよい)、可能ならゼーゲルなりオルトンなりを一緒に並べて標準する。(というかこれが正しい使い方だよね)
 使えそうな範囲を3~4種類確認して俺コーン何番とかわかるように番手を振る。公式コーン(造語ですよ)とは温度帯的に半端にズレてたり、おそらくですが各番手の軟化変形の度合いがリニアな直線ではなくて二次曲線的になっちゃってどれかとどれかの間に急に倒れる「隙間」とかが現れる可能性も高いですが・・・
 
釉薬を同じく丸棒に固めたものはまだ焼いてないんですが、これがまっすぐヤマト完結編の轟沈シーンみたいに、あるいは液体ターミネーターのようにまっすぐ沈み溶けてくれればそれでいい気がしますがちょっと広がり過ぎちゃうだろうからやっぱり粘土は混ぜ込んだ方がいいでしょうね。

こんな感じでどうでしょう。


 ちなみにうちの炉は覗き窓がないので俺コーンの沈没シーンは観れないんだよなあ。企画自体に疑問が出てきた感もありますが面白いので続けますよ

 



2019年2月16日土曜日

カワイイ小るつぼ 



ジルコニアのるつぼです。焼き上げで径8φほど、ちっこくてかわいいし、数が並ぶとそれはそれで壮観(特に窯出しの時が好き)なんですが、ローガンの進行にむしばまれてるせいか最近成形や仕上げ中気づくと結構な前屈みで晩には肩腰が痛いといった始末。この肩腰背中が痛いのがローガンのせいなのか、疲労の蓄積&抜けない(akaたんに年)なのか、はたまた別な理由なのか…
 ロードバイクに乗っても同じでハンドルステムの高さを上げてもいいかなと感じる今日この頃。
 とにかく作業によってはポジション出しをやり直さなきゃヤバい感じ。


 自分はロクロはほとんど一個ずつ作るんですが、これは否応なくポジションが固定されがち。数年前からロクロも下駄をはかせて嵩上げしていて、よく見るポジションよりより天面が高いです。これはかなり腰の負担が和らいで楽。もう少しあげてもいいかなって思ってます。背中から前倒しに脇から覗き込んで作るタイプの人は天面、へそ、チンコ、膝の位置関係なんかを見直すと世界が変わるかも。
 轆轤に限らず作業ポジションについて語られてる書籍はあんまり見たことないんですが、正しい正しくない的論点で語るんじゃなくて、エルゴノミックヘルス(なんだそれ?)的な観点からの定位置の見直しなんて結構重要かもね。

2019年2月10日日曜日

『俺コーン』用丸棒成形動画 固形鋳込み基礎編その2

 前回までの俺コーン試作ですが、成形時の映像を公開します。
 コーンは、同形状で作らないと指標としての役割に支障をきたすので、どう作ろうと型の使用は必要と考えています。
(まあ、水だけで練り練りしてなんとなく大体おんなじとんがりコーンにすりゃあいい気もしますけどね)
 とにかく鋳込みで作ったんでその動画!3分半ぐらい我慢してください。(ソフトにはだいぶ慣れてきたんですけど映像はブレブレです)
今回も地味絵面なのでBGMはアクション要素&秘伝感強めてます。
なんか手がジイサマみたいですけど冬場はこうなっちゃうんですよ。
 
作った丸棒は実は超適当仕様で排泥用スラリーでも制作してるんですが(排泥しないで減りっぱなしでそのままほったらかしで固化させたり)、一応いい機会かと思って硬い材料での固形鋳込みもやってみました。

 固形鋳込みは排泥しないで空間をすべて素地で満たして埋め殺す成形法で、可能な限り固いスラリーを使うのがコツ。
 解膠材のおかげでかなり低い水分量でも鋳込みが可能です。
あまりいわゆる「陶芸」では使われない手法なのですが、圧力鋳込みによる数打ちの皿モノはどのご家庭にもあるはず。もちろんファインや耐火物等の理化学、工業用陶磁器では一般的な製法です。

 この動画の場合、調合は長石、鼠石灰、ガイロメ粘土(これ変換できないよね!)各同量ずつの調合で、SK8~10でマットでカサカサになるお気に入りの釉薬の一つです。もちろんゼーゲルコーンの調合でもまったく同じように坏土調整可能です。

