CaOです。一般陶磁器やってる方には石灰石、炭酸カルシウムCaCO3でおなじみですが、あれも単味で焼くと炭酸ガスが抜けてCaOになるわけです。
このCaOは、高温でアルミナやシリカと激しく反応して溶けあいます。その性質を利用して釉薬の主要成分として、「溶かす役割。媒溶材」なんて説明されてるんですが、理屈っぽいオジサンとしては「オレ(石灰)から見ればアルミナシリカに溶かされてんだよ!俺のが融点めちゃ高いんですけど?なんでアルミナシリカ視点?」という声が聞こえないこともないですな。割合も少ないし、石灰使わない釉薬はあってもアルミナシリカの入ってないのはまずないので、説明上わかりやすいのかな?長石やカオリンをもっと溶解させるために添加ってことですね。
例によって説明すると、カルシアは簡単にいうと生石灰ですので空気中の湿気を吸って水和=消化=湿気る、します。石膏の場合は「風邪ひく」ですが、カルシアの場合は「フケル(老ける?)」といってます。ただこの言葉は先輩おじさん(俺にオシャクリパクられた方)のパーソナル用語の可能性あり!
焼き上げてしまえば「焼結する=表面積が減る」+「焼結助剤との固溶体がマトリックスを構成する」で耐消化性上がりますが、原料粉末の段階では猛スピードです。袋の口あけたまま「アラビアのロレンス」なんか見てたら事故ですよ事故。場合によっては火事。というわけで、晴れ間を見て一気に作ったが早いか食い気味に焼きます(言い過ぎ)
多孔質に比べて当然緻密質は緻密にシンターしてるので耐消化性高いんですけど・・・
去年の暮れに作ったカルシアのしくじり品を割って湯呑に入れたまま流しの脇にほっぽっておいたものです。湯呑に入れたのは発熱した場合やばそうなので。
下の写真は焼成後2か月程度のもの
表面や出隅から少しづつ崩れていきます。粉化しちゃう
で、昨日こんな感じ
まだ固い部分もあるんですがボロボロです。
どうして途中の写真がないのかっていうと、邪魔で棚の向こうによけたらそのまま忘れてたっていう…
カルシア発注、使用の際には保管に気を付けてください。デシケーターで減圧保管するのが筋ですが、密閉容器に入れて空気の動きや入れ替えをなくするだけでも格段に違います。シリカゲルや石灰の乾燥材をお供に。
釉薬目線で見ると、石灰石を主要構成物としてこれをガラス化させるために長石やカオリンを入れていくとすると、フリーのカルシアが残って上の写真のように崩壊する。からの~溶出(毒じゃないはずですが)ってことになるんじゃないかと推測。石灰マット釉なんてのもモノの本には載ってたり、三角試験での画像なんか見てもわかんないですけど。
何年もたってから貫入することもあるんですよ!という貫入案件以外の径時変化っていうのは案外今までおざなりだったのかも?まあ普通の食器だったら割れるまで持ちゃいいん気もするんだけどね。
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