2019年6月28日金曜日

アルミナの蓋付きルツボ

 アルミナの蓋付きルツボです。





 今日からスパイダーマンの新作が公開でウキウキ。
 すでに中学生は「映画はトモダチと観にいく」という風に進化しまして、土日に小5の娘と見に行く予定。娘的にはお気に入りのソーの見た目の件でエンドゲームにガッカリしたらしく、MIB3でもブクブクだったらどうしようとか言ってましたがそれ別の映画だから!

 ファーフロムホームはMCUとりあえず大きな中締め!となる作品のようで映像技術的にもストーリー的(まとめ方)にも大変楽しみ。
 言ってしまえば人によっては「たかが漫画原作のヒーローもの」ではあるんですが、アカデミー賞級の演者とスタッフがよってたかって大人の鑑賞に耐えうるもの=子供だましじゃない、を作るとこんなにスゲエのか!といつも思います。多分今コーフンしてる子供たちが大人になって子供と見返してみても新しい発見や気付きがあると思いますし、こんな日本の田舎のボンクラ小中学生ですが、友達集まって話してるの聞いてると自分たちが同じ年のぐらいの頃より明らかに「差別意識(悪意が全くないとしても)」のようなものがないと断言できます。もちろんそういう風に社会が進んでるってのもありますが、うちの子を見る限りブラックパンサーはホントに見せてよかったなと。大人になってもこのままいてくれよと。

 暴力!イケマセン!的なことは子供たちみんなわかってますし、とはいえぶっ殺すしかないんじゃないかっていうような大悪党(世の中にいませんか?)を映画の中でぐらいスカッとやっつけてくれてる!ってのもわかってますよ。ヒステリー&アレルギーがなければ大人の皆さんも是非!

 とはいえこんなんばっかり見たいわけじゃないのが大人なわけで、一応黒沢清の新作『旅のおわり世界のはじまり』とか、うちのバアチャンもやばくなってきてるわけで『長いお別れ』とか誘ってみるんですが、一緒に行ってくれそうもないと・・・。こっそり来週行くしかないな・・・
 



 

2019年6月25日火曜日

KEK展示会 

 そんなこんなで今日は展示会でした。
 高エネ研(高エネルギー加速器研究機構)
 「宇宙・物質・生命の起源を探る!」てなことを書いてある横断幕が通り沿いにもあるんですがやっぱりよく意味がわかりません(こればっかり言ってるな)
 さすがに加速器に絡む皆さんだけあって他の研究所に比べて駐車場に加速の凄そうな車が多いのが特徴(個人の見解です)、中にはワイルドスピードみたいなのもチラホラ(言い過ぎ)

 とにかくお疲れ様でした。無事終了しました。

 





ちょいとメカメカしいのを並べてみました?

こいつらはサボってるんでしょうか?呼び込みいって来いよ!

  

これと一つ上は、以前紹介したレーザー加工のしろもの



 で、昨日の今日で、タイミングどんぴしゃですが、
フッ化セリウム!
トイレトイレ言ってたのはこれですな!


2019年6月24日月曜日

セリア(酸化セリウム:CeO2) 100円じゃあ買えません

 こんなものを作っておりました。
 酸化セリウム(セリア:CeO2)の焼結体。
「セリア」って言えば「ダイソーじゃない方」としてなじみ深い響きですが、人によってはそんな元素あったんかい!かもしれません。
 いわゆるレアアース、希土類酸化物の一つです。

 身の回り、生活してるレベルでセリウム(あるいはセリウム化合物)に出会う確率がどのぐらいあるか私自身よくわかってませんが、気が付いた範囲でいうと、

 トイレ(衛生陶器)に「CeF/ionプロテクト(不正確です)」みたいなものは町の中でよく出会いますね。これはフッ化セリウム(CeF)でしょうね。光触媒としての機能がどのぐらいションベン臭さや汚れを落としてくれるのか知りませんが、釉薬の上にコーティングしてるんじゃないでしょうか? うちはメーカー違う上にいっちゃん安いトイレなのでそんなコーティングもへったくれもないですから実感もくそもありませんが…トイレだけに。

 あとは近所のホムセンあたりで売ってる中では、主に車の窓の水垢落としの研磨剤に使われてますね。貴金属磨きとか。
 知ってる人は知ってる(当たり前だけど)ってうちで一番有名(なのかそれは?)は、酸化セリウム=研磨剤です。車の窓どころじゃなくて光学レンズや貴金属の磨きに使われてます。昔は弁柄=(第二)酸化鉄が精密研磨の主流でしたが今はセリアが主みたいですよ。
 先日読み返したディックの「高い城の男」でもアクセサリー職人がベンガラで頑張ってましたが今なら酸化セリウムですな。最近やってるTVシリーズは1秒も観てないんですが汚れ方がベンガラに比べて味にならないかも。
 研磨剤としてどこがどう優れてるのか原料屋さんにも伺ったんですが、磨いたこともないしよくわかりませんでしたので説明は割愛(笑、とにかく硬くて細かきゃいいってわけではないようですよ。
  
