2019年4月26日金曜日

AIST展示会終了!

 無事に終了しました。
 ご来店いただいた産総研の職員の皆様ありがとうございます。

主催が変わっても中身は一緒じゃねえか!

窒化アルミのヒーター、電極とヒーター線が埋め込まれてます。
おそらく貼りあわせてあるんだと思うんだけどスゲエ技術だ。


世の中あれもこれも3Dプリンター時代。
だいぶ技術も枯れて価格もこなれてますよね。
セラミックス用も当然ありますが、高熱高圧等の過酷な状況に耐えられるまでにはどうなんですかね?
まだモデリング用途どまりだといいんだけど。
うちの場合はどうですかって?
「俺自身」が3Dプリンターじゃ!!
ヤキモノ屋なめんな!
ともいえない時代が来るのかもなあ~(遠い目



 ご依頼いただいた見積もりは連休前には送りますのでご検討よろしくお願い申し上げます(って今日中じゃん!)


2019年4月24日水曜日

GW 陶器市の楽しみ方、裏編

「裏編」って表編なんか無いですよ、というか、そっちはお好きにどうぞ、という意味です。

 GW間近ですね。ゴールデンウィークですよ。いくら俺がへそ曲がりでもここでガンダムウイングとかジョージワシントンとかギガワットとか言い出しません。どこ行ってもくそ込んでてサービスエリアでションベンするのにさえ列に並ばなきゃいけない、畑に植え付けでもしてた方がましなあの連休のことです。
 
 いちいち調べてないのですが、産地では陶器市が開催されることが多いと思います。笠間と益子はやってます。山挟んですぐ隣と言ってほぼほぼ差支えない近さなのでハシゴも可能(ロードバイクの練習なんか最高だよ!)、私も家族にどっかつれてけ言われて断る理由の持ち合わせがなかった場合は行くことにしてます。きっと皆さんのお近くの産地でも開催されると思います。きっと。多分。ぜひ開催してください。
  
 ホントは平日に行くのがおすすめなんですが今年は無い。コミコミの陶器市にいくと家族連れも多くて午後にもなると夫婦のどっちか興味ない方とか子供たちが死んだような眼をしてゾンビみたいに歩いているのを見るのも楽しいですね。ショッピングモールとかアウトレットパークのベンチでホセ・メンドーサ戦後のジョーになってるお父さんゾンビには負けますが。

 ここで、「ヤキモノ作りを趣味としてる皆さん」向けに陶器市の裏の楽しみ方を紹介します。

 表的、正統派な楽しみは、向こうからモノ持って集まってくれてるからいちいち自分で回らなくてもいいし、知らなかった作家や製陶所が勝手にそこにいてくれる、とか、ちょっとお安くなってる場合も多いとか、マニアになれば「新作が出てる」とかよく知らないけどいろいろあると思うんですよね。

 ただ作る嗜みのある我々にとってはそこじゃないんですよ。いやそこでもいいんですけど。

 個人作家じゃなかなかないかも知れませんが、ちょっと残念な、いわゆるB級品(ピンしたり寸法飛ばしたり、ちょっと間違っちゃったやつね)をかなり安くガサガサおいてくれてる場合も多いんですよね。
 ここにお宝(金銭的価値のことじゃないですよ、下品な!)があります。

 性格悪く思われるか変態的と思われるか、どっちでもいいんですが、普段から俺が買うときはカッコいい、しかしちょっとミスってるかもな、とか、微妙に難じゃね?かもしれない部分があるなって奴を買うことにしてます。ミスの種類もいろいろあるんだけど、単にフォルムとかカッコ悪くなっちゃった、とかじゃなくて、手順、段取り、その時作り手の手がどう動いていたか、などなど「作業中の歴史的事象としての過去」がわかる、感じられるもの、あるいは、その素地や釉の組成や特徴が何かにじみ出てしまった部分のあるものなどです。もしくは、こんな立派な方々のはずなのに俺と同じような失敗してるよ!なんか親近感~(はあと)みたいなのもお勧めです。

 表に出るはずじゃなかった指痕とか、そんなつもりでもなかったような釉薬の垂れ、なんかはどういう態勢でどう持ってどう待ってたか、とかが想像できてインセプションできますし、一か所描き忘れちゃった、とかもかわいいですよね。

 というわけで「例えばこんなの」というのをズラズラ出してきたんですが、写真を出してホラホラッてのはさすがに同業者としてできません。
 とはいえ一切紹介しないのもなんか伝わりずらい記事になりそうですので
「その産地を代表する、ボス的な、場合によっては人間国宝の、俺ごとき社会の底辺ビンボー人が手にするなんておこがましいレベルの窯屋さんなのにほっこり系しちゃってテヘ!」みたいなのだけ名前を出さずにわかりにくい写真で紹介します。ばれたところでマジ大物なんで屁でもないはずです!

 では一番目
同じもの五枚ありますが、見せられない表側にもどれも微妙にずれたミスがあります。
しかし!裏側仕上げるの忘れて焼いちゃったこれはマジ絶品。

 次は、多分窯屋としての格は今回中最強のこれ。陶器市で買ったんじゃないんですが・・・
三点の付け高台なんですけど、メッチャ傾げてます

 この窯元は、まさか買えると思ってないけど勉強のために寄ったんですよね。売店?ショールームか、では素晴らしい風格の美しい、力強いのが並んでまして眼福ですよ。そんな折にそこの人が、「あちらに『普段使い用の器』がありますよ」と教えてくれたんですよね。あー悪かったな!どーせ俺なんて見るからに場違いだよ! あんたの目は正しーよ! メガデスのTシャツ着て入っちゃいけない場所だったみたいです。

 普段使いといってもそれなりにするんですけど、なんか面白くていろいろ見てたら、別の若いお兄さんがこっそり「普段使いってあいつ言いましたけどちょっと向こうに行けなかった難あり品(半額以下)も結構あるんですよ。よく選ぶといいですよ!」と笑いながら教えてくれたので、一番ひん曲がってるこれを選びました!

