2018年12月28日金曜日

「年末年始の営業についてのお知らせ」と、来年のネタのストック

 つくばセラミックワークス年末年始休業のお知らせです。
 12/29~1/6までお正月休み、7日から始業の予定です。
 今年もユーザーの皆様はじめ、大変お世話になりました。新年も変わらぬご愛顧をお願い申し上げます。
 今後も科学の発展へのわずかでもの貢献と皆様の日常生活への少しでもの喜びに寄与できるために技術の幅を広げられるよう精進します。

 


 というわけで、今日で今年の表向きの営業は仕事納めです。新年は7日からの営業です。まあとか言ってなんだかんだ休み中に石膏型たくさん作らなきゃいけないし、窯回したりはしてますのでどうしても!という方はお気軽にご連絡ください。日によっては帰省したり釣りに行ったりパフュームのライブに行ったり障子の糊を買いに行ったりしちゃいますが、どこ行っても混んでるんで基本的には居ます。居れば出ます! 
大きい声で言ってはいけないのかもしれませんが、消耗品予算の使い切りにるつぼの注文お待ちしております。「○万〇千円分の発注です」のパターンにも毎年普通に対応しておりますので遠慮なさらずご相談ください。最後の一本、残金端数分のるつぼの背が低い、みたいなことはありませんので多少お得ですよ!
 また例年ご迷惑をおかけしていますが、これから年度末への時期は一般の日用雑器の製作は後回しになりがちですのでご了承ください。
  



 以下は、来年に向けての「闇ヤキモノ講習(仮」のネタのストック(ちょっとしたアイデアの下書きまででペンディング中、溜め込み中のもの)を仮タイトルだけですが箇条書きにしてみます。気が向いた時に気が向いた順で不定期アップになると思うんですが、何か気になるものがありましたら連絡くだされば優先させマース。

釉薬(釉による装飾含む)関係
 灰つくったった、どっから始めようかな?
「絵心もセンスも教育も無し!」そんな男たちの挽歌 釉薬編
 よるべなき漢(オトコ)の仕事 重ね掛け!
 ありがとうございます。釉薬とお見合いは実物見ないとわかんないんですけどね~
 釉薬についてのイカサマ的思考
 農業資材で釉薬つくれそうじゃね?(目指せ!安上がり?)
 釉薬で一番大事なのは調合じゃなくて施釉だよね?
 俺ないんだけどフリットって作ったことある?

成形関係
 反り!歪み! その傾向と対策
 土が固(硬・堅)くなっちゃった! さてどうすっかな?
 ショットグラスを作る
 練習方法 ランダム、オール

その他、ノーガキ総合等
 ガラス アモルファス 非晶質 あたりについて頭の中を整理する
 無性に何か作りたくて死にそうだけど別にそこまで具体的に作りたいものはない場合は?
 道具は自作!「秘密工作課長Q」
 スタン・ハンセン全日初参戦以来の衝撃!
 「すべてを手作業で製作しております」って…どこまでが手作業?
 やきものディストピアに備えよう
 二重思考
 シリーズ「石膏でなんかする」割型大作戦
 リーチの本、改めて眺めてみる
 架空の喫茶店のカップや皿を勝手にデザインするうら寂しくもコンセプチュアルな遊び
 期待値は下げておいた方が結果的にうれしい
 とっつぁま連中(akaロクロ奉行)を出し抜くためのミエッパリ用語講座

 といったあたりを予定(という名の妄想)しています。今年はいい出会いもありまして、この手の「ヤキモノを作るにあたっての発信」(内容は目的は様々ですが)に後押しをいただけた感じで、今までより多めに記事にしてみました。反響の倍以上のサイレント読者がいると勝手に期待していますので今後とも少しは役に立ちそうなことを語っていけるようにします。
 福岡のイノウエさんはじめ本当にありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
 一応第一弾かどうかはわかりませんが、「俺専用『俺コーン』を考える、作ってみる」というわけで、ゼーゲルコーン等の代わりに手元にあるものでとりあえず自分の指標になりさえすればよいレベルの溶融式温度計(というか熱量感知器)を作れるかどうかやって(考えて)みようじゃないか!というのを予定しています。今構想中!



その他の来年の目標

 インスタグラムに関して
ファインの製品ばっかり載せてる現状でも、それなりに多くの本職ヤキモノ屋さんに見ていただいてるようでびっくり。だってただの白いるつぼのただスマホでとった色気も写真技術も何にもない写真に50人とかがイイねってウソでしょ?まあ8割がたはサラリーマンがタイムカードを押すような「イイね」なんだろうけど。それはそれでみんな優しいなあって思いますよ。
 現状まあ写真撮ったことだし一応乗っけとくか、的な感じなんですが多少は写真の撮り方を勉強してみようかなあ、という気にも少しなっています。

 窯詰的効率の悪さからファイン以外ではお皿の類(幅広もの)は積極的に作ってなかったんですが、チャレンジして製作の幅を広げたいですね。

 絵付け系装飾の修行

 片手でロクロを引きながら、片手でヨーヨー、もしくはけん玉の修行(ウソ

 とにかくみなさん、よいお年を! 
 







