2019年5月31日金曜日

アルミナ緻密質 これも「るつぼ」

 高純度の緻密質アルミナです。


 四角い形状にありがちな入隅からの割れ問題ですが、これはサイズも小さいし角のRも十分で、どっちが効いてるのかは分かりませんが、よくある割れ方はうちでの製作中にもユーザーでの使用的にもないようです。
 

「貫入する土」VS「貫入しない釉薬」!!世紀の決戦、調印式!


 昔楚人アリ
 盾を取り上げて云うには「この盾はどんな槍でも刀でも跳ね返しますよ!まじオススメ!」・・・
多分こんな感じ。頼もしいね!

 また、矛を取り上げていうには「この矛はどんな盾をも貫きますよ!超オススメ!」

またつまらぬ記事を上げてしまった…

 以下略・・・

 先に言っておきますが今回はネタ企画です。扱いがテレビ的なだけで変わったことは実はしていません。

 世には「貫入土」なんてものがあるんですね。貫入大好きオジサンとしては捨て置けない名前ですが今まで使ったことなし!
 また、ヤキモノ屋としては貫入しない釉薬というのも持ってるといいんですよね。意匠の点からはもちろん、機能面、とくに漏れ・ナシ・絶対(は言い過ぎでも)といったオシメ的安心性能や、食器の見込側に使って清浄性を有利にできるわけだしね(この辺結構海外ではウルサガタも多いそうです。われわれマット釉全盛?のワビサビジャパンではあんま気にしてないですが…よかったですよ)
 何とうちには今まで貫入したことがない釉薬があります。これがどのぐらい凄いのか、それとも全然普通なのかは知らないんですけど、とにかく貫入しません。

 興味アリ!!

 「貫入土」と「貫入しない釉」もし戦わば…

 というわけで「貫入土」の購入を検討!
 出かけるのが面倒、ぐらいの軽い理由で申し訳ないんですが山内陶料通販サイトaka「ねんどやさん.COM」をチェック。で理由はいろいろあるので割愛しますが、「赤津貫入土」を取り寄せてみました。
 昨日とどきましたが、段ボール箱開けるやいなやもう貫入させる気満々。もちろんうちの釉薬も貫入しない気満々です(想像です。しかし注文の翌日届くって早いなあ。置き場所に困ったよ)
 
 無事『統一戦』の調印式も済みました。

調印式でにらみ合う両者、一触即発!(やらせです)

 ここで両者の紹介を
 うちの貫入しない釉薬チャンピオン
  「MJK」(まじかんにゅうしないの略)
 福島長石 30
 シリカ  20
 カオリン 28
 石灰石  11
 タルク  11
 なんか11%とか28%とかかっこつけてますが、30%と10%10%でも問題ないです。多少低温でも溶けやすくしたつもりなだけです。要は20石灰石だったけど半分タルクにしただけで、しかも別に貫入しない釉薬としてつくったわけでもなく(期待はした)、その後ブラッシュアップしたりとかも何もしてないです(2%ずらしただけ)。結果貫入してないだけなので世の中にはもっとすごい調合いっぱいあるはず。
 水分量はとりあえず100%以上で混合し、使うときは比重で1.2~1.4あたりをお勧め。濃い(厚い)と白く乳濁しやすくなります。
 固く沈殿しないしピンホールもできにくい(うちの材料だと)優等生です。正直いまいち面白みに欠けるところも優等生。ただし今まで貫入したことはありません。アンディフィーテッド!!
 
 対する「赤津貫入土」はサイトをご覧ください。今日(5/31)までならセールで安いぞ!(それが理由か!違います!)
 
 赤津貫入土選手、昨晩、軽いスパーリングの様子を公開しました! 
ただのテストピースです!新しい土はまずはこれ
おなじみの方法で割り掛けや吸水率も取りますよ
 いやあ、きめ細かいし粘り腰もあって使い易!化粧土や鋳込み泥漿にもするつもりなのでこりゃよさそうだ!
 「マンテキーヤ(スペイン語でバター)」のニックネームは伊達じゃなさそうだ!(うそです)
 
対するMJK選手も調整を開始 
せっせと一輪挿しの見込みを相手にスパー
 「僕の戦績を知ってるだろ」と自信をみなぎらせてます。 

ビッグ・ウィン・カミング・バイ・ウェイ・オブ・ノック・アウト!
アルミナ多孔質の激粗調合を破って世界を驚かせた
左、普通の透明釉選手、右がMJK選手
 

  試合当日が待ち遠しいです。
 決戦は、・・・・・・・・まだ日程決まってません(笑)
 これ試合後にレポートすると一言どっちが勝ったで終わっちゃいますからね。水増し記事でした。
 それと大前提として言っておきますが、これは別に山内陶料対つくばセラミックワークスとかそんなん全然ないですからね!ふざけてるだけですよ!
  


