2018年6月11日月曜日

排泥鋳込み超入門 素地VS石膏型、離型しろよ! 闇ヤキモノ教習(仮

 終わった気になってた気がしないでもない鋳込み入門ですが、あれで終わらせちゃああんまし意味ないですよね。ちょっと工程をなぞっただけですからね。そんで上手くいきゃあ誰も苦労しねえよ~ってことで、
「離型しない&離型したけどそのあと割れる」
という質問が来てるんですよね。

 どちらも詳しく調べないことにはわかりませんし、調べてもわかんない可能性も大なんですが、こういうパターンありますよ、ってことをいくつか並べてみます。
とりあえず「離型しない問題」から。「離型したあと割れる問題」についてはまた次回以降。

 原因の大元は二つ、原料=スラリー(泥漿)に原因があるばあいと、石膏型に原因がある場合以外ありません。他になんかありますかね?ないですよね?多分。

 身もフタもない話ですが、どっちにしろ一番簡単で早いのはやり直しです。石膏型もスラリーもやり直してみましょう。やり直してみて上手くできるんだったらダメだったときのやつはどこかが間違ってたはずで、相違点がわかればよし、わかんなかったらしょうがない。実はそんなことは本職でも結構あります(俺だけじゃないはず、きっと)。案外グズグズいじくって検討するより話が早いモノです(検討はもちろん絶対必要)
 ダメだったのとうまくいったのは絶対混ぜないこと!
 
 とりあえず、どっちに原因があるのか?
 鋳込み直前!状態のスラリーを一滴二滴石膏型の側面でも口元周りでもどこでもいいので油っ気や薬品(カリ石鹸ね)に汚れてないワリカシ綺麗な面に垂らしてみてください。サンドペーパーやナイフの刃などできれいに削ってからでもイイです。粉ははたくこと。
 試してみる石膏は複数個用意して、それぞれに滴を垂らします。
 10分20分、一時間たってもどの石膏からもポロリときれいに取れないようならスラリー側の問題。いくつか試した石膏のうち、一個でもポロポロ取れるんだったら石膏型の問題だと考えていいと思います。

 簡単なのは石膏型の方、これには、設計ミスと製作や管理のミスの二つがあります(もちろんツープラトンの場合もある)。

 設計ミスの場合、
 設計ミスの場合はすべての面から成形体が外れていても抜けません。リンゴつかんだら手が抜けない。みたいな感じ。

 1、基本中の基本ですが、逆テーパー、オーバーハングになってる部分がある
大雑把に書くとこういうことですが・・・
あまりシンプル形状でない場合、よく見ると細かい部分であったりします

こういう口すぼまりの場合は、抜けませんから、底で割ります

この手のミス、「なこたわかってるよ!」って単純な話ですが、案外このレベルでミスってた話は耳にしますよ。
単純な錐台形状ならこんなんでも抜けるんですよね。
てなわけでこんがらがっちゃうこともあるのかな?

 
 2、細かい凹凸が多くて引っかかる部分がある。収縮に引きずられて締まっちゃってる
 勾配に問題はないはずなんだけど抜けないのはこのパターンもありえます
端的な図ですが、これもありがち。勾配問題ないはずなのに、抜けないかもよ?

 ビニール人形なんかを型取りすると、割り線通りにやっても抜けないことがあります。
 ああいうのは少々細かいところ引っかかったりしても材質的に千切れないでポコっとべりっと引っこ抜けるんだと思うんですよね。粘土の生体にはその強度や弾性がないと。
 ポケモンとかつくろうと思ってる人はキャラよく考えた方がいいですよ!
 私が普段やってるファインの場合は粘土鉱物使いませんから可塑性、弾性ほぼほぼゼロで、粘り強さがないもんで、ちょっとしたことでまず割れます。

 以上、抜勾配と凹凸の具合によく注意して設計しましょう。

 製作ミス、管理ミスの場合
1、気泡が表面に出てきちゃった。
 これはある程度仕方ない面もありますね。そりゃたまにはなりますよ。いや結構か?
 大きい気泡があるとそこに入り込んでイボになっちゃったスラリーも成形体の本体とつながってるので、イボが切れないと抜けません。スラリーをあらかじめ埋め込んでみたり
テクニックとしてはあるんですが、あんまりいやだったら作り直し!