2018年12月26日水曜日

大掃除のついでに・・・、雑味エキスの仕込み 

 暮れの忙しさは世界共通とは思いますが、それでもやらなきゃいけない(怒られる)のが大掃除。怒られたくない私は午前中に成形し、午後からは大掃除とは言わないまでも部分的に大片付け、なんて段取りで今週は進んでいます。例年通り全然進んでないけど。
 無くしたと思ってたなにかが見つかったり、すっかり忘れてたあれが発掘されたりと油売る理由には事欠きませんな。

 ヤキモノを作るため!という観点から見ると、この時期にまとめてやってるちょっとした仕込があって、それを紹介します。
 それは雑味エキスの仕込み。

 高純度のファインを生業にしてるからには不純物、不安定さ、ボンヤリした汚れ感、なんてのは嫌われもんなんですが、一般の陶磁器を作りもする自分、という立場から見るとアコガレがあるんですよ。
 
 電気炉で酸化で制御された原料と焼成。という条件から見ればそりゃシャープで切れのいい再現性の高い工程全部デザインされつくしたヤキモノを作るのが本線!というのは分かっていつつも、あの、掘ってきた土で素地も釉薬も作り、薪で焚くヤキモノの佇まい、カッコつきでいいますが「土着な、腰の据わった感じ」、「なんとはなしの玄妙感」というものに大変強いアコガレがあるんですよ!アコガレがあるんですよ!(二回言いました)

 そんな超大型じゃない地方の産地などで元締めみたいな窯元の鉄釉には、多分おんなじ釉薬使ってるんだけど黒だったり柿っぽかったり蕎麦釉になってたりいろんな表情があって(多分炉内の位置や釉掛けたときのかき混ぜ具合やなんかだと思う)かっこいいのがありますよね。均窯っぽいのも一面青白く濁ってたり、かと思えば透き通った部分が多くて紫が勝ってたり。で、またそれが重ねて置いてあるんだよ。「おんなじもんだし」みたいな感じで。かっこいい!
 その高貴な野武士のような、まさに地方の豪族!といった腰の据わった風格にはしびれちゃうよね。年がら年中ナントカ政経塾上がりの青ビョータンエリートのようなノッペラボーばっかり作ってる自分(田舎モンのくせに)としては、ああいうの作れたらいいだろな~と思ってるわけです。

 それらの土や釉薬は近くの山から取ってきた土と何燃したのか知らないけど灰でできてるはずなんですよ。でデカい窯で焼く。薪ザッポウ突っ込んで。
 思考の過程を飛ばしますが、とにかく俺はそれらに含まれてそれらしさを調子づけているはずの「買ってくるわけではない染み込んでいる何か」を「雑味」と仮に呼ぶわけです(決してバカにしてません。他に言葉を知らない)
 
 というわけで自分の身の回りから少しでもその自分なりの雑味をヤキモノに加えたい。染み込ませたい!とはいえ山も持ってねえし設備も変えるわけにいかねえ!
 そこで『雑味エキス』を作ることを思いついたわけですよ。合成土灰とかそんな感じですね。合成雑味。

 いろいろ突っ込まれる前に話を飛ばして『雑味エキス』の作り方を説明します。
 といっても簡単、庭の金っ気のゴミをペットボトルに突っ込んで赤黒いブヨブヨ水を作るだけ。
 錆釘、何かわからない出土した金物、舐めたら死にそうな色をしている十円玉、使い終えたカッターの刃、などなどなど、もちろん水は屋根から落ちてきたものや、洗い桶の水をかき混ぜてから汚いのを使うのを推奨(笑、
 そのブヨブヨ水を釉薬にちょっと混ぜる、素焼き前に後にいっぺんくぐらせる、ただの透明釉がかすかに色めいて見える気がする程度には変化しますよ!

 まあそんなバカなことやって遊んでるんですが、
 今回はニューフェイスをぶち込みました。
これだ!
ごっついダンボールを止めてるあれ!ホチキス番長みたいなやつ。

これ、ずっと何の疑いもなく銅なんだろうなあ~。と思ってたんですが、そんなわけないよね。
切り口が白く光ってます。ということは~

やっぱり磁石に付きました。軟鉄に銅メッキなのかな?
45にもなって知らないこといっぱいありますなあ


 今回はこれ単独でボトル一本作ってみることにしました。

 もちろん例年通り、
錆釘!。ボンクラ一号が使ってないのまで錆させやがった!

普通の丸くぎに加えてツーバイ用の釘も見えます。


 とりあえず番長ホチキスがどうなるかは楽しみ。




 で、赤黒ブヨブヨ水ってどんなのよ?って思ったあなた。
 心の準備はいいですか?



これが雑味エキスだ!オエーーーーーーーーーッ、マジで臭ぇ!
ってこれでも一番フォトジェニックなショットを採用。裏からはみせられません。

 安っぽい白土の高台周りにこすり付けると焼き上げた後ちょっと焼き色がついていい感じ!辺りが無難な使い方。俺は鉄釉に限らずジャンジャカ混ぜてますけど。

 と、今年最後のバカ話でした。



 今年観た映画のおすすめトップ5を教えてください!というお得意様研究室からの依頼がありましたが、映画に順位なんてつけられません!
 
 と、言うのもあれ何でオレデミー賞受賞したものを発表します。

 作品賞 「勝手にふるえてろ」(1月に見たんですよ)
 主演男優賞 ドウェイン・ジョンソン(ロック様)「ジュマンジ・ウェルカムトゥジャングル」
 主演女優賞 松岡茉優「勝手にふるえてろ」
 助演男優賞 マイケルBジョーダン「ブラックパンサー」
       「スリービルボード」の小さい彼
 助演女優賞 「スリービルボード」の別れた夫の彼女役の女優さん(動物園の飼育員?)