 以下多少ためになるプチコーナー  貫入については以前も記事にしましたが、ネット上の「陶芸情報」で目につく範囲では勘違い、読み間違いを誘発しやすい記述が多く感じますので初心者の皆さんは注意しましょう。

 細かいメカニズムの解説なんかは省きますが(過去記事リンクしておきます)、勘違いしやすい点や知っとく方がいい点などを。
 貫入メカニズムとされてるものを解説、理解する時は混乱のもとですので、収縮率(主に成形~焼成に伴うものをいう・・・はず)ではなくて熱膨張(率、係数)と言い換えることをお勧めします。土の成形時~焼成後寸法の差、つまり「乾燥焼成収縮(線収縮、体積収縮)」の度合いは一切とは言いきれませんがそこまで関係ありません。土、釉薬のそれぞれの組織自体が持っている《熱膨張率(熱膨張係数)》の差が問題になります。これホントに勘違いしやすいです。この熱膨張係数測るのはなかなか難しくて自分もよく知りません(俺がじゃないけど組成から理論値で計算するのはできる)

 貫入は食器や花器等の機能(性能)的にははっきりと「欠陥」である
単に好みの問題である「美点」となってるかどうかとは別問題で話しますよ。スカーレットヨハンソンはムチムチ過ぎ!なのか、あのムチムチがイイいいんじゃねえか!みたいな話なんで。ナタリーポートマンは貧・・・以下略

 同じ土で同じものを作って同じに焼いた場合、貫入の入った方は貫入してないモノに比べてかなり強度が弱いです(まあそもそも釉が別ものなわけなんですが)。素地に比べて釉の強度(硬さではない)なんて低いはずですが(別に俺自身試験したわけじゃないんでで申し訳ないですが絶対そうだよね?)素地+釉(馴染み合った中間層の影響がデカいはず)の強さが物の強さとすれば釉の受け持ち分がないんでハンディキャップマッチみたいなもんですね。重たい釉を厚くかけたいからってあんまり薄く素地を作ると、もしその釉が貫入多めだったりした場合薄っぺらい素地のみの強さに依存することになります。(強さ強さって言ってますけど要は丈夫さ割れにくさです)
 釉+素地での強さの関係性みたいものは分かりやすく解説できるレベルにになったらその時・・・

 当然液体やその他のものが染み込みやすいわけです。素地の貫通気孔の度合いによっては裏まで水が通っちゃいますよね。重湯だので煮ちゃうなんて防止法も込みで、なんか細菌とかバクテリアの温床として危険な香りもしますよね。(個人的には昨日の茶碗洗わずに飯食っても平気です)

 また素地中に水分が回り込むとほんのちょびっとでも水和したり、そのリスクが高まるようです。これは理屈はよくわかるけどいままで実感なし。組成によっても多寡はありそうで、素地中のカルシア分(石灰石とかドロマイト由来)が多い白雲陶器とかかな?スパンも数十年~百年規模かも?

 表に置いておくようなオブジェ、陶板等では貫入から侵入した水が凍裂(水が凍って体積が膨張する際の馬力でこわれちゃう)を引き起こす可能性も高くなるみたい。植木鉢は冬割れてることあるから実感ありますよね。北海道の方とかなら本焼きしたものでも体験あるのかな?

 まあとりあえず今日はここまで!

 もちろん「貫入しにくい土」VS「貫入しまくる釉薬」ってのも来年1.4のドーム大会で試合するかどうか考え中です。  

2019年5月29日水曜日

緻密質マグネシアの浅いるつぼ

 おなじみ『クリーム色のニクイやつ』緻密質マグネシア=MgO(酸化マグネシウム)の浅皿型のるつぼです。
 マグネシアでも3Nに届くともう全然白いんですが、とりあえずこのキャッチフレーズで行きます。
 
 別に今回のこれがどうかって話ではありませんが…

 私が自分から積極的に「るつぼ」と呼ぶのは金属溶解目的のものになってるきらいがありまして、このマグネシアはその理屈で言えば全くるつぼなんですが。もっと径が広かったらシャーレって呼ぶ方もいそうです。シャーレは多分浅皿で形状由来の名称、俺の場合の「るつぼ」は使用目的由来の名称。まあ、熱処理用の耐火容器全般るつぼと呼ばれるイメージですかね?まあユーザーや形状によっていろいろ言い方があります。

 まあ呼び方なんて作る人と使う人の間で品物自体の内容に齟齬がなければ問題ないので依頼された時の名称を使います。るつぼでもセルでもシャーレでもポットでもセッターでも。ズボンでもパンツでもスラックスでもボトムズでもイデオンでもお互いがわかりゃいい(一個違うかも)。

 たまにちょっと違う言い方されると「おっ」と新鮮な気持ちになったり、その言葉にそんな意味があったとは…と用語辞典で本来の意味を調べるのもまた楽しからずやって感じです。

 るつぼの紹介だけしとけばいいモノをどうでもいい話を垂れ流しましたが、先日うちのるつぼユーザーの某先生から「重箱の隅をほじくってる様を楽しむタイプのHP」と評されましたので調子に乗ってみました。




 