2、表面がガサガサになっちゃった。
 原型と流した石膏の離型がうまくなくてちょっと引っ付いちゃったりします。あとが残るんですよね。上手いスラリーならものともしないもんなんですが、それも程度によります。何にしろ表面積は小さいほうがいいのは当たり前で、ペーパーできれいに整え直したり、いっそ大きなRに掘り直す手もあります(この手は気泡の場合でも使えますね。)
 使ってるうちに整形面の表面がどんどん荒れて来てって場合もありますよ。
 
3、油っ気で汚れてる。とにかく吸いの悪い部分がある。
 成形面が何かしら汚れるといいことはあまりありません。吸いが悪くなって均質な身にならず、そこだけ引けちゃったりするんですが、なぜか部分的にどうしてもそこだけ身が剥がれない、って場合もあるんですよ。
 これらもペーパーで研磨したり、いらないスラリーで何度も鋳込んだりして洗浄するなどしてみましょう。直る場合もあります。
 後、案外初心者の内にやってしまいそうなのは…
これ、この持ち方!
この石膏はこれから捨てるところだからいいのだが・・・

 80%以上はトイレで手もロクスッポ洗わない男子諸君(当社調査結果)のどこで何触ってるかわかんないオゾマシイ手で成形面にダイレクトタッチ!
 これやったら俺が修行してた製陶所では死刑です!
 埃だらけの窯場の裏とか、誰か酸のきついのがいたみたいで床の鉄板の錆びたトイレ掃除とかやらされますよ。
 手袋しようがエタノールに突っ込んでガシガシ洗おうが触れてはいけません。

 全然関係ないんですが、ずいぶん前ソダーバーグの「コンテイジョン」っていうウイルスやばい系映画を見に行ったとき、「映画館の男子トイレで本当に全員が手を丁寧に洗ってる」というのを目撃しました。あんなに丁寧に手を洗う男子だらけのトイレは後にも先にも見たことありません。
 映画自体もメチャンコ面白いので綺麗好きじゃない方にはお勧めです。 

長くなりましたが石膏型に関してはこんなところかと思います。
少々古い石膏でも持ちが悪かったりボロボロするだけで外れないってのはあんまり関係ないと思ってます。やっぱり作り方使い方ですよね。


スラリーに関しては次回に回しますが、とにかくいいスラリー、滑らかなスラリーを作るのが胆。

 どうしても水分量の低いうえに滑らかなスラリーを作るのは大変だ!と感じている方には、ケイ酸ソーダの添加量、水分量の吟味だけでなく、ハンドミキサーや、フェイクボールミル使用も考えてみてください。棒でぐるぐるやるだけじゃあ大変ですからね。

 フェイクボールミルとは何度か紹介していますが、ポリの広口瓶にビー玉入れてガラガラしちゃおうって奴でして、原料をもっと細磨するという用途ではほとんど話になりませんが(死ぬほどやってみるとわかりますけどビンが削れていきます)、原土、ハタキではないすでに微粉末になってる状態の原料粉末を混合混練するぐらいならこれで沢山だととりあえず感じています。何しろ磁器ポットとアルミナボール揃えるだけでも大変なのに本職ならいざ知らず、アマチュアの方がモートル架台なんて買った日には、請求書と離婚届が同時に届きかねませんからね。今回必要分だけ粗すぎる二次粒子とかダマ擂って水分いきわたらせるだけですのでチープにやってみましょうって感じ。ただし3L超えてくるとかなり大変です。
 やり方は過去の記事に出ていますので読んでみてください。

 難しいのがビー玉のゲットの仕方だったりして。 
 今ビー玉なんて買おうと思ってもどこで買ったらいいのかわかんないですね。
 昔みたいにその辺にはメンコとかブリキの独楽売ってる駄菓子屋もなければ、塩もたばこも缶詰もサンポールも蚊取り線香もせんべいもボールペンもフェリックス君ガムも売ってて店先には電話とポストと野菜の種と少年ジャンプと女性自身が並んでるようなバアチャン屋もないですものね。
 ショッピングモール行くと何とかいう三丁目の夕日感丸出しの駄菓子屋がありますけどコマにしろおはじきにしろ高い高い。あれじゃあおこちゃまが小遣いで買えねえよ!

 腕に覚えのある方には以下のやり方がおすすめなんですが… 
 1、公園とかでビー玉やってる子供たちに割り込む(だからそんなのいるのか?)
 2、「3倍にして返すから」と言って何個か借りる
 3、かつての感覚が蘇り子供たち全員球切れになるまで弾き飛ばす
 4、必要分だけ確保したら残りは返す。
 5、「みんなで平等に分けるんだぞ!」と微笑んで歩き出す
 6、「イップ師匠!イップ師匠!」と子供たちが弟子入り

 自分は、この椿三十郎方式で子供の頃集めたビー玉が実家に何箱もあったんでそれ使ってます。
 ビー玉も今時は通販なのかね?


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