2019年10月24日木曜日

安全海賊再び登場 2-1 安全性問題シリーズ

 前回とは別の洋書(前回記事中で言及のあったものです)から安全性に関する部分を翻訳してみたいと思います。


 問題は、翻訳のレベルではなくて販売されてる書籍の内容を勝手にこんなことしていいんかいな、という法的倫理的部分ですが、ハッカーの協力で地球の危機は救われたなんてことはよくあるようですし、偽札作りの天才がFBIに捜査協力したりしてるみたいじゃないですか。香港の警官に至ってはマフィアに潜入して自らはハチの巣になっちゃうぐらい命がけでグレーゾーンに踏み込んでますよね。あいつらだいたいチンピラの一人に情が移っちゃったりしてな~。
 そういう気持ちで、できれば私のことをトニー・レオンだとでも思いこんでもらってですね、見ず知らずの他人がなんかやってんな~と思っていただければ十分です。
 
 あらためて断っておきますが、私の英語力は絶大で、映画を観ていれば今ハローつった!今ファ○クつった!と大体聞き分けますし、イーストウッドが英語でゴジョゴジョ何を言ったところで山田康夫が日本語でしゃべってるようにすら聞こえるレベルです。
 読み書きもトムクルーズのことをTOM CRUISEと間違わずに書けますし、当然「Fury Road」は「怒りのデスロード」、『High Noon』は『真昼の決闘』と正しく訳せますので大船に乗った気持ちで信頼してください。
 

 では・・・May the force be with you!(フォースとともににあらんことを!)

 SAFETY(安全性)
 19世紀、主に職業的危険性に関する知識の不足から安全基準が緩かったため、陶工の寿命は平均寿命に比べて10年ほど短かったようです。
 今日はもちろん、堅実で説得力のある科学的データの結果から陶磁器労働者に対する予防措置があり、不用意な作業習慣に言い訳はありません。

 効果的な安全対策は、使用原材料の知識と暴露の危険性の理解から始まります。基本的な保護対策を講じ、自分自身の健康と安全だけでなく、スタジオの仲間、顧客、訪問者の健康と安全も確保しましょう。

 安全は、スタジオで使用されている各材料の安全データシート(SDS)を読んで理解することからスタートします。原料製造業者は、これらを提示する義務があります。SDSは、製品に関連する危険性、取り扱い手順といった安全上の問題をすべての顧客に示します。
 SDSには、販売された材料素材についてのみ記されていて、焼成による材料の変化後の性質については提示されていません。
 セラミック材料のどの状態が毒性であるかを学び、必要な予防措置を講じてください。
 (SDSについてはこの安全性シリーズの過去記事を参照してください)

 私は安全の専門家ではありませんが、材料を単に「安全」と「毒性」に二分するのは単純にすぎる、ということは分かっています。毒性には多くのレベルがあります。

 また、有毒としてリストされているものはすべて同じく危険である、使ってはならぬ!と主張しながらスタジオを駆け回るのも逆効果です。
 たとえば、水は生活に欠かせない毎日必要なものですが、摂取の仕方や使い方次第では死亡事故を引き起こす可能性があります。 だからと言って水に有毒、危険のラベルを付けたるすると、(他の物質について)逆に誤解を招きやすくなり、普通の人が本当に有毒な物質についても疑うようになってしまいます。

 セラミックでは、酸化銅を炭酸銅と同じカテゴリーに単に並べることはできません。
 陶芸家として私たちは、時間をかけて材料の毒性を研究し、猜疑心を抱くことなく安全に使用するために必要な予防措置を講じる責任があります。

 たとえば、微粉末のシリカは既知の発癌性物質であるにもかかわらず、工房からシリカを駆逐することを主張する陶工はいません。焼成されたガラス状の状態では安全であり、実際、釉薬は他の毒素を浸出させないようにもなります。
 こう言ったことを知り、ほこりを吸い込まないよう自らを保護する必要を理解しながら、浸出を防ぐため釉薬には十分なシリカを配合するなどしてください。
 
 いくつかの材料は有毒粉塵の危険性があり(呼吸に有害)、他の材料は燃焼または揮発すると有毒ガスを発生します。また、いくつかの材料は摂取時の危険性があり(食べないでください!)一方、他の材料は可溶性であり、皮膚から吸収されます(素手でいじくったりしないこと!)
 そして、一部は発がん性物質であり、また他の物質(たとえば鉛など)は体内に累積的に蓄積する中毒の恐れがあります。 
 燃焼炉は焼成時に一酸化炭素を生成します。これはすぐにでも人を殺すことができる気体です(そのため、炉は外に設置します)

 これらは、すべて一様に工房での使用を禁止するといったことではありません。それは私たちが防塵マスクを着用したり、適切な換気をしたり、屋外で焼成したり、ある材料を取り扱うときには手袋を着用する必要があることなどを意味しています。
 私たちには取るべき正しい行動を知る責任があります。

健康被害をもたらすセラミック材料の簡単なリスト
・炭酸バリウム
・セラミックファイバー
・塩化物
・クロム化合物
・コバルト化合物
・銅化合物
・有害なガス(ワックス、硫黄、塩素、フッ素、一酸化炭素と二酸化炭素)
・鉛化合物
・リチウム化合物
・マンガン化合物
・ニッケル化合物
・シリカ/粘土粉塵(硅石、レンガ、炉材、コーティング材などなど由来も)
・硫酸塩、硫化物(これらは水溶性で、皮膚に浸透します)
・バナジウム化合物
 
 訳者注:たとえば、炭酸バリウムは炭酸ストロンチウムに置き換えるのが主流だと思います。
 セラミックスファイバーも現在はAES(生態溶解性繊維)のものがあります(製陶所などではどんどん置き換えが進んでいますよ~)

 とはいえ、上記は健康被害を引き起こす可能性のある材料の短いリストです。ただセラミックの世界に飛び込み、誰にも何も言われないまま20年後に「実は防塵マスクを着用するべきだったのだ」と知る悲劇を防ぐためのものです。

 リストは(原文だと)アルファベット順であり、危険性や毒性の強弱順ではありません。また、ここでは各材料の毒性を定義することもありません。
 ので、みなさま自らよく調べましょう。SDSについてや調べ方等はこの「安全性シリーズ」の過去記事にあります。
 
 この章にはまだまだ続きがあるので溜まったらアップしますね~
 


 
 

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