2021年5月24日月曜日

素焼きで底が割れちゃう!割りたくない! さて? 第一部

  イノウエ先生のブログで面白いのが更新されたので便乗パクリ記事です。



 主に棚板を例に挙げて熱伝導の話をしてるんですが、何が面白いかというと、底の厚すぎるがゆえに割れちゃうという、みんな経験してる例のあれ。

 平たいものだったらどっかから中心方向に、高台ものなら腰回りがぐるっと割れて上下二分割。思い出しただけで冷や汗が出ますか?俺は経験しすぎてもはやそうショックは受けないレベルに鍛えてますが。


「熱伝導」と「熱伝導率」の関係ですが、単位あたりで比べるのかどうかの違いです。比重と質量の関係みたいな感じ。水2㎏のほうが金1kgより比重は小さいけど重いでしょ。一緒。これは「熱容量」と「比熱」でも同じです。同じ材質でも大きかったり厚かったりすれば熱の伝わりは悪くなります。

 この辺はわかってても言葉ごっちゃにして話しちゃいがちなので、顔付合わせて話してる分には問題ないんです。

 これが文章にしちゃうとわかって間違ってるのかそもそもわかってないのかわかりにくい、けどわかってる人には結構わかっちゃうもんなんですよ。

 俺みたいにお客が研究者専門家だとマジ冷や汗ですよ。気を付けてるけど誤記してたりそもそも誤認してたりがあると思うので、気が付いた方は俺が恥かく前に突っ込みお願いします。


 わかる人にはわかる、井上先生の記事は恐ろしいことに、ここから本題!といっておきながらそっから先はほぼほぼ熱伝導の話をしています(笑

 というわけで、敵も多そうな先生のことですから、意地悪な奴に突っ込まれる前にと「熱伝導のはなし」にタイトル変更をお勧めします(笑

 ジョージルーカスだって「ジェダイの復讐」を「帰還」に替えてますし、エアロスミスの「Walk this way」もはじめは「お説教」ってタイトルだったそうですよ。


 で、底の割れですが、素焼きで出るのは素焼きの温度以下で起こっています。当たり前ですね。

 本焼き後に出るのは、すでに割れてる(もしくはほぼ割れてる)のに気づいていなかっただけか、冷め割れしたかのどっちかのことがほとんどですね。経験的判断では。


 で、ついでにもう一つイノウエ先生に突っ込んどくと、SiCだと棚板の熱伝導がよすぎて底に勢いよく熱を伝えすぎ過ぎになるんじゃないか?の点は疑問アリ。


 焼成の基本は「出来る限り品物全体一様に熱を伝えるほうがいい」のハズです。

 上の図の場合、器体の赤丸の中のほうが外側より良く熱を受けるなんてことは無いです。器の底と胴回りが別原料であれば別。


 熱伝導がよければ棚板はより炉内大気の温度に近くなるので、ほとんどの場合、熱伝導がよくてダメってことは無いでしょう。実務上の例外はあるので後述します


 理想を言えば、棚板の上に乗せるんじゃなくて、焼造物は炉内空中に浮かんでてくれれば、それが一番いいはずなんですよ。でもそんなのは物理的技術的に難しいし、無重力中でやるにも物の固定が困難です。(実は吊り下げ焼成=吊るし焼きってのはあります!)


 自分は一回フォースを使ってやってみたんですが、さすがに焼成中ずーっとはMPの消耗が激しくて死にそうになりましたのでお勧めできません(またいらないウソをついてしまった)

 



  ではここから本題(笑

 平たい皿や、分厚い底周りの比較的大きめの器が割れるには、いろいろ原因はありますが、ちゃんと乾燥させてんのに素焼き時に割れるってのに限れば、

 1・もうとにかく肉厚があり過ぎる。

   設計上か技能上のどっちかのミスです。

 2・焼造物に合わせた焼成プログラムで昇温できてない。

 3・窯詰が悪い。機械的な力が加わって壊れてる


 この三つ以外の理由はないんじゃないかと思います。

 で、1は限度はあれど克服可能。それには2と3の見直しです。


 2はもっともっとゆっくり昇温しましょう。の一言に尽きます。

 水分の気化や分子内水分の分解に伴ってぶっ壊れるのがほとんどです。経験上(たっぷりありますよ)98%以上が300℃までに発生します。

 対策としては、蒸気乾燥をきっちりやってみるとか、匣鉢にセットして密閉する(息抜きの隙間ちょこっと開けるほうが通常だと思うんですが、密閉しちゃうやり方もあるって意味です)



 さらに裏ワザとしては、埋め焼成があります。こんな感じ 

 こうすれば一応大気に直接さらされることがなくなって、燃焼炉でも電気炉でも一様に非常に熱伝導の悪いゆ~っくりとしか熱が伝わらくなります。

 もちろん水分が蒸発する温度帯、80~120℃の間でいっぺん長時間キープ、さらに400℃ぐらいまでもゆっくりゆっくり昇温させて危険地帯を潜り抜けさせます。


 密閉状態に近いですので、とうぜん蒸気圧が上がって蒸気乾燥と同じ状態をずーっとキープできます。

 この、敢えて熱伝導を超悪くして強制的に「均一にゆっくりとしか昇温できない状態で焼成する」という方式はファインでは結構使われているテクニックです。400℃まで24時間かける、なんてことはチョイチョイありますよ(もちろん作るものによりますが)

 過去にも記事にしていますので、なんとなく検索してみてください。

 



 何しろファインに限らずヤキモノでは、板と棒が一番難しいわけで、これはほとんどの方が実感してると思います。なのに保護管とか棚板セッターの類が比較的に安い価格なのは、専用設備でそればっかいっぱい作ってるから。それと、当たり前ですが研究し抜いてるから。

 そんな時もこういう手間をかけると上手くいきやすくなりますよ。

 

 あんまり長いと読む気失せるんでとりあえずここまで、続きは次回!


 

 形式上イノウエ先生にツッコミ入れてるみたいですが、別にウソ言ってんじゃねえよ!とか、俺の正しさを御覧じろとかそういうつもりは一切ないですよ。事故って具合悪くしたり怪我したりするような話じゃないしね。


 いろいろな方々の発信を見て、その認識、そういう部分も論点として大事だよねってことを再確認できて面白かったですよ。

 特に井上さんとは「お互い危なっかしいところがあったらツッコミ入れあっていきましょう!」と薔薇族みたいな約束済みです(このHPはレイティング「G」どのねんれいのかたでもけんぜんにかんしょうできます、です)


 俺も間違いや異論があるだろうことをたくさん書いてきてるはずなので、ぜひ皆さんドシドシツッコミや質問お寄せください。俺の知識や技術もいい方向に更新されるんで大歓迎ですよ!!


 残りの窯詰方法は水曜日に!

 一応予告もちょっと入れとくか


 

 

 高台周りがぐるっと一回り割れちゃうのは冷め割れで発生する場合もおおいと思うんですが、その場合も600℃前後以下からと思われます。

 理屈っぽく言うとβ石英の相転移が起こるみたいなので、それがトリガーになってんのかな?とボンヤリ思います。

 が、200℃ぐらいで蓋開けて覗いてみて、しばらくしてから文字通り「音を立てて」パックリ行ったことも一度や二度じゃないので、とにかく冷めるのを待て!と言っておいて間違いありません。

 もちろんこの場合もやたらと肉厚差のあるそもそも作りの悪い品物が割れます。

 

 今日の結論

 とりあえずは普通に作りましょう!

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