 排泥スラリーを作るつもりの割合で分散剤(水ガラス等)を垂らしたら、水を加えてよく練るだけ。別に乳鉢を使わずにビニール袋の中で練り練りしてもいいと思います。その場合は袋の隅を鋏でちょん切ればそこから一切途切れずにスラリーを流し込むことが可能。
 水分量は石膏型に流し込める限りなるたけ少なく、堅いスラリーのほうが物は強くなります。(水分量がわかれば以降は先に混ぜておけばよい)

 分散剤の量を多めにすればよりビロビロになる(表現がバカっぽくてすみませんねえ)スラリーを作れますが、塊になった時になかなか硬化しにくい、というかいつまでたってもチクっちゃう(すぐヨレる)成形体になりがちです。したい表現のタイプによって使い分けてみてください。

 やろうとおもえばロクロ用の粘土を一握り取って手の平に分散剤を付けて練り込んでも時間はかかりますが坏土の調整は可能です。
 
 肉厚物を鋳込むにはこの方法が都合がよい場合が多く、粗い原料で偏析させずに鋳込みが可能。より少ない水分量で成形するので、収縮を抑える結果にもなります。焼腰に関しては組成や粒度配分に左右される部分が大きいのですが・・・

 分散剤を加えない粘土でも柔らかく練ればある程度は同じ状態は感じられますが、より効果が劇的になります。固いはずの粘土がいじったり振動させたり衝撃を与えることでヨレヨレッとチクソトロピーによる軟化を経験するのは楽しいモノだと思います。つきたてのおもちみたいになりますよ!(その動画もそのうち)
 これは固形、排泥に限らず鋳込み成形ならではの表現の可能性で、チクソトロピーによる軟化変形を取り込んだダリの時計みたいに歪んだみたいな作品もチラホラ見受けられますよね。型で作ったからと言って同寸法同形状のクローンウォーズ状態とは限りませんよ!

 もちろんデメリットもあり、
 どうしてスラリー中の気泡を閉じ込めやすいので、混練と鋳込み中にいかに空気を入れないかがポイントです。
 制作物の形状的にも制約は当然ありますが、その辺はおいおい記事にしていければと思います。



皆さんの製作のヒントになれば幸いです。
なんか今回ギャグがなくてつまんないですね。根の好青年さが滲み出てしまいました。

2019年2月8日金曜日

「俺コーン」自作シリーズ・・・モノホンの複製調合で試作編

~前回のあらすじ~(リンクで記事に飛べます)
とりあえず無責任になるのもあれなんでゼーゲル式の複製調合でも試作してみますね。

ゼーゲルコーンの各番手のゼーゲル式は
SK7 [K2O 0.3 CaO 0.7] Al2O3 0.7   SiO2 7.0
SK8 [K2O 0.3 CaO 0.7] Al2O3 0.8   SiO2 8.0
SK9 [K2O 0.3 CaO 0.7] Al2O3 0.9   SiO2 9.0

で、手持ちの材料、福島長石、鼠石灰、シリカ(ファイン用325#Pass)、NZクレイの4種類でカタログ値から算出した結果、計算結果に自信はないものの

SK7 長石28 シリカ43 石灰石12 カオリン17
SK8 長石25 シリカ45 石灰石10 カオリン20
SK9 長石22 シリカ47 石灰石9 カオリン22

となりました。


これをナントカ坏土にしてコーンを作るわけですが、コーンの型がない、作る手間もメンドクセエ、そもそも最終的に試験コーンの形にする気がない、という三点から形状は違います。

で、最終形態がどんな形状になるかは試験焼成の結果次第でどうなるか先行き不明瞭なんですが、候補はあります。その前に現行の「公式コーン(造語」の要素効能、よくない点を整理してみます。

焼成中炉内から見える
 これはとりあえず絶対条件ですね。そうでなければ意味がない。
 でこの結果、
 ある程度の嵩が必要。特に背丈の方向に。見えなくなっちゃうからね。
 第二種といわれるSK20番より上の温度帯用のコーンは第一種よりうんと小さいんですよ。それが1500℃以上になると炉の中もピッカピカだから本当に見ずらい。コーンの向こう側の状態によっては立ってるのかどうかさえ見えない時もありますよ。なんでそんなに小さいのかもよくわかんないですけど・・・割れたのか炉圧で吹き飛ばされたのか無くなっちゃうこともあって、それが小さくて軽いせいなのか組成からくる問題なのかよくわかんないですけど。
 せいぜい1300チョイぐらいまでなら光の中に消え込む、なんてそこまでじゃないですが、とにかくある程度以上大きさがあってニョッキリ立ってるのが見えてないとまずいですね。
 で、その結果、結構場所食って邪魔 
 炉内寸が小さかったり、そうでなくても窯詰の都合でのぞき穴の前のスペースが足りないなんてこともありがち。
 しかも倒れるからなあ。

