2018年5月15日火曜日

じゃあ鋳込んでみっか~! 排泥鋳込み超入門 闇ヤキモノ教習(仮

 鋳込み本番とまいりましょう。

 もし正直にこのシリーズの更新待ちでバージンスラリーのまま長らく置きっぱなしの方いらっしゃいましたら大変申し訳ありませんでした。
 ペットボトルにためておいたスラリーもだいぶゲルっぽくなってる場合もあるかと思うんですが、シェイクすれば一気に液状化すると思います。これはチクソトロピーという理屈はよくわかんなくてもいいけど実感がないと鋳込み成形がうまくならないかもしれないという超大事な性質が関係しています。チクソトロピーに関しては私もきちんと説明できないんですが死ぬほど実感はあるんでこのシリーズ進めるうちにはちょいちょい出てくると思います。なるたけ肌で理解できるような記述を心掛けたいと思います。

 前回通したのと同じ篩を通して鋳込みスラリーにしましょう。
 石膏型が用意できたら鋳込み本番前にもう一度離型の確認をします。
裏っ側にでも滴を垂らして…

表面張力具合?も確認

乾いたら軽く突っつくだけでポロッと綺麗に外れるはずです。
矢印がついてたところの跡

 表面から水が引いたぐらいでは粘土物の場合まだ柔らかすぎてくっ付いてるものなので、10分15分と置いておけば外れるんならOK!
 ここで外れなかった方は、残念ですがそのスラリーを使って本番するのをやめて新たに作り直すか、心底どうでもいい石膏型に取り換えて、ブレイブハートのメル・ギブソンみたいにこれから必ず訪れる苦難に立ち向かう覚悟を整えてください。
 スラリーはもったいないので捨てずに!次回以降いつかやる予定の「離型しないスラリー何とかしようぜ(仮題)」の回をお待ちくださいね。

 スラリーの濃度ですが、程度はありますが少々濃くても薄くてもさっき玉っコロ外れたんならスラリーに大した問題はないので本番行っちゃいましょう。

 鋳込みます。
 一気にドバっとやらずにつーっとそーっと流しいれます。
とりあえずこんぐらいで
 コツとしては、口元いっぱいなだけでもいいんですが、ちょっと溢れてかぶさるぐらいの方が、途中で部分的に離型しちゃって偏肉したりするトラブルを防ぎやすいです。
わかるかな?こんな感じに
型の設計次第でいろいろやり方あるんですが、今回は基本のキね


ちょっとずつ水面がへこんでくるのがわかると思います。
そしたら注ぎ足します。二段目になってるがわかりますか?
本当は水面を一定の高さにキープしつづけるのがスジですが、まあ大丈夫だよ。

 着肉時間はいろいろ諸条件で本当に変わるんですが、この程度の小物なら10分、15分、20分内外でしょう。
 どのぐらい着肉したか直接測るやり方もありますが、超上級編ですので口元に物差しでもあてて測る程度でもいいでしょう。どの場合も必ずタイマーで時間も測ること。時間と目視計測で管理するのが普通です。時間だけで揃えられればベストですが・・・。逆にいうと石膏型を時間で管理すればとりあえず揃うように作れるようになること!ですな。ンなこといっても難しいんですけどね。

 まあとりあえずこんなもんかなあってところで排泥(まだたまってる泥漿をビーカーにあける)します。
 この排泥の仕方、排泥後の乾燥待ちのやり方で見込みの仕上がりに違いが出るのはもちろん、焼成時の歪みにも影響するようです。
 
 とりあえず今回は二種類紹介。
1、傾けっぱなしで水気が引くのを待つパターン
 傾けて余剰泥漿を流しだしたらそのままの形、傾いたうつ伏せのまま水気が引くまでおいておきます。
 メリットは見込みが大変すっきりと型なりに出るということ、ただ口元の下になってるスラリーが最後まで残る部分が厚くついてしまい気味になるということです。形状やスラリーにもよります。
 
