2019年3月5日火曜日

灰釉つくったった、どっから始めようかな?

 灰がたまりました。ストーブのゴミです。
 ちゃっと掻き出してちゃっと畑にまいてるんですが、もちろん釉薬作れるのは知ってます。やたら面倒だってのがわかってたんでバケツに何杯かとりわけといたものの、手を付けてなかったんですが、先日のコーン作った時に一緒に釉薬の試験調合もしたんで灰もついに使ってみるか、となったわけです。(コーンもごちゃごちゃ続けてますよ。そのご焼成できてないだけ)

 灰自体はロクなもんじゃありません。が、基本的には近所の果樹(栗、梅)の選定枝、隣の杉林の折れたり邪魔で切り倒したもの、自分ちの気の選定枝、建築廃材、を中心に、いろんな包み紙、アマゾンの段ボール、赤点の答案用紙、お菓子のポリ袋、鼻かんだちり紙、新聞の下敷きにつかった奴、焼き芋の皮等々、まさに現代の地球の縮図といっても差し支えないでしょう(いやおまえんちのゴミだよっつうツッコミは無しで)

 イイ灰悪い灰なんて言い方することもあるみたいですが、「釉薬のためにわざわざえりすぐって灰を作る」なんてのは、「薪ストーブを使いたくてわざわざ薪を買う」ぐらい本末転倒(極論ですよ極論)
 合成土灰だって一袋持ってるのに面白半分の企画にそこまでできねえ。

 まず、洗うか洗わないか、ということですが、洗わずに使うことにします。一応ざるで粗いゴミだけ篩ったんですがその程度。
 



灰、長石、シリカ、カオリンを使い(もしかすると長石は数種類?)
とりあえず簡単に様子見ということで以下でテストしようと思います。

A、四成分
 同重量比 1:1:1:1

B、三成分
灰+長石+カオリン
灰+長石+シリカ
灰+シリカ+カオリン
 これらもそれぞれ同重量比 1:1:1

C、2成分
灰+福島長石 
灰+シリカ 
灰+カオリン
これもとりあえず全部同重量比で。

退屈なゴリゴリシーンは省きます

塗ってみた。ゴテゴテです。
白土と赤土で試してます。


これらのうち、灰+シリカとかふつうあんまりやりそうもないパターンもありますが、
それでも情報ないし、やってみようと思います。

 特に我々の感覚だと三成分四成分の隅っこ、例えば石灰石だけ、とかやる意味あんのか?なんて思ってしまいますし、必要かどうかだけでいえば全くその通りなんですが・・・
 「科学的な検証実験」みたいな言葉からは計算づくで効率的、みたいなイメージがありますが、知ってる限り研究者の皆さんは経験や勘から予想を付けてピンポイントであたりを付ける、みたいな方法は排除して、今回分の条件付けしたら気が遠くなるような順列組み合わせを端の端まで絨毯爆撃して調べつくすやりかたしてますよ。で、そのデータがのちまで論文や結果として残り、知らない後輩たちのきっかけになるわけです。過去のデータを引っ張り出してきたら改めて実験し直して検証し、自分の研究につなげてます。
 よく簡単に「学者は机上の空論を」とかいう人いますけど、経済学やなんかは知らないけど少なくとも材料系の研究者っツウのは、理屈と実際の違いや「結局やってみなくちゃわからねえ」ってことを一番わかってる人種の一つですよ。
 先日紹介した二成分での状態変化のグラフなんかもアンナン計算では出ないですよ。やった結果をプロットして初めてわかるわけです。

 まあ我々はそこまでじゃないので自分がいらないと思ったらやることないんですが、意外なところやミスや間違いの向こう側に宝箱付の隠し部屋があったりする、なんてこともありますよ。人生はRPG。

 それというのも最近また『ポカホンタス』を観ちゃってですね、劇中ポカホンタスがジョンスミス(元の声はなんとメル・ギブソン、しかも歌ウマ!!)に対して「あなたは月と話すオオカミの声もしらないし、山猫になんでわらってるのかなんて聞いたことがないでしょ?あなたには知らないことばかりよ。あなたは知らない世界を知ろうとしてないから~(レベルの低い意訳)」なんつって歌うんですよ!(これがまた大アラン・メンケンの最高傑作じゃねえかと思うような超名曲で多分20回ぐらい見てるのに毎回毎回大洪水)あらためて感じいってですね、「ポカホンタス事件(後述)」の心の傷を和らげるためにもとにかく効率的に金的を射止めるようなスケベ心で世界を狭めるようなことはすまい、どうせ実験のついでなんだしな!って感じです。
 
日本語版も相当イイですね!これ。
「風の絵の具は何色?」って訳した人まじ天才じゃね?