 とにかく、この窯元の態度は正しくて、普段使い用と、セレモニアルユース(そんな言葉ある?)のものがハッキリ分かれているということをうやむやにしてないのはさすがと思いました。


次はわが祖国、ユナイテッドステーツオブフクシマの大物窯。小さいお碗ですが… 
何か所もブクブクしてます。
 こんなこともあるさ!
 これ見てオバサンがあら!つって、タダでくれました(笑
 もちろんいろいろ揃いで散財したからですよ!いや、うちのバアさんが知り合いだからかも? 
 俺ココの器大好きです!風格にしびれる!


 最後は見ただけじゃわからない系のうっかり君
同じ他のに比べて度を越して重いです。その差200gなんだこれ?
手首が折れそうだ!

 どっか途中の工程で気付いたはずですけど、まあ、陶器市で売るか。笑えるし。だったりして。


 暮れに亡くなったウォーレン・マッケンジー大先輩が「作り手と使い手が本当につながったって言えるのは、その作り手の存在が製品を通して感じられた時だよ。手作りの品物の意味はそこにある」とおっしゃってました。どこに書いてあったか忘れたけど大筋多分こんな感じです。大先輩の作品に無造作な指の跡がついてることが多いのはアメリカンな性格と「安く庶民に届けるため」に無駄をできる限り排除したことだけでなく、その意味も大きいでしょう。いやらしい装飾的な感じは意外としないんだよなあ。何より美術館で現物見ると手のデカさに驚いてそれどころじゃなかったけど。

 作り手の存在は完璧に仕上がったものよりもうっかりミスにより強く感じられるわけです、ってのは意地悪極まりないですけど、でもそうだよね。

 今回は本当にバカにしてるわけじゃないんですよ。こうやってミスにまみれながら手作りしてるんですよ。全部が全部なんて俺だって無理ですけどこういうのを大事に使うっていう部分を生活の中に半分ぐらいは持ちたいよね。ってことも声を大にして言いたいよな~みたいな話。

 思いのほか心温まる着地しちゃった。

 
 陶器市行こうぜ!
 俺は石膏型作りしてますけど。アベンジャーズも見なくちゃね
 
 

2019年4月23日火曜日

収縮率と吸水率を調べる。いや、調べろ! 闇ヤキモノ教習(仮

先日の記事でテストピースを作りましたが、計測に入ります。

この「闇ヤキモノ教習(仮」シリーズの対象読者は作る人がわ、細かく言うと「陶芸教室等でとっととのし上がりたい入門者初心者」です。のし上がりたいってどういうこっちゃってのも新年度ということで改めて説明しておきますと、去年、遠くに住んでる古い友人(このHPでの通称はパチーノ君)がヤキモノ教室に通うことになったんですが、ヤツの言う「ぬし化してる歴何十年の猛者ジイ連中を最短で倒す!経験はともかく理解では負けない!少なくとも堂々とナワバリを得る!」といった我々蒼き蝦夷の心意気を指します。指しますってなんだよ。

 一応ヤキモノ屋である私に入れ知恵を求めてきたんで陶芸教室じゃああんまり突っ込んでやってなさそうだなあっていう部分をポロポロと記事にしてきたわけです。結果的には奴の入った教室は和気藹々、老いも若きも仲良くて「スカーフェイス」みたいに既成勢力にマシンガン!なことにはなってないんですけどね。
 
 とにかく趣味として陶磁器を作るのをより楽しむため、腕前が上がるまでにはどうしても時間かかるので、それまでに腕がなくてもできる部分を経験したり、できる限り科学的な理屈を知っときましょう!みたいな感じです。
  
 土をいじくってどうにかこうにか形にしたものを炉でどうにかこうにか焼成して半永久的な命を吹き込むのが我々ヤキモノ人なわけですが、その今手に取った粘土の、「とりあえず作るにあたって知っとくべきこと」を調べるわけです。
 以下の試験から得たデータがあれば、
1、今作ったこれが焼き上がったらどのぐらいの寸法になるのか?
2、任意の大きさに焼き上げるにはどれだけのサイズで作ればいいのか?
3、今作ったこれが焼き上がったらどのぐらいの重さになるのか?
4、任意の重量で焼き上げるには少なくともどのぐらい粘土量が必要なのか?
5、作ろうと決めたものが、決めた通りに作れたとしたらそれは大体どのぐらいの重量なのか?
等々がわかります。知ってたからってその通りに作れるわけじゃなかろうとも知ってなきゃ無理でしょ? 
さらに、焼き上げた素地の大まかな吸水率も調べましょう。

 とりあえず、テストピースの条件は、ある程度の厚さと重量がある、寸法がキッチリわかるようになっている。ということです。

寸法、重量ともに可能な限り細かく測ります。できれば0.1まで。ノギスや電子天秤(どっちも安物でもOK!)がない人は大きめのテストピースを作りましょう。 
作った直後、素焼き前、素焼き後、本焼成後に寸法と重量を測ります。

一番初めのリンクを見ていただいたら、続きに掛かりますよ。
 
乾燥中~になってますがほとんど乾いてます。
下の段がその数字。

 つまり素焼きに入る前に縮む量と減る水分がわかりました。


850℃での素焼き直後。
寸法は焼成前と変化なし。重量は減ってますね。

 きちんと乾燥していればこの素焼きの温度では寸法変化はしないこと(ぜんぜん歪まないわけではないです)、熱間でなければ減らない、あるいは熱間で減る重量があること。結晶構造内に存在する水分や、分解~ガス化して減る何か、があることがわかります(厳密には減る一方ではなくて酸素取り込むなりなんなりして増えてる分もあるんですが、そのプラマイの総和です)

