2022年7月6日水曜日

焼き損じをなかったことにできる夢の未来がくるかもしれないかもしれない。

 いきなりの衝撃画像!!ちょっと前の事件ですが、焼いたらこうなってました、テヘ


  先日も焼いて割れたのだけはどうしよーもねーという話をしましたが、まあ焼き損じっつうのはもう取り返しがつきませんね。


 焼く前だったらいくら失敗しても、ほぼほぼ原料状態に戻せるわけですが、窯に入れて熱処理しちゃうっつうのはヤキモノ屋にとってルビコン川でして、わざわざ言うまでもなく不可逆!!やっちまったらもう元には戻れません。


 つまりヤキモノ屋は年がら年中、掟破りのローマ逆占領を行うカエサルの心境になってるわけ。しかも人知及ばぬ部分が多い焼成工程はほとんどの場合最後の最後ですから、そりゃ禿げてもしょうがねえし、心も蝕まれてひねくれた迷惑オッサンだらけになるわ。

 

 しかも最悪なことに、ほとんどのセラミックス=ヤキモノってのは、木材や金属、合成樹脂といった他の素材に比べて比較にならないぐらい、それこそ地質年代で測るレベルに劣化も風化もしません。

 先史時代の考古資料のスターは陶器や土器なことからわかるように、1万年経っても土器は当時のまま腐りもトロケもしないで存在しちゃいます。ヘタクソ極まりないシロモノを裏山の奥深くに捨てたところで、遠い将来なんかの拍子にうっかり掘り出されたが最後、後世の人々に鼻で笑われちゃうわけですよ!!  


 私もたまに友達の家や実家で大昔作ったダッサイお碗かなんかを見つけてしまって、そのお碗もそれを知る人々の記憶もフィリップ・K・ディックの小説みたいにこの世から抹殺したい衝動に駆られます(この世から消し去りたいのは記憶とお碗です、ディックの小説じゃありません)


 焼き損じ、何とかならねえものかな?

 あるいは、

 これってもう元の微粉末に戻せないのかな?

 なんてことは誰でも思うけどなかなかそうもいかないですよね。


 もしかすると将来的には可能になるかもしれません。



この写真の文章を読んで興味のある方もない方も、次のリンク(PDFファイルです)をクリックして、5ページ目右側からの記事をぜひ読んでください。

 NIMSNOW Vol.22

 これは先月MOT’sの展示会を行った『世界の』物質材料研究機構のパンピー向け小冊子(一応)です。ちなみにこの中の別記事にはチームぐるみで大変お世話になってる方が登場しています。いつもありがとうございます。

 

 これ読んだだけではまだ疑問がいくつか出る人もいるだろうレベルにざざっと紹介されてるんで、これ以上ざざっと俺が解説はしません(つうかできません)

 要点だけ言うと、

「ある条件」で焼成すると、焼結するどころか、逆に細かく分解する。

 分解っつってもこの場合、分子がバラバラになる分解じゃなくて、単純に細かい粒子になっちゃうって意味ね。というヤキモノ者にとっては時間逆行レベルの謎現象。ドクターストレンジか?

 たまにいるよね、理屈っぽいオタ向けアニメの敵キャラの特殊能力で「原子レベルに分解!!」みたいな。知らんけど。


 まあこの内容。実際見たって信じがたいが、紹介した当該記事を読めば理屈はわからんでもない。ぐらいにはわからんでもない。

 

 何より粒度も制御できそうらしいのがすごい。

 まあ頑張って技術の確立と設備の簡易化を急いでいただき、せめて我々業界人レベルまで近い将来降りてきてもらえれば少なくとも「未来永劫恥をかくやもしれぬ恐怖」は克服できることになります。環境にも優しい。

 今まで長石だのを粉砕してた労力も軽減されるし、いいことづくめなんじゃないでしょうか?

 産地で見かけるカッチョイイ水車はホントにただの飾りになっちゃいますけど。

  

 もろちん、シャモットやセルベンのように、無理やり暴力を使って粉砕してシクジリ品を再利用する手も昔からあるにはあるんですけどね。

 そんな粉砕機導入するのに比べて、もしかしたら窯設備のオプションで付けられる時代が来るかもよ?

 期待しときましょう!!



 あ、冒頭の写真。

 これがどういう状況でどういう理由で割れたかがわかった人は天才か俺と同じレベルの大間抜けです。

 天才or大間抜けの回答。かかって来い!



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