2019年5月28日火曜日

かなり収縮します!ほとんどしません!緻密と多孔

 かなり焼成収縮の大きい材料を扱ってる最中です。
どのぐらいかというと…
左が生体(焼成前の乾燥体)右が焼成後のるつぼです
材質は都合によりナイショ

 ヤキモノ経験者でしたらずいぶん縮むもんだね、こりゃ!と感じていただけるんではないでしょうか。まっすぐ焼き上がってるんだからとりあえず褒めてください!(当たり前だろ!)
 通常ヤキモノは作ってから焼き上げるまでに収縮します。収縮する段階は工程中大きく二か所ありまして、一つ目は成形後の乾燥中、二つ目が本焼成時の最高温度付近。

左から原型、成形直後、一日経ったもの、破けたやつ
見にくいけどかなり収縮してますよ

左から成形直後、素焼き直後、本焼き済み
乾燥体と素焼き体は同じ大きさです


 乾燥時になぜ収縮するかは自由水分の内、収縮水(という言い方があるんですって)分が蒸発するにしたがって多分表面張力で粒子同士が引き寄せ合うことによっておこります。成形体内の水分には幾種類かありまして、
 1・組成に化合物として取り込まれている水分、
 2・粒子表面をきっちり覆って吸着している水分、
 3・その粒子同士の間に密に存在してる水分、
 4・さらに余剰な水分(余剰って言っても成形するのに必要なんですよ!)
 といったあたりのはず。
 このうち1と2は炉内に入ってある程度以上の温度、熱量を喰らわないとすっ飛んで行きません(この段階を「アブリ」と理解しています、俺は)。3と4が乾燥工程で蒸発する分のようです。3の分で収縮し、4の分が空隙になるといった理解でよさそうなんですが、あんまり詳しく突っ込まないでくださいね。こっちもアントマンじゃねえんだから直接見たことはないですからね。

 で、細かいコマゴマをすっ飛ばして進めますが、その空隙が埋まりだすのが焼成の最高温度付近(適正温度で焼成していれば)。粒子と粒子の接触面で熔化(言っちゃえばガラス化)する反応が起こり=粒界が形成されて、液相というんですが、その間の部分に粘性を持ったほぼほぼ液体化が起こります。でそのほぼほぼ液体の表面張力やらお互いもっと反応しようと引っ付きあうとかラブリーな感じの何やらかんやらでぐっと結果的に空隙が埋まる=引き付けあって収縮する、といった理解でよろしいかと。これがまあ焼き締りといわれてるものの正体の一つじゃないかな。
 気孔がほぼほぼなくなるまで焼き上げたものが磁器、そうでない=気孔がまだ残ってる状態なのが(とりあえず代表して)陶器、といえるはず。

 ですから陶器ももっとぐっと温度を上げる、キープをうんと続ける等々で理屈の上では磁器化(=気孔率ほぼほぼゼロ化)させることが可能です。
 が、おそらく多くの場合陶器(状態として炻器以下ですよ)は、いろいろ不純物が多く結果液相の粘度が低くサラサラ気味のために、気孔が埋まるかもしれんが同時にヘタったりアブクを吹いたりしちゃうことが多いと考えられそう(経験あるでしょ?)。この熔化、緻密化が始まる~ヘタル温度帯(熱量でイイよ)の高い低いがまあ一般的に耐火度とか、場合によっては適正焼成温度帯と言われてる性質だと思います。
 緻密化(高強度化)しつつもなかなかヘタラなければ焼成幅が広い!と言えるし、逆に熔化したが早いがとっとと腰砕け、なんて場合は温度幅にシビアな原料と言えます。
 陶器は焼き締め切らないことで適正な形状と強度を得ている、と言い方ができるかもですね。磁器は熔化が進んでもなかなかへたりにくいので器たりえている、と。まあいろいろ個々事情や都合はあるんだろうけど大まかにこうで合ってるはずだといっておきます。

 ヤキモノは焼成すると収縮する、というのは誰でも知ってることかもしれませんが、実はほとんど収縮しないものもあります。
 多孔質耐火物といわれるものの中に多いです。

 たとえばよく作るこれ
多孔質のアルミナるつぼ!
 
 アルミナに限らずうちで作る多孔質耐火物の定番調合ほとんどが(もちろん全部じゃない)ほぼほぼ収縮しません。場合によっては成形直後の大きさのまま焼き上がります。
 これは大きな、水が蒸発しようが(そもそも成形時の水分量も非常に少ないことが多い)焼成温度で焼結が始まろうがもびくともしないように粗い粒子サイズが密になるよう調合されているからで、簡単に言っちゃえば粗粒が突っ張ってる!という状態だと理解しています。お城の石垣みたいな感じ(多分)。これは反りに対してもかなり強い場合が多いです。
 もちろん粒界では焼結が十分に起こって「焼き上がって」います。これを死ぬほど使ったりうんと温度を上げたりすると、気孔を保ったままより緻密になっていきます(さすがに気が付くと多少やっぱり収縮してます!)
 
 なんてことを知っておくと
 1、教室で新人の若手女子に尊敬されるかも?
 2、実際モノに合わせて調合をいじくる際にも役に立つかも?
 3、ベテランおやじをノーガキだけで粉砕できるかも?
 腕前もないのにあんまりやると嫌われるので注意!まあ以前からの読者の皆さんはすでに同期のナタリーを攻略済みだと思いますが…

 そしてなにより。
 4・耐火物高いな!って言われなくなるかも?
 特注のカスタムなんだから理解してくださいよ!って感じかな(笑

 ウエーい!ヤキモノ屋って凄いね!ネ!
 だれか言ってください!