 といったところです。  
 
 


 

2018年12月25日火曜日

箱型のるつぼセット台

 形状的にはなんてことはないただの四角い器ですが、
 るつぼをセットして試験炉内を出ししれするためのもの。
 材質的にもオーソドックスなアルミナ多孔質の耐火物です。

 炉心管式のように、奥まった中に複数並べて入れたい場合がメインかな、と思いますが、内容物の溢れの心配に対する受け皿とか(特に超電導材料なんかにありがち)、何かのはずみにひっくりかえらないように、といった安全マージンのための利用もたまに聞きます。
 形状はともかく「広い意味でのるつぼ台座」というものもアイデア次第で使い勝手が広がるみたいです。

 


 たまにこういった四角いるつぼ、つまりこの四角い中に直に金属溶湯が入る場合もあるのですが、その場合は応力が隅に集中するようでそっから割れやすいです。
 特に必要でない場合、たとえば隙間をなるたけなくしたいから…みたいな理由ではあんまりお勧めできません。
 るつぼの場合「横断面は丸」をお勧めします

2018年12月20日木曜日

高純度アルミナるつぼ、ストレート

これ昨日間違ってあげちゃった作りだめ記事の加筆訂正上げ直し版です。

まあ高純度ってわざわざ言わなくてもうちは高純度ばっか作ってるわけなんですが…



ご覧になってもいつもと変わり映えしないと思いますが、作ってる自分としてはこういったフォルムとサイズのを最近作ってなかったなあ~、とちょっとうれしかったですね。
 これは抜きテーパーついてないんです。通常は仮に円筒形として両端のどっちかが若干広くなっててそっちから抜くように設計してるんですが、そうしないと乾燥収縮の小さいモノは中で離型してもなかなか抜けてこないんですよね。エアが回らないから真空になっちゃって。
 モノが小さかったり体積に比して肉薄とか、とにかく自重がないのはホントに苦労することあります。肉薄だと割り型にするとどうしてもダンチになりがちですしね。

 これは乾燥収縮しやすいスラリーに調整して作りました。
 まあ最悪底と胴回りに分かれる型にすればいいやってかんじ



 クイーン総選挙ですが、その後も何通かお便りいただき、なんだかんだ「フラッシュゴードン以外全部」でファイナルアンサーの様相を呈してますが、一番ココロ震えたのは「メイド・イン・ヘブン」だ!という声がオッサン世代の総意のようですよ。

 自分も昨日のことのように思い出しましたが、あーフレディ死んじゃったのかあ~悲しいなあ~、からのアルバム発売!
 どうせ慌てて合成したような曲ばっかりなのかなあ、「死亡遊戯」みたいのだったら残念だなあなんて期待値下げ気味で、半ば義務的に買ってきたんですよね。
 長めのイントロからの「イツァビュリホデエーーーーエエィ!」で一気に目と鼻のあたりからじわじわと激しく漏水。クラシアンに電話しちゃったもんなあ。
  

2018年12月19日水曜日

とりあえずジルコニア

 少量の分析用サイズです。
 熱天秤とかかな?

 


 おふざけ気味の記事がトップにあるのも何屋だかわかんなくなっちゃいますんで次用だったんですが早めにアップ
 あー、衝動的に変な記事上げるんじゃなかった~

原料粉末安全性問題 -THE FINAL-  闇ヤキモノ教習(仮)

 安全性問題シリーズは、原料粉末の取り扱いに関しては今回で最後にしたいと思います。どうしても個別にどうなのかが知りたい方がいるようですので、いくつかSDS(原料を売る会社が製品に付ける安全性と取扱いに関するデータシートです)から再確認してみました。
 
 英語の翻訳能力が著しく低いので誤訳ってる可能性もありますが・・・


 長石
 Warning
 長期または反復吸入により肺に障害を引き起こすことがある。
 がんを引き起こすと思われる
 粉塵を吸入しないこと。
 吸入すると、アレルギーや喘息の症状や呼吸困難を引き起こすことがある。
 皮膚や目に刺激を引き起こす可能性
 換気が不十分な場合は、呼吸保護具を着用する
 内容/容器は現地の規制に従って廃棄する。
 例
 http://www.lagunaclay.com/msds/pdf/3rawmat/adry/mfelmin.pdf?ver1.0
 http://www.lagunaclay.com/sds/pdf/3rawmat/adry/MFELCUS_Custer%20Feldspar_2016.pdf?ver2.0



 硅石(シリカ)
 Danger Irritant
 吸入するとがんを引き起こすことがある。
 吸入による反復暴露は長期または長期にわたり肺にダメージを与える
 暴露または関連する場合:医師の診断を受ける。
 使用前に特別な指示を受けてください。
 すべての安全上の注意が守られるまでは取り扱わないでください
 ほこりを吸入しないでください
 この製品を使用するときは、飲食、喫煙をしないでください。
 保護手袋、安全眼鏡またはゴーグルを着用する。
 換気が不十分な場合は、保護呼吸器を着用してください
 例
 http://www.lagunaclay.com/msds/pdf/3rawmat/adry/Silica_MSIL325.pdf
 http://www.lagunaclay.com/sds/pdf/3rawmat/adry/MKAOEPK_Kaolin%20EPK_2016.pdf





 石灰石(炭酸カルシウム)
  Danger 
  吸入によりがんを引き起こすことがある
 使用前に特別な指示を得ること
 すべての安全注意事項を読み、理解するまでは取り扱わないでください。
 粉塵を吸入しないこと
 保護手袋、保護服、目の保護具を着用する
 暴露または関連する場合:医師の診断/手当てを受ける
 例、  http://www.lagunaclay.com/sds/pdf/3rawmat/adry/MWHIT_Calcium%20Carbonate_2016.pdf



 カオリン
  Warning  Harmful
 長期または反復暴露(吸入した場合)による臓器損傷を引き起こす可能性がある。  
 有害:吸入による長期にわたる暴露による健康への重大な損傷の危険性
 換気が不十分な場合は、呼吸保護具を着用する。
 粉塵を吸わないでください
  http://www.lagunaclay.com/msds/pdf/3rawmat/adry/mkaonz.pdf


 よかったですね~。もうこれから作陶するのにどれが毒だの有害だのとあれこれ心配することなくなりましたよ!
 大道芸人の曲芸師を目指します!