 本焼成します。
 今回は1230℃30分キープですが、今回の棚組の場合、8番コーンがべったり倒れます(うちの窯の場合、証拠のコーンは無し)
これが焼き上げの寸法と重量です。
重量はほぼ変化なし、寸法ぐっと縮みました。

 ここまででこの土の性質としてわかることは、
 A/寸法(=線収縮として)は、生でまだ濡れている(=乾燥中)うちと少なくとも素焼きの温度を超えてからの二か所で大きく変化する。これらを乾燥収縮、焼成収縮といいます。
 B/重量は、素焼きを終えた段階でほぼほぼ変化し終わっている。

 内容の細かい解説は省きますが(過去記事をほじくりかえすといろいろあります)、そういうことです。知ってましたか?ずっとリニアで減り続けたりするわけじゃないんですよ~。すべてのセラミックス素材やプロセス工程がこの通りとは限りませんが(特に温度帯)、ごく一般的にいうヤキモノ作りの場合まずこのパターンです。
 
 ここまでで記録した数字から以下を求めます。
寸法変化=40角で製作したものが35.7角になりました。
線収縮率であらわすと、11%。生を100%として89%に。100㎜で作れば89㎜になります。
 では100㎜で焼き上げたければ何㎜で作るのが正解ですか?
 11%足して111㎜? ぶー間違いです。112.5㎜です。
 焼き上げを100%で計算すれば112.5%になりますよ!
 もちろん100を.89で割れば同じ値になりますが、勘違いしてる人が多いです。
 これを割り掛け、と言います。この場合1.125。当たり前ですがものつくり人にとっては完成品が「1=基準=目的」です。エラソーにいってますが、毎回毎回どんぴしゃなんてなかなかねーよ(笑
 111㎜に対して1.5㎜なんて微々たる差ですか?水引時のちょっとの狂いで出ちゃうから関係ない?知ってて作ってるか知らないで作ってるかが違うんですよ。個々のフォルム重視で少々の狂いは気にしない派でもいいんですが(俺もそうです)、もし、気になるあの子におソロで作って!なんていわれた場合、その1.5㎜を知らなかったがために未来を棒に振ることになりかねないよ! 多分ないけど、そんなこと。

 次、重量。
 37.1gだったものが27.7gになりました。
 やることは同じです。焼き上げ基準と生基準を両方出す。
 生から26%分減って74%の重量に。300gの粘土玉が224gになる勘定。
 では250gのお碗を作るとしたら(とりあえず釉の目方は置いときますね。ネイキッドで。何なら素焼き鉢でもいいっすよ)どのぐらい用意すればいいですかね?
 大体335~7gなので、削る分、泥になる分等々目減り分考慮すると、カンナ工程無しで350gで作れれば相当上手なんじゃねえかな?鎬や面取り、切り飛ばしするならその分もコミコミで勘定しましょう。少なくとも300gじゃ作れないってことはわかりますよね。
 
 今回のようにきちんとした角板から型を取って作ったテストピースの場合、大雑把な比重も測れます。もちろん乾燥重量÷体積でOK!
 40角の方から作った板の焼き上げ寸法は約もいいところですが35.7㎜×35.7㎜×10.9㎜tでしたので、その体積は約13.9cm3 重量が27.7ですから
 大まかな見かけ比重=1.99ときて約2

 これで作りたいものの寸法や厚さから体積さえ割り出せればこれに2を掛ければ予想完成重量がわかります。あとは戻ればスタートする粘土玉の目方も見当がつくわけです。
 

 これで製作に必要な最低限のデータがとれたって感じかな。
 
 この後はワンランク上の部分
 測り終えたテストピースを水没させて一晩以上置きます。

ヒマなら覗き込むと素地から泡で出てくのが見えることもありますよ

 本当は3時間以上煮沸しなくちゃいけないんだけどそこまではやんなくていいでしょ。
 水から引き揚げたらタオルで表面の水気を切ります。
よく拭き取ればOK!重量を測ろう!
 これで素地中に残った=素地が吸ってしまった水分量を測ります。

窯から出たばっかのすっからかんの時の重さを乾燥重量。水をしみこませた後の重さを吸水重量と言います。手持ちの機器で可能な限り細かく測りましょう

原型40角が乾燥重量27.7に対して吸水重量28.4 2.5%
 原型37.5角が乾燥重量19.7に対して吸水重量20.4g 3.4%

 どちらも炻器として十分な値ですが、この差はなんなのか。大きい方は実は乾燥中に表面磨いたりしたし、小さい方は表面に結構細かいシワが寄ってんですよね。その差じゃないかな? 吸水率は結構大事な値だと思うんですが、何かと変化しやすい部分でもあります。こうやってテキトーにテストピース作ってるとテキメンですね。

 たとえ組成や粒度配合、焼成温度の様々な要因で、気孔率が高めの素材でも表面処理に磨きを入れたり超微粉による化粧掛けなど目つぶしすれば解放気孔を減らしたり細かくできますから作業ひとつで工夫のやりようがあります。大昔の水がめとかね。

 それは組織がどう言う構造(少なくとも表面は)という話なのですが、このブログを隅から隅まで調べるとそんな話は結構していますので是非参考にしてください(検索用のヒント「ボンド部」)
 
