2019年10月14日月曜日

安全性問題シリーズ。Studio Safetyについて洋書から翻訳してみた

 個人や教室レベルでは、作陶するうえでの安全性の確保に関する問題をある程度以上公的観点から語られる、ということは少ないようです。当HPでもまあたまに、といった程度。きちんと学科や訓練校等で専門教育を受けた方や、それなりの規模の製陶所でもない限り、講習を受けたり教科書上の記述を目にした方も少ないはず。趣味の作陶人、では気にはなってても判断の基準すらないかもしれないよね。 
 
 ヤキモノを始めよう!とか、○○はこう作るのだ!のような書籍やHP、動画は巷にあふれてますが、この辺は意識して調べりゃ多少は目につく程度、以上とは言い難い現状なのかなーって感じ。
 雑誌や書籍でなぜあんまり触れられて無いのか理由は知りませんが、
 1・みんな当然知ってるから当たり前すぎて語られていない
 2・そんな論点があることを気にしたことすらなかった
 3・そんな景気の悪い誰もなかなか読みやしないページに力入れてもしょうがない
 4・どこまでどう語ればいいのか難しいから棚上げ
 5・実は俺が気付いてないだけでかなり特集されている

 といったところかな?1とか5だといいね。
 俺も何年もヤキモノ雑誌買ってないですからね。
 もしそうならいくらでも謝りますよ。ゴメンねゴメンねー。

 もちろん自分が持ってるような「ファイン屋用の概論の教科書」には、公害対策、安全対策、工場排水の問題は章立てされていますが、恥ずかしながらしみじみ読んだこともなかったし、読んだら読んだでそこまで詳しいかって言うとそうでもない(概論ですから)。多分それ用の書籍があるはずですが、そうなると話がデカすぎて個人でできそうな対策は要約すると数ページ分程度。なんてことになりがち。

 まあ主にネットを利用した個人の発信者の方にとっては、かなり語りにくい部分だってのはそのハシクレとして大変良くわかります。そこまで健康や医学的な専門知識はまあないはずで、語り記しの言い過ぎや言葉足らずといった表現力とか言い間違い、勘違い、相手の受け取り方や読解力等すれ違いが発生しやすいから事が事だけに気を付けましょうぐらいしか言いにくい。決めつけもできないし、まあ、一般論風に落とし込んで対策としてはちょっとオーバーかな?でも多少オーバーでも悪いってことはないよ!ぐらいの着地になります(当然このHPも)

 よくまとまった内容にするいい方法を発見しました。
 ロクロの教本なんで多少偏ってますが、自分が読んでこれはなかなかいい内容だなあ~と思ったのがあったのでそれを紹介します。洋書なので英語の勉強がてら翻訳に挑戦してみます。
 
 とはいえ売ってる本の内容を海賊アップするなんてのは違法行為だし、倫理的にどうかと思ってます。でもヤキモノやるって楽しいよ!やってみそ!とかいいつつこの問題に触れないのも倫理的にどうかと思います。今時は子供向けの野球の本でもサッカーの本でも怪我予防のためのストレッチやクーリングダウンの方法、危険性のある障害や医者の掛かりかたについてだって書いてありますよ!

 とにかくネットの醍醐味ともいえるグレーゾーンを歩け!なわけですので、元の書籍が何かは言いません(日本語に未訳の本です。ご要望があれば個人的に教えます)。翻訳文は永遠の未就学児である私の責任ですから読みにくかったらごめんなさい。意味が通るようになればいいつもりですが、意味的に致命的な間違いがあったら教えてください。すぐ直します。とか言いつつ原文も写し間違いした部分があるかもしれません。
 まあ内容的に書籍の本論ではないですし、これを広めるならまあいいだろうと勝手に判断してみます。台風で何もできないときにこんなことしてみるのも乙ですな 

 もちろん怒られたり悔い改めたら消します。興味のある人はコピペ保存推奨!


