2022年3月30日水曜日

排泥鋳込みで「ジェミニ計画」Vol.1 構想篇

 鋳込みで何か作ってみますよ~の入門編

  サンプル制作品には、誰か上手い人が勝手に好きなものを作ってるだけのくせに、何となく教えたフリ、という世にあふれた欺瞞を打ち砕くため(ここ、いらない文章)、100人いれば99人以上が絶対作りたいに決まってるものを選び抜きました。

 それは『ジェミニ宇宙船』(型の何か)

 これならば、万が一、俺が好き勝手に作ってくだらないゴタクを並べてるだけの記事に(見かけ上)なったとしても、作り方の一法として絶対に少なからぬ役に立つに決まってるわけです。だってみんな絶対作りたいんだから。

 ここまでは大前提なので、異論があるような気がする方も、それは文字通りの気のせいだということで話を進めます。


 では製作、もとい「建造」計画開始。

 こんな姿してます。改めて言うまでもないですが超かっこいい


 せっかくの排泥鋳込み。袋もんはお任せよ!ということで、一輪挿し的に活用できるようにしてみましょう。

 今回は入門編ということで、型製作的に大変だったり、加飾がめんどくさそうな縞々した感じや胴体中央のフランジ状の帯部分、四角くデッパったり細かい部品などの細かいメカメカしたディテールは無視します。そこがかっこいいんじゃねえかと重々承知してますが、いきなりは無理っす。

 しょっぱなから萎えた人もいるかもしれませんが、どうせそこまで再現したって宇宙まで飛んでける訳でもないからね。そのつもりで。

 

 黒い先端側部分と白い胴回り部分に二分割できるようにします。そうすると案外少ない「中まで洗える一輪挿し」になるはず。

 こんなイメージ

 見込み側には釉掛けする予定、外側はお好きにどうぞ。最近素地丸出しってのもいいな、と思ってます。

 嵌合方式は、名前知らないんですけどこういうヤキモノでよくある「簡単なインローぽいやつ」がそのまんま簡単です。
 受け側と突き出し側をどっちがどっちにするかってのは蓋物、嵌め合いものの課題になりがちですが、今回はテーパーがキツいのでアッサリ決まります。
 上が付きだし、下が受けです。
 左が今回採用の組み合わせ。右が逆パターン。

 図がちょっと不正確ですが、右のパターンの場合の弱点を上げときます。

1・上部受け側の見込み側の角度より、本体側突き出し部の外面の立ち上げ角がすぼまってればハマりますが、角度合わせと長さの関係がシビア

2・上部の着肉厚の自由度が少ない。薄すぎればガタが大きく、厚過ぎれば「肉厚」を削り落として調整しなくてはならない。これは鋳込み作業そのものがシビアになりそう。

3・上部口元内面がぐるっと釉をかけられないわけで、想像した感じちょっとダサい。これはセットして焼かずに別々にすれば避けられますが・・・

 といったところ。

 構造が決まったところであとは大きさをどうするか。
 これは皆さんのお好みに任せます。
 参考までに、わがつくばセラミックワークス諜報部がNASAとか宇宙開発オタクのHPを漁って見つけた画像に定規を当てる、という超ハイテク計測で割り出した何となくの寸法を図示します。
 これだ!!
 こんな感じでどうでしょう。
 高さや底径あたりを基準にして、作りたい大きさに換算してみてください。

 次回は鋳込み型、原型の設計編の予定。
 基本的にテーパーが一方通行なので、やさしいです。
 ボディに割線(およびそのバリ)が出ない設計にできます

 











2022年3月28日月曜日

とあるるつぼの見込の底

  覗いてみると

 約5φの穴が17か所

 さらに覗き込むと~

5φ穴のさらに底に1φの貫通孔

 

 溶解した金属がここからジャジャジャーと流れ出るノズルになっています。

 いや、ただそれだけです。

 もちろん後加工であけた穴および孔ではありません。

 ちなみに穴と孔ですが、こう使い分けています。

 孔-貫通している、貫通孔

 穴-掘れてるだけで底がある、止まり穴

 みたいな感じです。

 知ってる人には常識ですが、ものつくり趣味の方は積極的に使い分けてみよう!!気分だけでも職人や技術者っぽいよ!!