 
何はともあれ、今回の結果


土は山内陶料さんの耐熱土(白)でした。よーし、カミサンに頼まれてた土鍋とかオーブンウェアでも作っちゃおうかな~。今日は俺もうTシャツですけど。

 PS 山内陶料さんakaねんど屋さんドットコムの耐熱土(白)の紹介ページでは、収縮率8~9%となってます。
 この差ですが、いろいろ理由は考えられますが、テストピースの作り方が違う。というのが理由です。多分。
 例えば、ロクロで作ったものと今回のように型押ししたもの、しかも俺は原型の寸法で書いてます。ほかにもどのタイミングで測ったかとか測り方。

 基本的に自分のいつもの作り方で、自分の目安になるように測ればいいですよ。

 まあ真の理由は「俺が気の抜けた練り方をしてふにゃい詰め方をしたから」だと思う… 
 


2019年4月22日月曜日

2019年度の技術展示会ツアー開始します

今週木曜日に国立研究開発法人産業技術総合研究所(長い!略して「産総研」もしくは「AIST」)で開催されます。いろんな大人の事情で今回は主催?がつくばモノづくりオーケストラ(長い!略してモッツMOT's)ではなくてつくば市役所ですので横断幕が違います。今日準備やってきたことは全く一緒ですけどね。展示も基本同じです。
 AIST職員、研究員の皆様、是非是非ご覧くださいね!


八重の桜が枝垂れてました。
欅はちょっと邪魔ですな。


 基本、官立研究所での展示会はその研究所内の方しか来展出来ないんですが、これから毎月開催します。中には比較的オープンな場所もありますので、その際は是非。
 つくば市内の中小の製造業の皆さんで活動に興味のある方や、ものづくりオーケストラ参加企業等については右のリンクから確認してください。きっと見つかるあなたの欲しい技術と恋人、的なキャッチコピーなんですよ(一部ウソ)

 




 




工業?工芸?のデザインをちゃんと勉強したい。という欲求が常にたまにある。


 というのは、理化学陶磁器だけじゃなくて一般の日用雑器を作るようになってからずっとです。
 興味も欲求も常にあるのに、いまいち本腰を入れきれないのはまあひとえに自分のダラケ加減が人一倍だからとしかいいようないんですが、今までのめり込んで読むような本に出会えてないんですよね。
 数学的にスッキリした答えが出ないのはしょうがないんだけど、教科書だと思って読む本が主観的な内容にならざるを得ない(ようによめる)ので、それに対する余裕が俺の中にない感じ。評論なんかはどんなに納得しても話半分で聞く心積もりが常にあるんですけどね。教科書半信半疑はゼロスタートの人間にとってあるべき態度じゃねえよなあ。

 
ずいぶん昔に買って面白く読んだは読んだがそうは読んでない本(すみません)

この手の本は電化製品や自動車とか比較的重い方の工業製品が多くて個人的に近々の問題からずれてることと、何よりここが問題なんですが文章こねくり回しやがってバカには通じずらいよ!ぶっちゃけつまんねえんだよ!

 さすがの俺だって別に教科書の文章に超能力バトルとか切ない恋とか殴り合うマッチョが出てこないからつまんねえんだっていうつもりはほとんど無いですよ。 
 あ?なんですか?工場で手足汚れるだけのやつは設計者の図面黙って起こせば意味なんかわかってなくていいんだよってか?
 なんてケンカ腰になってる意味は分かりませんが(じつは怒ってすらないんですよ)、自分の主観を補間や訂正してくれるようなわかりやすい教科書があると嬉しいです。
 
 美術や工学なんか、もっと具体的に言えば窯業学校などで、作ろうとしてるもの、つまり「陶磁器で作られることが多い実用品」に対するデザインの在り方、のような客観的なセオリーや考え方、実際に対する解説を学べる教科書ってのはあるんでしょうか?あるなら教えていただきたいのですが…という話。(我ながらまあ漠然とした話だなぁ)
 プロセシングの各工程や計測評価に関する本はいいのいっぱいあるんですけどね。
 できれば私のような低IQでもがんばれば楽しく読めるのようなのがいいんですが(笑
とりあえずこれはよかった!アイオワ大学が出版元。教科書!
ずいぶん前に益子かどっかの古本屋でゲット。
アメリカ人の修行者が放流したと推測。
多分若いころの著者Clary Illian先生、益子にめちゃ力強いテラコッタ並んでますよね。
オシャレで足が長くても二の腕のヤバさはヤキモノ屋ですな

 上の本のように、海外ものだと一流の陶芸家であり、大学でもずっと教えてるような方のテクストがあるんですが、英語なせいで読み切れないせいもあり、内容的にチョット食い足りないんですよね。もう少し細かくしりたいんだけどなぁ。
 
 






 アイオワなんて俺のイメージだと地球の端っこが滝だと思ってる人がクッソデカいトラクターを乗り回し、車で五分も走れば方位磁針がぐるぐる回りだして雪男が出てくるような場所の大学でもこんなに理詰めで分かりやすい本を出版してるんですよ!まあ写真じゃ何も伝わらないですけど、すみません。

 こういう客観的な本を日本語で読みたいんですよ!!
 それと、アイオワの人、ごめんなさい!