自立式はグッド。
 何しろチョコンと置きゃいいってんだから楽ですよ。
 とはいえ自立型コーンも複数並べると下の番手は溶けすぎになりますから結局台なり座布団は必要なんですけどね。やっぱり棚板に引っ付いちゃいます。
 
そもそも80°だの何ミリ埋るだの、何かとめんどくさい

この辺頭に入れて考えてみた上で、とりあえずたたき台として手頃な型で作ってみたのがこちら。
40φ円板と10㎜φ×40L丸棒です。右下の白いのは先日作った釉薬のみのもの、素焼き済み。丸棒は鋳込みで、円板は鋳込んでもいいんですけどめんどくさいので金型で加圧成形しました。

 ゼーゲルコーンもなんだかんだ言ってまっすぐ立てても折れ曲がるのは経験済み。頭が重い分だけより自重でつぶれてくれるんじゃないかと期待。
 円板は円板でどうせ台板が必要なら溝に立てときゃいいんじゃね?ぐらいの感じ。
 
 これを通常通り焚きあげた時にどんな状態になるかを確認しておけば、多少何かわかるんじゃないでしょうか?
 申し訳ないのはまだ実際試験するのは先なこと。時間が取れれば土と釉薬を混ぜて作った「完全俺コーン」も作っておきたいですな。
 とりあえず自分で試したい方には、自前の釉薬(安定な透明釉推奨):いつも使ってる土を10:0~0:10まで10%刻みで混練すれば必ず指標的結果が出るはず!とお伝えしておきます。

 だからゼーゲルコーンの形に作れよ!ってのはしばらくの間は無しでお願いします。

調合~混練のコツは、原料塊を乳鉢で磨りつぶそうなんて考えずに細かい目の篩で乾燥段階で濾した原料同士を調合し、ビニール袋シェイク(過去記事参照)でよく乾式混合しておくこと。これで後の乳鉢練り練りがめちゃんこ楽になります。
よく濾して!粗目を除けておく!濾すのに乳棒は使いませんイメージです。





 



2019年2月7日木曜日

マグネシアるつぼ

凸型の蓋とセットです。




 なんか数年前から「おそらくローガンになってきてる」ことにはうすうす感づいてたんですが、この冬から細かい作業時の手元の醜さ見にくさがひどくてそろそろ本格的にヤバい感じです。指の根元から長い金属製の爪が何本も出てるんだからそりゃやりづらいわ!ってそうじゃないですけど。
 もともと拡大鏡も使ったりはしてたんですが、こりゃローガン鏡の導入間近か…かっこいいの探してくるしかないか…とほほ
 
 
これはローガン違い。ラッキーじゃねえってばよ

 

2019年2月5日火曜日

溶融式温度(焼度)計「俺コーン」の自作シリーズ・・・とりあえずおさらい 

とりあえずゼーゲルコーンゼーゲルコーンといってますが、コーン式の溶融熱量計は全部意味一緒なんで代表してゼーゲルで話します。

ゼーゲルコーン代替品の自作、というテーマで記事にしたいと思います。
で、いきなりオルトンコーンて…このおおざっぱな成形が好き!

去年から陶芸教室に通っているパチーノも一年弱経って「俺もだいぶのし上がってる」という狂気の発言を繰り返して手におえないバカさ加減なんですが、実製作のテクニック(まあ簡単にいって「腕前」)に関しては正直場数。でも知識の部分は知っとくだけで大違い、というわけでいろいろ説明しにくい(aka俺だってどこまでわかってんのか責任とれねーよ)ことを聞いてくるんですよね。でまあこれ幸いと自分の頭の中を整理できるという利点もありここで「とっととのし上がりたい初心者入門者」の方を対象にボチボチ記事を書き連ねてるわけです。
 どうしても先生口調になってしまって上から目線の嫌な奴、みたいな記述になりがちで自分でも不安があったんですが、パチーノからの「ただで教えてやってるんだから上から目線で当たり前!本職なんだから上だろ!ムカつくやつもいるだろうけどな!俺とか!」という心強いお言葉をいただいたので今まで通りで行きますよ(笑

