2020年6月19日金曜日

NHK《大化の改新》再放送 ヤキモノ屋の期待に応えず!!

 NHKのドラマ「大化の改新」
 2005年放送されたものの再放送が先日ありました。ビデオに撮っておいたものを今日石膏流ししながら鑑賞。
 当時はスルー。
 
 時代劇、歴史モノ大好きですし、戦国と幕末だけが歴史じゃねえぞ!と強く思ってるクチなので、絶対見たい題材のはずなんですけど、そん時は多分予告観てショボ!とでも思ったんでしょうかね。その前にあった聖徳太子のもダメだったしなあ。よく覚えてないや。

 なぜこの学術的を旨とするHPでこんなドラマ好き奥様ブログみたいなことを書いてるかといいますと・・・ 
 
 乙巳の変(蘇我入鹿謀殺!)に始まる大化の改新ですが、その数年前、そこに至るまでの血なまぐさい政争の流れの中で、実は、我々ヤキモノを生業とするすべてのものにとって、絶対に見逃してはいけないシーンがあるはずなのです(例によって著しい個人の見解です)
 
 エラそうに言っておきながら俺も当然大雑把にしか知らないので超大雑把にうろおぼえで言うと、

 毎回皇位後継問題ってのはあるわけです。
 ずっと山背大兄王(聖徳太子の息子さん)は大王になる気満々。
 マツリゴトを牛耳ってる蘇我入鹿にとってはそれじゃあ都合が悪い!息のかかった大王を立てたい。
 アレ?今回はなんか山背大兄推しの豪族連も結構強力になりそうっぽい。
 もう山背大兄殺ッちまおーぜ!
 
 というわけで、入鹿は斑鳩宮(山背大兄王のヤサ)に手下の豪族を差し向けて襲撃!出入りになります。
 山背大兄敗走~追いつめられて自害という流れなんですが・・・

 大戦ってわけじゃないけど、斑鳩宮の戦いが結構なハードバトルだったみたいで、山背大兄が自らダンビラつかんで大奮戦。攻め込んだ豪族の大将一人に討死が出るレベル(。そういや父聖徳太子も聖人君子の代表みたいなイメージですけど若いころは戦争して物部守屋ぶっ潰してます→で蘇我氏強大化→一周まわってこの状態。ほんと権力って嫌ですねえ。
 
 その返り討ちにあって戦死した豪族の親分ってのが土師娑婆連(はじのさばのむらじ)さん。
 連ってぐらいで高級豪族ですから、この人のこの時点ではすでに政治家なんだと思いますが、「土師氏」ってのはもともとは古墳を作ったり、祭祀用の土器=埴輪を発明して作ってた技術集団の親方の氏族だそうですよ。つまりヤキモノ屋の親方と言って差し支えない(相当あるけど無い!)!

 ヤキモノ屋という技術集団の大親分は昔は、皇室、豪族の古墳や葬送儀礼にかかわる重要ポストについていて、この事件のように皇位継承争いに関わって聖徳太子の息子ぶっ殺しに行くような立場にあったということなんですよね(返り討ち喰っちゃったけど)。話の流れ上いろいろ曲解がひどいですがそう思っといて差し支えない!!

 そのヤキモノ屋の親玉たる土師娑婆連さんが山背大兄王と組み打って壮絶に討死する脚色大盛りシーンを、我々ヤキモノ屋はグワッッと目を見開いて見届けなくてはいけないのです!!
 見事散って見せろ!
 
 ストーリー上取って付けたような葛藤に苦しんだ入鹿は、ついに斑鳩宮に軍を差し向ける!斑鳩宮に蘇我の軍勢がなだれ込む!(ココの火矢を射掛けるシーンだけはすごくよかった!)
 ストーリー上うっかり騙されて不意を突かれた形の山背の大兄!
 弓だか太刀だか覚えてないけど手に取ってオノレ入鹿と憤怒の形相!大乱戦の庭内に我こそ山背と走り込む!
 
 が、

 期待したシーンありませんでした(笑
 どころか土師娑婆連さんすら特に描かれませんでしたとさ

 何だこの記事?



 当時は土師のほかにも木工、金属、織物、建築等々といったモノを作る職域の集団がの氏姓制の中にたくさん組み込まれてます。昔はモノ作ってるやつらは尊敬されてたんだよ。と深夜に遠吠えをしたくなりますな。別に権力も尊敬もいらないけどさ

 まあ今で言ったら経団連でトヨタとかがデカい顔してるみたいな感じなのかなあと思うと心底どうでもいいかって気もしますが(笑

 
 
 






 ドラマの方は、まあ予想通りというか、顔面圧力の高い豪華キャストが歴史バラエティ番組の再現ドラマに出てる!!的なシロモノでした。いろんな意味で。仲代達也とか原田芳雄が出てるんだけどさあ。
 せっかくの役者陣を揃えながら心情と状況を全部台詞とナレーションで説明するという朝ドラみたいな親切設計。歴史博物館のロビーで流れてたら面白いかも!

 言いたいことは多々あれど、天下のNHKを通った脚本にド素人の俺が文句を言えるはずもなく、とはいえ、どうしても一つだけ。
「大化の改新」と言っておきながら、乙巳の変まで。
 せっかく岡田准一を中臣鎌足にしておきながら、クッソダサい伝わりにくいアクションと愁嘆場でお茶を濁したように入鹿を暗殺したところで終わり、全然「大化の改新」じゃないじゃん!!ナレーションで「その後…」とか説明してたけど。大化の改新ってのはその後の方なんだよ!

 そのクライマックスの乙巳の変成功に至る流れも突然すぎて全然わかりませんでした。
 事実上の最高権力者を大王の目の前でぶった斬る!なんて日本史上でも稀にみるエクストリームなバイオレンスイベントですよ。
 どのぐらい凄いシーンか、というのは、考えてみてください。不謹慎覚悟で言いますが皇居で、アベシンゾーが、陛下の見てる前で、なぜか手を組んだアヤノミヤとエダノにぶっ刺されるなんてとてもじゃないけど考えられないでしょ。

 そんな誰が蘇我のスパイかもわからない中超綿密な極秘作戦たてなければ絶対できないんだからそれだけでも超一級のサスペンスができるはずなのにそこ描かないんですよ。もったいねえ。トム・クルーズとかチャン・イーモウにでも話して聞かせてやれば相当面白いの作りますよ!これ。
 
 では、クライマックスをご覧ください。


入鹿、異変に気付く!
武装集団のうち左の槍持ってるのが中大兄(のちの天智天皇)

イルカ、クーデター軍にとっ捕まる!
 

蘇我入鹿の大臣、討ち取ったり!


 

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