PS/初めの写真の二冊、「美的設計方法論」「設計美学」はつまらなくないですよ!面白いいい本です。他にも何冊か買ってみたけどチョイスが悪くてつまんない観念的な本だったって話です。勘違いしないでくださいね。
 

2019年4月19日金曜日

天気がいいのでアルミナ高純度るつぼを


 お気に入りの構図でまた撮ってみました。
 以前磁器の透光性云々自体はヤキモノとしての性能として無関係、踊らされるな!みたいなこと言いましたが、こうやってスケスケするの、好きか嫌いかでいえば好きですよ。みんな好き、だから価値が高い、とは言えなくもないのかな。よく知らないけど。

 この季節、天気がいいのは価値が高いよね。気持ちいいし。雨あってこそですけど。
 よく乾いてくれるし。
 
これは乾燥中ではなくて日光浴。焼き上がってます。

 以前チタニア(酸化チタン、TiO2)のるつぼをこうやって置いておいたらうっすら黄ばんで来た気がしたんですが、チタニア=光触媒のイメージのせいでそう思っただけで変わってなかったかも。まさかホコリで汚れてたりして(笑

 
 ところで、
 フェイスブック、とやら登録してみたんですが、マジ使い方わかんねー!
 ツイッター(やってない)やインスタグラム(一応写真上げるだけは覚えた)に比べていくらかフォーマルな印象もあり、仕事上のPRにはこっちの方も信用ありそう、アカウントぐらい持ってた方がいいのかな?それとももう時代じゃないのかな?なんて感じで探り探り。通販でもなんでもそうですけどアカウント取るだけで三日も悩むほどネット弱者です。

 で、フェイスブック、何やらいろいろプロフィール入力するのとかもせわしないし、投稿やリンクや何かのやりかたもまださっぱりわかってないんでこれからなんですが、使いこなせるか不安なシロモノ。
 なにより恐ろしいのは、登録した瞬間友達申請とかいうのが二件も入っててびっくり。多分知らない人のような…。また「知り合いなんじゃね?」みたいなリストがずらずら出てきて、もう十何年もあってない友達とか、たまたま仕事で一回話した方とかがちっとも知らない人の中にチラホラいるんですよ。なんでお前(フェイスブックさんね)知ってんの?
 スマホとパソコン同期させてないし、パソコンのアドレス帳には仕事関係者でもメールアドレスと名前以外の情報もないし、メアドも今は変わってたりそもそも知らないはずの人も!なんだこれ!?ビッグデータってやつですか?コワ!

 しかも友達リクエストなんて言う恐ろしボタンで申請しなくちゃ連絡できなかったりするのかな? 俺みたいな引きこもりには地獄のような試練です。 友達申請して断られたらどうしよう。どこから友達?一緒に釣り行ったことがあれば友達だよね?ユーザーの方はどう思ってるんだろう、友達じゃないような?今はまだネットでつながっただけだけど仲間だ!と勝手にこっちが思ってる人は? うーこわいよー、なんか自分が「勝手にふるえてろ」の松岡茉優になったみたいな感じ。一応のハッピーエンドはあるんでしょうか?
 

 恐ろしさに勝手に震えててもしょうがないんでMOT's(つくばものづくりオーケストラ)のメンバーとか検索してみると数社やってるところもあってとりあえずフォロー。でそれぞれ個人でやってるやつのページを観ようとしても、そりゃ同じ名前のやつなんてごまんといるわけで四苦八苦。よしんば見つけたところでどこで何食ったとか越中詩郎と握手したとかシラネーヨ(カズミ!久しぶり!)、あるいは、真面目な投稿やってるヤツには俺なんかが茶々入れるのはためらわれるわけで…そんなんばっかでいまいち何も反応できず、しかもよく見ると3年も前でそれっきり蒸発してるみたいな。誰とどんな情報交流すればいいのか玄関明けた瞬間すでに迷子。何しろ使い方すらまだよくわかりません。


 そんなこんなでとりあえずプロフィール白紙でもつくば市在住の福田ってだけで誰だかわかってくれそうな洒落の通じるはずの数人に「うけるぜ!」(なんだそりゃ)をポチットして終了しました。いま息が上がってます。イノウエ先生、このブログの記事を頻繁に紹介してくださってたんですね。本当に感謝いたします。身に余る光栄です。うけるぜ!押したの私です。

 なんかいまさらですが超情報化社会の恐ろしさをちょっと感じました。基本的に出回って困るデータなんて俺にはないし、ネットもPCも特別好きじゃないはずだ(多少の嫌悪はある)けどなぜか中毒気味なんだろうし、そこまでディスったり否定したりする気はないんですけどね。まあ最初に人類を裏切るのはルンバだろうなとは思ってますが・・・
 やっぱり『アウトロー』でトムクルーズ演じるジャック・リーチャーさんみたいな何にもつながってない男(カードもケータイも持ってない。移動すらバス)というのは半笑いしながらもちょっと憧れますね。

 新しいPRの場を作ろうとしたもののサイバースペースの磁場にはじき出された屑鉄のような気分になってしまったので製作に戻ります。いまここ







2019年4月18日木曜日

四月! 『闇ヤキモノ教習(仮 』2年目突入ということで。改めて・・・

 半ばも過ぎてなーにが「四月!」だ!って気もしますが、今年度から新たにヤキモノ教室に通いだしたみなさんをも対象に加えて、『闇ヤキモノ教習(仮』も二年目に突入いたしましょう。

 相変わらず、製作に関する技術、というものを教えるなんてことは俺の腕前じゃあできるわけないんですが、「ヤキモノ製作に関する技術」を下支えしてくれる(はずの)周辺作業や知識、こんなやりかたしてるんですよ、なんてののうち、あんまり本やネットに出てない話だなあってのを多少は役に立つように記事にしていきますよ。私は生業としてファインセラミックスの職人をやってるわけですが、そこで学んだことと伝統陶器を作るにあたって学んだこととのへんてこりんな乖離、壁の隙間に面白やブレークスルーがあるんじゃねえのかなあと激しく実感していますよ。