2、あらかた開けたら元に戻して普通に置いておくパターン。
 口元まで流れてたスラリーがまた内壁を伝って下がってきますので底の方が厚くなります。水気が引いたところにスラリーが戻ってくると波波の痕になりますし、見込みの底にたまったスラリーを巧く操るようにしないと丘、もしくはくぼみができます。どのぐらいの量戻すかで底の厚みを多少コントロールできます。半端に詳しい失礼なオッサンが高台の形に見込みの底がくぼんでるティーポットを見て「なんだ鋳込みか」なんて薄らバカにした感じだったんですが「オッサンそれ一応ジノリだぞ」って突っ込んどきました。なんて事態を回避することも多少は可能かもね。

 この辺に関しては型の設計でいろいろできるんですが、それは「型設計編」なんてものをもしやった時に解説しますね。

 とりあえず排泥しました!
イエス!

ほぼほぼ均一に着肉するので型なりに内側がくぼみます。

 この後口元の余り肉をカットするんですが、タイミングは水気が引いてすぐまだニチャニチャな状態か、あるいは乾燥を待ってカッターで切っても身が動かないぐらいかのどっちかをお勧めします。

 切り方は肉が肩に押し付けられる方向に刃物を動かすこと。決して虚空の方向(口元径の中心方向など)に身を押し込んではいけません。

 鋳込みでは轆轤と違って歪むときはかなり不細工に歪むんですが、特に部分的なおへちゃ不自然歪みを喰らう率が多いように感じます。理由は数あれど、一番は半端なタイミングで下手にいじくるから。だと思ってます。変に触るぐらいなら相当まで硬くなるのを待ってもいいんじゃないでしょうか。
 
 盛り上がった部分など爪の先で突っついた時にある程度硬さを感じてから切るのが筋でしょう。その際に一気に泥状に戻るようですと解膠材が多かったのかもしれません。これがチクソトロピーのなせる業(通称チクる、といいます。俺以外にもう一人は言ってるの確認してます)。そんな場合は置いておくこと。

 口元を切りそろえたら離型するまで放っておきましょう。鋳込み野郎になるとテクニックとして絶対必要にはなるんですが、ドライヤーなど使わずに、一番は自然乾燥。型をひっくり返せばすっと落ちてくるまで置いておくこと。


置いておけ!あわてる何とかはもらいが少ないぞ!
下と右は同じ型ですが、下は10分の着肉、右は20分

 ちょっとは動くんだけどなあ~なんてときに軽く型をこんこん叩くと落ちてくるんですが、型のどこかに引っかかりがあるのかも?
 またこの際に成形体がブルブルになって水っぽく、柔らかくなっちゃったとしたらそれはチクソトロピーのなせるわざ。改めて固くなるまで置いておきましょう。
  
 離型時に確認したいのは、その触った濡れ具合。ピシッとせずになんとなく冷たくてしっとりしててフニャフニャ感があったらもういじらずにすぐに乾燥板に置きっぱなしにしてください。いじくりすぎるとどんどん緩んできてふにゃ~っとなってしまいます。もうお分かりですね。そうチクソトロピーのなせる業。やはり固くなるまで放置。
 とにもかくにもいらんいじくりはしないのはヤキモノの鉄則。鋳込みでは特にです!
 で、もちろんここまでの各段階でもそれぞれ時間を測っておくこと。毎回ごとに違いはありますが、ある程度かかる時間は決まるので段取りを組みやすくなります。奥様だったらこの隙を見計らって買い物行ったり家事こなしたりできますよ。もちろん私の日常であるファインの鋳込み成形でもそうです。見積もり書いたり図面ひいたり草むしったりこのような駄文を書きためたりしてますよ。

 
今日の獲物

 
 ここまでくればあとは仕上げですが、長くなっちゃったので乾燥させすぎないようにしまっておいて、記事ごと明日に回しましょう。
 
 先にお勧めの鋳込み段取りを・・・
 夜に鋳込んで口元落として放置、就寝
 朝に離型して仕上げられれば仕上げて、時間たりなければ仕舞っておく
 夜に鋳込みながら昨晩のを仕上げ。
 これでどう?下手にいじくらなくて済みますよ


 やべえ、(笑)ポイント作るの忘れた!



0 件のコメント:

コメントを投稿