2018年12月18日火曜日

熱電対について、とか、かも? 

 イノウエセイジさんのブログに興味深い熱電対の動画が上がっていました。

 と、言うわけで、俺も尻馬に乗って熱電対についての記事を上げることで人気発信者お二人のおこぼれにあずかれるんじゃないかという魂胆です。まあ、実は前から記事にしようと骨子を下書きしといたものを仕上げてアップするわけなんですがタイミング的に先を越されたよチクショウ!って感じ。

 ブログで紹介されてる橋本さんに関しては、二年ほど前に「俺が一方的に大ショックを受ける」というマイディザスターにあっていまして(リンクはその時の記事、その品の作者が実は橋本さんだったんです)、そのあとは見たくないけどつい気になる!気になるけど見たくない!状態でブログの発信をついつい見ちゃってはちょいちょい大ダメージを受ける。友達にハシモトって北海道の人知ってる?似てるね!とか言われて大ダメージを受ける。「こんなのでこういうの作ってくれないかなあ!」って写真見せられたのが橋本作品で大ダメージを受ける、しかも付き合いの関係で断れず(背に腹は代えられず?)バッタモンこさえて小遣い銭を稼ぐといった体たらく。嫌い嫌いと言いつつしっかり見てるというできそこないの少女漫画の登場キャラみたいな心理状態です。
 あ、もちろん橋本さんには1㎜の罪もありませんよ。非難するつもりも1㎜もないですよ、当たり前ですが。あー、でもウラミとネタミとソネミはあわせて500㎎ぐらいあるかも(笑
 
 とりあえずご本人から許可をいただいたので動画をリンクします。
札幌の橋本忍さんの熱電対動画
なんだよ本人までかっこいいじゃねえかよ・・・ 
 


安定の面白さ、おなじみ福岡のイノウエさん
 

 話は熱電対です。
 自分は実は陶芸用炉の熱電対はいじくったことないんで、実は保護管や絶縁管の材質に違いがあるのかもしれませんがR型ということでウチで使ってるような1500内外の高温用炉でも一緒ですので、「同じ」という前提で話を進めます。
 追記:のちに聞いたら保護管同じなわけないじゃーん。とのこと。まあ常用温度で1500℃と1300行くか行かないかですので、ハイアルミナとムライト系という違いがありました。保護管の持ちはどんな雰囲気で焼くか、にもかなり左右されます。やたら強還元連発だったりすると、酸化オンリーに比べて大分痛みが早いわけですね。言われてみりゃ当たり前ですね。傷みが早いのではないか?と思ってる方は保護管の耐火度やグレードを上げる選択肢もあるかもしれません。熱電対一式の価格に比べれば保護管+絶縁管でそこまで値段差ないですよ。

 もうあらかたお二方の動画で知っとくべき内容は語られてますので、いつものようにとくにそこまで知る必要ないくそウンチクとちょっとしたなにかを語れればそんでいいかなって感じでいきますね。お二人が言及されて無い部分を補足してみたりして「いやあ~ナイスカバー」的な自己満足に浸りたいと思います。

 実は先日パチーノの教室で熱電対を交換したって話を聞いてたんですよね。測れなくなったんで、簡単にまるっと一式取り替えたようです。そんなことあるのか!と驚いた次第で・・・。
 一式セットで売ってるっていうよく考えれば当たり前のことにも今気づいたような状態。自分はバラから組み立ててますし、そうするのが当たり前って環境に始めっからいたんで気にしてなかったです。
 
 まずは熱電対の本体!「これが熱電対」
これが「2万円以上する(時価)針金」ことR型熱電対だ!


 各0.5φの白金+白金ロジウム線。先端で溶接されています(右の矢印の部分)ここが測温部分になります。つまり、熱電対は正確にいうと「保護管内でこの先端部分がある部分の温度」がわかるようになってるわけです。まあ実際は問題ないですけど、保護管の材質や大きさ形状によっては計測温度にラグがどうしても発生してます。特に火入れの初期段階、炉内温度に保護管温度が追い付くまでのタイムラグはかなりあります。そのために多くの電気炉(内のサイリスタや温調機)にはソフトスタートといって「あれ?温度上がってないな?バンバン熱かけろ!」つって電気が流れすぎないような=まだぬるいからってヒーターが赤くなっちゃうような事態にならないための機能が設定されています。
 これが古かったりすると指定温度に達したかどうかだけでリレーが電流量ほぼほぼマックスでONOFFバチバチ切り替わるだけの昇温構造だったりしてヒーターは赤いしモワモワ熱い空気出てるのに温度計はまだロクスッポ動いてない!なんてこともあります。単に電流量の強弱とかナイフスイッチで切りかえるだけだったり。


 下の矢印は切れた部分。
 こんな状態になったら「中身だけ」取り替えます。切れた線を下取りしてもらって差額で買います(価格は時価)。なんでこんな状態のまま持ってるのかっていうと「カミサンに追い出されたときに当面の資金にするため」という冗談を言うためですね。
 この熱電対、言われてみれば当たり前なんですけど地価のやたら高いところでセレブ相手に商売してる「○○貴金属」みたいな、むしろ女性の方がなじみのあるような会社だったり、各中小個人の宝飾屋に地金を卸してるような会社が作ってます。