 昨日は暑さに脳がやられたのか(いや、脳は慢性的に患ってんですけど)ヘンテコ記事を上げてしまって何屋だかわかんなくなりそうだったので軌道修正して少しは利口そうな記事を書いてみました!

2019年5月27日月曜日

ヤキモノ映画シリーズ Vol.1

 久々パチーノからのチャチャ入れメールで「ヤキモノ映画」の紹介しろや!とのこと。知らんわ!そんなん。
 もちろんヤキモノを作ること、あるいは作陶家が主人公、といった映画はいくつか知ってます。
 浅見光彦似の板谷波山が主人公だったり、石黒賢がひでえ男で「女を窯場に入れるんじゃなかった!」とか言って子供と奥さん棄てて若いのと逃げるようなのとか(意味わかんないでしょうけど主演は田中裕子です)そういう陶芸家映画、もあれば、単にイチャイチャシーンを巧いことやるために取って付けたようにデミ・ムーアが陶芸家設定だったりとか、ね。

 そんなんじゃ面白くねえなってことで(私が基本伝記映画は好きじゃない)、なんか面白切り口で見られるうえに、映画としての出来がイイ!というのを紹介できたらと。上記三作品は比較的イイですよ。というか「ゴースト」はいいですよ。マジで。(お前それ本当はウーピーだから!とうのも込みでイイ)。


 いい器の写る映画、器に意味のある映画、器が写ることで俺たち(=ヤキモノ人)がちょっとなにかグッとくる映画、等々紹介できればいいなと思います。


 まず第一回目は大ネタから…

「初恋のきた道」
 まずチャン・ツィイーがヤバい!これだけで一万点!
 ちょっとど田舎のおぼこい娘にしてはあざといっツウかずいぶん積極的やな!とか思わないでもないですが何しろみんな大好き「あのころのチャン・ツィイー」なので無問題。


 チャン・イーモウが監督ですから画面の色彩や構成の美しさは言うまでもなくすさまじいですし、「グレートウォール」とかと違って絵面以外のストーリーとかも素晴らしいです。

 でヤキモノ映画としてですが、結構当時の中国庶民の器がその意味とともに見られます。意味とともにってのは観てのお楽しみ。
  白眉としては、割れた茶碗の継ぎ方がすげえ!国宝かなんかでこんな継ぎ方してる青磁のお碗見たことあります。しかも直してくれる人はどういう人ですかってのも見どころ。手順もじっくり目に移してくれて。これ現代でもアリですよアリ!マハーシャラ・アリ!
 1950年代、昔の電気も水道もない山あいの農村の日常非日常のはざまで素朴な力強い器の数々が見られます(かなり遠目ですけど)。
 晴れの舞台に出す器とはいえどれも使い古したようなもので、揃いでもってる感じなんかまったくない。民芸品的なものから結構立派な素性そうなものまでてんでバラバラだけどそれがまた生活感があっていいじゃないの。

 ヤキモノの器は大事なものなんだってことを、特に青花(チンファ、染付)のグレードってものも再確認!染付やってる方は、絶対見ること!
 こういう使い方をしてもらえるように魂入れて作りたくなっちゃうよね。心に刻み込もうぜ!

 あなたの器は「これと決めた相手のハートを射抜くために使えますか?」

 もちろん映画的文法でいえばこの「割れた茶碗~継ぐ(再び縫い合わせる!)」ってのが家族だったり、社会的運命に翻弄される若い2人そのもの(彼が帰ってきたときに使う器なんだよ!)だったり、伝統を現代でもがんばってつなぐこととか、ネタバレになりますけど最後教え子たちが・・・等々の象徴的メタファーなんだと思うので超重要シーンなんですけど別に器紹介映画じゃないですよ!その辺気を付けて!
 
 とにかくチャン・ツィイーを愛でるだけでも至上の時間を過ごせますのでまだ見てない人は是非! 

 
 おすすめです!

 ヤキモノ目線で映画を見るなんてのは普段なかなかない(というか物語の方に意識が向く、なかなかコップなんか見てねーわ)のでパッと思いついたのがこれ一本なんですよね。
 シリーズとか銘打ったけど次いつかは一切わかりません(笑

 

 

廃棄土、廃棄釉薬を出さないようにしてみよう!

 私など今まで気にしたことがなかったんですが、趣味で、特に自宅で作陶する際の排水の問題ってのは気になる方が多いみたいですね。

 まずはじめに、できるだけ原料の粒子を流しや下水道に流出させない工夫や、廃棄の仕方などを紹介した動画を並べます。
 
 
サムネにキャラが出てんなあ~

 皆さん工夫されてますが、特に三番目の岩山陽平先生(癒し系注目株!うまーい!)の場合は、かなり自宅陶芸されてる方にもグッとくるものがあるのではないでしょうか。じつは俺もほぼこのシステムです。

 私の場合、当然工場(コウジョウじゃなくてコウバね)の排水は深ーい浸透桝に直結してますし、ハンコや書類申請がいるような危険アイテムや薬品は扱ってないのでジャバジャバ流しちゃってOK仕様になってます。当然うちの立地が街中だったら二連発三連発の沈殿槽を作らざるをえませんね(ここはど田舎でそもそも下水道無し)。
 が、何しろ原料粉が高いですし、生まれつき貧乏性なのでケツの毛までむしるつもりで基本洗い汚れや削りカスまで使い倒します。これはKg何万円のファインセラミックスだろうが安くならんでる「並」って書いてある陶芸用土でも一緒ですよ!

