2019年3月19日火曜日

試験に忙しくて製品を作る暇なんかねえ!という概念 灰釉シリーズ

 「殿、ご乱心!!」
 あほなタイトルですがそんな気持ちになっちゃいますよね。テストしてる間には夢と希望しかないんですから。実際茶碗サイズで作るとなんかもっさりしてんなあとかだっせえなあといろいろ不満やなんやかや「結構なダメージの裏切られ」(プロの皆さん実感あるよね?)が出てくるもんなんですが・・・

 具体的にこんな釉薬が必要だ!なんてせっぱつまった理由なんか別にないけれどついやってしまうのが釉薬の試験。すでに試験すること自体が目的のような面白さがあります。
 「世の中には二種類の人間がいる。釉薬をテストする奴としない奴だ!」とスタローンが言ってましたよ(ウソ)

 例の灰+長石のテスト(二回)の結果から

 灰4:6ソーダ長石
  Add ガイロメ粘土5%
 をチョイス。
 ボールミルでザザッと混練(軽く塊をつぶす程度で細磨せず)した後60#篩い通し
  
 扱い易さ(がありそうっぽい)と艶や透明感の感じ、何より貫入のきれいさが決め手。

 灰は、未洗未水簸のストーブの燃えカスです。エラそうに釉薬に使う灰って言ったところで薪の樹種や何かを選別したようなしみじみしたものではなくて、燃せそうなものなら何でも燃した、まさに現代人類の生活の縮図。アッシュオブヒューマンビーイングですよ。それじゃ火葬場か!
 なにしろメイン使用者のボンクラ一号(中二病罹患中)に至っては何燃してるか怪しすぎて知るのも怖い!
 まあそんな謎の灰でも釉薬になるんだよ(きっと)っていうドキュメンタリーシリーズです。
 
テストピースとしか言いようのないテストピースで前回試しましたが、今回からは碗形なり筒型なりのそれなりの器形で試します。
 ついでに酸化鉄、酸化銅を試して発色の確認もついでにやってみるといいかもねってところ。
 酸化鉄、酸化銅はそれぞれ
  酸化鉄2% 
  酸化銅1%と2% 
 で試しました 

 今回ちゃんとは試してないんですが、重ね掛け試験もやってみたいですよね。重なった部分の色味や性質を確認してみないことには、今後、境目に気を使って下手な掛け分けしなくてはいけないのか、それとも男らしく?バシャッと重なっちゃってても「いけるクチだねえ!」なんてことになりえるのかそれぞれの自分の釉薬ごとにも確認しなくてはね。

 まあ本来土もいろいろ試したいところですが、あったやつでいいや。

 またこれもまったく単なる個人的なイメージ問題なんですが、灰多い=流そう、という図式が頭消えないのも考えどころ。
 だらだらとは垂れないのも確認済みとはいえ、テストピース程度ならちっこいのでちょっとたまる程度で済んだだけやもしれぬ。器に使うとそもそも面積がデカくなるわけでお湯呑サイズまで行くと裾にたまる量もダンチ。こらえきれないかもしれないからね。また、粗い土や表面の処理なんかでももちろん変わります。鋳込み品だとツラの肌理が全然違うので同じ土でもつるつる釉が滑ります。その辺もチェック。
 怖いので上半身だけにしました。
 
というわけでノーガキはこの辺で結果
酸化鉄2%。一番右は素でリップに弁柄塗
貫入の出方が多少違うか?

酸化銅。やや垂れ多し。コーラの壜の色、ウソ青磁に使えるかもよ!

こっちが器に使ってみたバージョン。
定番湯呑の形、背丈で二種。
土は左があまってたテラコッタ。右が粘土屋さんドットコムの萩風土
右はちょっと厚かったかな?真ん中の防潮堤にかぶさってきてる。
口元で見込みの柿釉にかぶさった部分。
「純露」の黄色いほうの色。

細かい貫入がきれいなんだけどよく見えないかな

鋳込みに使ってみた結果(土は粗いのをふるった適当なもの)
危惧した通りかなり垂れてます。裾まで掛けてたらヤバかった。
しかし溜まりの色味はかなり綺麗!まさに黄金のタレ!
貫入が死ぬほど細かくなってるし。


いきなりにしては普通に使えました。
なんだよ事故らねえのかよ!面白くねーななんって言ってるのは誰だ!

 近いうちに重ね掛け試験するから事故的な何かはその時まで待っててください(笑
 重ね掛けは好まない方結構おられると思うんですが、俺は大好きです。
 重ね掛けの使いこなしは絵付けのできない漢(オトコと読む)達にとっては、絵では書けないある種の美しさを得るための秘蹟。追及してみる価値は絶対にあります!
 (絵付けできない理由は様々ありますよ、会得するまでにかかる時間と人生の残り時間の関係や、ドラえもん書くとこうなっちゃうレベルとか) 

 もう一つ絵付けできない男が絵では書けないようなある種の美しさを得られる釉薬に結晶釉があります。 
これも今回の試験焼成品

 結晶釉も垂れにくい調合!温度プログラム普通!が(自分なりには)完成してきてますので、ネタが切れたら記事にしますね。
 
 重ね掛けは「よるべなきオトコの仕事!累!」というシリーズは前っから考えてます。気が遠くなるような実験数を思うと腰が引けて引けて…


 まあゴミだらけのストーブの灰からでも釉薬ができたよって話でした。


で、あらためて黄金のタレ!
昔、双葉のばあさんちで見た相馬焼の皹青磁のイメージで墨入れ!
大堀相馬焼の皆さんも復興してます。ガンバ!


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