で話題に出たのがゼーゲルコーンは作れるか?答えは限定つきですがイエス
つまり「何か簡単で便利なゼーゲルコーンの代わりになるようなもの」を作れ!という指令を受け取ったらあなたはジェームズ・ボンドのように即「よろこんで。『M』」と答えなければいけない。ということです。
限定つきってのはどこまで原料の安定性とかを担保できるかとかはおいておいて、俺が俺用に作って使う分には問題なし!って意味ですよ。

先にゼーゲルコーンについてのおさらい
なんてのはいくらでもご勝手に調べてください。それで理解は必要十分のはずです。
のし上がりたい!あの先輩クソ親父を組み敷きたい!屁理屈でいいんで言い負かしたい!という向きには、
「ゼーゲルコーンは温度計じゃない!耐火度試験用の指標だ!」とか、
「4㎜沈めて!背中は80°で!曲がってますよ!」とか、
こうやってセットしろ!みたいな

「ゼーゲルコーンとオルトンコーンだけじゃないよ!ISOコーンとかもあるし、チャイニーズコーンとか国によってはローカルコーンがあるみたいですよ!」とか、
「番号の後ろにaの付いてないのは還元対応じゃないのだ!」とか
「1000℃超えたら10℃/m、一個下が曲がったら分速3~6度が標準の試験モード!」とか
挙句の果てに「どうせ釉薬の色とか溶け具合しか気にしてねーくせに。色味いれときゃたくさんじゃねーか!」とかほざきだすとたんにテメーが嫌な奴。になりますよ!注意。
(私も今JISと教科書確認しながら書いてます(笑
一応持ってますよ!古いけど。

本来?の使い方は、同じ形に作った(試験コーンの形状も決まってます)素地原料の軟化して折れ曲がったときに、同じ状態になったコーンの番手から耐火度を知る。といった焼度測定用使い捨て熱量計です。


原理として
「成分の割合が一定であるならば温度が上がれば軟化変形の度合いが増す」裏返って「温度が一定ならば成分の割合によって軟化変形する度合いが異なる」したがって変形の度合いの基準を決めておけば炉内の温度(というか熱量?)を知りえる!という論法です。単なる炉内の温度ではなく、焼造物にどれだけ熱量が与えられた状態なのか、ということが「まさに焼成中の今、目視して確認できる!!」というのが最大の特徴です。

つまり現実問題われわれ窯屋でどう利用されてるかを書けば(俺はゼーゲル使ってないんですが)
1、焼造物がこの状態の時にコーンの何番がどんな状態か。ということがわかれば、コーンの何番がこの状態になった時に焼造物はこの状態、ということを推測可能!というわけで、キチンと焼き上がったのかどうかをのぞき穴から決めた番手のコーンの曲がりっぷりを通じて確認します。

2、炉内各所に設置して炉内の温度分布を知る。あっちとこっちで違うんですよ。窯詰の状態にも非常に大きく左右されますが。目視コーンがこの状態の時にあっちの奥はどうかも窯開けてみるまではわかってる気になれます。
 曲がり方によって焼成後SK番号に+と-も付けて(SK20+みたいな感じ)確認しますよ(きちんとした人は)

3、親方、あるいは客先にしっかり温度上げましたよ!という証拠。

4、コーンの状態が同じなのに焼造物がいつもと違うのは俺がどっかで何か間違ったはず(これ大事)
といった感じです。

おさらいしないとか言っておいて嫌味な薀蓄垂れ流しましたが、ここからは知っとくと大違い!ゾーンに入りますよ!。

で、コーンを自作する!
というわけなんですが、できます。精度と手間を考えなければ。
なぜならゼーゲルコーンは公的なものですので、どっかの会社の企業秘密とか、ハッピーターンの粉とかそこらのケツ孔の小さい陶芸家の「オリジナル釉薬」とは違って組成がゼーゲル式の形ではっきりしてるからです。
左から、番手、指標温度、K2O、Na2O、CaO、MgO、Al2O3、SiO2、B2O3です
実質7番以降ならK2O、CaO、Al2O3、SiO2の四つを近似させればOKだよ!