 自分の場合、岩山さん方式と同じくバケツ沈殿槽二連(もしくは三連)方式ですね。趣味でやられるならこれをお勧めいたします。バケツは釉薬用、土用に分けます。土の場合種類ごとに「第一バケツ」を用意したほうが混ざらなくていいですね。第二バケツ以降はススギに使います。
 もしくは手桶ですべて道具を洗ってしまい、それを第一バケツに入れるとか。

 洗いのコツとしては、カラカラに乾かした後洗うとほぐれるのが早いよ!とかありますが、その辺はあなたのライフスタイルイメージにお任せしますね。乾いた粉末飛ぶのも本当はよくないことでもあるので。俺は大体すぐ手桶で洗っちゃいます。次の日薄汚れてるのでそれをすすいだりね。その時その時の都合だわ!


左が第一バケツ、右が濯ぎ用第二バケツ

こうやって洗った泥水(この場合ビーカーの泥土)は第一バケツへ!
第一バケツ内で泥を全部落としちゃいます。
第二、第三バケツできれいにした後流水ですすぎます。


 バケツはしばらくすれば沈殿するので上澄みを捨てます。上澄みの行先はうちの場合庭にぶちまけですが、状態や作業場の状況次第で第二バケツ行の方がいいかもです。 
 上澄みを捨てたら沈殿物は練り直して使用します。これは決まった土なので新品と混ぜたりしてもいいと思います。釉薬の場合は戦死釉薬だめに直行。第一バケツは気分が許せば洗わずに同じ用途で使い続けられます。 

 次は第二バケツ以降、これはもう釉薬も土も一緒でもいいですし、分けてもいいでしょう。スペース次第でどうぞ。で、その沈殿物ですがやはりこまめにまとめておきます。いつまでもバケツの底に沈めておくと腐敗して「久々に引っ張り出した泥漿の臭い=ドブさらいの奉仕作業でハズレ引いた時のあれ」になっちゃいます。
 
 とにかくこまめに使える坏土の状態にしておく!これをお勧めします。
 でそれは捨てずに使いましょう。
 可塑性粘土はですね、なかなか人工的に作れるものではないんですよね。どのぐらい大量にあるものなのか、あと何年もつのかわかりませんが、地べた掘って取ってきてる以上、生成に何万年もかかる以上絶対的に減る一方のものです。必ずいつか無くなります。皆さんが大好きなロクロ作業は可塑性粘土がなければ不可能です。今、産地の伝統的な粘土のなかには伝統通りのものではない場合もあるって聞きますよ。
 地球からの贈り物【はあと】とかいうつもりは一切ないですが、そういうダメージがどこかに掛かってる産業、あるいは趣味だということは覚えておくべきです。可塑性粘土がなくなった時に備えてヤキモノ屋どうするかってのはヤキモノディストピアシリーズとして下書き書き溜めてんですがあんまり読みごたえある記事にならないのでペンディング中です(笑
 
 話が柄にもないエコロジー方向に振れちゃったんで元に戻しますよ。

 たまった屑粘土。屑釉薬。
 これも全部使っちゃおうゼ!ってのを排水問題の根本解決法の片一方として提唱したいと思います。

 まず釉薬屑の方。
 試験してダメだった調合と一緒にためて成分は謎だが使える釉薬にしてしまうというのが第一。どうせ見えやしない袋物の内側に使ったり、粘土屑や酸化鉄など混ぜて熔火化粧土風にしたりできるはずです。酸化鉄をギリサチるぐらいまで混ぜ込めばみんな大好き鉄砂風黒釉になるこたあなりますよ。きちんと釉になるのなら酸化コバルトを適当量混ぜてダークブルーの釉に。
 どうしても棄てたいって人ももう少し待ってください!

 では土のくず。
 これはいくらでも使い道ありますよね。無いって人はヤキモノ向いてないと思いますよ。粘土があって作りたいものがないって、チョッ、オマッ!って感じじゃね?
 釉薬のテストピース以外のものなら何でも作れるはずです。
 プロがそれで金にしようとか思わなければ制限もないと思います。

 石膏流す際の埋めぐさの土にしたり、カメ板用の土にしたり、縁の突っ張りに使ったり、三島のスタンプでも作ってみたり、実用作業にも使えます。

 そういうのに積極的に乗り気じゃない人は思いつきのオブジェっぽいのを作れば、練習になるしいいんじゃないでしょうか。
 おすすめは、こんなの 


 こんなのを作って見込に屑釉薬をため込んで焼けば、もしかっこよく焼ければオガワマチコ、ダメでも捨てやすい。
 渾身のギャグのつもりだったんですが、これ小川先生に怒られないか不安ですな

 井上先生の動画内のコメント、橋本先生の動画の概要欄にもありますが、釉薬屑を焼成して廃棄するならできるだけ高温で焼くべきだと思います。それもよく混ぜてからをお勧め。できるだけ緻密な熔化した状態にするほうが少しでも組成内の成分の水和、崩壊、溶出を避けられえると考えます。
 まあ普通は神経質にならなければいけないような毒性、身体へのあるいは環境への攻撃性はありませんが、ここはご自身の良心のハードルと知識を総動員して必要と思えるところまでやるべきでしょう。

 何しろヤキモノの材料は石膏含めて捨てにくいんですよ。面倒です。だったら使った方が全然まし!