Studio Safety
工房、作業場での安全について
When thinking about safety in the studio, remember the saying “pay now or pay later”. There is a cause and effect relationship between our present actions and our future selves. Cutting safety measures might seem like a time saver when you are rushing around in your studio, but those actions have a long-term cost on your body and your future comfort. Your body is your greatest tool, so protect it and enjoy a happy and healthy studio life for years to come. The goal of this section is to build a foundation of healthy ideas and methods that will support your future quality of life in and out of the studio.
 工房内での安全性について考えるなら「今すぐ支払うか、後で払うか」という言葉を思い出してください(訳注)
 現在の自分自身の行動と将来の自分自身の姿には、因果関係があるのです。
 工房で忙しく駆けずり回っていると、安全対策を手抜きすれば時間の節約になると思いがちですが、そうしてはあなたの体と将来の快適な生活に長い間負担を残すでしょう。
 身体はあなたの最大の道具です。それを守り、今後何年も幸せで健康的な作陶生活を楽しみましょう。
 このセクションの目標は、工房内外であなたの将来の生活の質をサポートするため健全なアイデアと方法の基盤を構築することです。
 訳注:そんなことわざがあるんでしょうか?今やっとかないと後で高くつくぞって意味ですよね


MITIGATING/SILICA DUST
珪酸質粉塵を緩和せよ!(クライヴカッスラー風に景気よくしてみました)
 訳注:シリカはSiO2

 Your first studio safety concern is mitigating silica dust and other lung irritants. As a core component of both clay bodies and glaze, silica is present in all stages of the ceramic process. While it is harmless to the touch, it can be progressively  harmful once it enters your lungs. Prolonged exposure to silica-dust is linked to an emphysema-like condition known as silicosis. 

 スタジオで最初に考えるべきは、シリカダスト(粉塵)やその他の肺刺激物を緩和することです。
 粘土と釉薬、両方の主要成分として、シリカはセラミックプロセスのすべての段階に存在します。
 触っても無害ですが、肺に入ると徐々に有害になる可能性があります。シリカダストへの長時間の曝露は、珪肺症という肺気腫の症状に関連します。
 


 When working in your studio, you might create a small cloud of dust when moving clay bags or mixing glazes. Your instinct tells you to back away from the cloud until it dissipates. While this is generally a good idea, it also points to a misconception about dust. The most harmful particles of silica and other lung irritants are not the ones you see but the ones that are invisible to the naked eye.Because of their microscopic nature, these particles can easily float in the air of your studio for a few hours or even days. To maintain a safe, dust-free studio, it is important to establish best practices for mitigating dust.


 作業中、粘土の袋を動かしたり、釉薬を混ぜたりすると、小さな塵が舞い上がって煙(雲?)ができることがあります。
 あなたの本能は、それが消えるまでそっから離れるように指示します。
 これは一般に良い考えですが、粉塵についての誤解もあるようです。
 シリカや、その他の肺刺激性の最も有害な粒子は、目に見える粒子ではなく、肉眼では見えないほど微細な粒子です。
 微視的な性質で、これらの粒子はスタジオの空気中に数時間、数日間と簡単に浮遊し続けます。
 安全で埃のないスタジオを維持するには、埃を減らすための最適な手段を確立することが重要です。

 訳者注というか参考:手持ちの教科書によると、(シリカに限らず)大きい粒子は気道の繊毛によって取り除かれたり、細かいものは呼気とともに吐き出されるたりするんですが、数字でいうと0.2~5μmあたりの粒度が一番肺に溜まりやすいようです。一番やばいのがこの辺だって意味で、ハズレてりゃ安心ってわけではないですよ!というか原料的には一番ヤバいサイズをメインに使ってるわけですよ!特にオレ。


The cardinal rule of clay safety, no matter what studio you're in, is to avoid sweeping or moving dry-clay particles. The best way to move clay particles is to hydrate them or contain them in a closed, air tight container. Mopping is both more efficient and safer than sweeping because the water binds the clay particles, keeping them from becoming airborne. If you need to wipe down the surfaces of your wheel or studio counters, do so with a wet sponge instead of a dry rag. The less silica you allow into the air, the less potential it has for entering your lungs.