 この白金白金ロジウム線を絶縁管といわれる細いパイプに通します。先端(測温したいたい場所)以外が接触することを防ぐわけですね。
 これが絶縁管
通称「豚ッ鼻」
これのいいところは二本まとめて通せるのですっきりしてる、捻じれたりしない(しずらい)ってところですね。ただし溶けたりぼろけて線とくっ付いちゃったりした場合に壊しにくい気がして自分は…

通称『一つ穴』それぞれ孔径0.4φ(0.3φ線用)、0.8φ(0.5φ線用)、2φです

 単線用のこっちにしてます。こっちなら溶け着いた場合にペンチでこじってバラバラにするのがたやすい。
 これは通常はアルミナ(あるいはアルミナシリケート。ムライト系)製で、セラミック(やきもの)の持つ「耐熱性が高い」、「絶縁性に優れている」という二つの特性を利用した耐火物ですね。
 
 橋本さんの動画で、「四節棍みたいになってるなあ」みたいなことおっしゃってましたが(言ってない)これは規格が100㎜だからですね。多分世界的に。日本のメーカーもドイツのも100㎜です。(200もあるけど内外径同じで3倍近い価格です)
 製造方法は押し出し成型といって、土練器の先端に口金付けて丸棒だけでなくてパイプとかチャンネル、アングルを作るのと一緒です。堅~く絞りだす紐作り器です。
 アルミナには可塑性がないので可塑剤を添加して押し出せるように調整した坏土を土練器から絞り出して作ります。

 この細さで300も400も作れる技術はないことはないんでしょうが(実用見たことはない)、折れる、焼くも乾かすも面倒で高くつくでいいことないです。材質にもよりますが100Lなら1本何十円からあります。
 ちなみに、相談があるって言われて車で30分かけて打ち合わせに行ったら「このカタログのこれが40円だから一本売ってくれ」って言われたことがあります。もちろんもうそことは一切付き合いありませんが。



 でこれが保護管という、やはりこれもアルミナ製の片封じ管に入ります。形としてはうちの読者おなじみの?タンマン管がやたらと長い、みたいなものです。(るつぼと保護管では作り方が違うのでこれをるつぼに!とかは考えない方がいいみたいですよ)
 保護管は先端もう透き通ってきちゃってそろそろ交換ですね。3年に一回ぐらい保護管を交換してます。ソケットは独立してから同じもの。絶縁管の交換は開けたときにむき出しになるような割れ方してなければそのままでOKかな?下手にいじると切っちゃいそうで怖い。

 保護管も絶縁管もアルミナ純度99.7とか6の高耐火度のもの使ってるんですが、それでも1500℃毎週焚くと2年でボロボロになってきます。

保護管はうちでは10φのを使ってます。陶芸炉は17φが多いのかな?お二人とも太いですよね。うらやましいね。

 先端がぴったり合う保護管に絶縁した本体線を入れたらソケットに両端を通して保護管とソケットを組み合わせます。
 スリーブとソケットはねじ込み式と押しネジ併用が多いと思います。スリーブと保護管は接着、というより現場では石膏かアルミナセメントを隙間に突っ込んで固定します。 

 ソケット部、つまり端子部はこんな感じ
 オレンジの矢印のように両側に一本ずつ線を通して押しネジ(向こう側で見ずらいけど)で固定。この時、極性プラスとマイナスがあることを確認します。ケースにもプラスマイナスと刻んでありますし、保障導線固定ネジも色が変わっています(左は黒っぽいでしょ?)、プラス側は熱電対線の先端にも赤いしるしが付いています(見えずらいけど白い矢印のところ)。補償導線も被覆が赤白に分かれていてプラスマイナスがありますので合わせる(熱電対と同じようにR型の場合確か、銅+銅ニッケルと芯材が違う)。

 さすが理系の研究室などでは電気オタクの一人や二人いるもので自分たちでちゃっちゃと繋ぐわ直すわやっちゃうものですが、熱電対のトラブルの相談で行ってみたら極性逆につないでるケースが過去にありました。付け直すときに間違っちゃったみたい。

 すぐ直せるトラブルで多いのは、保障導線のネジがゆるんでるってのも多いようです。滅多に動かさなくてもなぜか緩むのでたまにチェックしてみよう!頻繁に動かす人はなおさらですよ。
 
こんな表示(温調機は理化工業製)になったら外れてるか切れてるかですね。

 まあ大体、必要ない知識はこのぐらいですかね~。
 あんまり細かいこと書くと材料屋さんとか窯屋さんから恨まれちゃいそうなんで切り上げます(笑

 
 またお二人が言われていた先端の位置をどのぐらいにするか、に関してですが、5センチも入っていれば足りる用ですね(ただし、熱電対の本体線の先端が)。
 実作業上問題なければ構わないんですが(例えば素焼きなんか実際のところそこまで関係ないよね)、5センチの時と10センチの時、あるいは炉内中央部まで差し込んだ時でかなり炉内の温度が違います。

 うちの炉でいうと中心部と5センチ程度出してる通常バージョンでは、1250℃MAXで焼成した場合、コーンで1番は違います(現在温度によっても分布は変わる)。もちろん棚の組み方でも大きく変わりますが、温度分布にはどうしてもバラつきがあるので、もし、熱電対の差し込み加減で焼成のバラつきや何かを感じた場合は、炉内温度分布を拾い出すことをお勧めします。
 例えば5センチ出してる状況で、もう5センチ押し込んでみる。とかが可能ならばそれでもいいんですが、焼成中は品物にぶつかってなかなかそうもいかないですけどね。
 熱電対二本挿し、三本挿しなんて言う窯もあります。これは孔開けれてもう一本熱電対挿せば可能ですが・・・
 