こっちは大きめの方

と、言うことは小さめもあります

落雁やラムネじゃありません。

 「レアアース」ってなんなの?ってところですが、レアアースは「ランタノイド金属15種類+スカンジウムとイットリウム」の17種類で、いわゆる「希土類金属」のことです。それの酸化物が「レアアースセラミックス」
 ニュースなどでたま~に聞くんですが「レアメタル」ほど出てこないワードかもしれないっすね。そのレアメタルの内上記17種類がレアアースにあたるという理解でいいのかな?
 磁石でおなじみのネオジウム(ネオジム)なんかもレアアースです。
 
 「レアメタル」ってのは単にレアな=希少な(含む、かつては希少と思われていたがじつは結構ある)金属=メタルって意味ぐらいで、これこれがレアメタルである!と種類は限られてます(31種類だっけ?)が化学的定義はないみたいです。

 レアアースは原子の配列とか電子が何やかやで科学的に定義があります(このセリウムなんかは別にそんなにレアじゃあないんですが(実際他のレアアースに比べた大分価格も安い)、そういうわけで「レアアース」でも文句言われるいわれはないということでいいのかな?)

 が、
 ここでさらっと解説するには俺の理解がボンヤリしすぎ。
 必要な人はすでに知ってる。
 今知らない人は知ったからって使いどころの難しいウンチクが増えるだけで、うちの注文に結びつくとは思えない。

という3重苦ですので興味ある人はご自分で本で調べてみてください。
 

 じゃあなんでこんな毒にも薬にもならない話をだらだらしたかというと…
あんまり紹介してないですけど「レア・アース・セラミックス」も可能な限り作ってますよ!ということを尺長めに宣伝したかっただけです(笑
 



 つくばセラミックワークスは基本るつぼ屋ですので…
 当然、るつぼも作ります! ギリ3N(99.9%)あるかないかぐらいです。




 今回同じ用途のタブレットとしては多孔質のカルシアも作りました。 
  こっちも大と小

一応希土類を並べますと…
左から原子番号、元素記号、名前の順ですが…
21 Sc スカンジウム
39 Y イットリウム
以下ランタニド
57 La ランタン
58 Ce セリウム
59 Pr プラセオジム
60 Nd ネオジム
61 Pm プロメチウム
62 Sm サマリウム
63 Eu ユウロピウム
64 Gd ガドリニウム
65 Tb テルビウム
66 Dy ジスプロシウム
67 Ho ホルミウム
68 Er エルビウム
69 Tm ツリウム
70 Yb イッテルビウム
71 Lu ルテチウム
 
なんだか聞いたような聞かないようなドストエフスキーの登場人物みたいにどれがドイツやらアヤフヤになりがちですな~。
 
 

2019年6月18日火曜日

アルミナるつぼ 細サイズ とクリアランスの話と本のプレゼント問題

 高純度99.99%のアルミナるつぼです。
 径で11φほど高さが30㎜で肉厚は1㎜ということで石英管内に封入して使うことが多い(気がする)完全にラボサイズです。(今回は違うようですが)



 石英管に限らず、管状のものの中に細長いるつぼを入れ込んで使う場合、クリアランスが問題になります。
 どれだけ隙間があればいいのか、というのをここで数字出して言うことはできませんが、実験に差し支えない範囲で可能な限り取る、というのが基本線だと考えてください。
 たとえば内径30φの管の中に入れるので29.8φでお願いします。なんて場合、まず焼成収縮の問題があり、径が一見OKでも、歪でつっかえる場合もあります。特に長さがある場合はどっかで引っかかったりしやすいです。
 るつぼを焼成後に研磨加工で寸法を出しても、実は30φっつってた管の内径はカタログ値で現物測ったらもっと細かったり、やはり管も歪んでいます。なんてこともありがちです。
 これは径や長さが大きくなればなるほど上手くいかない可能性が高まります。
 
 それが必要な精度であれば、炉心管とるつぼの両方を寸法だしする加工をすることになります。るつぼは焼きっぱなし、管も既製品の開けポンで行きたいとなるとクリアランスはそれ用に設定しなくてはいけません。
 
 また、以外に忘れられがちな問題に、なるたけギリギリ入るように製作した結果、指の置場も何もなくなって設置できない、あるいは入れ込んだはいいが熱処理した後指も棒も引っかからず取り出せないという事件が数年に一回ニアミスします(笑。ハンドリングに必要な空間、というのも確認しましょう!

 セッター側の実測がわかればそれに合わせてるつぼの方の原型を設定できますので、お気軽にご相談ください。


 先日年に一回行ってる親戚の集まりで温泉旅行に行ってきました。今年はめんどくさくも俺が幹事(56年に一回回ってくるからこれはシャーない)
 ビンゴゲームなんかの準備しなくちゃいけないわけで、まあそっちはカミサンチョイスのちょっとイカシタ(自分じゃ買わないような)生活用品等とうちの品物(湯呑とかね)、これまた自作のジャガイモや玉ねぎの箱詰めで問題ないんですが、この親戚会に限らず俺が幹事をする場合、必ず中高生にはプラスして本(文庫本)をあげています。

 これはもちろん俺が自意識過剰なせいで、ユタカおじちゃん面白いだけじゃなくてプレゼントのチョイスもいかすわね!的妄想からの押し付けがましい行為です。
 図書券じゃなくて文庫本そのものを。図書券じゃあ限られた会費もあってかえって高くつくし、換金しやがったりされても気分が悪い(笑