 



 先日、唐突に始めた「ジェミニ計画」本来なら勢いあるうちに続き記事をアップしなければいけないんですが、モノの設計、それに伴う鋳込み型と原型の設計をどう考えんのかってところが鋳込み成形の肝なので、出来るだけ丁寧に説明したくて時間かかってます。図付きで解説したいしね。

 多少お待ちください。

 モノはこんな感じになるんで、原型や型の設計がどうなってるのか予想しといてください。見切り発車で始めちゃってもOK!むつかしいわけではないので。



 

 


 どうでもいいけど薪割りも終わんねーなー。もう春やんけ

2022年3月24日木曜日

それなりにハードルの高い超攻撃的鋳込み入門編「ジェミニ計画」スタート

 実際に排泥鋳込みで何か作ってみましょうか。ぜひ真似してみてください。ということで始めます。




 対象は鋳込みでモノを作ることに興味が強い方です。

 粘土と情熱さえあれば何とか形になるという成形方法ではないので、ハードルはそれなりに厳しいです。

 ロクロで言う構想~坏土調整~成形~仕上げの工程にあたる分だけ抜き出して、流れをざっと箇条書きしてみます。

①作りたいものを決める。

②鋳込み型、原型の設計を決める。

③設計に基づいて原型を作る。

④石膏で鋳込み型を作り、乾燥させる。

⑤適した鋳込み泥漿を作る。

⑥排泥鋳込みする~離型~バリ、鋳込み口等切り落としたり整える。(ここが狭義の成形)

⑦アッセンブルしたり加飾したりして焼成できるように仕上げる。

以上です。

この後、焼成するわけですが、お好みで素焼き~施釉などしてもよいです。一応焼き上げるまでやる予定です。

 よかったですね、誰でも彼でも一様な品物が作れそうです。

 

 今後シリーズ記事中、できるだけ丁寧に説明しますが、どうしても「それなりにハードルが高い」部分があります。

 ②と③の工程がそれなんですが、②に関しては今回のものに関してはおススメの設計を記しますので参考にしてください。

 鋳込みで一番の問題は③

 最低限、使える原型を作る工作能力のない方は、鋳込みで好きなものを作ることはまずできません。

 鋳込みの面白さの神髄は、粘土がグネグネする感覚的面白さとは別で、設計とその遂行力の高さに自分で自分に勝手にシビレる、という所にあります(個人の感想です)

 いじくってるうちに何となく好きな形になったり、数つくればたま~にいい形ができるなんてことは絶対に無いです。

 一回性こそゲイ芸として至高!とか、鋳込みなんてど素人でも同じものポンポン作れるんでしょ?ツマンネ!なんて思ってる方はそもそもこんなクソ文章を読んでないでしょうからいいんです。

 でも大変申し訳ないんですがどんなに鋳込みに興味があっても、コテやヘラを一回も自分で作ったことがない、とか、鋸もネジ回しも家に無い、とか、立体の各部寸法が取れない、なんて方は結構厳しいかもしれません。

 エラソーに繰り返しますが、鋳込みは、基礎的な設計、工作技能のない方は自分で完遂できません。ロクロ成形とはそこが違います。

 情熱と時間だけあっても無理、技術及び技能が必要です。

 もちろん、金があって図面が引ける方であれば型屋さんにお願いして作ってもらうことができますので、そっちのがいいです(特にプロはこれが多い。単純形状のものばっかり作ってる自分も工作技術の及ばない場合は金属加工屋さんにお願いしています。しかもしょっちゅう)


 と、イヤミを言いまくって脅かしましたが、今回の題材は「ロクロでモノをそれなりに作ることができる人は全部自分でチャレンジ可能」な設計内容ですので安心してください。


 では、何を試しに作るのか。

 ①入門的には比較的型の設計+工作力的難易度が低い

 ②入門的にはロクロでも同じようなものを作れると工程も出来上がりも色々比較しやすい。(回転対象形)

 ③100人いたら最低97人は絶対作りたくなっちゃうようなカッチョイイ何か

 +できれば単なる置物じゃなくて用をなすものがいいなあ


 という三大ターム+1を勘案した結果…

 冒頭の画像からも、もうお分かりですね。

「ジェミニ宇宙船」型の一輪挿し、に決めました。

やべー!!超かっこいい!!


 言ってみれば単なる逆円錐型の袋もん?なんでロクロで作ればいいわけなんですが(水引きも気持ちいい形状だしね)、こういうのは鋳込み入門、鋳込みの力の実感にもってこいなんですよ。

 せっかく鋳込みで作るんだから、多少ギミックを盛り込んで設計してみたんで、それは次回以降に。

 

 では「多少ハードルの高い鋳込み入門」の宇宙にアストロノートのように飛び出してみましょう! 

