2019年9月25日水曜日

秘密工作課「Q」 Case2 リーチのロクロ試作

 先日の台風で実家のある千葉県ではなかなか大変なことになっています(いまだにですよ)。わが家(実家ね)も停電しましたが、3日半ぐらいで済みました。うちのオヤジは手斧の一本もあれば仮に北海道の山奥に捨てられたとしても、一か月以内にケロッと帰って現場の屋根に上りだすタイプなんで、心配で電話しても「え?停電。そりゃしてるよ。今仕事中なんだよ、後にしろよ」程度の反応で、どのぐらいの災害なのか初めは一切ピンときませんでしたよ。
 
ニュースのインタビューでは、「電気のありがたさが身にしみました」なんて話でもちきりでしたが、私個人としては、水のありがたさはともかく、「人間、電気に頼りすぎ!電気に支配されてるわ。コワい!」
 オール電化とか、オールガスとか、ライフラインを一本化しすぎちゃうと例えば大停電一発で死活問題。今時石油ストーブでも電気が無いと着火しねえのもあるし。「ブレードランナー2049」とか「サバイバルファミリー」とか、まあいろいろ停電コワい。うちも電気炉だしね。
 これパターンとしては、スマホとか、ネットとか、お母さんとか、いろいろあるよねえ。ああ、お母さんのありがたさは感謝してもしきれないでいいのか。
 

 ながらくブン投げっぱなしになっていた、「リーチのろくろプロジェクト」ですが、試作品がとりあえず完成しました。
 前回記事の「Q」シリーズ開始(まじか?)に伴って3連休で一気に仕上げました。今まで暇を観て年に五日ぐらいはいじくってたんですけど、だらだらしちゃいましたねえ。

 なんでだらだらやる気が持続しなかったのか…
「作るのはできる。ジオメトリーを決めるのがムズイ!」という点ですよ!!
 ポジション的になかなかしっくりこないんですよね。

 まあ正直今もそのきらいはありますが、作りはこれでいいんじゃね?というところまでは来たので、あり物で作った不細工なシロモノですが、自作好きの皆さんの参考になればと恥を忍んで紹介します。

 構造はクランクを漕いではずみ車(フライホイール)を回し、その回転力あるいは慣性でパワーを発生させる方式。れがシャフトを通してロクロの天板を回し、で仕事をすると。(バアちゃんちの足踏みミシンと一緒だね)
 

 昔ながらの手回しろくろや蹴轆轤よりシンプルさでは劣りますが、理屈が簡単な割にメカメカしくてボンクラ男子心をくすぐるスチームパンクならぬ人力パンクなたたずまいがステキなんですよ(個人の感想です)
 
 ジオメトリ設計力(これがめんどくさい)を無視すると、必要な工作力もノーマル蹴ろくろより圧倒的に低いです。
 


 大雑把ですがこれが伝統的な蹴ろくろの構造(多分あってるはず)、現代では赤丸二か所で、ベアリングで受けてるはず。アクセルシャフトはロクロ本体とは別体です。
 これでは本体の工作精度は相当高度に要求されますよ。

 今回のパターンは、構造上はこっち

これは主に欧米発の蹴轆轤のパターンですよね。よく知らんけど。
見た目に現れる職人魂はともかく大変利口な設計ですよ。
自作するならこれをお勧めします。

ロクロ本体はシャフト一本でつながっています。それを支持筐体の方に固定されたベアリングで受けると。

 






 天板、その下の何だこりゃ(ダストブーツ兼ドベ受け受け)、は死んだろくろ(RK3D)から転用。
 というわけでシャフト径は25φに自動的に決定!
 

その裏側、ベアユニット


心臓部?のクランク部分、こんな感じ
 本当は溶接で作りたいところですが、シャフトーシャフト間の距離(上のショボイ両矢印)等使ってからじゃないとわからない部分が多いので試作機としてはシャフトホルダーでクランプしてます。この距離が一漕ぎで出せる速度に大きく関わってきますよ、これは70㎜ですが、75~80㎜でもいいかも(個人の好みです)
 新しく作るなら白矢印の高さの幅を広くとって、体格の違う人にも合うよう調整できるようにすると思います。これは150程度ですが200~250あった方がいいですね。シャフトと漕ぎ棒のリンクバーの振れ幅に余裕があった方がいいです。
 ①はリンクバーの高さを決めるカラー
 ②リンクバーと蹴り棒はボールエンドでつなぎます。
 ③ホルダーを背中合わせに締結してシャフト同士の平衡の精度を確保
 シャフトとフライホイールはとりあえずホルダーで位置決め固定。
 肝心のフライホイールの重量は赤煉瓦入れてます(笑。コンクリ流す予定だけど…
 直径は700㎜φ。大きさ、目方はこのぐらいあれば用は足りるみたいです。