 未来ある青少年に俺が本を送る理由は、
 1、俺が好き(ほぼ小説のみだけど)だから本好きを増やしたい。若い奴らと本の話をすると楽しい。
 2、本をプレゼントされるってこと自体がなんかちょっと変でイベント感が出る。壊れないし、食ったり消えたりしない。
 3、個人的にここが一番大事なんだけど、世界に本ほど平等なものはないと俺が感じているから。

 服でも、食いモノでも車でもほとんど全部ありとあらゆるものが主に経済的な理由や社会的格差によって区分けされてます。まあ死ぬまでトムフォードのスーツを俺が着ることはないし、カンパスーパーレコードで組まれたコルナゴに乗ることもないし、うっかり千疋屋でメロン買ったりすらしないです。映画だって住む場所でIMAX観られなかったりするし、音楽だってCD買ってもダウンロードしても再生機器のグレードがあるわけで。

 たとえば何でもいいんですけどある本があったとしてその本はアラブの王様だろうが天皇陛下だろうが俺みたいな底辺愚民だろうが同じものを手にして読んでるはずなんですよね。大体の場合、同じ〇〇文庫の550円!とかきまってます。再生機器も少なくとも手でページを繰って目で読む以上は全部一緒。まあもちろんジャンルや作品によっては豪華装丁版とかそういう場合があるかもしれないけど、中身は一緒。俺の「坊っちゃん」より天皇陛下の「坊っちゃん」の方が登場人物が5人も多くて豪華な上に清が死なないで幸せ、とかそういうことはないわけです。(いや、わかんない。クレイジーリッチな超大金持ちが金に物言わせてジャンプ丸ごとオールカラーにしたりしてるかも?)
 
 とはいえ電子書籍や朗読バージョンになると機材のグレードがかかわってきたり、もしかすると朗読担当の人によって値段が変わったりするかも。将来こっちが主流になるのかと思うと気が重いよね~。(もちろん、電子書籍や朗読してくれる書籍の価値は重々承知しています。とりあえず横に置いておきますね)

 まあその辺が本こそ俺のよるべである理由なんですが、まあそんなこんなで、親戚の少年少女に文庫本を配るわけです。

 世間的にはどうなんでしょう、本のプレゼントってステキ!な空気が細々と昔からある気はしてるんですが…実際結構難しいですよね。俺はある程度以上迷惑を承知でやってるんでいいんですけどね。

 今回の場合相手が中高生なので
 1・相手は本を読む方なのかどうか?どんなのを好むのか?
 2・どのぐらいの対象年齢とか中身の難しさなら読めそうなのか
 等々一筋縄ではいかない問題が待っています。選ぶ方としてもここが面白いんだけどね。

 私はリアルでの言動が特に若いころは「態度がデカい」「がさつ」「方言が多い」「なまってる」「熟語が少ない」「すぐモノにあたる」「気が短い」「文句ばっかり言ってる」「常に手ぶら」「トイレで鍵をかけない」「もちろん手など洗わない」「運動靴しか履かない」「ギャンブルばっかりやってる」「Tシャツがカートコバーン」「筋肉アクション映画の話ばっかりしてる」といった風にあげればきりがないほど理性的とは遠いわけで、多分カミサン(まだ俺んちに来たことがなかったころ)も俺が本読む方とはサッパリ思わなかったんでしょう。俺の子供の頃のヒーローが「掛布と高橋慶彦と千葉真一」と語ったのを覚えてたんでしょうね、村上龍の「走れタカハシ!」をプレゼントしてくれましてね。でだまってもらえばいいものを「あーヤーさんの娘に手え出した話ね」なんつって「持ってるからいらねーよ。ダブル村上好きじゃねーし」と突っぱねるという心底野暮天な対応をしてしまったもんで・・・。


 こういった事件は世界中あちこちで起こってるはずです。
 そのぐらい本のプレゼントは難しい。
 でもプレゼントしたいしこの習慣も広まってほしい!

 本のプレゼントの経験的最適解はいまだにわかりません。

 とりあえず、相手が中高生として…
 1・タイトルがイイ!シャレてる!
   これは興味を持ってもらいやすいし、棚に飾りっぱでも絵になります(笑
 2・評価の高い作品(売れたという意味とは違う)
   読めば良いはずだし、将来何かのついでに、あれいい本だったんだ、読んでみるかな~と賞味期限が長い。オマケにおじさんなかなかやるな感アップ(笑
 3・内容が面白い
  これは当たり前
 4・文章が読みやすい。
  相手がビギナーだったらこねくり回すような大人でも突っかかるようなのはやばい。
  平易な、なんならラノベっぽいのとかでもいいと思います。
 5・カバーもいけてる!
  そりゃそうだよねー
 6・薄い、あるいは短編集
  これも相手次第ですが、読書力不明なら無難
 等々をいつも考えてます。

 今回の対象者は、
 A・高3の受験生リケジョ 本はめったに読まないな~
 B・大変おとなしくて優しい中一男子 生態一切不明
 C・中2女子 落ち着いてて話しぶりも大変賢い感じだがエグザイルの大ファン
 といった難敵揃い