(まだ型作っただけで成形まですら行ってないけど最後までがんばりますよ)

 とかいいつつ、仕事が忙しくてこんなん立ち消えになるほうが実は嬉しいのでるつぼの注文はどしどし受け付けてます!!ユーザーの皆様、よろしくお願いします!!

 




 あとね、もともと好きなんだよね、こういう形。今回気が付きました。 

 その辺に転がってるの、こんなンばっかりやんけ!!

 もっと言うと、普通の口広がりの器をうつ伏せ(さかさま)にした形が好きなんです。







2022年3月22日火曜日

容器、セッター、匣鉢、好きに呼んでください。

 名前はどうでもいいですが、緻密質のセッターはこれぐらい大きくなると、相当昇降温をソフトにしないと熱衝撃で割れやすいですので、そこだけ気を付けてください。

 特に、粉末の熱処理に使う場合は普通に上げ下げするとまず割れますので(中身がパンパンだと事実上100%と思ってください)、さらに外側に多孔質のセッターを使用することを推奨します。


結構デカいです。




 今日は、ちょくちょくあるきのする「お彼岸ごろ、思い出したように雪」の日でした。

 サミーよ



 発電所はもう東京に作れよ。便利ですよ。知らんけど



2022年3月18日金曜日

アルミナの単結晶るつぼが・・・

  割れました。 


 久々にでっかい地震。でっかいというか、これはひどい奴だぞ、といやな予感がする地震って感じか。

 我が家はこれと石膏型が数個落ちてきただけで済みました。気を引き締めなおして壁棚のものの並べ方を改めないと。

 

 震源地の場所柄、例によって親戚がそれなりの被害喰らってますし、仙台近郊にもお客さん多いので他人事じゃないと感じます。毎年どこかしらで何らかのデカい災害は起こるので、可能性のあるものに対しては対策取らなきゃ。



 年度末狂騒もやっとすぎ、なんかオフザケ企画ができる時期になりました。(畑は忙しくなってきますが…)

 今回は何人かに言われてたけどマンドクサーと無視してきた「実際鋳込みでなんか作ってくれてみそ!」にお応えします。というかしようと思います。いや、すくなくとも心づもりはあります。 

 銘打って「ジェミニ計画」詳細はそのうち!!

 


 結果なしのつぶてだったら「あー、失敗したな。そのまま隠蔽したな。ジェミニじゃなくてソ連のほうだな」とでも思ってください。

 いや、失敗しないと思うんだけどなー

2022年3月15日火曜日

ジルコニア容器

 ジルコニアの容器。ジルコニアの硬さと堅さを利用した使用法です。





 先日オモシロ本紹介でまだ上巻しか読んでないのにお勧めするという暴挙に出た『NSA』。

 最後まで読みました。思ってたのと、というか、こういう風になってほしい!というのがことごとく裏切られて(しかも途中までイイ感じに期待させやがってよう!)超最悪でつまり最高。

 一周回って一番似てるのはオーウェルの『1984年』だった。というとネタバレの香りもしますが・・・、俺にとって知ってる限りすでに古典だった『1984年』より、もっともっと強烈に現在進行形の現実+ちょっと未来を描いてるに決まってる臨場感という点でも超最悪でつまり最高。


 関連付けられそうな作品を俺でも読んだことあるレベルの有名作で並べるとこの辺かな?

この中では抜群に読みやすかったです。

 歴史改変SFと言えば、まだ上巻しか読んでない上に今のところ下巻を読む気はまだないのがこれ…

 (今のところ、と言ってももう何年かたってるんで忘れてますが…)早川が言うほどいうほど傑作ではないけどもすごく面白かったです。

 俺のようにスーパーロボットバトル!!を期待してたらそうでもないんで肩透かしですし、グロ目が苦手な人や、日本大好き!ちょこっとでも日本がバカにされたり悪口言われたら激おこ!!な人は湯気で頭髪がじゃんじゃか抜けると思うんでおススメしませんが、エンターテインメント重視派の良作ですよ!!という記憶。


 じゃあなんで早く下巻読まねえんだよって思う人は写真をよ~く見ればわかると思います。俺は、買った当時放置して、ひと月ぐらいたって読みだしてから気が付いたんで・・・ショックで…

2022年3月11日金曜日

アルミナの多孔質るつぼ、ヤキモノやってて思う、アレ何?

