ホントの実践に入る前に引き続き準備編としてイントロダクションを続けます。
前回は理屈から割り出されるシチュエーションを列記したので、あのまままともに受け取ると
重ね方の数×釉薬の種類数×焼成プログラム数×濃度の割り付け数×土の種類数×裏表(上下を変える)
などと霞ヶ浦のアメリカナマズの生息数を数えるような非現実的な場合の数になってしまいましたが、実際問題そんなんやってられっかというのが実際のところ。
現実的には今回次回どのぐらいどれやるかってのを狭い範囲でも決めながらデータと実感をためていくって手法になるのは致し方ないわけです。やりゃあ自分なりの精度とはいえデータはたまるわけで、そのデータがありさえすれば勘頼りのメクラ撃ちより1億倍マシ(正確な数字です)。映画でも凄腕狙撃兵は撃った後小さい手帳になんか書いてたりしますよね(映画にもよるけど)。あれが何書いてるのか詳しく知らないけど距離とか風とかと照準のずれとか記録してるっぽいですよ(多分)そう思いましょう。
と、まあ前置きはこのぐらいにして
雑な性格に自戒も込めて、現実的にはこんな段取りでいかがでしょうというのをちょっと考えてみました。
A・試したい二種類の釉薬がもう決まっている場合。
これは一番簡単、というか一本道(長いけど)
それぞれの釉薬の濃度を決めて(複数をお勧め)裏表にする。だけで行けるはず。で、必要なら重ね方のパターン(重なり量やその高低の位置関係など、できれば細かいほうがいいかもね)、焼成プログラム(あるいは炉内位置関係かな?)を掛ければなおよし。といった感じ。さあ、とっとと仕事に掛かれ!
B・釉薬二つになんて絞り込むの出来ませーん
これはもう、ある程度一方的に絞り込んで「A」に移行できるようなパターンを組むしかないですね。ふつうこうなるんじゃないかな。
とりあえずは濃度や昇温プログラムは選択肢を一つ(いつものやつ!)にして試験、結果を見てから次回「A」パターンを試してみたい組み合わせを見つけましょう。選ばれなかった組み合わせの別濃度や温度に素敵なマリアージュ(はあと)があるかもしれませんが、それは今回はご縁がなかったということでね。別に引き裂かれる理由は戦争でなくとも人生も重ね掛けも「ひまわり」のソフィアローレンとマストロヤンニみたいなものですよ。と思うと詩情にかまけて後ろ髪引かれる気持ちを誤魔化せると思います。っていうか、どうしてもってんなら全部試せばいいじゃんかよ!その辺はお任せします。
で考えられそうなのは…
B-1・軸からの流し方式
自分の良く使う好きな釉薬でも、どうにかして使い方を見つけてやりたい釉薬でも、一つ軸を絞り込んで残りの釉薬との組み合わせを試します。一つの釉薬に対して相性のよさそうな相手を見つける、別名「ラブアタック」方式、ですね(ですねじゃねえよ)
次はもう勘の言い方はお気づきでしょうが
B-2・3、4種類でのボックス(総当たり)方式
これは全釉薬組み合わせてはやってらんないからいくつかに絞って組み合わせを総当たりという意味です。
3種類なら3×2、4種類なら4×3の裏表(ホームアンドアウェー)、同じ釉薬を重ねるなら3×3,4×4ですね。通称ゾロ目
で折衷案であるB-3
軸3×相手3のパターン。軸同士、相手同士ではこの場合はやりません。ある程度地の釉薬と掛ける釉薬の目星をつけている場合に有効かもしれないですね。よく使ってるメイン釉薬が3つ、新しく試した釉薬が三つなんてときにどうぞ。
ほかにもあるかと思いますが、こんな感じでどうでしょう。どの方式を選ぶかはその時の都合によってチョイスすればよしと。
次はテストピースですが、今回つかったものはこれ
右肩にマスキングテープで抜き窓を作ります。
下地の釉を使った後にテープをはがせば抜跡には上からかけた釉がそのまま残ります。あとからいろいろ把握がしやすいんじゃないかと思います。上掛けの釉は下の釉を全部隠しちゃわないようにすればテストピースには、下釉、上釉、重ね部分の三種類が位置関係とともにわかるようになるってえ寸法です。
では、流し方式を例に取って・・・
下釉だけ掛けた状態
これは柿釉に対してそこらで目についた釉薬を9種類試したものです。柿釉が、上、下それぞれありますので18種類(濃度は普段使うときの濃さ「のみ」です)
と、いうわけでドシドシ作って焼きましたがまさによるべなき結果になってます(笑
いい悪いさておいて、上下変わるだけでずいぶん違う表情、色味になるものもありますね(違うかどうかだけでいえば全部違う)。釉薬が2つあれば、少なくとも4種類の見た目を作れるわけですな。基礎釉のタイプの違いで滲み方、流れ方等が変わったり、いろいろ好みを見つけてください。
これ思ったんですけど、もしかすると向いてる人にはこれ専門でやってける可能性あるかもしれないですよ。釉薬メーカーですらも重ね掛けまではサポートしてくれてないはずだし(知らんけど)。ゴルゴ13にたまに出てくる地下室で銃とか弾丸の改造してくれるジッチャン(黒縁メガネのオーバーオールの人)みたいな神職人として、あの超大物陶芸家の陰に地下室の男アリ!みたいな(笑
瑠璃釉、飴釉、赤黄色マットにたいして白いの三種類(つまりB-3のパターン)だとこう
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