 結果的に
 A・綿谷りさ『蹴りたい背中』
  合えて理系(SFとか)は却下。題名実績内容文句なし。
  このタイトル俺本当に好きで飾っといても背表紙に箔がある!
  オジサンは綿谷りさを持ってレジに並ぶのが最近恥ずかしくなってきました。
  文庫出れば買うけど

 B・ファラデー『ロウソクの科学』
  もう単純にこういうことに興味持ってちゃんと勉強しろよー的なチョイス。
  もうど真ん中無難。送りバント。
  好みを知らない中学生にはこれか『シートン』『ファーブル』がいろんな意味で無難。

 C・筒井康隆『時をかける少女』
  アニメも好きみたいだしそこそこ以上にはなにかしら読んでそう。
  『ペンギンハイウェイ』と迷ったけどあえてクラシックなこっちをチョイス。
  薄くて安いし(笑

 あー持ってる情報の範囲内では最高のチョイスができたと自分では思ってるんで自己満足を堪能しました。
 こんな度を越えてどうでもいい情報を公にさらすバカさ加減は自分でも自分を心底さげすみたいところなんですが何しろ、本のプレゼントは送る側の自己満足がハンパない!おすすめ!


 改めて断っておきますが、本をいくら読んでも利口になりませんし成績も上がりません、よい子にもなりません。このHPの読めば分かるように文章も説明も一切向上しません。「頭の良い子を育てる」的なのはうそですし大変に下品な発想です。
 面白いからうれしいし楽しいだけです。
 
 ただ、自分と違う他者をいろいろな理由で差別するようなことは少なくなるんじゃないかと思います(少なくとも心の奥では)。
 
 改めて言いますが、
 本のプレゼントは送る側の自己満足がハンパない!おすすめ!
 
 
 



2019年6月17日月曜日

アルカリ土類金属酸化物を中心にした融点とか溶けについての話かも、

 いきなりですが、周期律表を。うぃきから引っ張ってきたんですが芸能人の個人情報じゃないんでさすがに間違ってないと思います(笑



 さらにいきなりですが、融点を発表します

 マグネシア(酸化マグネシウム)とりあえず2800℃以上(結構文献によります。個人的には細かい数字にはこだわらない方がいいと思います)
 カルシア(酸化カルシウム)とりあえず2500℃(以下同文)

 ついでにその他の材質についても概算、よく言われる融点で
 アルミナ(酸化アルミニウム) 2050℃
 ジルコニア(酸化ジルコニウム)2700℃(いつの間にかアガッてた?)
 シリカ(二酸化ケイ素 石英) 1650~1700℃
 ムライト(アルミナ+シリカ) 1850℃
 
 現代的な複合酸化物や非酸化物【ALNとかね】を除いたスタンダード(多分、少なくともうちでは)なラインナップのセラミックス材料を並べてみました。
 
 あとからあげた四つの「より」スタンダードな素材に比べて融点がとても高い、という特徴があると思います。まあジルコニアもそうなんですが・・・
 
 るつぼ屋であるつくばセラミックワークス的には、緻密質、多孔質問わずマグネシアとカルシアは推しメンです。アルミナの良くあるルツボでなんか上手くいかないからって場合は是非是非選択肢に入れてくださいねと言いたい。意外とこの二種類のるつぼは化け学的(反応しちゃうよ問題)に耐金属溶湯には弱点が少ないです。まあ今回は推してる!という事実だけで切り上げます。過去の個々紹介したページにその他の注意点なんかは書いてますのでそっちも参照してみてください。

 問題は融点が高いから選ぶ!、というのは案外うまくいかないもんなんだなあという点。融点は製品の最高使用温度の目安になりません
 単にちょっとした塊がその温度の中で溶けずにいればよい、なんてことは耐火物全般基本無いわけで、炉材だとしても雰囲気や昇温速度等に、さらにるつぼなどなどなら金属溶湯との反応がプラスされてきます。
 また、融点とは別にどのぐらいの温度から強度低下や軟化が始まるかというのも材料ごとに各々違いますし、そもそも何かしらの形状に成形して作られたものは構造的な強弱や歪みを内包してもいるわけです(熱間で使用されることによって欠陥、弱点として表に出ることがある)
 そして、これら融点(をはじめとする物性値も)は理屈上の理論値だったり超超高純度のもの(知らないけど単結晶とか?)でのデータだったりすることが普通なので、実際の原料からしてそこまでコンタミがないなんてこともなく、ましてや焼結助剤を添加したりしてるのも多いので使用温度なんてのはよくある酸化物でしたらせいぜい1800℃程度が限界です。と思っていて間違いないと思います。
 よって融点から材質を選ぶ、なんてのは決め手にはならないという理解はあった方がいいと思います。

 もちろん融点以上の使用温度で持つわけ普通はないのでそこは当然考えなきゃいけないんですが・・・
 しかし大昔から貴金属業界ではプラチナの溶解にシリカルツボを使っています。両者の融点を調べてみればわかりますがプラチナは1750℃チョット。シリカはさっき言ったようにせいぜい1700℃。おかしくね?
 昔からこの話は、不思議だよねー話として有名なんですが、研究者や耐火物屋以外では実感ないので一般にはあんまり知られて無いという無駄ウンチクです。
 まあ多分実際は、
 1・高周波で溶かすので溶けたプラチナの温度=るつぼの温度じゃない、
 2・シリカは熱伝導悪いので融点になるまでもたもたしてる(笑、溶けたりしても粘りがある(ガラス吹き職人の図を想像してください)
 3・しかもるつぼはバックリ割れにくい調合で、少々軟化してもジュエリーの型に鋳造する間ぐらいがんばっちゃう
 といった理由だと思われます。