 アルミナの多孔質るつぼ

 出荷するときはビニール袋で包み、さらにミラーパッキンを巻いてから…


 段ボールに詰めます。

 梱包が苦手でヘタクソなんですよ。

 この手は形状的にまだましなんですが、大きいテーパーやRがついてたり、フランジがガバッと張り出してたりするとどうやって包めばいいのかわかんなくなります。

 箱あけて「なんだこの梱包?小学生か⁉不器用か⁉」とつい口に出ちゃう方も多いかと思うんですが、とりあえずそこはご了承ください。

  

 

 ヤキモノやってて気になるアレって何?ってことあると思います。

 作業場、実際問題はないので気にはなるけど気にしてないようなこと、ありませんか?


 1:粘土物いじくった後、特にロクロ後、洗っても洗っても乾いてから手がフベフベしませんか? アレ、何?(スベスベともちょっと違う気がする感触なんだよなあ)

 泥パックみたいで肌にいいんですかね?そうでもないんですかね? 


2:長らく放っておいた釉薬、なんか半透明の薄いフレーク状のパリパリした何かが発生すること(種類による)があるんですが、アレ、何?

 入ってる材料の何かがなんかしてああなったんだろうけど…



 詳しい方、ご教示ください。






 

2022年3月9日水曜日

窯なんてなくてもOK!じゃん、土器だし

皆の作品の写真が取れなかったので俺ので勘弁してくれ。
(理由は後述)

 先日お伝えした小学校での体験授業。

 制作した「オレの土器」を焼成しました!!

  今年は6年生が12名と少ないため半分に分けて、たった2グループで野焼きしました。

 弾薬(燃料)は去年よりも倍ほどあるため、単純に火力は数倍のハズ!!


 午前9時過ぎにスタート。軽く手順の説明や火傷注意の話などして、

 作品は、徐々に温めながら火に寄せていきますよ~、煤がついたり、赤く白っぽくなっていきまーす、と一時間位は焙りに掛けるつもりが、かなりアグレッシブにグイグイ行く子が多くて、何回か「ボッフン!」ってデカい音してました(笑。それもまたヨシ!

 子供はもちろん大人(俺、手伝っていただいた父兄、先生方)も燃えろファイヤーでガン上がり。
 去年流行ったファイヤーチャンバラやファイヤージャンプ(焚火の上をライダーキックで飛び越える)、一人や二人絶対やると思ったんだけど、火がデカかったせいでいませんでした。一応褒めとくか(笑

 壊れるかどうかは知らないけど、焼き足りないってことは絶対ないと保証できるレベル。しかもまだ薪が余ってる。
 先生方が「とにかくここにあるもの全部燃やし尽くせ!」と延暦寺攻めの信長みたいな号令をかけてました。
 

熾火に全作ドップリ埋めることができました。

 11時過ぎに薪くべ終了!!
 出した分は全部燃しました。しかし裏庭にはさらに数倍の枯れ木や枝が!
 「年に一回じゃ燃しきれないな!」と先生。田舎の学校の先生方、こんな授業はどうですか?産廃呼ぶ回数減ってエコですよ。多分。


 あとは午後まで放置します。俺もいったん戻って飯食ってメールチェックしたり。1キロもないからね。早いし楽だね。
早めに戻ったら若手先生が火の番を(笑


 取り出し~冷ましに関する注意事項など説明して、レスキュー開始!


 今回実験的に行った、飽和食塩水ぶっかけの結果。赤くなってます。

 直接塩まきしたのも色味が変わってこの程度の温度熱量でもハッキリ効果があるみたいです(良いか悪いかは知らん)。
 ただし、照強みたいにどっちゃりぶちまけた子がいて、どっちゃり浴びた部分は異常に真っ黒になってました(笑、写真がないのが残念(理由は後述)

 余り土で俺が作った大きめの土器に、6年生全員の名前を弁柄で書きつけました。無事に焼けて良かった良かった。ちなみにセスキ炭酸ソーダの水溶液で溶いた弁柄です(上の奴)
 資料室に令和式土器として、ホントの土器片と一緒に保管しますとのこと(笑

 お待ちかね、行方不明破片捜索タイム。顔が熱いんだよ、顔が。

 この後、実はヤキモノ好きだったりした校長先生(今年度から赴任)といろいろだべっちゃって、気がついたら生徒の作品片付いてました。そんなわけで写真がないです。

「来年はもちろん、自分が校長な限りは毎年必ずやるのでヨロ!」

 ご予約承りました。

 