 去年一年やってみたところ、ありがたいことにサイレント感謝連絡など数件受けたりしまして、それら御報告によれば、教室や同好会の飲み会なんかで気になるあの子(年齢は不問にした方がイイね)にプチ自慢してトキメキマイセルフしてみたり、場合によっては「ウエーい!無礼講じゃ!」とばかりに先生を軽くトッチメたりできるような情報も満載だったそうですよ!(多分)

 あくまでも対象はすでにプロ志望の方ではなく趣味のヤキモノ人。伝統、慣習、思い込み、決めつけ、謎のタブー、等々打破して「俺はワンダフルライフ」といきましょう!私も気になってはいたけどわざわざやらなかったこと、なんてのがゴマンとありまして、この記事きっかけにいろいろバカな実験や研究などやっていきたいと思っています。

 今年力を入れてみたいのが「重ね掛け」です。
 さすがに三段にも四段にも重ねるのはやる気もしないし気が滅入るので、一か所に二種類の釉薬にとどめますが、そのバリエーションをいろいろやってみたい、ということです。
 「重ね掛け」は筆さばきの巧さ(まあ絵付けの巧さ)、スペシャルな土も釉薬ももっていない、そもそもがっちりカッコいい形に作れもしない俺のようなものには、特殊な技術もたゆまぬ鍛錬も、勘も才能も必要なく、単にきちんとデータを積み重ねれば何とかなるある種の独特な美しさ(まあここはどうしても主観ですが)を得られるための洞窟です。

 繰り返すうちに、相性の良い釉薬の組み合わせや何かに出くわしてわくわくしたり、釉の成分よるかもしれない傾向と対策もつかめると将来大変役に立ちそうだ!みたいな感じ。
 まあ場合によってはどっかの角でジャニーズにぶつかって恋に発展するような出来事に出くわすまで、毎朝毎朝パンを咥えて「遅刻遅刻」と玄関を飛び出すような先の見えない日々になるかもしれませんが、あの16度世界ヘビー級王者に輝いたリック・フレアーも毎試合毎試合コーナーポストに登っては逆にデッドリードライブを喰らい続けていたじゃないですか!リックフレアーでさえそうだったんだから俺たちも頑張ろう!(あれってフレアーはなんの技がしたくて登ってたんですか?決めたの見たことないんだよな)
 
 まあそんなこんなを繰り返し、成形や釉掛けの技術も追いつくころには得意な釉薬もできてると思います。いいじゃん。
 しかもそろそろ釉薬関係でいろいろやりだしそうな『俺たちの先生』ことイノウエセイジ先生は「重ね掛け好きじゃないんだよねー」なんておっしゃってたんでネタがかぶらないうえに、周辺補填としてなりたちそう。
 重ね掛けが先生方(って良く知らないけど)に嫌われる理由を考えてみたんですが、
1、せっかく上手に作った器を勘で適当に重ねてダメにするおっちょこちょいを数みてきた。もしくは自分もだったりして、俺もそうですが(笑
2、突然流れ出して炉内で事故る。それを急にやられても察知できない。
3、『窯変』などという誰一人解説はおろか明確な定義すら説明できない謎の「用語」の都合よい不可思議幻想に凝り固まってべちゃべちゃ重ねてる人を見てバカバカしいと感じている。

辺りですかね?
 実は「窯変って言ってるやつらって救いようのない○○なんじゃねえの?」っていう記事も下書きしたんですが今年から具体的なディス記事は挙げないことにしてるんで消しました(笑
 曜変天目の「曜変」じゃないですよ。あれはあれが曜変と名付けられたわけで、具体的に指すものがあります。



なんか殺伐としてきたんでこの辺にしますが、俺が好きな重ね掛け(俺の好みなんてどうでもいいよね)や細かいテストのやりかたを決めていくのはは次回以降に回すとして、今回は重ね掛け用にテストピースを作ってみましょう。

 四月ということで初心に戻って、使う土の性質のうち成形に必要な部分の情報を得る、ということも同時に行います。
これは去年「土を知るシリーズ」みたいな感じで記事にしましたけど、新規の読者の方もきっといると信じまして、ブログの記事も奥の方に行っちゃってるしネタも稼げるしで、この辺基本なので改めて繰り返しますよ。

まずテストピース 
こんなのをつくります

 
「重ね掛け専用」なんてものはないですけどある程度高さがあった方がいいです。
 
ロクロでわっかを作って

バラバラにすればOK!

 ざっと土握り取って(約300gぐらい?)で20個作れました。まあ数は切りようですけどね(笑

 こんなん初心者がロクロに慣れるにも都合がいいんじゃないでしょうか?(ドーナツぶれずに引くのは案外とムズイよ。技術的なことやコツは先生に聞いてね!)
 たくさん作れば作るほど思いついた時に気楽にテストできます。テストピースならたくさん作って困る教室もないでしょう!
 

こんな感じにデッドスペースで焼成しまーす


 重ね掛けの試験なんていくらあっても足りないんですけど、まあとにかく当面足りそうな分作ったら終了。素焼きの時にご一緒して焼いておきましょう。

 次、土の収縮率等を調べるためのテストピース
 むしろこっちの方が基礎の基礎ですよ。
 「土を知っとこう」シリーズ
の初めの方と内容は同じですが、今回私も新しい土を試してみるところですのでついでに…
 
 こうして寸法のハッキリわかってる型に押し込んで成形体を作ります。この場合は左に見えてるステンレスの四角い板が原型で40.0㎜角です。
 都合のいい型が無い場合は20×120×10t、ぐらいの短冊を作って50㎜、100㎜がわかるように目盛りを刻みいれておきます。作ってすぐにやること!早い段階で結構乾燥収縮しているものですよ!