とまあなんだかんだ、融点以外のもろもろの要素の方がむしろ重要に絡み合ってルツボをはじめとした耐火物たりえています。

 アルミナやジルコニアのるつぼなら簡単に手に入る時代のようですが、ウナギはうなぎ屋で食いたいなあーと思ってる方ならばるつぼはるつぼ屋に相談とか注文してみるといいんじゃないですか?みたいな形で話の枕を終えますね。

 で、ここから闇ヤキモノ教習(仮ともリンクしてくるんですが、もう一度周期律表

 マグネシアとカルシアは左から二列目のアルカリ土類金属、と言われる金属の酸化物です。
 ファインのユーザーの皆さんなら、おお、コクもキレもある一筋縄じゃいかねえ材料がそろってんな~べリリア(酸化ベリリウム)が今使えないのが残念だぜ!(毒性が強くて難しいし恐ろしい。実力は超強いがもはや幻のるつぼ。だいぶ特殊なところで研究や利用されてます。どことはいいませんが若い女性チーム(主観です)に担当させてるのはどうかと思わなくもない)みたいな感想でしょうか?(多分違う)
 
 最近では読者中の多数派と思われる作陶趣味の方からすると、あれ?釉薬原料のうち「溶かす材料」といわれるものがこの列にあるなあ。と思われたんじゃないでしょうか。

 さあ、ここからアヤフヤな解説の釉薬が溶ける云々の話が始まりますよ!セラミックス畑の皆様や本職のヤキモノ屋の皆さんの温かい訂正とツッコミお待ちしてますのでよろしく!

 釉薬のメイン原料をあらためて並べます。
 アルミナ Al2O3 2050℃
 シリカ  SiO2 1700℃
 カルシア CaO 2500℃
 もちろんこのほかに周期律表一番左の列の金属「アルカリ金属」の酸化物が結果的に適量入っているわけですが(酸化カリウム・酸化ナトリウムとして、意識的に酸化リチウムも入れますよね)、この三つだけでも釉薬(の用をなすもの)は作れるんです。また、ここまではあえて焼成後の「酸化物」として列挙しています。

 かなり俺個人的な理解のもとに「釉薬が溶けてる理屈とやらっぽいもの」をウルトラC込みで語りますよ!
 ガラスになるもの、粘るもの、溶かすもの、みたいなよく考えるとぼんやりした暗記ゲーみたいな覚え方じゃなくて、とりあえず理科の教科書の巻頭か巻末を見ればそれなりに納得がいく、という方法で行きます。

 1・酸性・(中性)・塩基性の組み合わせで反応性が強い(傾向があるはず、ですよね?)。それぞれの度合いの強さもあるアルカリ>アルカリ土類とか(酸性側にもあるはず、ですよね?)
 2・そもそも融点の低い材料が混じるとそりゃ複合物の融点もうんとさがる
 の二つの理由で出来上がってるんだと考えます。意外とこの辺解説されて無いっぽい。まったく別々じゃなくて複合的な理由でもあります、もちろん。たとえばカリウムやナトリウムは名前からしてモロアルカリな上に融点もググッと低いですからね。

 カルシア(石灰石からとる)、マグネシア(マグネサイトやタルクからとる)、ドロマイト(カルシアマグネシアの盛り合わせ)、炭酸バリウムやストロンチウムがアルカリ土類金属の酸化物(炭酸塩)です。
 酸化カルシウムや酸化マグネシウムに対して「溶かす材料」として認識していると不思議なんですよ。こんなに融点が高いのになあ、なんてこと思ったことないですか?俺はあります。

 これらは基本的に1の理由で中性であるアルミナ、酸性であるシリカと反応して溶け合う、という理屈。もちろんそれぞれ別の物性を持ってますから反応の相性は一様ではないんですが、たとえばカルシア(2500℃)の塊をアルミナ(2050℃)の板に載せて焼成すると1450℃ぐらいになるともう溶けた穴しか残ってないですよ(通称チャイナシンドローム)、でもマグネシアなら1700℃まで上げてもほぼほぼ平気です。そのマグネシアも微粉末の状態でアルミナと混ぜるとかなり緻密化温度を下げることができます。
 ただし、どんどん混ぜればどんどん溶ける温度下がるわけではないんですよ。ある程度の割合を過ぎればまた解けない方に向かってマットになったりちっとも溶けなくなります。3成分4成分での試験をやってみるとわかります。これは「溶かす材料」としてだけ考えてると変な話ですが、そもそもバランスで成り立っている融点の位置、が変わるからです。ただ入れれば入れた分だけ溶けるってわけではない。みたいな感じです。
 