 6年生のみんな、先生方、今回ボランティアで参加してくださった父兄の皆さん、ありがとうございました。



2022年3月8日火曜日

業務連絡用

 直接お会いできないお客様用に、ご希望の品を在庫のうちから選べるよう、写真だけでも事前に実物の個体を確認していただけますってことをたまには紹介しようかと。






 もちろん、写真を見てキャンセルもOKですし、届いたのちに思ってたのと違った等ありますから、そんなときも返金交換再製作に応じます。
 通販だからね。いろいろあるよね。

 今回箸置きですが、るつぼや耐火物といったファインの場合でもご希望でしたら行ってます。多孔質緻密質の違いや実際の比率等、実物の写真をご覧いただければ伝わり易くもなりますので。
 
  お気軽にお問い合わせください。




2022年3月7日月曜日

陶芸発信、の味方じゃなくて見方

 物を教える、というタームに最も適さない人格の私ですが、動画サイトやホームページ、書籍等の世の「ヤキモノ作り方発信」についてチョロチョロやっていきたいと思います。

 ちょっとね、知り合いにいろいろ聞かれて話したりしたんでね。ちょっとは頭の中で整理できて来たというか…


 では、写真もなくダラダラ語るシリーズスタート。


 「〇〇の作り方」「轆轤の方法」なんて動画はゴマンとありますが、おおかたはヤッてるところが映ってるだけで、その人が何をいいこと伝えてる風にしゃべってようが、どれほど非の打ち所がない話でも、どうせどっかで見聞きしたようなことしか言ってませんし、我々受け取る側にとって即効性があるどうかは別だったりするわけですよね。

 ここまでは経験あると思いますがどうでしょう。


 その手の発信者で唯一親交があるのは『俺たちのイノウエ』こと井上誠司さん。(面識はまだないんですが)先生は頑固者に見うけられますけど、ツッコミ入れると次以降の動画にスルスルと反映させてくれるっぽいのがわかってますから安心して例え話に使ってみたいと思います。


 イノウエ先生のスタンスはロクロに限らず「上手なプレイヤーを育成する」ということです。ブログ記事のグチグチ言ってるいくつかを除けば、発信内容は「上手なプレイヤーになるための練習法、考え方」という基本線を外しません。

 訓練校(職人さんの養成所)で教わって、街の「トーゲーキョーシツ」ではない生涯学習的な「お気楽な趣味以上」のタテマエ志を持つ受講生に長年教えていますから、経験上上手くいってるやり方のハズ。

 極論すれば、目さきの今いじくってるその一個がうまく出来るかどうかは関係ない。そういった時間軸での話になってます。

 例えば、口元切って揃えてるようじゃいかんざき!というのもそうですよね。上手い人になるためにはこのぐらい黙って揃えられるようにしろや!ということであって、その個体の設計、制作の都合上必要があって切ることに対して言ってるわけじゃない。


 来月は彼女の誕生日。イカシタ何かを作ってプレゼントするぜ!!つきましてはそれに特化したコツや工程の知識をゲットしたいぜ!

 なんて場合には、イノウエ動画はあんまし役に立ちません。そういうスタンスじゃねえからしょうがない。(逆に、ここをついたシリーズがあるともっと客が増えるよ!先生!!)軸組みの構造みたいなもんです。

「白くてぷっくりとしてて青い花の柄をイッチン書きしたこーんなカフェオレボウル(笑)の作り方の具体的なコツ」みたいのは出てきてないですよね。いや、出てきたら超面白キモくて噛み砕いたクランチチョコをキーボードにぶちまけちゃうと思うけど、多分そういう動画はグダグダイノウエになると思います(だから煽ってますよ!煽ってますよ!!観てみたい!!)

 そうゆーのをイノウエさんに教わろうとしたら、講座受講生になるか地元で一番高~い一升瓶を携えて押しかけて、とにかく対面で一緒にやるしかないです。仕事の邪魔になるんでおススメしないけどそういうこと。

 「基礎力総合力のあるプレーヤーになる!」ために観ましょう。その意識があって、ある程度の経験を積めば、もうこまかい部分部分の意見ややり方の自分との相違なんかは取捨選択ができるので気にならないはずです。


 ただ職人養成システム、虎の穴流ですからキチンとやろうと思うと大変だよね。「いや、俺もう年だし、別にそこまでガッツリ上手い人になるってよりも毎月自分なりになかなかいい感じのを一つ二つ決めて作ってってやっていきたいんだけど・・・」という人も多いはず。そういう方は、先生の圧に負けて気負ったりせずにさらっと頭の隅に入れておくだけにして、後々やっぱ必要だとなったらばガン見するといいんじゃないでしょうか。