 ゼーゲル式の計算法はこのHPでは面倒なんで今後もやりません。やる気アリ男な皆さんはすでに良心的な本やよその良心的HPでチラッとでもかじったことと思います!限定的ですがわかりやすくて知っといて無駄なことはひとっつもありません。(知識って荷物にならなくていいですよね)
 もう俺もゼーゲルの手計算なんて10年以上やってないのでやる気起きないですが、そのためにエクセル作るのとどっちが時間かかるか30分ぐらい考えた後、結局ちょっと計算機片手に頑張ってみたところ大雑把に次の感じじゃないでしょうか?

SK7 長石28 シリカ43 石灰石12 カオリン17
SK8 長石25 シリカ45 石灰石10 カオリン20
SK9 長石22 シリカ47 石灰石9 カオリン22

まじか?なんか結構きれいに溶けちゃいそうだなあ。計算が不安だ!

各材料は福島長石、純シリカ、ネズミ石灰、NZカオリンのなんかの本で見た分析値からはじき出してますが、こんなもん俺(あなた)用に自作する以上モノホンのゼーゲルコーンと少々違ったところで加熱に対してリニアに反応してくれればいいわけでお手持ちの材料でOKですよ。
 カリウム分だけ長石で取ったら残りは炭カル、純アルミナとシリカで混ぜると組成的にも計算的にも収まり良いんですが非可塑性材料の経験がないと成形性が著しく悪くなっちゃいますしね。あと原料の細かさとか使った材料により耐火度や軟化開始の増減いちいちあると思いますがいつも同じので作ればそこまで変わらないで十分指標化できるはずです。
 まじめな方は各々の材料のカタログ値からあらためて計算してみてください。今受験で頑張ってる娘さん息子さんの気持ちを少しは分かってやれるかもよ!

コーンの肝は、決まった成分で決まった形状で決まった設置法このうち一つでも崩れると窯業計測としては、たとえ俺用としてもイマイチ!です。

問題はどう形造るかというところですが、コーンの本物を石膏で型取りして柔らかく練った素地を押し付けて成型、が一番簡単かと。ほんのちょっとバインダーとなるCMC,PVA,あたりを混ぜ込んでやれば成形後の乾燥強度も確保できると思います。素焼きして保管しておけば「ゼーゲルコーン代用品」の確保完了です。あ、テストは忘れんなよ!

ここまではゼーゲルコーンの私的製造法ですが、いかがでしょうか?なんで作った写真がないのかって?作ってねえからだよ!

何しろゼーゲルコーンの複製じゃあキッチリ度合だけが問題になってつまんないんでこのシリーズでは「俺専用俺コーン」を作ってみるかと思ってんですよ。
何しろ『M』からは「ゼーゲルコーンみたいなの」というだけでなく、変な形だったり、より利便性があったりの「俺専用コーン」なんてつくれたらいいんじゃないでしょうか?的な任務を受けたんですよね(ジョーダンですよ、イノウエ先生!)
つまり、「面白簡単」的なコンセプトコーンを創造します。

「面白」をひとまずおいておいて「簡単!」は大事な大事な基本線としたいと思います。
俺専用度も上げたいところですがそれみんなが始めて名前もコードネームになっちゃうとほぼほぼ共通項がなくなって俺の「フクダコーンBZエレガント」と「パチーノコーンドラゴン改#7サイクロン」ではどっちの温度がどのぐらいどうとかサッパリ訳わかめになりそうでまずいっすよね。まあ俺はそっちのが好きですけど。
 というわけである程度以上専用度を高めるのは各々の趣味と必要と中二病度合いに任せるとして、ここでは基本作戦みたいなものを立案します。

まず俺コーンの条件としては、
 1、自分の胚土を使う
 2、自分の釉薬を使う
で、
 3、焼成中に変化を確認できる
 4、できれば設置も簡単な方がいいなあ~80°ってなんだよ
あたり。

あんまり長いのも読んでられないんで今日はここまで。
マジ横書きの日本語の長文画面で読むって苦痛ですからね。ネタ小分けにできるし(笑

とりあえずうちの釉薬で一番粘っこくて耐火度高いの固めて(鋳込んだ)こんなの作りましたので試験待ちです。焼成はしばらく先かも?しくじっても記事にはしますが…(すみません。