 これとは別に(完全に別じゃなかろうが)そもそも融点が低いからまじりあった時にそりゃ溶けやすくなるわい!って材料も「溶かす材料」と言われてるものの中にあると思うんですよ。
 代表的なものでいえば一酸化鉛、融点は900度行かないぐらい(その他の鉛系原料も結局この形になるはず)、酸化銅も1350℃程度な上に揮発性が高い(反応しやすいはず)、二酸化マンガンなんかもかなり融点が低い。酸化リチウムは上記アルカリ金属でもあるからダブルパンチだなこりゃ。みたいなね。
 この辺の「そもそも融点低い材料案件」はゼーゲル式だけじゃいまいち把握しきれない部分なので実感するしかないんですが、多少は教科書の票だけで見当つくはずです。

 ここまでわかりやすいつもりで書いたんですが、上から目線的で気持ち悪いので例によってむしろわかりにくい気もする例え、で整理し直しますね。
 
 至上最高のスポーツ映画の一つを例に取って、多分世界初、「がんばれベアーズ」で釉薬を考えてみたいと思います
 ベアーズを釉薬として考えてみましょう。
 もともとベアーズは全然機能していないチームだったわけです。そこに個々の技術(耐火度)は高いけど性格が異質なテイタム・オニールとあのタバコ吸ってるセンターのヤンキーというアルカリ土類の二人が入ってきたことでぐっとチームとしてまとまって(うまく溶け合って)成績も出るようになってきた。と。
 セカンドの喧嘩っ早いおかっぱチビとキャッチャーのビッグカツ食ってる強打者のデブと併せてセンターラインとクリンナップがしっかりしてきたねーみたいな。

 でもヤンキーに両翼はおろか内野フライまで取るように指示したり、女の子一人にスピットボール投げさせすぎたりしてアルカリ土類の割合が高くなりすぎるとまたチーム(=釉薬)としてダメダメになっちゃった(監督の調合ミス)
 あの眼鏡のオタクっぽいボンクラピッチャーとか最後ライトフライ取る超ヘタクソのカワイイチビちゃんとか英語通じないメキシカンの子とかは多分カリウム分とソーダ分で、彼らの存在、仕事の分もうまく混ざり合うことで最後負けちゃったけどいいチームになったじゃないか!みたいな感じですよ(「あいつらだけじゃあ力不足とか溶けすぎて大穴とか元のベアーズ」
 
 無茶は承知でやってみたもののやっぱり無茶だった気がするんですが、とりあえず、変に各材料の役割だなんてのを決めつけて覚えるのでなく、融点の関係や、酸~塩基の関係などのバランスを取る、という風に理解しておくのも一つことからの見方に凝り固まらないためにはいいんじゃないかと思っておすすめしてみます。

 「あくまでも補足事項の補足」程度ではあるんですが、頭の隅に入れておくと、多少の足しになるんではないでしょうか?

 ベアーズの件、思いつきで書いちゃったので確認してみようと思ったんですがDVDがどこに行ったかわかんなくなっちゃったんで心苦しいながらもYOUTUBEを張っておきます。
 もう俺が生まれたころの映画なんでネタバレもくそもなくラストシーンのやつ!あの弱虫のチビちゃんが相手にトロフィー投げつけるシーンでアガらないやつはいないでしょ!ってことです。
 
 クッソー上手くまとまんなかったぜ!
 昨日まで温泉行ってたからかもしれないなあ~





 
 

 
 
 







 
 


 



 
   
  
 

MgOるつぼ と、

「クリーム色のニクイやつ」でおなじみの実力者、MgOるつぼです、
 ってこのフレーズですが、『クリーム』で検索掛けたらうちのHPが上位に来てスイーツ女子に迷惑がかかるまで続けようとおもってます(笑
 



比較的わかりやすい対象物をセットしてみました。

 たまにネタにしてるような気がしますが、オール電化に住んでいてお父さんタバコ吸わないとなるとうちの中に一切火の気がなくなる可能性がありますね。火を操らない(操れない)となると人類400万年の旅はどうなるのか!もう終着駅は近いのか?
 とりあえずうちの子供たちには、ストーブだけでなく火を起こして暖を取る、魚を釣って焼いて食う(川魚でも)、炊飯器じゃなくお米を炊く、といったことは教えてまして、上の子は今はもう不本意な得点のテスト用紙を隠滅するといったことまで覚え出してるんですが、この手の基本的な生活技術は大事だと思うんだけどな~。大災害の後簡単に死なないためにはなあ!とか、ごりごりのサバイバリストみたいなことまでは言いませんがコンロぐらいは使えた方がいいんじゃないかな。
 
 本当はこの後マグネシアについて、およびアルカリ土類金属の酸化物についてぼんやりとした話をしようと思ってたんですが、耐火物としての話と陶磁器原料としての話をごっちゃにした記事にした方が読者の方もクロスオーバーしたウンチクになって面白いかもしれないし、ファイン系の深い知識を持った方に、一般陶磁器系の説明の際に犯しているであろうミスや誤りを正してもらえるかもしれないので次の記事に回します。




2019年6月14日金曜日

ジルコニア耐摩耗容器

 何度も紹介してますが、ジルコニアの耐摩耗性容器。

 
この手の乳鉢式の使用法の容器にはジルコニアはとても向いてる気がします。
 まあもちろんジルコニアとその安定化剤のコンタミが問題になりにくい、という条件付きですが・・・