 流儀の違いもありますが、「日曜日に半日つかって何個か作ったりしてまーす」って人が、玉どりの仕方だけ練習しても準備の練習になっちゃうからね。

 多少の経験がないと内容も結局ピンと来なかったりするかも。

 不特定多数の「初心者(あるいは超ライト層)」に対する発信としては本職的すぎで、かといって本職目指してるような奴が専門校も行かない製陶所に就職もしないでお部屋のパソコンの前にいずっぱりとかありえないよな。(まあそもそもYOUTUBEってのがどうしてもそんなんなっちゃうからしゃーないけどね)


 先生イジリが長くなってしまいましたが(むずかしいの承知で期待してますよ!!)、先生は「焼かなきゃもったいないようなのをバンバン作れる人を爆増させて窯をドンドコ売れればしめしめ」、俺はその先生を持ち上げて計画の尻馬にチャッカリ乗り「やっぱ俺の複雑な芸術作品には専用の炉材やセッタージグがいるかもな」と思うレベルのお客さんを何人も爆誕させれば、先生通してうちに注文がくるんじゃねえかと。


 言いたいことは、

「作陶マンとして上手くなる」と「任意の何かを上手く作る」は完全に切り分けられないけれども、実は別ってことです。

 動画やブログ記事なんかを見るときはこの辺意識したほうがいいです。


 では「任意の何かを上手く作る」のほう。

 これはこれで動画もいろいろあるように思いますよね。で、どうでしょう?上手くいきましたか?上手くいった人は「もともと少なくとも必要分上手かったし経験もあったから自分用に落とし込めた」か「やたらと飲み込みがいい」のどっちかのハズです(「自己評価が甘い」ってのもあるかも)

 そりゃそうです。これもshowがない。視聴者が本当に作りたいのは(似てるかもしんないけど)それじゃねえんだから。


 それを作る技能や知識が自分ひとりじゃまだ足りないわけで、作りたいものが具体的であればあるほど、必然的に「それじゃないんだよなあ」ってなります。

「ボツボツした煮え切らないチョコレート色の釉薬のかかったフガフガした口細りの、やや大きめのカップで、だいたいこんな形状。どうみても不自然な位置に細っそくてペラッペラのちっこい取っ手がチョコンとついてて絶対つかみにくいに決まってるけど超オシャレにインスタに挙げられてるし、なぜか使いやすいと物理法則を共有してなさそうな世界で評判」

 みたいな俺の考えたそれの作り方のコツがたまたまどっかのユーチュー陶芸バーのアップした動画に見つかる確率は限りなくゼロでしょう。


 ある作家がスゲエ具体的にスタイルの出た(最近使いたい言い回し)作品を作ってる動画があれば、ぶっちゃけそいつが勝手に作ってるところを見てるだけになります。けなしてません、ろくなコメンタリーなんかなくてもそれはそれでメイキング映像の面白さはありますよ。こうやって作ってるんですよーは興味あるからね。

 これは純文学作品と一緒で、個人的あるいは具体的になればなるほどそうなります動画や作品の内容の良し悪しではなく、私的であればあるほど刺さる人数は絶対減る、しかし刺された人の刺され具合は半端なくなる!良い悪いの話じゃあないからこれまたshowがない。

 対面していない人の個人的な懸念事項を、どうすれば向上修正できるかを個別対処でアドバイスできるような先生は普通存在しません。普通、というのは、どうやら中には一酸化炭素がニオイでわかるようなX-MEN的な人もいるっぽいので、テレパス的な人もいるのやもしれませんが、そういうミュータントは別、という意味です。


 どうしても不特定多数を相手に、となると例外の少なそうな当たり障りのない、結果的に、こっちの受け取り方としては、幅広く応用できなそうな気もしないでもない、J-pop風のいい感じにボンヤリした(ここは褒めてません)内容を好意的に咀嚼するしかなくなっちゃうような動画が人気になってる気がしますね(厭味ったらしい見方)

 

 このHPも含めて言いますが、何か作りたいものがあるんだったら、誰かの発信なんか探してないで自分で作り方を考えたほうが100万倍マシですよ!!

 その編み出した作り方が、人からどんだけダサくてみっともないと思われようと、邪道だのその場しのぎの小手先だのと言われようと、そっちのが楽しいし、結局身になると思います(これは絶対)。独学の強みはそこ!!