 と、言うわけで、「温度分布」をみるアイテムは温度計以外にもあります。 
  リファサーモ。窯の隙間のあっちこっちに置いといて、焼成後、寸法を測ってその収縮の差で調べるもの。コーンより正確です。焼成中に覗き込んでもさっぱりわからないので、コーンと違って「現在の温度(熱量)が何となくわかる」ではなくて実際上がった温度と温度分布をみる専用かと。温度帯によって何種類もあります(俺のはH型)。
 コーンとちがって及原さん(俺にオシャクリパクられた先輩)が若いころにやったという、早く帰りたいときに火見孔から棒突っ込んで「やわらかくなってるコーンを無理やり倒す」などという暴挙をする余地を与えてくれません。
 興味のある方はこちらのホームページで(コーンの倒し方じゃ無くてリファサーモね)


できればマイクロメーターとかデジノギでキッチリ測る!
 赤と黄色はオルトンコーン

話ついでにオルトンコーンも。
ゼーゲルコーンと使い方は一緒です。いかにもアメリカンな雑な作りで価格も安いです。しかも「何度の時何時間キープの熱量」みたいな指針が二種類あるので指標に使いやすく、俺は普通の陶磁器作るならゼーゲルコーンより好きです。
 台作らなくていいので楽だし、とはいっても棚板とくっつかないように注意!

 長くなってきたのでこんなところかな?

ゼーゲルコーン探してて出てきた羊羹
賞味期限がやばい!
 


 とりあえず、あれ?温度おかしいかも?と思ったら、端子の緩みを確認してみてください。






 

2018年12月14日金曜日

タンマン管も続々 アルミナとジルコニア、および、いつの間にかクイーン総選挙

 みんな大好きタンマン管
 俺も好きです。なんかかわいい

左が4Nアルミナ、右二つがジルコニア


ジルコニアトルーパー

4Nアルミナエグザイル風

 こないだの記事で、クイーンのアルバムのおすすめは?「フラッシュゴードン以外全部」でいいですかね?とふざけて書いたんですが、わざわざお勧めをホントにお便りに書いてきてくれた人が5人もいました!びっくり!

 友人2件(うち1件がパチーノ)、見積もり依頼や注文のついで2件、「今回仕事関係なくてすいません」とか言いながらアツイお便りをくれたユーザーの某国立大院生(若いのに見込みのある男だ!)1件。
 
 同点一位で2枚上げた方が二人でしたので計7枚
 クイーン2 
 世界に捧ぐ(パチーノ)
 ザ・ワークス
 ザ・ゲーム(見どころのある青年)
 イニュエンドゥ(パチーノ お前か!)
 オペラ座の夜
 シアーハートアタック
 
 見事にバラバラでした。

 おれはパチーノとかぶるの嫌なんで、じゃあ、
 ホットスペースとジャズにしておきます。

 結論。
 フラッシュ・ゴードン以外全部!

 こういうのは直接メールじゃなくてコメント欄に書き込みにしてもらえると盛り上がっていいんだけどなあ(笑



2018年12月11日火曜日

数打ちが楽しい

 うちは一個二個といった小ロットからオーダーで受けてます。
 小ロットのときは緊張して作って何とか出来上がって案外余計なことを考えないんですが、ある程度確定してきたリピートのるつぼのように10~30個といった数の場合、作ってる最中にこここうするともっとよくなるんじゃないか?合理的なんじゃないかってアイデアや工夫が次々出てくるんですよね。あれ?これキタかな!と思ったところで必要分作り終えちゃって終了。品物はいつも通りとはいえ気持ちの面で消化不良になったりします。

 今年度末も近いこともあり50~200個といった数打ちの注文が多い時期なんで、こういう場合はそのモヤモヤを製作中に解決できちゃったりするのが快感です。
 おー、こりゃいいや!決まりだな!
 でもまた最後のバッチの製作中にこっちのがよくね?ってアイデアが沸いちゃって歯がゆいまま終了。一緒じゃねえか!
 もしくは、俺これもう慣れたな!ってタイミングで終了。次回は半年とか後だったりして・・・

 先日の焼の話にも似ちゃいますけど、今回の注文は完璧に満点だ!1ミリの心残りもない!ってモノ、いままで何回も無いような…
 こんなこと言ったらお客さん減っちゃうかな?
 モノ作ってる皆さんどうですか?そんなことない?



 数打ちの良さはこうやってずらっと並べたときに、なんか気分爽快なところですね(笑
ストームトルーパーみたいだけど

 

2018年12月10日月曜日

鋳込み動画の解説のさらに補足編 闇ヤキモノ教習(仮 

 立て続けに行きますよ。「鋳込み動画解説記事」の補足編です。

 始めに動画では見せてなかった石膏型について
こんな感じのただの碗形の空間だけが開いてるものです。あとで切り取る前提の鋳込み口(押し湯、湯口部分)はありません。
ノー鋳込み口のメリットは、
 1:着肉厚さと掛かる時間を目視で計測確認できる。
 2:型が煩わしく難しくならない(特に石膏型を作る時ね)
 といったあたりが主。また、ここでは詳しく説明しませんが、ファインの場合あとで切り取るのに、粘土物のようには簡単でないので、あまり鋳込み口を設定した型を作ることが少なくて、単にこれに慣れてて不都合がないっていう個人的な事情もあります。
 デメリットは、排泥するまで常に泥漿面の高さをキープしなくてはならないのでせわしない=型を何個も何個も並べて大量同時成形が無理。
 断言していいモノかは迷いますが、始めてだったらこれで慣れるべき!と言っておきます。鋳込みのメカニズムを実感できる程度が違います。多分

 鋳込み口を作る場合は以下のような感じかな?

