2018年6月14日木曜日

排泥鋳込み超入門 離型しろよ!スラリー編 闇ヤキモノ教習(仮

 皆さんワールドカップモードにはなりましたか?とっくに私はなってます。何つうか身の回りに限って言えば過去にないレベルで盛り上がってない気がするんですが・・・なんで?
 バイエルンのあいつとかリバプールのデコッパチとかとわがアントラーズの誇る昌子植田コンビが戦うわけでしょ?でもってトップに大迫(ほぼ鹿島)で柴崎(事実上鹿島)からパスが出る。うー、燃えるぜ!みんな試合に出てくれよな!っていうか出せ!ニシノ!


 「離型しろよ!石膏編」はクリアできましたか?
 自戒を込めてもう一度整理すると、成形体が石膏型から外れない理由は?
1、くっ付いてる(はがれない)スラリーが原因
2、引っかかってる(はがれてるけど取り出せない)石膏型に原因
3、収縮して挟み込んだり突っ張ったり抱きついちゃう これも石膏型
と解説しました。

 石膏型の設計ミスをしないこと、上手く型取りすること、鋳込み面を汚したりしないこと、外れない原因のガジガジは丁寧に均すこと。を気を付ければ大丈夫なはずです。あんまり当たり前なんでわざわざ書くの忘れてましたが、よく乾かすこと!これも大事。濡れれば濡れるほど外れにくく、またせっかく鋳込んだ成形体がヨレやすくなります。

 石膏にはどうやら問題なさそうだとなると、はがれない理由はスラリー側にあります。スラリーの方をなんとかしないといけないわけですが・・・、

 初めに断わっておくと今回の話はファイン屋、耐火物屋の間ではなんとなくわかってるような話とはいえ、定量的な検証の証拠がないっていうか、要素が複雑すぎて経験的にこうであろうことが多いと思われる、レベルの内容です。もう、筆者、つまり俺の経験に基づいて「あそうそう、多分こういう理由であろうパターンあるよね」って話をつらつら思いつきながら書いてあるってことを断っておきます。もしかするともっと高レベルの技術者にとっては「そんなんオメー(俺ね)の独断と偏見である」って内容かもしれません。
 そこんとこよろしく!

 始めますよ
 まあ理由は大雑把に二種類じゃないでしょうか?
 1、調整に失敗している
   A・水分量や解膠材の量の調整ミス(ほぼ「水分量多すぎ」だと思います)
   B・混練混合不足
 2、原料調合に失敗している
   調合ってのは土そのもののことです。

 出来合いの購入した坏土を溶かしてスラリーを作った場合、引っ付いちゃって取れないってのは滅多にないと思います。あったとして90%以上は1番の調整ミスじゃないかな?2番は、各原料を自分で配合して作った場合や自分で掘ってきた土でやろうとした場合に限られると思います。ほぼ。
 ただ2番の場合厄介なのは1番のミスがあるかどうかも関係してくるってことですね。

 解決するのは難しいけど解説するのが簡単なので2番から行きますね。
 その土、調合で解膠材(ケイ酸ソーダね)を入れず、普通にコネコネできるような硬さに練ってみた時にやたらと手に引っ付いたりネバツク奴は注意信号。あ、ちょっと柔いから石膏型に吸わせてみっか!ぐらいに水っぽくしてからペタンと石膏板に叩きつけたりしてみてください。ドベ状にしたものを置いてみてもいいです。で待つ。
 いつもの知ってる感じに石膏板から剥がれないのがあるんですよ。こういうのはそのままではまず離型しない土です。

 自分の経験でいうと、うちで井戸掘った時に井戸屋さんが水止めに使ってる粘土(黄色い掘ったまんまのハタキ土。ちょっとそのままでは耐火度が低い感じ)をもらったんですよね。あれはやたらと可塑性がデカくてべったべたに粘ります。あれは単味ではダメでした。石膏にメッチャつく。ロクロでもタタラでも底切れ100%みたいな感じ。シャモット混ぜて使えるようにしたんですが、加えた量はなんと同量以上。なかなか使いやすくて焼き上がりもよかったです。が、そんでも鋳込みはダメでしたね~。
 1tだか500kgだかで2万しないぐらい安いそうなんで、マジで一袋お願いしようかといまだに悩んでます。礫とかゴミの量の安定感は保証できないようなので、いろいろめんどくさそうで二の足踏んでますが・・・
 
 原料を自分で配合した場合も同様に試せます。まず水のみでやわらかめに練ってみる。石膏に引っ付ける。剥がれるか剥がれないか?

 上手くいかなければ調合を変える必要がありそうです。
 粘土鉱物の質と量を増減させることでほぼほぼ解決できます。

 質、というのはさっきも話しましたが超ベタベタ特性の、極端な例ですがベントナイト的なもの割合を減らす、あるいはそれもう使うのやめて別なものに変えるとかですね。
 そこまでしたことないけど一部、あるいは全部を煆焼してべたつきを殺す手もありそうです。これなら焼き上げ後の見てくれに変化は少ないはず。

 量というのは、カオリンでも木節でもガイロメでもいいんですけどとにかく割合量を変化させる。他の原料の粒度や成分との兼ね合いでどっちにするか微妙(もしくはってみんとわからん)ですが、ドボツキ気味、べたつき気味なら減らし方向ってイメージかも?
 増やすにしろ減らすにしろそんなピンポイントではないはずなんで5%以上増やしたり減らしたりして試してみましょう。まあ基本的にはカオリンに比べて木節やガイロメの方が身離れがいいように感じます。個人の感想です。