 使い切る!を目的に上手い消費方法を考えてみましょう!!
 俺のやってるこの場所は浸透桝の堆積物とその周りから大量にでる陶片で何世紀か後には「つくば境松古窯跡遺跡」になる予定です。
俺は大体素焼き鉢です。

 追記・今回のこの記事、基本的に泥自体を通常排水としてバンバン流してしまっては管が詰まったり下水道の負担になりますし、粘土自体ももったいないよって話で、環境や人体動植物に対する毒性攻撃性云々の話ではありません。いっしょくたにするには面倒な話ですので。

 また、ちょいちょい言ってますが、そういうのを気にする方は、金属とその酸化物や炭酸塩になってるなってないの違いをわかっておいてください。たとえば我々本職が単に「鉄(テツ)」といった場合、それが金属鉄であることはまずありません。何らかの酸化鉄であり、もしかすると珪酸鉄、鬼板や○○石といった含鉄土石(鉄がおおくは酸化鉄、あるいは複合酸化物の形で含有してる)状態です。同じように「チタン」といった場合は酸化チタン=チタニア、あるいはチタン含有土石(以下略)です。
 次、原料の石灰石=炭酸カルシウムですが、なぜこの場合酸化カルシウムではなく炭酸カルシウムなのか。炭酸マグネシウムでも炭酸リチウムでもなんでもいいですよ。なぜこれらは酸化○○ではなくて炭酸○○なのか。この辺もギャーギャーいうならわかっておく必要がありますよ。
 
 あと「重金属」
 重金属という言葉に「毒性が強い」という意味など一切ありません。単に比重が大きい方の金属という意味です。その物性や分子量もイオン価も全然関係ないっす。いやもちろんこういった場面で使うときはそのニュアンスを込めてるんですけどね。
 軽金属と重金属の境目は?知ってますか?

 

2019年5月24日金曜日

NIMS(物質・材料研究機構)での展示会が終了しました。

 昨日無事にMOT's技術展示会終了しました。
 御来展頂いたNIMS職員の皆様、MOT's関係者皆様お疲れ様でした。
 

 個人的には11時ごろ小学校から電話があり、娘が高熱だして保健室!と連絡を受けたので途中退場と相成りましてご迷惑おかけしました。診断によればヨーレン菌たらいう初耳菌に感染したらしく、飛沫感染だとのことでおんぶした顔の脇でペチャクチャしゃべられた以上私ももはやこれまでと覚悟しております。
 そうとわかれば倒れる前に頂いた見積もり依頼はかたづけますのでご安心ください。

 彼女ももう五年生なのでこうやってキャピキャピできるのもあとわずかなのかもしれぬのだなあと思いを馳せたところにラジオからさだまさしが流れてくる、という激辛コンボを喰らいまして今ちょっと目から若干漏水しております。
 いまのうちから『コマンドー』『96時間』といったあたりをこまめに見せて「父親というものはどれだけ大事に思っているか!」ということを叩きこんでおこうと思いますよ。もうさらわれた娘の居場所も確認しないうちから敵のアジト全部爆破しちゃうぞ!みたいな。




 というわけで展示会中の写真を取れませんでしたのでなかなか一般の方は入ることができない国立研究開発法人のロビーホール兼展示室の写真でも紹介します。

 NIMSは物質材料の研究だ!とタイトルからわかるように基礎研究メインですのでここで研究開発された技術や物性が今年来年に実用化されて皆さんおなじみに!!なんてのはなかなかないです。とはいえこんなものがうまくいけばこういう利用法が期待されます!みたいな良い段階まで来たものが展示されています。



 私も詳しく解説なんかできないですのでパネルを遠目で写した写真でご勘弁ください。
 綺麗に展示されています。興味のある方はNIMSのHPで頑張れば解説みつけれるかもしれません(未確認です)


 おすすめは以前も紹介しましたが実物が見られる周期律表パネル!
 前掲を写し損ねるという大エラーしてしまいましたがこんな感じ。
よく見えねーし!
  こんなはみ出し連中(ランタノイドとかね)もほとんど単結晶塊(石英管に封入されてるのもありガチ感が高い)が展示されてます。見たからなんだって気もしますが教科書で文字面だけ知ってるのとは説得力が大違い!科博みたいな展示の感じですので綺麗だしなんかうれしい!
 