 ジルコニアはモース硬度で8、アルミナ9より低い(ひっかき合いをすると負ける)んですが、靱性(粘り強さ)が比較にならないので結果的に強い=割れない、という性質です。こう言った場合我々が口にする「カタイ」という言葉の意味に対しては常々お客さんとの間で齟齬の無いように意識しています。

 まず、硬い=割れないって意味ではないということ。
 セラミックスでいうカタいは、
  1・引っかき合い、こすり付けあいで強い=摩耗しにくい
  2・ほぼほぼひん曲がらない、曲げようとする力に負けたときは曲がらずに割れます。
 という意味がほとんどといっていい気がします。

 これは特に他業種の方からの問い合わせでは非常に勘違いされることが多いです。
 「セラミックスはカタいんでしょ。割れないんですよね」
 「そういう意味じゃないです、セラミックスってセトモノなんで」みたいな会話を年に何回かします。
 そりゃヤキモノ人でも、普段は普通にそういう意味で使っちゃいますけどね。

 またどういった種類の硬さが優れてる方がいいのかってのも必要ならば確認しなきゃならないと。
 まあこの話をここで書くのも毎年何回かやってる気もしてきましたが別にネタ切れじゃありませんよ。
 
 
焼成後機械加工ですので木口はぴったり合います。

 ちょくちょく紹介してますが数種類サイズがあるのに同じ形状なので分かりにくい!
 というわけで比較対象を置いてみました。
 
左がC3ヨーヨーデザインのアストレア
右がヨーヨーファクトリーのフライトプロ
 前にイタリア人の放浪陶芸家に言われたんですが、いろんなところ回ってるけどヨーヨー好きのヤキモノ野郎は俺とお前しか知らん、だそうです。そんなことねえだろうけど。

  
肉厚は6~7㎜あるンですがすけすけです。

2019年6月11日火曜日

MOT's高エネ研(KEK)展示会のお知らせと・・・

 MOT's開催の技術展示会、今月6月は
 「大学共同利用機関法人 高エネルギー加速器研究機構」(これまた長い!)
 日本が世界に誇る公立研究所の一つですが、名前聞いても内容がさっぱり見当つかなさもトップランク!とりあえず略して「KEK(ケーイーケー)」です。
 ノーベル賞受賞者も出してるのでもしかすると聞いたことある方も多いかと思います。というか、このHP観ていただいてる方の中には今日も思いっきりここで働いてる方もいるわけですが(笑

 というわけで横断幕の設置も無事完了しました。
今朝までの雨で下がビショビショだったので組み付けの丁寧さはダウン!
みんな忙しいタイミングだったしなあ。


 高エネ研は、名前聞いても話が遠いってのを研究所自身が自覚してるとみえて、今風の絵柄の漫画で研究の最前線を紹介する冊子なんかも発行したり(見学施設でもらえます)、Tシャツとかグッズも滅茶カッコいいデザインのを売店で売ってたりと、よその研究所に比べて独自色の強いアピールがあったりもするんですが、その内容といえばそこそこ以上にはできのいい国立を目指す理系高校生ぐらいじゃないと漫画内のギャグすら半分も理解できないという深遠さがあって俺なぞとてもとても・・・(それらは展示会終わったら画像あげようかな)
 
 
 今日のヤキモノ的ネタとしては
 一緒に設置作業した出力屋さん(BIZSHOP)レーザー加工機でどこまでできるかなってことで試しに預けていた箸置きが帰って来ました。
 最近見る木に焼き跡で絵をプリントしたものや、ガラスにエッチングするみたいなのがそもそもなんですが、焼き物にもやってみようぜ?みたいな話になってたんですよね。
 
釉薬面がこちら
ガラス瓶相手ほどシャープにはいきませんが、サンドブラストとはまた違った感じです。

ひっくり返して裏側。
0.1㎜ぐらい彫れてます。結構びっくり

 これがまあいわゆる「手作り」になるのかどうかは微妙な話で、そもそも「焼き物作り」の技術なのかという問題もはらんでいるとは思いますが、今は3Dプリンタで成形したりする時代だしね、スパッタリングや蒸着で薄膜付けて釉薬の代わりにしたり、釉面にサンドブラストしたりって作品もかなり昔からありますし、デカールはどうなんだ、シリコンプリントは?なにはどうだって話になると結局俺個人としては「可能性やできることが多いに越したことはない、こういった技術というのはそれ単体で存在できるものでもないだろうし、そんなものは使い方ですよ!」とお茶を濁しておきます。
 少なくとも名入れ注文なんかよく作る製陶所なんかなら手筋が一つ増えたな!と感じます(もちろんもうやってるところあるだろうけどさ~)

2019年6月10日月曜日

よるべなき漢の重ね掛け イントロダクション2

 よるべなき男たちに贈る重ね掛けシリーズ、
 ホントの実践に入る前に引き続き準備編としてイントロダクションを続けます。

 前回は理屈から割り出されるシチュエーションを列記したので、あのまままともに受け取ると
 重ね方の数×釉薬の種類数×焼成プログラム数×濃度の割り付け数×土の種類数×裏表(上下を変える)
 などと霞ヶ浦のアメリカナマズの生息数を数えるような非現実的な場合の数になってしまいましたが、実際問題そんなんやってられっかというのが実際のところ。