 で、今言いました他の原料との兼ね合いって話ですが、粉の粒度のバランスが大きく影響します。これは何かの原料単独でもそうで、ちょうどいい粒子のサイズと水分量があるんですよね。

 ここから先は水分量と絡めた話になりそうなので1番に対する解説に移ります。

 まず水分量に関して、場合によってはきちんと正しいとも言い切れないけどわかりやすく話をざっとしておくと・・・
 硬めに練った土は石膏板からすぐ剥がれるけどベタベタの土は綺麗にはがれるまで時間がかかりますよね。ひっついたまま残っちゃったりする部分があったり。
 排泥にかぎらず鋳込みの場合も同じで製作可能な限り水分量は少ないほうがいいんです。あまりドロッこいスラリーだと排泥時や成形体の表面に悪影響ある場合もあるんで、欲しい出来上がり加減を得られる範囲で最小限度の水分量が望ましい。という言い方になるかな?

 で、調合
 ファインセラミックスの一部を除いて、ヤキモノの原料中の粒度分布はまったく均一な粒度に近いピーク曲線を持ってるわけでなくて粗いのもあればめちゃ微細な粒子までばらついてるわけです。これのバランスが素地の肌理の差になってるわけなんですが、見てくれ、さわり心地のザラザラ具合だけじゃなくて、強度、作りやすさ、反り歪み耐性、そして収縮に大きく影響してきます。

 解膠したスラリー中の粒子は自由に動けるんですが、粘土によって動けるスピードが変わってきます。粘っこければ微粉から粗粒までが均一に混ざった状態を長い間キープできますし、しゃぶしゃぶならその逆ですね。
 幅広い粒度分布の原料粉末に、必要以上の水分量があるとどうなるか。
 これまた大雑把で極端な図で申し訳ないんですが、石膏型表面から細かい順に層となって肉づいていきます。この図は壁側(高さ方向)ですが、底だと
 
こんな感じになり気味。あくまで極端な図ですよ!
 実際はもっと混ざり合ってますし、排泥すると見込の表面にも微粉末が浮くんですが。

 こうなると、粗い粒子の層の部分はロクスッタマ収縮しないで突っ張る形になります。表面は表面でめちゃ細かい粘り気担当の連中が層になっちゃって石膏型に張り付きやすくなり、仮に外れても表面一皮だけ収縮が大きいので割れの原因になります。割れ方は様々で、粗粒多い配合ですと、細かい網目状に剥がれるようにひび割れますし、粒度分布が狭いと引っ張られて身まで割れが進行する場合もあります。割れるタイミングも乾燥に割れてきたり、焼いたらヒビる場合もあります(多くは低温度の内にヒビ入ってます)
 この辺は離型してから気が付くと割れてます!と質問くれた神奈川県のNさん(お便りとご注文ありがとうございます)も、もしかしたら参考になるかもしれません。

 今の部分で勘のよい方はお分かりかと思いますが、「水分量が多い=乾燥収縮が多い」は常に真ではありません!!

 参考までに、「この土にはこの作り方が向いてます表」みたいなものが土屋さんからいただけますが、粗いのにはタタラOK!鋳込み×!ってなってるじゃないですか?あれは自分の経験上では鋳込めないんじゃなくて、普通に排泥鋳込みしたらどんなに頑張っても粗いのが見込に浮いちゃってザラザラになりますよって意味です。たぶん。板ものなんかは粗いほうが曲がりが出ないでいいので排泥ではなく両面吸わせのソリッド鋳込み=固形鋳込みで作るといいのができます。まあ、この辺はそのうち・・・

 で、問題の水分量ですが、いきなり解膠材何%で水何%です、なんて答えは出ないんですよね。
 できる限り水を少なく作れるようにする。
 いつまでもドボドボでだめっす。上手くトロトロしてくれませんって場合は解膠材を増やす。
 何をどれだけ入れたかメモって範囲を見つける。の繰り返しです。

 自分のやり方は、解膠材をある程度入れる。水だけを少しづつ増していき、何とか流せそうだぞって時に石膏に滴を落として離型を見る。を繰り返して上限と下限の範囲を探ります。
 次に、さっきより多めの%で解膠材を入れる。以下同文。

 解膠材は、乾いたと思ってもすぐにチクる(チクソトロピーでドロドロ化する)ようではもう多い。というのを参考に。
 解膠材は0.3%0.5%前後で、1%なんてとても多過ぎなことになると思います。かなり狭い範囲で難しいように感じますが、土の量に対して目方で考えれば特にピンポイントではなく、慣れてくれば勘でやっても間違わないと思います。自分たちがエライって言ってるわけじゃないですけどファインの解膠材は原料との組み合わせによってはとんでもなく渋いのでそれに比べればちょろいもんですよぉ~!

 


 特に、売ってる土からスラリー作った場合なら、これだけで何とかなるはずです。
 あとね、これ言っても始まらないんですけどね。
 ぶっちゃけ経験です


後、ほんとに感覚で申し訳ありませんが、
 つーっと糸を引くように細く切れずにたらせるのがいい!といいますけど、マジです。できる限り濃くしてもこうなるようならまず綺麗に外れます。
 でも水飴みたいにテロ~~~な感じになるときはほぼチクります。
 ツーとテロ~~の違いは説明できません。これまた経験(笑


 
 

 

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