粘土を安全に扱う基本的なルールは、工房内で乾燥した粘土の粒子を掃いたりいじくったりしないことです。
 粘土の(乾燥)粉末を移動する最良の方法は、粘土粒子を水和(湿らせて)させるか、密閉容器に入れることです。
 濡れモップ掛けは、水が粘土粒子と結合するので、空中に浮遊しないようにするためには、(箒で)掃くより効率的だし安全です。
 ロクロや作業台の表面を拭く必要がある場合は、乾いた布ではなく湿ったスポンジで拭きましょう。
 空気中に舞うシリカが少ないほど、肺に入る可能性は低くなります。

 One common practice that will lift dust into the air is the collection of dry trim scraps. It is easy to mistake these chunks of clay as large enough to not be dangerous. The unfortunate reality is that every time you touch trim scraps, you are breaking off smaller pieces, which can then become airborne. The best practice is to collect scraps when they are leather hard and are less likely to break down into airborne particles. As the clay particles dry, they become a hazard, so if you must collect dry scraps,push them into a bucket partially filled with water using a wet cloth.

ほこりを空気中に舞い上げる一般的な理由の1つは、乾燥した削りカスを集めることです。
 これらの粘土の塊(削りカスサイズ)を、危険ではない大きさであると間違えるのは簡単です。が、残念なことに、削りカスに触れるたびに、微細に破片が折れ崩れ、それが空中に飛ぶ可能性があります。
 ベストな方法は、まだ乾ききらない、空中に舞う粒子サイズに分解されにくいうちに削りカスを集めてしまうことです。粘土粒子が乾くと、危険になります。
 ですから乾いたカスを収集する必要がある場合は、濡れ布で水をためたバケツにそれらを押し込みましょう。
 訳者注:でもまあやっちゃいがちですよね~、濡やすといろいろ汚れるしね。というわけで以下はマスクについて
 



 A particulate respirator can be used to safeguard your lungs during any activity that requires contact with dry clay particles. This includes studio cleaning,glaze preparation, and clay mixing.  Cheap disposable respirators can be purchased from your hardware-store, but I suggest you invest in an industrial respirator with replaceable cartridges.  For maximum safety,buy an N95 respirator, which is available from hardware stores or your local clay supplier.

微粒子レスピレーター(防塵マスク)は、乾燥した粘土粒子と必然的に接触する作業中に肺を保護するために着用できます。
  この作業には、作業場の清掃、釉薬の準備調合、粘土の混合が含まれます。
 ホムセンや金物屋で安価な使い捨てマスクを購入できますが、交換可能なカートリッジを備えた産業用防塵マスクに投資することをお勧めします。
 最大限の安全を確保するために、N95マスクを購入してください。N95マスクは、できのいいホムセン、金物屋、道具屋または地元の陶芸材料店から入手できます。

 訳者注:N95ってのは何か公的な基準だったはず。カラス天狗っぽい花粉症マスクみたいなあれです。確か5枚で1000円ぐらい?とちょっと高いですけど素人でも普通に買えますよ(アマゾン、ドラッグストア、職人レベルの金物屋、工具屋等)。産業用カートリッジ式防塵マスクもしみじみした金物屋なら試して買えます。
 日本の陶芸材料店で買えるかどうかはわかりません。気にしたことないです。しっかりしたところなら売れてるかどうかは別にして置いてるはず!と信じます




 If you are embarking on a professional career in clay, I recommend you purchase an air filtration system that is rated for silica. The upfront cost of this purchase might seem steep, but you will save more money on health care costs in the long run.This brings up a general principle that I apply to studio safety: invest time and money into your health now to save money on lost work time and medical costs in the future. Your body is your great-est tool,so maintain it like you would a luxury car. Five minutes of daily maintenance can be easily built into your studio life, creating health rewards that will last a lifetime.

 プロとしてヤキモノ屋、陶芸家になってやろうじゃねえか!って場合は、シリカ対応空気ろ過システムを購入することをお勧めします。
 初期費用が高額だよな~と感じるかもしれませんが、長期的には医療費を節約できます。
 これが私のスタジオ安全性に対する一般原則になっています。
 時間とお金をあなたの健康に今投資して、将来の労働時間や医療費の損失を節約するのです。
 あなたの体こそ最高の道具なので(二回言った!)、高~い車にそうするようにそれを維持しましょう。
 作陶生活の毎日に5分間のメンテナンスは簡単に組み込めます、生涯の健康という報酬を得ましょう。

 


 この後の項目として、 
 危険な物質について、が少々(これはロクロ教本なのでざっとです)
 作業の姿勢について、ウォーミングアップや、くたびれたときに凝りがほぐれて気持ちE的な運動などなどが続きますが、それはまた近いうちにアップしますよ(怒られる前に全部上げないとね)

 






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