原語、こっちのが具体的で濃いと思う
White or Copper-skinとか


何はともあれ焼いてみた結果がこちら。
 焼成はうちの窯の指示で1230℃30分キープ即断
 灰の絵の具は何色?
右クリックで大きくできますが、見る価値はないかも。

 結果はピースの見た目はデロデロなんですが、やってみた価値はあったって感じです。もっと細かい網で濾した方がいいな、とか3成分4成分もう少し細かくやってみたい組み合わせの部分があるなってこととか面白い。灰のみにちょっとだけ何か加える調合も面白そう。
 
 ただ、死ぬほど扱いにくいわ!二三日で上澄みも出ないほどブヨブヨしてくるんですよね。なんだこれ?灰汁抜きしてないからかな?ミル掛けしてから篩おうかなあって思ってるんだけど。

 合成土灰で同じことやった時には全体にもう少し溶けてる感じだったんだけどな。しかも扱いやすいし。

 すぐやる気にはならないけど、また時間出来たらやってみたいですね。




ポカホンタス事件とは
 たしか1995年夏?ディズニー映画『ポカホンタス』にモーレツに心動かされて、結構遠くまで飯食いに行ったときに同伴者に熱く語ったんですが、そいつがニブイ上にどこで仕入れたのかアメリカでは史実と違うと当該部族の人たちが怒って問題になってるとかひねくりだして、まったくテーマや物語に感動してないのに対して激怒した俺はトイレに行くふりをしてそいつを置き去りに一人で帰ってそのまま別れる、という二年前の「美女と野獣事件」と全く同じことを繰り返した「ポカホンタスから一切なにも学んでないのは実は俺だった」ということを完全に露呈した事件。たぶんいまだに・・・

 どうでもいいけどこの時期のディズニーってイイの多いですよ。ムーランとか、ノートルダムとかヘラクレスとか。ちょっと古いスタイルのままのマンネリっぽい作りや説教くさいのとドストレートすぎて時代と合わなかったのかなあ?あと今の感覚からするとポリティカルコレクト?的な部分が若干未成熟だったり異国描写やなんかがワヤだったりとまだ白人目線が抜け切れないけど、それでも多様性を認めあった志高い作品が多いと思う。
 子供のころからディズニー好きなんですけど、何が好きってフルアニメーションのぬめぬめした動きですよ。特に女性のスカートとかのヒラヒラ感大好き!!

5 件のコメント:

  1. Clay Groove様
    ず~っと前から楽しく見させてもらってましたが、「ポカホンタス事件」に私の笑いのツボが励起したので基底状態に戻る前にコメントしました・・・(笑)
    因みに私は「ジブリ派」ですが、ディズニーも嫌いではありませんよ、でもスカートのひらひら好きなほど・・・上級者でもありません・・・(笑)

    文章の内容中にちょくちょく現れる、映画やミュージックの小ネタが私のツボをこそぐっていましたねぇ~
    無機質なセラミックを扱われるお仕事なのに、その文章がなんとなく人間臭くて面白く読み物としても、仕上がった坩堝も秀逸ですね。

    今はあまり使わなくなってしまいましたが、私も職場(製品開発)では坩堝や某有名焼成炉の「超~焼く=装置名」などを使って焼成試験をやっていました。
    先日も久しぶりに使ったら、後ろの方にわざわざ記憶しておいた「秘伝の焼成プログラムが上書き(涙)」されていて危うくやらかすところでした。(ウチのコントローラー古いんで、入力するの面倒でかなわん)
    前の記事にもありましたが、昇温プログラムの番号間違えるのって結構「あるある」なんですよねぇ~(笑)忘れたころにやらかす!

    これからも見させてもらいますんで記事の更新、楽しみにしてまぁ~す!
    ではでは・・・

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    1. Lime様

      コメントありがとうございます。
      一人親方ゆえの気楽さと性格がふざけているせいで文章はあれですが、たとえ出くわしただけの読者の方にもわかりやすくセラミックスや耐火物の仕事を発信して行けたらなーと思っています。


       GOスイッチは二~三回チェックしてから押すようになっているので年に一回ぐらいしかプログラム間違えません(笑

       直接質問や突っ込みのメールは頂くんですが、お気楽コメントも大歓迎ですのでこれからもよろしくお願いいたします
       もっと秘孔を付けるように精進しますんで、たまに読んでいただければ幸いです。

       あ、見積もり依頼等も大歓迎です!

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    2. スカートだけじゃなくてフワフワ動き続ける髪の毛も好きです。

      宮崎駿はなんか合わないんですよね、相性悪いみたい。ほかにも、合わない監督は居てデビッドリンチ、行定勲、伊丹十三はぜんぜん合わないっす。最近だとデイミアン・チャゼルはセッションもララランドもダメでした。ファーストマン見に行ってない・・・

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  2. とりあえずFacebookにリンクさせていただきました。
    スゴイですね。

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    1.  リンクありがとうございます
       凄いってのは置き去りにしたことですか?ハヤオが苦手なところですか?

       出来上がったのは薄汚れた透明釉なんですよ!使い道なんだろうけど、現段階での個人の感想は、で、灰使ったからってなんなんだかなーってところです。
       ほぼ灰で、扱いやすくするためにちょっとづつ何か添加するパターンなどで薄く塗ると薪窯ボーボー系の肌になりそうだ、というのは分かるんですが還元するわけで無し、思考に逃げ道がありません(笑 
       もともと知見もないせいか、灰の釉薬を欲しいと思ったことすら特にないんですが、山の土やテラコッタとかも余ってるんで、「電気炉にしかできない系」とあわせて片一方の目標でもある「言われても電気炉とは思えない系」を目指して折々遊んでみようと思ってます。

       釉薬の動画面白く拝見してます。早く塗り塗りして焼いたところも見たいし、リドレーももっと見たいです。
       期待して待ってます。

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