 ほとんどっつったのは展示しようが無かったり出来ないものがあるから。まず気体は見えないから無理。まあ空の封入管並べてあるフリすればいいのに!とは思いますが。
 それと
さすがに放射性元素は留守です!

 しかし世界でもトップクラスの材料研究機関…
 なんとこんなものを合成しておりました!


なんと美しい単結晶!!
 形状は外国の独楽みたいですが、よく紹介している単結晶るつぼで生成した結晶がこういう形状になるわけです。これがルツボ育成した結晶かどうかはわかりませんが。
 
参考:外国の独楽

参考:単結晶育成るつぼ

 YAG(ヤグと発音するのが一般的だと思います)というのはイットリアアルミナガーネットといいまして、酸化イットリウムと酸化アルミニウムをガーネット構造の結晶にしたものです。そのうちイットリアの一部を酸化セリウムで置換したものがCE:YAGです。レーザーとかやってる方にはおなじみですが、ガーネットて?とか何に使われてんの?みたいなのは俺より詳しいわかりやすい説明がいくらでもネットの海とか本屋にありますのでこの次のギャグ部分を読み終えたら検索してみてください。

 この開発、実は額面通りに受け取れない可能性を小耳にはさみまして・・・
 光学系研究の名を借りたヤバい代物だといううわさが・・・




インフィニティストーン!!

 やはり人類はもはや増え過ぎなのかもしれませんな!!
 ハイ、気が済みましたので早速YAGを調べに行ってください!



これは超ロスの少ない電線(超電導的なやつ)みたいな話でその作り方がいわゆる「練り込み」みたいな感じで面白いねってだけです。

 とまあこんなものつくり人から見ると楽しい展示化がされてるわけですが、所内に仕事の用のない方は見られない。ってのがマジもったいない話です。夏休みに市内の研究所が市民向けに一般公開されるんですがその時だけじゃあねえ~。JAXAやAISTみたく展示館を作って普段から観覧できるようにするといいのに。と思いました。まあネタが日常や少年少女の興味から遠すぎるんだよなあ~しょうがねえか
 

 


2019年5月22日水曜日

四角いるつぼ 高純度アルミナ

 るつぼとユーザーさんの呼び名ではありますが、金属溶解をするわけではなくてすでに形になってるものを熱処理するための容器なので、サヤ、セッターとしての使い方ですね。


 通常の筒型、碗形と違って炉内のデッドスペースをなくすことができるのが四角い形状の利点ですが、構造上どうしても熱衝撃にも機械的にも強度は落ちます。というよりどうしても角(しかも入隅側)から割れてきますね。セラミックスが平面を保つのも難しいので側面もへこんだり膨らんだり歪みやすいですし、粘りのない材質の場合割れにつながります。

 もちろん材質と形状(プラス小細工や工夫)、使用条件との相性次第ですから、でいくらでも四角箱型の耐火物はあるんですが、構造的にはそういう弱点があるよって話ですね。
 
 特に金属溶解ルツボの場合、メルトした時に重量的な圧力等負荷がかなりかかりますし、るつぼの壁に溶湯が突然触れるという熱衝撃的負荷も大きいですので、どうしてもそうでなければまずいってんでなければお勧めしません。
 
 なんで角から割れるのか、とか形状的有利不利の機械的問題についてはなんとなくは理屈あるんですが経験的なもので解説に自信がなく、いつもの「突飛なたとえとかジョーダンで目くらましをする」ってのもネタが思い浮かびませんでしたので割愛します。



 今朝、水が出ないっつってたたき起こされて井戸を見に行くと確かに動いてない。通電してないみたい。
 配電盤を確かめに工場に行くと工場は蛍光灯もつかない、停電。チェックしたら当然遮断器が切れてる。上げてもすぐ落ちる。漏電してる!
 一個一個確認すると井戸ポンプ!水が出ないんじゃ仕事はおろかウンコもできねー!故障だったらヤバいなーとカバーを外す。ランプも当然点いていない…
 絶望的な気分で端子のゴムカバーをめくってみたら…


自爆テロ!

2019年5月20日月曜日

遠心鋳造ルツボ 


 遠心鋳造ルツボです。今回のこれは多孔質のシリカ製です。
 


 遠心鋳造ってなんじゃい!って方も多いと思いますが、今知らない方は知ったところでまあ間違いなく一生使わないし、知ってる方はまあそういう職業ですからそもそも知ってるわけで、ここで説明されたところでアヤフヤな解説に突っ込むだけ、というダレトクなことになりかねないんですよね。

 これルツボ全般そうなんですけど。展示会の場なんかはオーダーをいただく相手=お客様(予備軍含む)と出会う、というのがとりあえず第一の目的なわけですが、ユーザーたりえる方はモノ見ればるつぼだとわかります。見てるつぼだとわからない方が私の説明を聞いて「え~ルツボなんて便利なものがあるなら今度使ってみたいわ!」となる可能性はイ・ビョンホンがバーで女に振られる可能性より低いです。この辺が機械装置や新技術なんかと違って厳しいところですなあ。



