重ね掛けの魅力だの効能だのは何度かボチボチ書いてますし、興味ある人はもうわかってらっしゃるでしょうからとりあえず情や魂に訴える暑苦しい屁理屈はならべません。
また、重ね掛けの試験に限らず、釉薬は試験したからと言って、そこで必ずお目当てお気に入りに出会える保証は一切ありません。ベンチ入りさせてボチボチ使ってたってのに改めて重大なリスクデメリットに気付いてしまうことすらあるかも。この辺何かに似てると思うんですよね。それなりに頑張らなきゃいけないわりに幸せの保証は一切ない、よしんばその時ひょいと意気投合したとしても後々(しかも結構速いうちに)こんなはずじゃなかったとか。
そう「釉薬の試験は合コンに似ている」
気がしますね(しねえよ!)
自分も別に今までやり込んで詳しいからみなさんに「いいっすよ、教えてあげますよ!」という立場では一切ございません。むしろ逆で、これをきっかけに自分できちんと組み立てて検証して手にしたい!といった理由です。
練りだの成形だの釉掛けだのの「要年季スキル」と違って丁寧にしっかりやれば初心者でもガンガンデータが積み上がっていく類のものです。これで釉に慣れつつその間細工の腕前を上げていきましょう。(ほとんど自分に言ってます)
AとBがどう重なったらどうなるのかを知るこれは「技術」です。名人上手、職人の○○のようなフィジカルスキルだけが「技術」じゃありませんよ。
長くなってますが、さらにノーガキが続きます(自分を奮い立たせてます)
とっとと試験始める前に、重ね掛けにはどういうパターンが考えられるのかな?というのを書き出してみたいと思います
まず基本セット?としては物理的にどう重ねるかの組み合わせがあります。
そこに、釉の組成から見た釉と釉の選択
最後に自分の都合(手間暇好み気の長さ等々さまざま)
じっさいはこれらが絡み合ってくるわけですが。
なんとなく始める前に一旦この辺を個別に確認して、頭の中を整理しておけば、やりたいもの、やりたくないものを選択できますし、もしこんなの作りたいんだよな~ってのがあれば、それがどのタイプに該当しそうなのかが見当つくかもしれません(間違ってたっていいじゃないの)。
以前も書きましたが、ここでは2種類の釉薬を使うという限定で考えます。大変なので(笑
また釉の位置関係に関する表記ですが、混乱の元なので、読みにくくなるのであえて言い分けます。
上下=上掛け、下掛け 素地に対しての上下
高低=器を立てたときの高さ方向の上下、底(地球)に対して、標高(笑
物理的組み合わせを考える
1,2 すっぽり重なるパターン
上、あるいは下になる釉がもう片一方の釉に完全に重なってしまう場合。点々を付けたり、ピュッと一筋、みたいなのもこのパターンですね。
3,4 どちらの釉も単層の部分があり、部分的に重なる
二つの釉薬面に高低の関係がある場合、どっちが上掛けになるかも流れるんなら要チェック
5,6「重ねない」という選択肢
キチキチに接触するだけの、あるいはほんのちょこっと重なるだけの、掛け分けに分類されそうなパターン。
これはちょっと接触するだけだと境目にいい感じの黒い縁取りができる場合があったりして楽しいです。色はキッチリわかれるのかボンヤリ滲んじゃうのかで違いがありますよね。これもとりあえず『重ね掛け』に入れちゃいましょう
さらには二つの釉面の間にハッキリ素地が露出する(露出させる)というパターンもあるぞ!(重ねてない!)
釉同士接触しないならわざわざ試験する必要はないわけですが、選択肢として頭には入れておきましょう。焼き物である以上そもそもボディ!がメインであるわけで、素地が一番表でもいいわけです。境目に色ついて焦げるとカッコいいのもあるじゃん。
なんでこんなこと言ったかというと、「墨が乗ってない部分も《書》です」「休符も音符です」「ボールデッドの間も試合中です!」的なチョットカッコいいことを言ってみたかっただけです。
これは使い道結構あって、「信号待ち中も運転中なんだぞ!」「お昼休みの間も会社員だろ!」等上から目線で先輩風ブッコミたいときとか、「手も繋げてないけどデートです。断じてデートです!」「今ちょうど映画館にいるけど、仕事中でえ~す」といった自己弁護にも。大体香港あたりのスーパーコップは休暇で遊びに行ったときに最大のポテンシャルを発揮してます。
そしてそれぞれがどのぐらいの面積で重なるかが関係します。
ちょこっとから広い面積まで(釉は一緒です)
以上が数理的(笑)位置関係としての掛け分けの組み合わせパターンじゃないでしょうか。
これ以外ありますかね?
次、組成から見た組み合わせ
1・同じ基礎釉で添加物(多分主に発色用)が違う二種類の釉
基礎釉は同じで、酸化銅と酸化鉄だけの違い
その結果が好きか嫌いかは別として、グローブの上にアイスクリームが乗ってるような、カープの上に我がベイスターズが載ってる順位表のような違和感しかない組み合わせにはなりにくく、すんなり目になじむ(ことが多い)のが利点。また女神転生みたいな突然変異はしないので普段通りに焼けば事故は起こりません。
2・基礎釉自体が別々の二種類の釉を使う
鉄釉の上に、藁灰、糠系の白釉を掛けるのが伝統的な王道パターン(主観です)で、「トンカツ屋コンボ」と俗に言われています(いません)。
飴釉の上に固い釉(ジルコニア白マット)の濃度(厚さかな)違いパターン
エンタメ要素も興味アリ度も多分これが一番。意外性とスリル(炉内事故含む)があり、謎の部屋を見つける可能性も高いでしょうね。
3・同じ釉を重ねてみる。
というのも濃淡や、濃いと薄いで色違う釉も多かったりするのでアリですよ。
また、追加パターンとして、
かたっぽ透明釉でやってみる。なんてのもアリ。
天目と透明釉で重なったところが飴釉っぽくなったりならなかったり
左、天目の上から透明釉が口元に、右、白萩~糠系をガンシャ掛けしたもの
で、後は実際の釉泥漿の濃度をどうするかという部分がレイヤーされると後は実験に移れるわけですが…
全部!なんてなかなかいかないので、
通常の濃度で各釉簡単に重ねてみて、結果を見てから二~三種類に決めてそれから細かく試験、とか、俺はこの重ね方しかしないから、種類と濃度はたくさん試しちゃうぜ!とか、各自工夫して面白を見つけてください。
まあ、こうやってちょっと考えただけで結構大変なのはわかりますよね。「結果」でなく行為そのものを楽しめる方でないとちょっとめんどくさいですよ。
やるやる言っておいてのびのびだったのはもちろん、「先々行うであろう手数を思うと気が遠くなって、おいそれとうっかりはじめずらい」に尽きるんですが、
1・夏休みイベントとして教室の皆さんで手分け、あるいは皆さんのお子さんを集めて自由研究として一気にやらせる!
学校別々の生徒のグループで研究をすると、先生や誰だか知らねーけど賞与える側から「いいね」をもらいやすいというのは数年前に経験しています。
2・気を長く持ってあせらず、体調とヒマ具合の都合いい時に少しずつボチボチ進める
のどちらかがおすすめ。
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