 現実的には今回次回どのぐらいどれやるかってのを狭い範囲でも決めながらデータと実感をためていくって手法になるのは致し方ないわけです。やりゃあ自分なりの精度とはいえデータはたまるわけで、そのデータがありさえすれば勘頼りのメクラ撃ちより1億倍マシ(正確な数字です)。映画でも凄腕狙撃兵は撃った後小さい手帳になんか書いてたりしますよね(映画にもよるけど)。あれが何書いてるのか詳しく知らないけど距離とか風とかと照準のずれとか記録してるっぽいですよ(多分)そう思いましょう。


と、まあ前置きはこのぐらいにして
 雑な性格に自戒も込めて、現実的にはこんな段取りでいかがでしょうというのをちょっと考えてみました。
 


 A・試したい二種類の釉薬がもう決まっている場合。
 これは一番簡単、というか一本道(長いけど)
 それぞれの釉薬の濃度を決めて(複数をお勧め)裏表にする。だけで行けるはず。で、必要なら重ね方のパターン(重なり量やその高低の位置関係など、できれば細かいほうがいいかもね)、焼成プログラム(あるいは炉内位置関係かな?)を掛ければなおよし。といった感じ。さあ、とっとと仕事に掛かれ!

 B・釉薬二つになんて絞り込むの出来ませーん
 これはもう、ある程度一方的に絞り込んで「A」に移行できるようなパターンを組むしかないですね。ふつうこうなるんじゃないかな。
 とりあえずは濃度や昇温プログラムは選択肢を一つ(いつものやつ!)にして試験、結果を見てから次回「A」パターンを試してみたい組み合わせを見つけましょう。選ばれなかった組み合わせの別濃度や温度に素敵なマリアージュ(はあと)があるかもしれませんが、それは今回はご縁がなかったということでね。別に引き裂かれる理由は戦争でなくとも人生も重ね掛けも「ひまわり」のソフィアローレンとマストロヤンニみたいなものですよ。と思うと詩情にかまけて後ろ髪引かれる気持ちを誤魔化せると思います。っていうか、どうしてもってんなら全部試せばいいじゃんかよ!その辺はお任せします。

 で考えられそうなのは…
 B-1・軸からの流し方式
 自分の良く使う好きな釉薬でも、どうにかして使い方を見つけてやりたい釉薬でも、一つ軸を絞り込んで残りの釉薬との組み合わせを試します。一つの釉薬に対して相性のよさそうな相手を見つける、別名「ラブアタック」方式、ですね(ですねじゃねえよ)

 次はもう勘の言い方はお気づきでしょうが
 B-2・3、4種類でのボックス(総当たり)方式
 これは全釉薬組み合わせてはやってらんないからいくつかに絞って組み合わせを総当たりという意味です。
 3種類なら3×2、4種類なら4×3の裏表(ホームアンドアウェー)、同じ釉薬を重ねるなら3×3,4×4ですね。通称ゾロ目
  
 で折衷案であるB-3
 軸3×相手3のパターン。軸同士、相手同士ではこの場合はやりません。ある程度地の釉薬と掛ける釉薬の目星をつけている場合に有効かもしれないですね。よく使ってるメイン釉薬が3つ、新しく試した釉薬が三つなんてときにどうぞ。

 ほかにもあるかと思いますが、こんな感じでどうでしょう。どの方式を選ぶかはその時の都合によってチョイスすればよしと。
 
 次はテストピースですが、今回つかったものはこれ
 右肩にマスキングテープで抜き窓を作ります。
 下地の釉を使った後にテープをはがせば抜跡には上からかけた釉がそのまま残ります。あとからいろいろ把握がしやすいんじゃないかと思います。上掛けの釉は下の釉を全部隠しちゃわないようにすればテストピースには、下釉、上釉、重ね部分の三種類が位置関係とともにわかるようになるってえ寸法です。

 では、流し方式を例に取って・・・
 
下釉だけ掛けた状態

 

 これは柿釉に対してそこらで目についた釉薬を9種類試したものです。柿釉が、上、下それぞれありますので18種類(濃度は普段使うときの濃さ「のみ」です)












 
 と、いうわけでドシドシ作って焼きましたがまさによるべなき結果になってます(笑
 いい悪いさておいて、上下変わるだけでずいぶん違う表情、色味になるものもありますね(違うかどうかだけでいえば全部違う)。釉薬が2つあれば、少なくとも4種類の見た目を作れるわけですな。基礎釉のタイプの違いで滲み方、流れ方等が変わったり、いろいろ好みを見つけてください。
 


 これ思ったんですけど、もしかすると向いてる人にはこれ専門でやってける可能性あるかもしれないですよ。釉薬メーカーですらも重ね掛けまではサポートしてくれてないはずだし(知らんけど)。ゴルゴ13にたまに出てくる地下室で銃とか弾丸の改造してくれるジッチャン(黒縁メガネのオーバーオールの人)みたいな神職人として、あの超大物陶芸家の陰に地下室の男アリ!みたいな(笑

 

 瑠璃釉、飴釉、赤黄色マットにたいして白いの三種類(つまりB-3のパターン)だとこう