 こうやって寸法(原型のでも可)と重量を刻んでおきます。左は37.5角で26.6g、右は40角37.1g
 書き込むのは顔料でもいいですね。まちがって消さないように。
 
 これをこの後素焼き前、素焼き後、本焼成後、にすべて行いますのでなくさないように!焼成を何種類、あるいは炉内各所に配置して分布をみたい場合(そっちのが本当はベスト)必要分作っておきます。

 今回試したニューカマーの土は、正月頃買い置きしてある山内陶料akaねんど屋さんドットコムさん耐熱土(白)です。
 オーブンウェア作りたくて買ったのに、ストーブ使わない時期になっていじくりだすというこの不条理。
 
 土鍋土はリシア系長石たっぷり入ってる上に求められる機能が機能なんで普通の土より高くつくんですがこういう高機能性調合は買うのが吉、評判の良いメーカーのを買ってみました。肌理も細かくてかなり細工も利きそうなほかにないタイプの鍋土ですね。実はすでに一個ちっこいお碗を作ってまして、卵を落としてストーブに突っ込み卵が黒焦げになって引っ張り出すやいなや水張ったタライに落っことす、というスポーリングテスト(akaいじわる)を何回かしたんですが余裕でした。サ・ス・ガ!卵は焦げ付いちゃいましたけどね(笑

 フレイムウェア、オーブンウェアとしては1300℃のコーン倒せる方だけになっちゃいますけど、タルクを調合したコージェライト系の耐熱衝撃素地の調合も試しにお勧めしたいところですが、話が飛び過ぎるので興味がある方がいらっしゃればそのうち。
 
 まあとにかく、今回作ったテストピースを使って成形~焼成後までの収縮率、重量変化を確認することと、重ね掛けの試験をやっていきましょう。

 長かった!ではまた!


ほら、半日ほっといただけでこんなに縮んじゃったよ

 
重ね掛けに事故はつきものなのも覚悟しておくように!


 

 



 



2019年4月17日水曜日

ジルコニアの耐摩耗性容器

同じ半球状のもの二つを合わせて一組になります。
口元の合わせ面には平面加工だけでなく、Oリングをパッキンにできるように溝が切ってあって漏れ止めできるようにしてあります。


高台に見えるのはマスキングテープです(笑
転がっちゃうので



 二軸三軸で振り回す(宇宙飛行士を括り付ける地獄椅子訓練のような?)のでこの形状ですが、勘の言い方はお分かりのようにどんなに入れても容積は半分しか使えません。蓋開けられなくなっちゃいますからね(笑
 バーチカル方向にフリップしない場合は蓋は容器の上っ面を塞ぐだけの方がいいですよ(当たり前ですけど)

 

2019年4月14日日曜日

タンカード型マグピッチャーのグリーン

ちょっと業務連絡も兼ねてですが・・・形についての解説というかノーガキ、作る側の人間はこんなことも考えて形を決めたり作ったりしてるんですよ~、みたいな記事。これは今回紹介するような日常生活用の器にしても、相当に限定された決まった目的のあるファインセラミックスの器でも一緒です。

 と、言うわけでまだ生のマグカップ


 このタイプのカップは私が好きで、私以外にも好きな方がいらっしゃるのでチョイチョイ作ってます。そのマグカップに口を付けてピッチャー(水差し、というか注げるタイプ)にしたものです。サイズはマグのままですから片口マグカップって感じ(どんな感じじゃ!)
 タンカード式、と呼んでますが、タンカードってのはビール飲むカップですね。ビール用なんでデカくて(指四本握り!)結果もっと細長いモノが多いようですが、多分イギリスなんかだと古典的な形らしく、日本でいうと民芸的というか、まあとにかく伝統的なスタイルっぽいです。「ロードオブザリング」とか「ホビット」でもこんな感じの器でビール飲んでました。クッソ長いうえに超面白いので、確認のために見直してもどこで飲んでたか忘れてしまうんですけどね。多分アラゴルンと初めて出会ったところ辺じゃないかな。(全部うろ覚えの上裏付けなしの話ですみませんね~)

 とにかくその形をマグカップにして、いつの間にかテナズンダらもっとずんぐりしてた、いまここ、みたいな敬意です。

 ピッチャーにしたのは、子供たちがもっと小さいころ、兄妹でコップからコップに移したり少し頂戴とか、まあいろいろ遊ぶんですがその場合こうなってると都合がいいというわけで作りました。ガチままごと可、みたいな。
 飲んでよし注いでよしの二刀流とはものは言いようで、ぶっちゃけビンボー削りみたいな発想ですが一部お母さま方には受けました。もちろん子供にも。
 普通、水差しから直飲み、なんてのは行儀悪いこと甚だしいんですが、作った俺がピッチャーマグだっつってんだから「その行い、それでよし!」


 で、今回は作り手の考えてることシリーズ(いま考えた)として、ネタにしてみます。

 器には口と胴回りの関係としてどう考えても基本この3種類しかないと思うんですが、

 1、口径=胴径 切立ち、ストレート型 
 2、口径>胴回 ラッパ型
 3、口径<胴径 口すぼまり

 このうち、このタンカード型ピッチャーマグ(長い!)も当てはまる3番について

 日常、器が欠けたり割れたりするってのはどうしても口元からが多いと思います。なぜっていうと一番外側にあるから初めにぶつかるのが口元なんですよ。で、端っこだから構造上どうしても「持ちこたえ強度(造語です)」が低いわけで欠けちゃうわけです。
 胴回りの一部が欠けるなんてのはめったにないですよ。物理的なうまい説明は私にはできないですけど誰でも経験上あっさり呑み込めますよね?この話。