 で、ここで切っても意地悪なだけですので説明しますと・・・
 
 普通?溶けた金属はるつぼを傾けて鋳型に流し込まれます。これを傾注(ケイチュウ)といいます。「片口」になるような注ぎ口(湯口ということが多いです)を付ける場合もありますが、何もない場合も多く、この辺は鋳型やるつぼの形状やサイズ、溶湯金属の種類にもよります。

 それに対して遠心鋳造は文字通り遠心力を使って鋳造するわけです。
 室伏みたいにぐるぐる回る機械に鋳型と一緒にセットされ、多分高周波とかで金属を溶融させた後ものすごい勢いで振り回されます。口が外向いてるので溶けた金属がぴゅーっと鋳型に注入される!というわけですね。
 ティーポットに水でも入れて振り回せばどうなるか?やってみてください!
 これ鋳型無しで振り回したらドクターストレンジみたいなことになるんじゃないでしょうか!ただじゃ済まないだろうけど。
 


秘太刀「イコミコミ」 積層鋳込みやってみた

 うちのるつぼのユーザーさん(ヤキモノ趣味があったとは!)からは「教室の先生にHPお勧めされました。ルツボ頼んでるところですよ!」みたいな感じ。こんなHPをお勧めするたぁその先生もゆるいもんだなとかいうのは置いておいても私ノボセテおります。GW明けは鬱る方だけじゃなくうかれるヒョーロクダマが多いとは聞きますがまさか自分がそうなるとは!
 
 去年の今頃記事にした、石膏流しはこうやってますよ!の一連の記事は嬉しいことに閲覧数が多めで、今年に入ってからでも紹介した石膏上手いオバサマがいたよって記事もかなりの閲覧数いただいてるようなんですが、記事中で、そのオバサマの作品に使われてる技法?手順?をチラッと軽い気持ちで、しかも推測で説明しました。積層させて鋳込んでガワから削り落として模様にしてるんじゃね?今度ネタとしてやってみようかな?みたいな。(オバサマオバサマ失礼ですね。Sasha Wardellさんです。とそのHP勝手リンク)

 パチーノともう御一方から「ぜひやって見せてくれ!」となぜか先週になってからメールいただきまして、まあ二人とも自分でもやってみたいというよりかは「あんまり観たことないので見てみたい」ぐらいでして、それでもHPの各記事をお褒め頂いて俺も浮かれてます。

 積層鋳込みというのは複数の色素地スラリーで一つの製品を作るのに次々鋳込んで排泥してを繰り返してお碗の壁がミルフィーユ!みたいにする技です。練り込み技法の鋳込み版みたいなものですね。わかんないけど「イコミコミ」とでもしておきます。

 ファインの場合は基本的に焼成収縮合わせるのが狂気の沙汰になりがち!とか焼結温度が違うなあ~とかまあ~それはそれは難しくて溶射したりした方が手っ取り早いんですが、粘土物ならそれも磁器だの言わなくてそこそこザラい原料なら最終的な見た目はさておいてやりやすいです。
 
 俺も自分でいったい誰のためにやってるのかわかりませんが、誰の為でもいいじゃないか、みんなその気でいればいい。
 まあ、ロマンのかけらが欲しいって感じかな?(意味不明) 

 とりあえず白の泥漿と赤土の泥漿を用意。白土の泥漿に酸化鉄とか黄土を混ぜるのが手っ取り早くていいです。よく練り込みなんかだと呈色材や顔料を混ぜると収縮が変わって亀裂が!とか何とか云いますけど、この「イコミコミ(仮)」でやる分には剥離したことないですのでご安心を。タイミングは重要で、排泥後、次流し込むのは混ざらず乾かずで!


では赤土から行きますよ

適当な(お好きな、任意の)肉厚になったら

排泥して白土の泥漿に切り替えます泥漿を

一枚写真が抜けたような気がしますが白土を排泥。

もっかい赤土を充填!

その次は白土で!と繰り返します(好きなだけ)

四回目で肉厚を決めに行きました。

口元削るとこんな感じ。ネ?縞縞でしょ。当たり前ですけど

離型して口元すり合わせたところ

削ぐとこんな感じ

もっとそぎ落とします

じゃーん!みたいな。
あとは気が済むまで整えよう!

 めんどくさくも楽しいですね。いや、そこまで面倒でもないか。
 このパターン、二十代の頃隠れて作って知り合いに結構売ってました(笑
 削ぎ方シノギ方を変えるとけっこういろんな表情になりますよ!

 いろんな技法がありますね~。なんでだかわかりますか?
 ヤキモノ屋たるもの、器は料理の引き立て役、なんて心持のやつは実はいないからですよ!!わが師ヨーダ(今から思えばマジでヨーダっぽいじいちゃんでした。生まれベルサイユ講和前だし)の極論のごとく「手づかみで味噌汁飲めるかい!器のが偉いんじゃ。なかでもセラミックスの器がいっちゃんえらいんじゃ!料理なんてのは器を引き立てるためにあるんじゃ!!・・・と思っちょるよ(長州出身でジャとかチャっチュッチョが多かった)」というセラミックス原理主義者でしたが、おそらく皆さんも言うと角が立つ上にじゃあ皿でも喰ってろ!!って言われるとぐうの音も出ないので謙虚に装ってるだけだと思います。