 
 排泥した後、点線から上の部分を切り取ります。このまま離型させてあとで切り取るのもOKですね。
 鋳込んだ泥漿は着肉~排泥後、すぐにそれなりに締まっている場合と、ブヨブヨしがちである程度以上の強度になるまで時間がかかるタイプとがあります。後者の場合、離形させるのが遅くなりますし、経験上乾燥に伴う収縮が大きいので歪んだ収縮を起こしたり、切れちゃったりしやすいことが多い気がします。早めに取り払っておく方がいいでしょう。

 筆でわざわざはみ出させるぐらいなら溢れ前提の型も考えられます。
 
まあ、こんな感じ。これなら筆を使わずいけますね。
 自分もいっぺんに多数の型を使うときに、こうすることがありますが、石膏型個々の着肉速度の差(個体差はでることも多い)に対応するにはそれなりの準備が必要です。
 始めの一回目に肉の薄いのがあったらその旨と必要な時間差をわかるように記す。といった作業をはさめばあとは楽なもんです。
 縁側が凸ってるので口元のカットは多少のテクを要します、場合によっては原料スラリーのタイプにも左右されるかもね。
 どっちも有効な方法ですよ。

 お好みで好きなタイプの型にしてみてください。


 着肉に伴う泥漿の減りがわかりにくかった件ですが、今日くっきり見える動画を取って編集したんですが、スマホからPCに移すときに間違って消してしまいました!
 この絶望感は昔ドラクエの冒険の書が(以下略
 てなわけで限りなく暗黒に近いブルー、モーレツにブルー、グラン・ブルーあらためグレート・ブルーな状態ですが頑張って続けます。(かつてうじゃうじゃいたように記憶してますがグランブルーとレオンが好きなシャレオツなリュックベッソンファンってその後何観てるんでしょうね?TAXIシリーズとか96時間シリーズとかも同じように好きなのかな?タイプは全然違うけどレオ・カラックスのファン、通称ポンヌフ派も今何見てるのか気になる。ホーリーモータースをヘビロテしてるんでしょうか?)
 動画だけじゃ無くて今日はクイーンのアルバムも何枚か見つからなくて最悪だ!
 (余談ですけどボヘミアン観て来て急にハマった友達にクイーンのアルバムのおすすめ教えてって聞かれたときの答えは?「フラッシュゴードン以外全部」で正解ですよね?)


 そして補足のための動画も、これは前回のに写ってなかった排泥してるところ!デカいのでわかりやすいかな?頭が邪魔かな?
 全然違うシチュエーションですが、まあこんな感じですよ。

 なんで気に入らないのかは、これがブヨブヨタイプの泥漿だったからですね。スラリーの時点でうすうす気が付いてたんですけど。型も原料も支給による試作品のそのまた練習なんで詳しいことは言えないんですが、俺の好みのスラリーじゃなかったってことです。

 排泥後の静置の方法ですけど、これもうつぶせにせず戻して普通に上向けたままですね。これの理由は前回の解説編で書きましたのでそっち参照してください。

 と、言ったところですかね。
これで排泥鋳込み成形の作業の一部始終は説明できたかな?実作業が見たーいってお便りくれたみなさんにも伝わったんならいいんですけどまだ25人しか動画見てねーんだよな(笑

 道具やなんか等の段取り編とか、鋳込みその後編、などなどはそのうちまた記事にしま~す。

 
   




鋳込み動画の解説編 闇ヤキモノ教習(仮

 先日、超基本的な排泥鋳込みの成形動画を紹介したんですが、その解説をしたいと思います。いまだ25人しか見てないんで必要なのかどうなのか心配ですがクッソ時間のかかる鋳込み中なんでやっておきます。

 まず型ですが、こんなのを使いました。


型についてのもろもろは次回「解説の補足編」で

 とにかくこの型を水平に置きます。俺の場合型の底は旋盤でナラっちゃうし、この型は小さいので気にしてませんが、口の広いのや長細かったりするのはちゃんと水準器で測ります。傾げちゃうのはよくない。

 スラリーはすでにビーカーに篩を通して準備済みです。これも近いうちに記事にしますが、今回は動画の解説なので割愛!



 字幕がフライングしてますが、鋳込み開始!
 口元ぎりぎりチョイ盛り上がりぐらいまででOK!