 そもそもビール飲み器なわけで、そりゃカンパーイなんつってガチンとやったら口欠けちゃったりしたらめでたさにケチが付くわけでこの形状になったのは理にかなってますよね。
 杯の場合はそろりとチン、なんつってやるんだと思うんですが、しっとりした雰囲気ならともかくこれから大勢でサウロンの城攻め落とすぞ!オリャー!なんてときにそれじゃあ負けちゃいそうですよ。だからドイツ軍の連中はプロージット!なんつって足もとにグラスを叩きつけて割ってますもんね。何言ってんのかわかんなくなってきたんで、とりあえず気合い入れてガツンとやる、しかし割るつもりはないという前提な以上こういう形には意味があるってことです。

 口元周りが一段帯状にしてるのも構造上の強度を上げるための工夫だと思います。これは取ってつけるときにも都合がいいので俺も踏襲してます。ちょっとした見た目上のアクセントにもなりますしね。

 結果、取っ手も壁も厚めで丈夫な器になってます。重いのに中身が空だとなんか飲み足りない気になって、ついオカワリしちゃったりしますのでお店で使うにも都合がいいのかもよ。

 底がベタ底なのははっきり言って製作上の手数と成形にかかる土の無駄を減らして価格を下げたりする意味もあると思います。これは庶民の日常の器ですからね。
 作り手は誰に向けてるのか、ということも意識して作ります。日常使いの器です、とかいう器やその器の作り手はたくさんいますが、誰(ぶっちゃけどのぐらいの経済状況の家庭)の日常なのか、ということは言いにくいので誰も言いません。
 俺とキムタクは同い年です、俺はカローラフィールダーに乗ってますが、キムタクはカローラフィールダーのコマーシャルに出てますが絶対乗ってねえだろうなあ。みたいな話。まあ昔からある言い分ですが一脚何万もするカップ売って「民芸」っつてもどんな民だよ!一杯3千円の親子丼ってなんですか!みたいな話ですよ(ディスってるわけではありませんよ)

 話それましたが、この品物は具体的に誰、どんな層に向けて作ってるのかってのも作り手はある程度以上考えてます、ってことを言いたかったわけです。
 ちなみに俺は、せめてフランフランや無印(つまりなんでも雑貨屋)からユーザーを「ヤキモノ屋」のもとに取り返したいぐらいの感じ、かな?結構大事なレベルの話だと思うんだけどな。各産地の製陶所だけでなく、個人でやってる方にもそういった価格帯の「しっかりしたいい器」作ってらっしゃる作り手はたくさんいますよ。

 話が長くなりましたので終わりにしますが、口元も高台も厚さも何もかも作る側は全部考えて作ってます。上手くいってるかどうかは微妙なことも多いですけど、ただカッコいいとおもったから、だけではないんですよ!ってことを激しく強調して、皆さんが少しでも「作り手のわかるヤキモノ」を買って使ってくれることを祈りまーす。特にうちの(笑






 
 

 
 
 

 
 

2019年4月8日月曜日

釉抜き材の代替品、緊急続報!

先日紹介した釉抜き材の代替品の件ですが、窯から出たので慌てて報告します。
とりあえず使えるかもね?なんて言ってしまった[水垢一発ホワイト車用]は、釉抜き材としては使えません。

 焼成した結果がこちら


 超見にくい写真で申し訳ないのですが、釉は弾いている、が、何かが燃えきらないまま残ってしまっている、状態。なにかの粉末が泡っぽくなって釉に引っ付けられてガジガジになってます。
 1250℃で燃え残るこのど根性邪魔者の正体はおそらく「ミクロパウダー」さん(全然正体じゃないか)。

 車いっさい詳しくないんですが、車用の洗剤&ワックス(リンスインシャンプーみたいなもんですか?)で名前からして何しろ水垢一発。コンパウンドとしてセラミックス粉末(これまたおそらくアルミナの微粉末)がしっかり入っていてそりゃ焼き飛ばねーわ、ってことでしょう。ちょっと考えればわかりそーなもんで、もちろんなんとなく分かっちゃいたんだけど、ネタとして面白そう&ちょっとぐらいなら釉に溶け込んじゃうんじゃねえかなあ、と思ったんですがダメでしたね。しかももっとド派手にだめなら面白かったものをつまんねーダメさ加減だなこりゃ。

 なに?ホムセンで安く買えるじゃん!なんつってうっかり土日に買っちゃった方いらっしゃいましたら申し訳ありません。10連休に備えて車をピカピカにしてやってください。

 ただし悔しいので私としてはノーコンパウンドの車用撥水剤とかワックスを安いのをもっかい買って試します。釣竿や自転車に使うだけじゃなくて石膏の型枠に塗るという便利な使いまわしもありますからね。損はしねえ。


 改めて言いますけどこの企画は「ネタ企画」ですよ!!(そんなんばっかりな気もしますけど)。ちゃんと使いたいならCP-E2で当たり前なところですよ。。クセーし手がガミラスになりますけど。
 滅多に使わないかもしれない有機溶剤の撥水剤を1L三千円も出して買ってもなあ~って方とかいると思うんですよね(俺とか)、だったらダメならダメ、使わないなら使わないで本来の使い方にすりゃいいモノを近所でお手軽に見つかったら愉快かもね!ぐらいの気持ちです。
 
 本職目指してる方、もしくはすでに本職の方、材料屋さんは目くじら立てずに生暖かい目で見てください。



2019年4月4日木曜日

アルミナ多孔質るつぼ

今年度もいつも通りのいつものるつぼから始まります


  高さ50mm程度です。
 アルミナの多孔質は定番ですが、アルミナではマッチしない場合など、
 カルシア、マグネシア、ジルコニア等々可能な限りの酸化物で多孔質緻密質とも製作可能です。
 こまめに使いまわせるサイズみたいですね。