2020年4月11日土曜日

石粉粘土を焼成しちゃいけない理由はない・・・はず その2

 先日、ダイソーの石粉粘土は焼成できるんだ!ということを酔っぱらったわけでもないのに記事にしました。

 続報です。
 結論から言うとですね釉掛けして焼成して器でも作ろうかしら?ってのはお勧めしません!
 別な用途はアリエル(リトルマーメイド)っちゃアリエール(洗剤)なのでそれは後述します。

 いずれにしても、「生で乾燥すれば出来上がりだ!っつってるものをわざわざ高温焼成」といういろいろと無駄極まりない珍作業ですので、あー、焼くとそうなるんだ~バカなことやってんな~程度でスルーしてくださいよ。

 とりあえず板を作ってハートに刳り貫いたものを900度ほどで素焼き(非常にもろい状態です。ファイバーボードレベル)、それに織部釉、瑠璃釉、飴釉を塗って1210度で焼き上げてみました。
 
  黒いのが飴釉です。他の二つは分かるよね?

 ここから何がわかりますかね?おおー考えちゃうよね~、こういうの。


 もう一つ、ストームトルーパーにも酸化で薄青く透きとおる『ウソ青磁(透明釉に酸化銅を少々)』を浸し掛けしたもの、こちらは生掛け~イッパツ焼成です。
うーむ。

 写真じゃわかりずらいんですが、非常によく胎土と釉が反応しています。
 強く吸い込まれている状態でもあります。どっちも結構厚めに塗ったんですがね。
 
 本焼成(というか「通常?本来?」釉の溶けあがるはずの焼成)をしても気孔率の高い状態で焼きあがる素地には釉が吸い込まれて厚みを持った釉層ができない場合があります。懸濁するはずの成分がほぼほぼ粉末かよ!って状態に残っちゃったりすることもありますよ。なんなんだあれは?
 吸い込まれてってのはこれまたぼんやりした言い方ですが、そういう言い回しをするんですよ。反応しあって取りこまれちゃう場合もありますし、スポンジに液体が吸い込まれるような状態の場合もあります。

 ボディの材質と釉の組み合わせでこうなったりならなかったりします。別にどこかの珍説講師が言うような「素地の耐火度が高いと釉が流れない」なんてのは「そりゃ、そういうこともある」だけで、一概に言えたもんじゃあありません。その辺の細かい話は今はしませんが、私の経験上、同じ釉同じ温度なのに流れる流れないは基本的には気孔率と表面粗さ(あるいは平滑度)の影響が大だと考えてます。

 
 とにかく、今回のこれに関しては、考えられそうなことは

① 素地(つまり石粉とやら)は、一般的なヤキモノ粘土の組成とはずいぶん違うんじゃねえかな?(というか、もしそうだとしても当たり前ですよ)
 高気孔率(気孔径もデカいでしょ)のせいで、釉が素地(表面積が大=細かい部分が多い)を食い取り(反応させやすい)やすいってのがあるのかもしれないんで、まだ未確定。

 天然の岩石とか鉱物について全然詳しくないのでサッパリなんですが、こういう石粉って多分○○石の削りくずだと思うよ!みたいな見当つく方いらっしゃったら教えてください!このHPの読者には実は度を越した鉱物オタクの方(リンク先ブログ。滅茶面白いです)もいらっしゃるのでLimeさん、読んでたらよろしく!(ただし、本当の答えを確認したいわけでもないきがするので、知見にもとずく鋭いあてずっぽうでお願いします)



② パルプのフィラーのせいで気孔率がデカすぎる。
 よって少なくとも今回の焼成温度では強度、曲げ強度とかその辺が弱い。3mm程度の厚さじゃあ、指でギュッとやったら折れます。
 まだ適正と言えそうな焼成温度帯は不明なんですが、今回のこの温度程度でもアルミナの台板には引っ付き気味(1250の時はもっとくっついた)。
 素材を変えたりと台板の件をクリアーして、もう少しあげれば強度ももっと出るんじゃないかとは思いますが、そんなに高くない気がする(もちろんあてずっぽうの勘です、勘)

 素焼きして(少なくとも樹脂とパルプを焼き飛ばして)「石粉とやら」だけにしたものを粉末状に砕き直し、それで改めてモノを作ってやり直せばいろいろわかること、できるだろうことがわんさか増えるのは間違いないんですが、もはやそこまでする意味は見いだせませんな。
 何しろせっかくかきもち用に揚げればいいだけに切って乾かしたモチをなんとか搗き立てに戻せないか頑張ってみる。みたいな感じだもんな~。なんだそりゃだよ。


 と、言うわけで、このお遊びはココでおしまい!
 なんか発展性の乏しい無駄企画で終わっちゃったなあ。


 
 でもしょうがない、使い道を無理やり考えてみましょう。

まずはこの石粉粘土自体の使い道
① オブジェ陶
 これはもう好きに遊んでください!機能性はゼロでもいいので、普通じゃなかなかない釉の表現もできると思います。
 前回も言いましたが、デカい無垢モノを作るリスクが低いです。焼成後の彫刻!も可能かも

② 釉薬の一部に使ってみる。
 それこそ溶かしちゃあ元も子もねえ気がしますが、がんばってください!
 樹脂バインダーが入っているのでそこを利用して本焼き後にも使えるかも?

③ 加飾用に使ってみる。生素地に埋め込んだり塗り付けたりすれば部分的に多孔質にできるかも?
 一番可能性ありそう


 では、メインともいえそうな、気孔率を活かした機能性の焼造物。

① 湿度調整アイテム
 水染み込ませておいて何かが乾燥しないように一緒に袋に入れとくやつあるじゃん。あれ。
 パイプの葉っぱとか葉巻用のヒュミドールを作ったり、お人形さんのケースに入れる水コップ(気が付けば空になって白くガビガビ)の代わりに何かオブジェとか。

② 香水を染み込ませて首からぶら下げて男子を悩殺しようと企む小さいアクセサリーみたいなアイテムあるじゃん。あれ

③ 水を吸い取るための何か。
 柔らかすぎの土に押し付けてちょっと調整するでしょ?あれ。高強度の土型も作れますな。
 
④ 水切る器。
 野菜とか果物洗った後に入れとくザルの代わりの器なんかいいね。オシャンティな方々はベリーボウルって言うんでしたっけ?

⑤ フィルター
 これで三角漏斗でも作ればベアグリルスも真っ青の、泥水濾して飲んだりできるかもよ。

 よく考えたら普通の素焼きでもいいんじゃねえか?


 
 


 
 

 でもね、ヤキモノの面白さの7割近くのはこういうところに詰まってるって思うんですよね~。
 原料を坏土にして器にするって行為自体が、俺の場合ただの仕事だからかもしれないけど。 
 

 

 
 

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