こうすることによって型いっぱいまでキッチリなじませます。動画ではちょっとはみ出すぐらいまでやってますね。そっちのがいいです。こうすることで口元が均一に着肉します。
 型に鋳込み口、押し湯部分があれば必要ない作業ですが、その点については型と一緒に補足編で説明します。とりあえず今回のように方から抜けたら即製品の形状!って場合はこうしてますよ。

 筆のチョイスですが、この作業に限れば、筆でなくとも棒でも指でも実は何でもいいんですけどね。自分はナイロン毛の絵の具筆にしてます。で、グリーン体の仕上げや修正にも使っています(原料ごとに数セット)、これはぺんてる(平仮名なのな~)のネオセーブル。この筆は毛が強くてイイですね。釉薬には使いませんが、素地をいじくるときはこれが今のところお気に入りです。名前もセーブルだし!
本当の毛の筆でもいいんですが、特にメーカー品でない100均とかのセットの安手の毛筆は脂ぎった中年男みたいに毛がまとまらない上にハラハラ抜けやすいので注意。



今回のはあんまり泥漿面の下がりっぷりが目立たないんですが、例えば型が細くて深かったりすると著しくせわしないことになります。もちろん泥漿比重や型の乾燥度合、消耗度合にもよります。

 一分半って時間はそんなもんと分かってたんでそうしましたが、実際は始めの一回二回は流したらタイマースタート、着肉を測って排泥するタイミングにストップで割り出します。これも日ごと型ごとスラリーごとに常に一緒ではないのでその日の一回目は必ず時間を計ります。回数を重ねると長くなってくる場合も多いです(理由は主に型の濡れだけど様々)。
 この着肉をみながら時間を測るってことが引き込んだ鋳込み口を有した型では確認しにくい場合があります。=フレキシブルさに欠ける。測る方法はあるんだけどね(粘土物には使いずらいテクなんでここではナイショです)

わかりずらいけどヘコンでます。この凹みは水分が型に吸われて原料粉末が目詰まり?するような感じで型の壁に吸い付いてしまっていってる(成形してる着肉してる)ってことですな。流しの排水溝の網にご飯粒とかがたまってくのと一緒です。時間を掛ければその分原料粉末の層が厚くなっていきます、品物の肉厚が増していく。


BGMでジャッキーがそう歌ってます(多分


押し湯部分(引き込んだ鋳込み口)があれば頻繁にはしない、あるいはいらない工程です。
型の設計は、作業や製品の形状によって変えればよし。

このシンプルな型方式、ではこれが肝です。フラれた次の日なんかやゲームの発売日なんかだとつい余計なこと考えちゃって気が付いたらベッコリ減ってたなんてことがありがちだぞ!気をつけろ!


排泥する瞬間が写ってないのは申し訳ないです!
 隣のビーカーにガバッとあけただけです。ちょっとピッピッと滴を振り落してもいます。本当は元の容器に戻さずに別な容器にあける方がベターです。場合や原料によってはそうしないとまずいですね。

 「諸説」とありますが、「諸方法」ですね。
 皆さんがはテレビなどで見たことがあるのは開けたらそのまま傾けっぱなしで置いておいて次に行くって光景かな?
 この動画ではすぐに普通に仰向けに置いちゃってますよね。この型の中はすでに水気は切れていて垂れる滴がないのでこうしても平気なんですってのが一つ。
 もう一つ傾けっぱなしだと、口元の下になってるところ=スラリーが流れ出てる部分が最後厚くなっちゃったりして偏肉や滴もっこり状態が目立つ場合があります。口元の偏肉は、特に粘土物の場合歪みの原因になりやすいです。押し湯部分があれば切り飛ばすだけでいいんですけどこのように排泥した口元即製品の口元の場合、修正は結構めんどくさい。
 ガバッとあけたある程度ですぐに上向きに戻して置いておけば底に向かって垂れ落ちるので口元は綺麗にそろいます(ベコベコだったら型が悪い)

 作るものや型の設計、原料の性質に合わせていろいろ工夫する(できる)ところです。原料によっては置きっぱなしにする角度によっても結構な違いがあるんですよ。

 で、この後ある程度乾いたら口元を切りそろえます。型にかぶさってる部分ができるだけないようにするのがいいですね。
ある程度以上スルリと切れるようになってからがいいでしょう。ねっとりカッターにひっ付くようでは早い。あんまり乾いたり縮んでからではやりづらい&無理な力が加わって歪みの元、もしくは割れちゃう。
 まあこれもケースバイケースですね。 



ほら綺麗になったよ~!
 切れ味のいい刃物を使うこと、石膏をあんまりザクザク削がないこと。
 大型刃剥き出し+素手が怖い人は使う刃物を工夫しましょう。
 原料次第では刃物でなくても構わないこともありますね。板っきれで裁断機みたいにせん断する方法を使える場合もあります。

型とモノの間に空隙が見えてきたらそろそろ離形のタイミングです。
 軽くたたいたりゆすったりしてヨレちゃったりするようでは早い。外した後の素地が娘のオシメを触った時のようにあんまりじっとりしてるのも早い。まあこれも時と場合によります。しっかりしてからだとクビレた部分で切れちゃうようなこともありますからね。
 そういう意味でも単なる一方通行テーパーのカップ型には余裕があります。置きっぱなしでもあんまり関係ないからね。

ポロンとかわいく取れました~

平らな板、ガラス板やもう使わなくなった鏡とかかな?反ってたりボコボコしてなきゃなんでもいいです。
 ここではキッチンペーパーですが、綿の下着的なメリヤス布でもいいです。濡らして絞って綺麗に広げます。板に吸い付くように。


スリスリして切り口を綺麗な面に整えます。
 そーっと丁寧に持たないと歪んじゃうような、あんまり濡れてるうちはやらないこと。変形の心配がなさそうな強度を感じられるまで待ちます。粘土物の場合(俺の場合磁器土も含めてますよ)うんと乾いてからでもこれができるので焦らないこと。やたら薄手の場合は、水吸って割れることもありますが、それはさすがに乾かし過ぎ。

ここではるつぼのようにスパッと揃えちゃいましたが、日用の器の場合の口作りでも一旦こうしてます。
 口作りはもっと乾いてからスポンジや、やはり濡れ布で、時に刃物を併用しながら任意の形状に仕上げます
 

と、言ったところ
 質問お待ちしていまーす