 動画見てもしょうがないって話じゃないです。その手は気に入ったら「後でまねしてやってみよう。やってみたらなんか面白いこと思いつくかも?」ぐらいです。発信者もそんな程度に思ってるはず。なんかしら面白かったら「高評価、チャンネル登録お願いします」に付きやってやればOKなんじゃないでしょうか!!


 役に立つか立たないかは受け取る側の胸一つ。受動的ではなくて能動的に「拝見してやろうじゃねえの!あぁ?」ぐらいの上から目線で各先生方の発信を見るとよろしいと思います(笑


 次は発信者の皆さんに向けて。

 初心者と話してて言われたことです。

 全体的な「初心者向けのロクロの基本」的な動画についてなんですが(それに限らずカモ)今よりももっともっと細かく要素要素に分けて説明していただけると、とホントの初心者の方に伝わり易いと思います。

 こういう部分は他のスポーツや趣味の教えます発信に比べて、ヤキモノ発信は相当劣ってる気がします。

 お碗一つ成形するにしたって、体の各部、各指の位置関係、使い方、力の強さや方向、どこをどう意識しているのか、自分ができちゃうからってそれを一連の流れで語らずに、各パートパートに分けて自分がどうやってるか解析できないものか?と思います。出来る人が思ってる以上に要素はもっと細かく分けられます。


 逆上がりと一緒で、皆さんのようにプロや教える側になるほどそもそもできる奴はできない奴が何でできないのかわかんないことが多いでしょうから、考えても相当難しいです。隣で一緒にやるんじゃないからこれ以上考えられないぐらいに細分化して明確に言語化する必要があるんだよね。結局は感覚でしかないことだけど、大事です。

 俺は十分細かく伝えてる!ってかもいるかもしれませんが、それ以上細かく出来ませんか?原子もまだ分割できますよ。電子とかに。


 一連を覚えて各パートを細かく修正していくことと、細かい各パートをつなげて一連にしていくことは裏表で、教える、という立場からは両方あったほうがいいんじゃないかと思うんだよね~。

 これ、俺の場合は意識したらしばらく今まで通り作れなくなりました(笑、でも通り過ぎたら確実に一段うまく出来るようになったと思ってます。まだヘタクソ極まりないだけど。

 その友人には、外側の指に対する内側の指の位置関係と力の向きと加減、と、内側の指に対する外側の指の位置関係と力の向きと加減を、轆轤のどんな工程中でも常に「同時に全体的に」ではなく敢えて「それぞれ別々にも」感じ取ることができるように慣れてからはだいぶできるようになった気がするので、とりあえず品物の形の出来はさておき、そこだけ意識して慣れてくればどういう時にどうするとか会得しやすいのではないか?と教えたんだけど…

 この辺どうでしょう?

 練習したいってんなら、感覚を慣らすのに工程を細かくし過ぎて悪いことは無いんじゃないかと思ってるんだけどなあ。(「ド素人勢いロクロの暴力的にダイナミックな魅力」とは別の話!)

 

 こんな感じで、ライト層(バカにするんじゃなくて、超大事な層)に対する「なにか」を思いついたりご質問いただければ、実践込みで記事にしていけたら面白いかも、と思ってます。予定は未定だけど、被験者も用意できそうなんで予定してます(笑

 





 あとさあ、昔っから言ってますが、ロクロメーカーはもうそろそろ、轆轤の回転数の視覚化、そうでなければペダル(やそれに類するボリューム操作レバー等)のインデックス化可能タイプ(例えば8段階クリックとか)を安価にオプションできるサービスを開発すべきでは?

 初心者のスタートダッシュだけじゃなく、プロでも重宝な利用法を考えつく人絶対多いと思うんだけどなあ。

 

 

  





 





2022年3月4日金曜日

アルミナ短マン管+蓋

  短いっす。そういやあ、単結晶用とかタンマン管ってこういう短いの作ったことなかったなあと。

 それだけですけど・・・

 高純度のアルミナです。蓋付きってのもミソ



 反っちゃって出荷できなかった箱型るつぼをセッターにして焼成。
 ガタガタになってるのは、焼成収縮して隙間ガバガバになったのをこのまま窯出し~移動したせい。写真撮るんだからと並べなおしたりはしないという…