 
蹴り棒とリンクの裏側から見た図


蹴り棒の支点
  筐体の柱に建築金物とボルト&ナットで支持棒を無理やり取付。ボルトにボールエンドで連結します。ナットで高さの調節。
 
フライホイールのさらに裏側
 フライホイールはカラーで押さえて、シャフトの端部はベアリングユニットで受けてます。
 写真ではよく見えませんが、フライホイールの裏側は使い古しの刈払機の刃で補強してカラーで受けてます。丸鋸の刃は芯が正確に出てる上にシャフト径ともぴったりで都合がよかったっすよ。孔だらけだからいくらでもネジ止めできますしね。(笑
 

シンポのドベ受け装着できます


 ドウでしょう?興味ある人いますかね?
 自作したいからもっと詳しく教えてくれ~なんて方がいらっしゃったら連絡くださればもうちょい細かい記事にしますよ~!簡単な図面とかね。
 
 今回の場合、シャフト、ベアリングユニット、ホルダーとカラーだけ新規購入でそれ以外は材木も何もあり合わせですので1万円かかってません。この辺、たまたま都合よい個人の事情としかいいようないんですが、まあ結構お安いですよ。
 
 一応興味ある方がいるとして必要な部材を記します。
 筐体部分
 今回は建築廃材オンリーですので針葉樹ばっかりで、加工や組み付けが下手なのも相まってシャフトはそれなりにブレちゃってます。堅木でキッチリ作れれば一回り細くしかも強く作れると思います。ただし価格は数倍、加工のマンドクサ度は二乗。
 柱と床側のビーム(根太?シャフトを受ける部分)にはヒノキの三寸角を使いました。あとは杉です。 
 軸組みの部分はコーチスクリューで締結がベストだと思いますが、コーススレッドにワッシャーをかますとメチャンコ寄せる力アップしますよ。

 ハードウェアというか金具、役物の類
 ロクロの鏡板とダストブーツ兼ドベ受け受けは破損したろくろから転用。(手ロクロをばらしてもいけそうですよね~。(その場合はシャフトにMテーパー加工が必要かも?)
 シャフト 25φ 600㎜、300㎜(端面20φに)、250㎜各1
ベアリングユニット2個(25φ、20φ)
 シャフトホルダー 4個
  (シャフトの平行取り用に2つ、フライホイールとの固定用2つ、クランク部)
 カラー 最低2つ(肉厚のごついやつ推奨、リンクバーの位置決め、フライホイールの押さえ)
 ボールエンド 2つ M16ボルトが通るサイズを使いました
 蹴り棒のブラケット Z金物使用しましたが、羽子板ボルトをひん曲げてもいけるかも。
 ボルト、ナット M12~16で適宜

 その他、画像でご確認ください(無責任)

 一応動画も撮影したので、編集したらアップしますね。




 なんでこんなのを作りたくなったかというと、今のダイレクトドライブのろくろはなにがどうなってるかわかんないんですよ。ACモーターなもんでなおさら。底板開ければわかりますが、半導体が制御して動かしてます。過去二回故障して動かなくなってますが、何がどう壊れてるのかが見てわからない(個人の能力の問題です)、確かに性能は素晴らしいですけど、昔のベルトドライブとかリングコーン式変速の方が「必要十分感」込みで優れてます(個人の感想です)しかもOリング廃盤にするとかフザケんなよ!!(これは大多数の総意です)

 仕事の道具はできる限り自分で確認やメンテナンス出来ないのは俺は嫌ですね。信頼してる専門の人に金払って任せるのはそりゃ当たり前ですよ。でも見てわかるようなシンプルな構造でも十分足りるはずのものを難しいのばっかりにしやがって、洗濯機だって二層式でも沢山だわ!
 買収マニア企業のいいなりなんて御免蒙!(個人の感想です)
 
 とか言いつつ、テレビも電話もファックスも何がどうなってんのかサッパリわかってねえんだけどね~。

 

2 件のコメント:

  1. Oリングの最後の二個のウチ一つは昔わたしが取り寄せました~。
    マジであの程度の消耗部品は供給し続けてほしいですね。

    これは吉田何某氏が俄然喰いついてくるネタ!

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    1. コメントありがとうございます。
       MOT'sの仲間の金属加工屋さんの言うには、壊れる、消耗するという部分は、交換メンテしやすいように規格品や追加製作しやすい部品に集中するように設計できるとベスト。そういう意味でリングコーン式は素晴らしい設計だって言ってましたよ。度を越した機械音痴でなければ誰でもわかりやすいしね、だって。

       とはいえ、肝心のOリングが特別サイズじゃねえ。一個二個じゃあ作るのなかなかできないですよね

       吉田さんもデンロクの隣に蹴轆轤映ってますよね。

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