面倒くせえなあと思いつつまあ話を聞くと・・・
「釉薬と素地との収縮率の差が応力を起こして割れる、素地より釉のがより縮んじゃう場合に釉がパキパキ割れるのだ」と型通りに教わったらしく、そのこと自体は理解してるようです。
理系文系的二元論はどっちですらない私にとって最も聞いててくだらないと思う分類の一つですが、もともとパチーノはバリバリの理系(よく知らないけど仕事もそれっぽい)。どっかの国立大学出てるはずで、成績はかなり良かったんですよね。「処女は英語でいうとバージン。では英語で童貞は?」「答え、ポール・ニューマン」というアウトコース低めのクイズを中学1年生の時に作った実は天才児(でしょ?)。
その元?天才がわからないという。
「だったら収縮が少ない粘土の方が同じ釉薬だったらヒビるんじゃないの?でもすげえキメ細かくて焼くと小さくなる土がよく貫入する土だっておいてあるんだよ?なに?」
天才としては、貫入のメカニズムの説明を受けて「なるほど。わかりました~」なんてやっちまった手前、年も顔も知らないけど女性だというその先生に恥ずかしくて聞きにくくなって俺に聞いてくるという。うち震えるほど自意識が邪魔してますなあ。妻子と冷え切ったちったあできる40男の悲しさよ(知らないけど)
つまりこういうことでした。
Aという土 収縮率 約10~12%
Bという土 収縮率 約14~15%
同じ釉薬をかけてもAは貫入しないのに、Bはスパイダーマンのエンドロールみたいに貫入すると。
釉薬はBより縮む、ってことはAならもっとバキバキ割れるんじゃねえの?
どういうこっちゃと。
まあこれは勘違いですね。もしかすると先生の説明が不足してたのかも。
先生の言ってる収縮ってのは「素地と釉、各素材の熱膨張係数(熱膨張率)による収縮」
パチーノはそれを焼成収縮とごっちゃにしちゃったわけですね。
メッチャ大雑把に説明すると(細かい部分の突っ込み禁止)、
焼成収縮は最高温度までで縮み終わっちゃってるわけです。とします。釉もとろけた、と(ここにも同じことは起こってるんだけどアモルファスになっちゃってるのでまあほぼ液体に近いと考えてください)。
で便宜上釉も素地もそれぞれまあ均一な固溶体になったとして、板と板を張り合わせた状態になってるとします。「とします」が多いですけどまあいいとします。
釉には釉の、素地には素地の熱膨張係数があり、それにしたがって常温より体積が膨張してます。で降温するにしたがってそれぞれの熱膨張係数通りに縮んでくるとその差が応力となって釉薬にヒビが入ると。(状態や組み合わせによっては壊れたり剥がれたり)
熱膨張曲線も含めてここまで説明してやるとやつは「あ、なーる」と、昔から変わらぬボンクラ少年のような返事をしてくれました。わかってもらえてよかったよかった。的に幕を閉じたんですが…
でもはっきり言ってこんな通り一遍の説明で貫入ってわかんないですよね?
少なくとも自分は理屈は分かっても実感しきれないというか、納得できないところが多すぎる。何がわかんないかを説明できないほどわかんない。パチーノの勘違いも笑えないし、説明してやったところで自分自身はこれでよかったのかと。
小学生に証明抜きの公式を教えたり、学会の最前線とはもしかすると違うかもしれない教科書上とりあえずの回答を解説しなくちゃいけない授業中の先生のような気分(なったことないけど、多分)。
俺だってわかってないですよ貫入。
この土だとどうなった?どうなるんだ?ってのを繰り返して結果的にデータを積み重ねる以外ないです。
こないだのビアカップとかでたまに紹介してるのは化粧土の乾燥焼成の収縮を利用した貫入装飾です。ファインの原料をたくさん混ぜてるんで「粒子が細かい=収縮大きい」んでしょうな(推測)
右はノーマルな貫入、左は焼成収縮差を利用した貫入(要は化粧土のひび割れ
かなりざんねんな貫入。一本だけスジはいるってなんやねん
好きなんですよね貫入。ファインの場合も割れちゃったときに「貫入しちゃった。テヘ」的な使い方皆さんしてますよ。撤退じゃなくて転進的なアレですけど(笑
実は「○○貫入土」ってのは使ったことないんですよね。普段の俺の買い先にそんなのないから。そんなに貫入するんでしょうか?
うちの釉薬にはいまだかつて貫入したことのない釉薬。というのがあります。
これはしょうがねえ、「貫入する土VS貫入しない釉薬」の決戦も近いうちにやらねばなるまい。もし俺の釉薬が勝ったら皆さんに釉薬の調合教えますね(エラそう)
赤津貫入土ってのが名前もカッコいいし最初の標的にしてみるか。
貫入も記事書きながらいろいろ切り取り方でネタになるなあと思いました。
と、言うわけで「いやん。久しぶりに使ったらまたまたダダ漏れ~。まーた重湯につけなくっちゃ」的なのもそのうち記事にしますね~。
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