2022年3月2日水曜日

アルミナの加工板 先月本

  読者数は少ないものの、このページの閲覧者の中には、ロシア、ウクライナ、ベラルーシの方もチョイチョイおられます。大半は「ネットの闇的なボットっぽい何か」の付けた足跡だとは思うんですが、現地にお住いの日本人の方かもしれないし、メッチャやきものに情熱があってよその国のこんなクソ僻地HPにたどり着いちゃったナイスガイかも知れないと考えると、この一週間、そして現状どんなだろうと心痛みます。

 軽々しいこと言えませんし、具体的に出来ることもなく、残念なほど無力ですが、とにかく無事であることを祈ります。 


 いつも通りに進めます。

 アルミナの後加工した板です。バカ穴にネジを通して何かを抑えるようです。


 この手のものも承りますのでお気軽にご相談ください。

 ただ、流れ物の部品の多量生産にはまず対応できないのでその点はご了承お願いします。

 

 では後半のダバナシも通常運航で、

 例の水増し企画、先月読んで面白かった本。


 小説部門はこれ。

      風呂で読むと左側みたいによれよれになるぞ!


 実は昨日上巻読み終わったところなんで、まだ最後まで行ってないんであれですが、超面白いです(少なくとも前半は)

 みんな大好き歴史改変ナチス物SF。ですが「高い城の男」型の枢軸国が勝ってたら?等とはちょっと違う変わり種(多分)

 舞台は第二次大戦中のドイツ。すでにコンピューターやスマホ、インターネットがある世界。

 そうなるとナチスがそれをメッチャ上手に使いこなすという身の毛もよだつディストピア(褒めてます)。

 キャッシュレスが義務付けられて現金所有は犯罪。いつどこで誰が何をした、何を買って、テレビは何を見たか、等々あらゆる行動が国の諜報機関《NSA》のデータサイロに保管されてるという…。アレ?四人家族なのにずいぶん多めに食糧買ってるなー、貴様誰か匿ってるだろ?なんて簡単に見つかっちゃう。

 ただ、ナチス無双とかそういう(連合艦隊連戦連勝モノ的)話なわけじゃなく、戦況は史実同様ドンドン芳しくなくなっている様子(今のところ)

 主人公は二人、いずれもNSAという諜報組織のネットワーク操る部署に勤めてる男女。

 二人ともちっとも思想的にナチスシンパじゃないところがミソで、男(サイコパス系悪役、今のところ)は少年時代に受けた屈辱の復讐のためにクソっぷりを発揮、女(一般的な共感を得る方、今のところ)は東部戦線から脱走してきた逃亡兵(恋人)を隠し部屋に匿うためにデータを改竄、といわば私利私欲で職分で許された領域をこえてコンピュータを操る感じで視点は常に人間ドラマです。女性の方なんて自分に自信がないもんだから、戦争が終わったら賢者タイムになって彼がどっか行っちゃうんじゃないか、戦争が終わらなければいつまでも私一人のものだ!みたいにも考え出しちゃったりして、いろいろ複雑。

 もろちん背景ではナチス対連合軍の戦争(サイバー戦含む)が激化!

 もう面白いでしょ?マジで良く出来てんだよ!(今のところ)

 当たり前ですがSFの常として、「現在の社会」の鏡になってます。コワイ!

 読みやすいので普段SF読まない方にもおすすめ。あ、でも高校生以下にはあんまりかな?男の方の復讐と性癖がほれ…ああそういうこと、なので


 ヤキモノ本はこれ 

 古本屋でゲット

 これはヤキモノの本でもありますが、日本のヤキモノの歴史の本です。
 
 マンガを探して出かけた小学校での土器土器授業用に何かないかと出かけた古本屋でふと発見したので救出!
目次もこんな感じ
 
 これまた全部読んでなくて、さしあたりドキドキ部分をチャラらと読んだだけですが、すっげえいいです!このあと六古窯などの解説に続いてドンドン時代が下って現代(といっても30年も前の本だけど)まで、ダラダラ読んでみたいと思います。
 
 歴史学者(しかも古代窯業史?が専門ぽそう)が書いた本なので、謎の思い込みやオカルトも、ロマン文学感もなく、解説は判明した事実を元にスッキリわかりやすく、とうぜん「やきもの史」的な名前のくせに実は骨董趣味からくる偏りの酷いムック本のそれとは内容の厚みが桁違いです。いや、そういうムック本が悪いんじゃないけど俺の知りたいヤキモノ史じゃねえんだよそれ。
 
 図版が白黒なのが残念、ま、そういう本じゃねえからいいか。

 歴史をたどってそれっぽいのをマネして作る「歴史贋作マラソン」とかやってみたい!!

 今月の幕開けはこんなところで・・・